極東産機<6233> 11 年以降実施してきた構造改革の成果が結実

2018/10/10

職人の技術を自動化・省力化するノウハウを特徴とするFA 機器メーカー
11 年以降実施してきた構造改革の成果が結実

業種: 機械
アナリスト: 藤野敬太

◆ 職人技術の自動化・省力化を得意とするFA 機器メーカー
極東産機(以下、同社)は、機械化が困難とされる職人技術の自動化、省力化を実現する機器を製造するFA 機器メーカーである。畳製造装置や壁紙糊付機が、同社の主力の製品となる。これらの開発で培われたコア技術を活かし、二次電池製造装置等のハイテク機器や食品機器の開発・製造にも展開しており、これらの利益への貢献度合いも高まっている。

同社の事業は、プロフェッショナル、コンシューマ、インダストリーの3 つの報告セグメントに分類される(図表1)。プロフェッショナルセグメントは住宅分野の動向との連動性が高いが、コンシューマセグメントとインダストリーセグメントは住宅分野の動向の影響を受けにくい。全体として、以前は住宅分野依存型の事業構造だったが、11 年以降に実施した構造改革により、住宅分野への依存度は低下傾向にある。

直近の 17/9 期の売上高の4 分の3 程度がプロフェッショナルセグメントによるものだが、利益率の改善が著しいインダストリーセグメントの利益貢献が大きくなってきている。

◆ 技術の蓄積が最大の競争力の源泉
機械化が困難な職人技術の自動化・省力化を事業テーマとする同社は、長年の開発を通じて、「裁断」、「検尺」、「塗布」、「縫製」、「剥離」、「折畳」、「測定」の7つの基本要素技術(コア技術)を有しており、同社の最大の競争力の源泉となっている。また、開発を通じて蓄積してきた技術については、特許取得を進めてきた(図表2)。15/9期以降は、年間15件超のペースで特許を出願している。

◆ プロフェッショナルセグメント
プロフェッショナルセグメントは同社の売上高の約75%を占め、職人技術の自動化に関する技術の蓄積がなされてきた主力セグメントである。インテリア事業部門と畳事業部門から構成される。

インテリア事業部門では、内装工事業者向けの機器や工具を販売している。主力は自動壁紙糊付機や床材剥がし機である。日本初の自動壁紙糊付機は同社が1971年に開発・製造したもので、以来、当分野では同社がパイオニアである。

畳事業部門では、畳店にコンピュータ式畳製造システム等の畳製造装置を販売している。

インテリア事業部門、畳事業部門の両部門に共通して言えることは、機器の販売だけでなく、付随する消耗品の販売も多いことである。17/9期のプロフェッショナルセグメントの売上高に占める消耗品販売の割合は約59%であり、ストックビジネスとしての性格も備えている。

◆ コンシューマセグメント
コンシューマセグメントは同社の売上高の約13%を占め、コンシューマ事業部門、ソーラー・エネルギー事業部門、三日月サンシャインパーク(売電)から構成される。

コンシューマ事業部門は同社にとって唯一のBtoC部門で、特殊機能畳等のインターネット販売を行っている。17/9期のコンシューマセグメントにおける売上構成比は約51%である。

ソーラー・エネルギー事業部門では産業用・家庭用ソーラー発電システムや蓄電池を販売している。施工やアフターメンテナンスも行っており、17/9期のコンシューマセグメントにおける売上構成比は約44%である。三日月サンシャインパークは、自社所有地に設置された出力約1メガワットのメガソーラー発電所のことで、売電を行っている。コンシューマセグメントにおける売上構成比は約5%である。

◆ インダストリーセグメント
インダストリーセグメントは同社の売上高の約12%を占め、産業機器事業部門と食品機器事業部門から構成される。

産業機器事業部門では、顧客の仕様に基づくオーダーメイド産業機器の製造・販売を行っている。現在は二次電池製造ラインや液晶・半導体製造ライン向け機器の製造が中心であり、17/9期のインダストリーセグメントにおける売上構成比は約74%である。

食品機器事業部門では、外食チェーン向けに、自社開発の厨房用食品機器を提供している。現在は味噌汁等のディスペンサーが中心である。17/9期のインダストリーセグメントにおける売上構成比は約26%である。

◆ 同社の強み
同社の特色及び強みとして、(1)職人技術の自動化・省力化ノウハウの蓄積及びワンストップで提供できる体制、(2)全社売上高の約3分の1が新製品・新商品が占めるほどの製品・商品開発力、(3)ストックビジネスとフロービジネスの二本柱での展開による安定したキャッシュ・フローの創出力が挙げられる。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
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