エルテス<3967> 積極的に先行費用をかける新規事業の立ち上がりが今後の成長を左右しよう
ソーシャルリスク等のデジタルリスクに対峙するソリューションを提供する会社
積極的に先行費用をかける新規事業の立ち上がりが今後の成長を左右しよう
業種: :情報・通信業
アナリスト: 藤野敬太
1.会社概要
・エルテス(以下、同社)は、リスク検知に特化したビッグデータ解析ソリューションを提供する会社である。現在、ソーシャルメディアの利用に起因するリスクに対峙するソーシャルリスク関連サービスを主力としている。
2.財務面の分析
・12/2期~18/2期の年平均成長率は、売上高は39.5%、経常利益は21.8%だった(事業の連続性のある旧エルテス社の数値を利用。また18/2期から連結決算開始)。顧客数の拡大で増収が続いた一方、15/2期の経常損失計上や18/2期の経常減益など、体制強化や将来の成長のための費用が先行する局面が見られた。
・ソーシャルリスクに対応するサービスを展開する上場企業と比較すると、利益以外の成長性や財務の安全性には優位性があるものの、18/2期の減益が影響して、収益性の指標は他社を下回っている。
3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、組織資本に属する「デジタルリスクに関するノウハウの蓄積」にある。関連するノウハウの蓄積によってソリューションが磨き上げられて関係資本である顧客が増え、そのフィードバックがさらにノウハウの蓄積につながるという好循環が作り上げられている。
4.経営戦略の分析
・対処すべき課題として、デジタルリスクに関する認知度向上と、成長持続のための増員と人材育成が挙げられる。
・同社は既存のソーシャルリスク関連サービスの拡大とともに、取り扱い可能なデータの種類の増加を背景に新規事業を創出し、事業領域を拡大していく戦略を描いている。
5.アナリストの評価
・証券リサーチセンターでは、デジタルリスクに特化していち早く事業化できたことが競争優位性の最大の要因と評価している。しかし、既存のソーシャルリスク関連サービスでの競争環境を考慮すると、参入障壁の高いサービスを新規事業としてどれだけ展開できるかが今後の鍵を握ろう。
・投資事業は現時点では成果があがっておらず、今後の動向に注意を払っておきたい。