メキシコの金融政策(3月)について~ペソ相場の行方は?
- 政策金利は8.25%で据え置きでした。インフレ率や為替相場の安定を受け、様子見姿勢を続けます。
- 中銀は政府の大衆迎合的な政策を、国の信用を下げ、通貨安でインフレを上昇させると警戒しています。
- インフレ率上昇を警戒する慎重な姿勢と、米利上げ休止があいまって、通貨ペソは底堅いと考えます。
インフレ安定も慎重な姿勢継続
メキシコ銀行(以下、中銀)は、3月28日に定例理事会を開き、政策金利の翌日物金利を8.25%で据え置くと決定しました。中銀は、インフレ率が安定度合いを高め、為替相場も比較的安定していることから、引き続き、引き締め気味ながら様子見姿勢を続けます。
インフレ率がさらに安定しています。2月のCPI(総合)は前年同月比+3.94%と、16年12月以来、2年2ヵ月ぶりにインフレ目標(+3±1%)の範囲内に入ってきました。農産物、エネルギーなどノンコア品目の低下が要因ですが、コアも同+3.54%と総合と同じく2年2ヵ月ぶりの低水準です。中銀は19年末、20年末のインフレ率について、コアはほぼ据え置きとなった一方、総合は0.1ポイント余り下方修正し、安定傾向が続くと予想しています。
しかし、ロペス・オブラドール政権の大衆迎合的な政策(Pemex〔メキシコ石油公社〕の財政救済策など)が、国の信用に悪影響を与え、通貨下落によるインフレ率上昇の一因になると警戒しています。声明文でも「特筆すべきリスク」と記されており、政策金利据え置きの主因と見られます。
相対的な高金利が引き続き妙味
ペソ相場は足元はもみ合いです。最近1年間の動きでは、18年7月に実施された大統領選挙前の政治的な不透明感や米国との通商交渉への懸念から大幅な下落が見られました。しかし、選挙後は大きく戻し、その後、一方的な上昇、下落はなく、レンジ相場となっています。
ペソの投資環境は引き続き良好と考えます。新興国通貨全般の重しとなっていた米国の利上げが休止となったことで、対米金利差縮小が一巡しました。また、中銀には政権に対する根強い警戒感があるものの、むしろそれが慎重な政策スタンスにつながり、相対的な金利水準の高さが目立ち、レンジ相場ながら底堅い推移が期待されます。
アムンディ・マーケットレポートはこちら
アムンディ・ジャパン株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第350号
加入協会:一般社団法人 投資信託協会/一般社団法人 日本投資顧問業協会/日本証券業協会/一般社団法人 第二種金融商品取引業協会