トルコの金融政策(3月)~政策スタンスと為替相場の展望

2019/03/07 <>
  1. 政策金利は24%で据え置かれました。インフレ率は低下方向ながら、中銀は引き締め姿勢を維持します。
  2. 景況感底打ちも雇用環境は厳しく、インフレ率がさらに低下すれば小幅利下げの可能性があります。
  3. 金融政策に対する信認が回復しており、利下げ期待が強まると、リラ相場は上昇が期待されます

引き続きインフレ警戒スタンス

トルコ中央銀行(以下、中銀)は6日の金融政策委員会で、政策金利(1週間物レポ金利)を24%に据え置きました。1月のCPIが前年同月比+19.7%と半年ぶりに+20%を割り込み、インフレの鎮静化がより鮮明となってきました。一方、PMIの回復が鮮明となり、大幅利上げによる総需要抑制効果が一巡してきたことがうかがわれます。1月の経常収支は6ヵ月ぶりに赤字に転じました。ただし、失業率が18年11月時点で12.0%まで上昇し、雇用環境は厳しくなっています。

実質政策金利(政策金利-予想インフレ率)は、現時点で8.5%(24%-15.5%〔中銀調査、12ヵ月後予想〕)です。トルコの潜在成長率(+5%前後)を大きく上回り、引き締め度合いが強まっています。中銀は、明確な物価環境の改善がない限り、引き締め姿勢を変えないとしています。そもそも、インフレ率の目標は+5±2%であり、利下げには慎重を期すと見られます。今後、予想を上回ってインフレ率が大きく鈍化する展開が続くならば、小幅な利下げを実施する可能性もあります。

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金融政策への信任回復がリラに追い風

リラ相場は、中銀の独立性や金融政策への信任が回復したことで、18年秋以降上昇に転じました。18年末頃以降はほぼ横ばいとなっています。政治リスクは払拭されたものの、足元では、トルコの景気底打ちと利下げの時期を見極める段階に入ったと見られます。

インフレ率が順調に低下方向を歩み、利下げ気運が高まってくれば、長短金利の低下を見込んだ投資資金の流入が期待されます。深刻な政治的・地政学的リスクが膨らまない限り、通貨リラは上昇余地が拡大すると考えます。

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