ブラジルの18年10-12月期GDP~今後の市場展望
- 実質GDPは前年同期比+1.1%でした。企業投資の伸び悩みと在庫削減で低水準にとどまりました。
- 個人消費が底堅いなど、景気回復の方向性は変わらず、19年は+2%台の成長を予想しています。
- 経済構造改革の実現が信頼感の向上につながるため、新政権の取り組みが投資環境改善のカギです。
個人消費は底堅い
2月28日、IBGE(ブラジル地理統計院)が発表した18年10-12月期の実質GDPは、前年同期比+1.1%、前期比年率+0.5%でした。景気回復に転じて丸2年が経ちましたが、今一つ回復の勢いが強まっていません。
実質GDP成長率に対する寄与度は内需が大きく減速、中でも固定資本投資が前期比でマイナスに転じたことが影響しました。これは、鉱業関連投資の反動減によると見られます。また、鉱工業生産が10-12月期は前期比マイナスとなるなど、生産抑制で在庫削減が拡大したことも挙げられます。一方、外需は、輸入が7-9月期に大きく増加した反動で減少したため、プラス寄与となりました。
こうした中、個人消費は前年同期比+1.5%と、底堅く推移しており、景気回復の方向性は変わっていないと見られます。また、固定資本投資は短期的に上下していますが、景気回復後はおおむね年率+3%程度の増加です。したがって、在庫削減が一巡すれば内需だけで+2%ペースを取り戻す実力はあると考えられます。こうした点も踏まえ、19年以降は+2%台の成長を予想しています。
改革進展が相場上昇のカギ
ブラジルの金融市場は、ボルソナロ大統領の人気もあいまって、特に株価の回復が顕著です。株価は、政治不信からカントリーリスクが増大し、非常に割安な状態であった反動もあります。また、通貨レアルの相場は、大統領選後持ち直した後、景気回復の勢いが鈍く、金利先高期待の後退で上昇は抑えられています。
懸案の経済構造改革を新政権が成し遂げられるかは、海外からの投資資金流入という面でも、株価、レアルの一段の上昇に向けたカギになると考えます。新政権の議会運営は順調で、改革進展の可能性は以前よりは高いものの、依然として先行きは不透明です。当面、市場は様子見状況が続くと見込まれます。
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