ツクイスタッフ<7045> 支店の増設や多様化する介護関連ニーズへの対応等による収益拡大を目指す

2019/01/08

介護・医療業界に特化した人材サービス会社
支店の増設や多様化する介護関連ニーズへの対応等による収益拡大を目指す

業種: サービス業
アナリスト: 大間知 淳

◆ 介護・医療業界に特化した人材サービス会社
ツクイスタッフ(以下、同社)は、介護・医療業界に特化した人材サービス事業として、労働者派遣法に基づく人材派遣・紹介予定派遣、職業安定法に基づく人材紹介、自治体からの委託、福祉施設を対象にした教育研修等を展開している。

18年11月時点で、全国30都道府県の県庁所在地や政令指定都市を中心に36支店を設置し、特別養護老人ホームや、介護老人福祉施設、有料老人ホーム、医療機関等にサービスを提供している。

同社は、在宅介護等の介護サービス事業を展開するツクイ(2398東証一部)の人材開発事業として01年にサービスを開始しており、16年1月に分社化された。ツクイは、18年11月時点で同社の発行済株式総数の86.9%を保有しており、公募増資や売り出しを実施した上場後も同社の親会社にとどまる見通しであるが、同社の取締役にはツクイの取締役との兼務者はいない。また、同社の売上高に占めるツクイ向けの比率は、18/3期において1.8%に過ぎず、親会社に対する業績の依存度は低い。

同社グループは、「人材サービス事業」の単一セグメントであるが、サービス別の事業内容や売上高等の情報が開示されている(図表1)。

同社は、在宅介護等の介護サービス事業を展開するツクイ(2398 東証一部) の人材開発事業として01年にサービスを開始しており、16年1月に分社化 された。ツクイは、18年11月時点で同社の発行済株式総数の86.9%を保有 しており、公募増資や売り出しを実施した上場後も同社の親会社にとどまる 見通しであるが、同社の取締役にはツクイの取締役との兼務者はいない。ま た、同社の売上高に占めるツクイ向けの比率は、18/3 期において 1.8%に過 ぎず、親会社に対する業績の依存度は低い。

(1) 人材派遣
同社は、派遣スタッフと雇用契約を締結し、派遣先とは労働者派遣契約を締結して、豊富な登録者の中からクライアントのニーズに合ったスタッフを派遣している。派遣スタッフは、指揮命令権を持つ派遣先から指示を受けて業務を行っている。

同社は、派遣スタッフに対して、就業前研修や、段階別研修を行っている。また、スタッフの登録やマッチング、クライアントに対する営業等を行う同社の担当者が、派遣先を訪問して、就業中のスタッフのフォローを行っている。

18/3期の人材派遣の売上高構成比は87.0%に達している。取引事業所数は約2,000カ所、派遣スタッフ数は約2,800人であるため、1カ所当たりの派遣人数は平均1.4人に過ぎない。ニーズに合った派遣先を選べる点が登録スタッフに評価されているようである。

(2) 紹介予定派遣
18/3期の売上高構成比の3.4%を占める紹介予定派遣とは、直接雇用(正社員・準社員・パート)を前提に、一定期間、派遣スタッフとして就業し、期間終了時に派遣スタッフと派遣先の双方が合意すれば直接雇用に移行する派遣形態である。

派遣期間中にクライアントは派遣スタッフの人物等を確認できる一方、派遣スタッフはクライアントの職場環境等を確認できるため、雇用のミスマッチを低減できるメリットがある。

(3) 人材紹介
同社は、直接雇用を望むクライアントに、社員・パート等として就業を希望する登録スタッフの紹介を行っている。18/3期の人材紹介の売上高構成比は7.2%である。

求職者のキャリア、スキル、希望職種、希望条件等をヒアリングし、登録したスタッフの中からクライアントの要望に応じた適切なスタッフを選出、紹介するので、ミスマッチが起こりにくいのが特徴である。

(4) 委託
18/3期の委託の売上高構成比は2.0%である。自治体が特定分野に特色を持つ第三者に、契約をもって業務を委ねる協働の形態であり、事業の内容は告示される委託により異なっている。同社では、自治体が緊急雇用創出事業として実施する「現任介護職員等要請支援事業」等を、18年11月時点で、福岡県、香川県、高知県から受託している。

(5) 教育研修
クライアントの従業員に対して、介護・医療に特化した教育研修サービス「研修プラス+」(介護現場での接遇・マナー研修、組織力向上研修等20以上のテーマで構成)を、講師3名と委託契約したパートナー講師5名で提供している。18/3期の教育研修の売上高は全売上高の0.4%と僅少である。

◆ 専門性の高いキャリアアドバイザーが多数在籍している
同社では、人材派遣、紹介予定派遣、人材紹介の提供を担当する従業員を「キャリアアドバイザー」と呼んでおり、全国36支店に119名(18年9月末時点)が在籍している。キャリアアドバイザーの多くは、介護職員初任者研修やホームヘルパー等の資格を取得しており、その資格取得状況は図表2の通りである。

現場の仕事を理解し、アドバイスが出来るキャリアアドバイザーの存在が、派遣スタッフや求職者が同社を選ぶポイントの一つになっている。

◆ マルチタスク担当制によるマッチングの精度向上に努めている
同社が提供する人材派遣、紹介予定派遣、人材紹介では、1)既存クライアントの訪問とヒアリング及び新規開拓等の営業業務、2)スタッフ登録、マッチング、雇用契約締結及びアフターフォロー等のコーディネート業務、3)求人活 動、派遣スタッフの契約書の作成や勤怠管理等の事務業務について、1 人の キャリアアドバイザーが全てを行う「マルチタスク担当制」を採用している。

1 人のキャリアアドバイザーが、派遣・紹介先と登録スタッフの双方の担当者となることで、両者のニーズや状況確認が容易になり、マッチングの精度向上に努めている。

◆ 自社WEBサイトプロモーションを通じて各種情報を提供している
同社は、派遣スタッフや求職者、クライアントに対して、自社WEBサイトプロモーションを通じて各種情報を提供している。

派遣スタッフや求職者に対しては、「TSUKUI STAFFの介護・医療職専門求人サイト」を通じて、人材派遣、紹介予定派遣、人材紹介の求人情報を提供している。求人案件数は、18 年9 月末時点で、40,977 件となっている。

在職中ですぐに転職活動が出来ない人や業界に興味を持っている人等の潜在層に対しては、「かいごGarden」を通じて、介護業界の情報を提供している。

外部研修の導入を検討しているクライアントに対しては、「研修プラス+」を通じて、同社の教育研修の情報を提供するほか、相談や研修依頼にも対応している。

◆ 幅広い施設や介護サービスに利用されている
同社の主なクライアントの施設や介護サービスの種類としては、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護付き住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、通所介護、デイケア、グループホーム、訪問介護、訪問看護、訪問入浴、ショートステイ、小規模多機能型居宅介護、ケアハウス、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、看護小規模多機能型居宅介護、病院、クリニック、障がい者施設、保育園等が挙げられている。

社数(法人数)ベースの18 年9 月末の構成比は、社会福祉法人43%、医療法人17%、株式会社(介護関連事業者)32%、その他8%となっている。

売上高の1 割を超える販売額の取引先は存在しておらず、親会社も含めて、特定の会社には大きく依存していない模様である。

◆ 労働集約型のビジネスモデルながら資産効率は高い
同社の主力サービスである人材派遣・紹介予定派遣は、登録スタッフに支払う人件費がコストの中心を占めており、典型的な労働集約型のビジネスと言える。

人材紹介は、紹介した登録スタッフの年収の一定割合を成功報酬として紹介手数料を受け取るサービスであり、人材派遣とはビジネスモデルが異なる。しかしながら、人材紹介の売上高に占める比率は1割未満であり、同社の事業全体に与える影響は現時点では大きくはない。

18/3期の売上原価明細書によって、売上高に対する主要原価項目の比率をみると、派遣スタッフに支払う人件費が79.4%、求人費が3.0%、その他の経費が3.2%、合計85.6%となっており、人件費が大きな比重を占めている。

販売費及び一般管理費(以下、販管費)については、従業員に支払う人件費と広告宣伝費が中心であり、18/3期の販管費率は8.1%、営業利益率は6.4%となっている。

同社は全国に36支店を設置しているが全て賃貸物件であるため、18/3期末の有形固定資産は16百万円、総資産は2,489百万円(うち、現金及び預金が1,353百万円、売掛金が907百万円)に過ぎない。一方、売上高と経常利益が近年、順調に拡大した結果、18/3期において、総資産回転率(売上高÷期中平均総資産)は3.5回、総資産経常利益率は22.2%と高水準を誇っている。

>>続きはこちら(1.13 MB)

一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

コラム&レポート Pick Up