マネジメントソリューションズ<7033> 18 年 10 月期は子会社売却で増益率は鈍化するが、主力事業は高成長が続こう

2018/08/08

企業向けにプロジェクトマネジメント支援サービスを提供
18 年 10 月期は子会社売却で増益率は鈍化するが、主力事業は高成長が続こう

業種: サービス業
アナリスト: 藤野 敬太

◆ プロジェクトマネジメントの実行支援サービスを提供
マネジメントソリューションズ(以下、同社)は、クライアント企業が実施する社 内プロジェクトのマネジメントに対して実行支援サービスを提供する企業で ある。

企業が社内プロジェクトを実施する際、PMO(Project Management Office)と 呼ばれる社内組織を置くケースが増えてきた。同社は、この PMO に対する 支援を行うことを通じて、社内プロジェクトの成功率の向上に寄与している。

同社の事業は、コンサルティング事業の単一セグメントであり、サービス区分 別の売上高を見ても、ほとんどがプロフェッショナルサービス事業からである (図表 1)。プロフェッショナルサービス事業は、PMO に対する支援を行うプ ロジェクトマネジメント実行支援と、プロジェクトマネジメント実行支援を通じ て培ったノウハウを活かしたマネジメントコンサルティングに分類されるが、 売上高のほとんどが前者によるものと推察される。

◆ PMO とは
企業は、戦略策定や業務プロセス改善、システム開発等の様々なタイプの プロジェクトを実施する。プロジェクトは部門横断的に行われることが多く、 場合によっては全社プロジェクトのような大規模プロジェクトとなることもある。 プロジェクトの大型化や複雑化が進むにつれて、プロジェクト遂行に責任を 持つプロジェクトマネージャーへの負荷が過大となっていると言われている。 プロジェクトマネージャーの負荷を軽減し、プロジェクト運営を円滑にして、 プロジェクトの成功率を高めるために設置されるのが PMO である。

PMO は、プロジェクト遂行を統括するプロジェクトマネージャーや、プロジェ クトの最終責任者であるプロジェクトオーナーの下に置かれることが多い。プ ロジェクト全体の進捗や課題を可視化することで、プロジェクトマネージャー の意思決定支援を行う役割を担う。

同社は、クライアント企業から PMOの役割全体を請け負うか、または、クライ アント企業自身が設ける PMO に対してコンサルティングを行うことにより、プ ロジェクトのマネジメント支援を行うことを主力業務としている。

◆ PMO のリーディングカンパニー
現時点では、IT 関連のプロジェクトで PMO が置かれることが多い。その IT 関連のプロジェクトに限っても、外部に PMO 運営を委託する割合は 30%程 度と見られている。

PMO を運営しうる存在としては、クライアント企業自身、または外部のプロジ ェクト参画者(システム開発会社、コンサルティング会社)が考えられる。クラ イアント企業が自身でPMOを運営しようとすると、PMO専門スタッフを置くこ とが必要となるが、費用に見合わないことが多い。そのため、PMO 専門スタ ッフを置くことに消極的な企業が多い。一方、外部のプロジェクト参画者も、 エンジニアやコンサルタントとしての人材育成に注力しており、PMO のプロ フェッショナルとしての人材を育成することは容易ではない。また、プロジェ クトを管理する PMO と管理される参画者が同じだと、客観性がなくなる可能 性も出てくるため、PMO の案件を受けにくいという事情もある。

これらから言えることは、PMO に対する需要に比して、そのサービスを提供 するプロフェッショナルの育成が遅れており、業界全体として慢性的に人材 が不足しているということである。

同社は、PMO 分野に特化してきたことで、05 年の設立以来、400 件以上の PMO 案件の実績を積み上げてきた。その結果、全従業員の約 9 割に当た る 150 名以上の PMO プロフェッショナルを抱えるリーディングカンパニーと してのポジションを確立している。

◆ 収益構造
同社の売上高は、「プロジェクト数×1 プロジェクトに投入されるコンサルタン トの稼働量(稼働時間の総量)×コンサルタントの単価」で表せる。稼働量は 全コンサルタントが 100%稼働する状態が上限であり(実際には 100%稼働 はありえないが)、コンサルタントの人数とコンサルタントの稼働率が売上高 に影響する。

費用面では、原価のコンサルタントの人件費と外注費、販売費及び一般管 理費(以下、販管費)の管理部門の人件費、マーケティング費用、採用費、 教育費が重要な要素となる。

◆ その他事業
その他事業では、プロフェッショナルサービス事業で培ったノウハウを元に 作成された研修プログラムの提供や、プロジェクトマネジメント実行支援時の 管理の効率化を目的としたソフトウェア「ProEver」の開発・提供を行ってい る。

◆ 同社の強み
同社の特色及び強みとして、(1)PMO 支援の分野に特化することによって 高い参入障壁を築くことができていること、(2)05 年の創業以来経験してき た 400 以上のプロジェクトの実績、(3)70 社を超える東証一部上場企業と直 接取引を行うクライアント企業との強い関係性、(4)150 名以上の PMO プロ フェッショナルを抱えていることが挙げられる。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
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