田中建設工業<1450> 売上計上基準変更の過渡期にあるが、今後の需要拡大の恩恵を受ける公算大

2018/12/21

民間の建築物の解体工事の施工監理に特化した建設会社
売上計上基準変更の過渡期にあるが、今後の需要拡大の恩恵を受ける公算大

業種: 建設業
アナリスト: 藤野 敬太

◆ 解体工事の施工監理に特化した建設会社
田中建設工業(以下、同社)は、一都三県を中心に展開する、建築構造物 の解体工事の施工監理に特化した建設会社である。解体の対象はビルや 集合住宅、商業施設等が中心で、有名な施設では、横浜プリンスホテル、 ホテルオークラ東京本館等の解体工事での実績を有する。

同社の事業は解体事業の単一セグメントだが、売上高は 6 つの顧客区分に 分類される(図表 1)。ゼネコンの構成比が高いが、ゼネコンが施主(同社が 元請)のケースと、ゼネコンが元請(同社が下請)のケースの両方がある。

一方、官公庁向けはほとんどなく、民需が中心である。同社が手掛けた日 本青年館の解体工事は、同社にとっては珍しい案件である。

◆ 元請比率が高く、短工期の民需の案件が多い
同社が獲得する案件は、デベロッパーやゼネコン、再開発組合といった施 主から元請として発注を受けるものと、施主から発注を受けたゼネコン等の 元請会社から下請として発注を受けるものがある。他の解体工事業者と比 べ元請比率が高く、18/3期は金額ベースでも件数ベースでも過半が元請案 件で、その比率は緩やかな上昇傾向にある。

比較的小規模の案件が多く、5,000 万円以下の案件が 60%を超える。その ため、平均工期は半年に満たない。新規顧客の多くは、金融機関やゼネコ ンからの相談から始まって案件につながっていくという。また、リピート顧客 が多く、18/3期は金額ベースでも件数ベースでもリピート顧客の案件が70% を超える。

◆ 施工監理に特化
同社は施工監理に特化しており、解体工事、産業廃棄物処理、アスベスト 除去といった実際の作業は、協力会社に発注する。施工監理に特化してい るため基本的には重機を持たず、固定資産が少ないのが特徴である。その ため、建設会社としてはROAが高く、また、1人当たりの経常利益も大きい。

◆ 田中建設工業の強み
同社の強みとして、(1)解体工事に関連する業務全般をワンストップで提供 することができ利便性が高い、(2)長年の経験を通じて蓄積されてきたノウ ハウに裏付けられた工法や現場監理の専門性、(3)価格の透明性、(4)財 務や下請管理、周辺環境対策等の安心性が挙げられる。こうした強みは、 特にレピュテーションリスクに敏感な顧客に対して高い付加価値となる。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。