ロゼッタ<6182> 2022 年までに自動翻訳機「T-4PO」の完成を目指すその過程に注目
機械翻訳主体の世界の創造に邁進する翻訳サービス会社
2022 年までに自動翻訳機「T-4PO」の完成を目指すその過程に注目
業種:サービス業
アナリスト:藤野敬太
1.会社概要
・ロゼッタ(以下、同社)は、産業分野に特化した翻訳サービスを提供して いる。人間翻訳から機械翻訳までをグループ内で網羅している。
・10 年以上機械翻訳の開発を行っており、機械翻訳主体の世界への転換 をリードしている。
2.財務面の分析
・11/2期~16/2期は、機械翻訳を担う単体決算で見ると、売上高は年平均 19.9%で拡大してきた。利益面では、それまでの開発投資にともなう減価 償却費負担が終了したことで、営業利益は 13/2 期に黒字に転換した。
・他社との比較では、企業向けの文書関連のサービスを提供する企業の 中では、主要な財務指標は実体としては優位にある可能性が高いと言え る。一方、開発投資を継続しているため、一部の収益性指標は他社に比 較して劣っている面がある。
3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、10 年以上にわたる機械翻訳の開発を通して 蓄積したデータにある。特に他社の数倍の情報量を蓄積したデータベー スの存在は競争優位性の源泉となっており、開発効率の向上のほか、翻 訳精度の上昇を通じて高い顧客満足度につながっている。
4.経営戦略の分析
・対処すべき課題として、機械翻訳の精度向上、機械翻訳と人間翻訳の 両方の特性を持つ中間的な事業の収益力強化、新子会社の案件管理 の精緻化、営業・マーケティングの強化が挙げられよう。
・同社主導で機械翻訳主体の時代を創ることが、事業戦略の根幹である。 そうした機械翻訳への移行をリードすると同時に、翻訳業界の流れに対 応しながら事業ポートフォリオを変化させていく方針である。
5.アナリストの評価
・統計的機械翻訳をビジネスとして成立させることが、同社の最大の提供 価値である。技術の蓄積のほか、10 年以上の開発を可能とする仕組み を構築できた点を評価したい。一方、開発費用のかけ方の観点から、会 社と投資家の間での投資回収期間と期待リターンのベクトルにずれが生 じうる点には留意しておきたい。