ダークホースとなる?来週の中国のイベント

2014/01/23

今週の国内株市場ですが、日経平均が方向感に乏しいながらも年初来で初の連騰を見せたほか、日経ジャスダック平均が昨年来高値を更新、マザーズ指数も久々に節目の1,000を超えるなど、しっかりした動きとなっています。

今週は日銀の金融政策決定会合が開かれましたが、注目の追加金融緩和については、特に手掛りとなるようなものが見当たらず、結果的にスルーとなりました。週末から召集される通常国会において行われる、安倍首相の施政方針演説で踏み込んだ政策の話が出てくるかに期待したいところです。

株式市場はこれから本格化する国内企業の決算や、来週の米FOMCなどのイベントを前に次の展開を待っているような印象ですが、来週のイベントでダークホースとして注意しておきたいのは、中国の動向です。今週も2013年のGDPや、12月の各種経済指標、1月のHSBC製造業PMI速報値などの発表がありました。

ここ数ヶ月の上海総合指数の動きを振り返ってみると、昨年12月中旬あたりから下落基調を辿っており、今週月曜日には節目の2,000を昨年7月末以来に下回る場面がありました。同じ時期の香港ハンセン指数は比較的堅調に推移しており、両指数の格差が広がっています。

上海総合指数が低迷している主な理由として、①IPOが再開されることによる需給要因、②12月中旬から中国人民銀行(中銀)による資金供給オペが行われず、短期資金の逼迫による金利上昇、③「影の銀行(シャドーバンキング)」への警戒の3点が挙げられます。①については、今のところ無難に消化しているほか、②については1月21日以降、久々に資金供給オペが行われ、上海株市場はいったん持ち直す格好となっています。

ただ、気になるのが③についてです。影の銀行について語る際に、ほぼ必ずといって良いほどついて回るのが「理財商品」ですが、とある理財商品が債務不履行(デフォルト)するのではという懸念が高まっています。この理財商品は2011年2月に組成され、中国工商銀行を通じて販売されたもので、今月末に償還を迎えます。理財商品の販売で調達された資金は山西省の石炭開発会社へと渡ったのですが、その会社が経営不振に陥っています。

実は、理財商品は債務不履行になったケースが昨年11月にありました。その時は販売した銀行が投資家に対して損失の穴埋めをしたため、大きな混乱はありませんでした。今回については、中国工商銀の担当者が、デフォルトしても穴埋めはしないと新聞紙面で語ったことで、このままデフォルトすれば、理財商品を購入した投資家が損失を被るケースとなります。

金融市場改革を推進しようとする中国当局としては、ある程度のデフォルトを容認することで、金融市場の正常化を図るねらいもあるようですが、かつての米サブプライム問題の時のように、金融不安が高まるような状況になると、景気サイクルのリズムを大きく狂わせることになります。折りしも、今月末は春節(旧正月)で中国株市場がお休みのタイミングでもありますが、今後の当局による手綱裁きが注目されます。

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