辻・本郷ITコンサルティング(476A)コンサルティング、システムの導入、システム設定からバックオフィス業務まで支援
中堅・中小企業のDX を支援
コンサルティング、システムの導入、システム設定からバックオフィス業務まで支援
業種:情報・通信業
アナリスト:髙木伸行
◆ 中堅・中小企業のDXを支援
辻・本郷ITコンサルティング(以下、同社)は、関係会社グループ(Hongo holdings 注1とその子会社17社並びに辻・本郷税理士法人を含む同社と強い人的・資本的関係を有する会社を総称)の中では、バックオフィス分野におけるDXに焦点を当てたコンサルティング、システム導入及び経理代行サービスなどを一気通貫で提供している唯一の会社として位置づけられている。同社の傘下には連結子会社2社がある。
同社は、経営課題の可視化と改善策を提案する(1)コンサルティングドメイン、事業に最適なシステムの導入支援、販売、受託開発などを行う(2)テクノロジードメイン、システムの設定から記帳、給与計算、請求書発行などの経理業務を代行する(3)オペレーションドメインの3つのドメインにおいて事業を行っている(図表1)。25/9期の売上構成比はコンサルティングドメインが15.7%、テクノロジードメインが52.6%、オペレーションドメインが31.6%であった。
(1)コンサルティングドメイン
公認会計士や中小企業診断士などの専門家を中心としたコンサルティングチームが、ヒアリングを通して顧客企業の課題の抽出や業務フローの可視化を行い、改善策を提案している。業務可視化・業務改善、月次決算早期化、内部統制強化、管理会計支援及び経理業務標準化などが対応メニューである。提供主体は同社である。
(2)テクノロジードメイン
テクノロジードメインにおいては、①システム導入支援及び販売、②EC構築・運営支援、③ECコンサル・マーケティング支援、④システム開発・プラグイン注2開発事業、⑤デジタン注3、⑥会計事務所向けSaaS「実トレfor会計事務所注4」および「better相続for会計事務所注5」、⑦個人向け相続手続支援サービス「better相続」の各サービスを提供している。
顧客の業務フローや組織に合わせたシステムを提案することでシステム導入を支援している。また、多数のベンダーのシステムを取り扱っていることやハードウェアの販売代理も行っているため、顧客に最も適したシステムの導入を一気通貫で支援することが可能となっている。
13年12月に辻・本郷ITコンサルティングに社名を変更し(変更前の社名は国際情報工学)、辻・本郷税理士法人のIT部門を同社へ移管し、ソフト及びハードの販売を行ってきた。
21年6月に黒仁田健氏が代表取締役社長に就任したのを機に、第二創業期と位置づけ、事業領域を拡大してきた。具体的には、22年9月に個人向相続手続支援サービスを提供していたbetterを吸収したことにより、事業ラインアップを広げるとともにエンジニア拡充した。24年3月には中堅・中小企業向けDX支援事業の推進を目指し伊藤忠商事(8001東証プライム)と戦略的な資本業務提携を締結している。さらに、24年9月には、コロニーインタラクティブを子会社化し、セールス・マーケティング関連業務を拡充した。
テクノロジードメインの上記の主なサービスのうち、②EC構築・運営支援、③ECコンサル・マーケティング支援、④システム開発・プラグイン開発事業、⑤デジタンはコロニーインタラクティブが主体となって提供している。
(3)オペレーションドメイン
同社が主体となって、システム設定代行から経理・財務・労務といったバックオフィス業務などのアウトソーシングサービスを提供している。最新ITツールの導入支援や業務プロセスの最適化を通じて、顧客企業の業務効率化と内製化を支援している。
23年9月には辻・本郷スマートアセットからBPO事業を譲受しバックオフィス関連業務を拡充している。
◆ 顧客及び開拓経路
同社グループは、辻・本郷税理士法人をはじめとする士業事務所、伊藤忠商事、及び金融機関や各種ベンダーといったパートナー企業から、当社のサービスを必要とする潜在顧客を紹介してもらっており、その対価として案件紹介料を支払うというかたちで顧客ベースを拡大している。
会計事務所や国内に336万社あると言われる中小企業が対象顧客となる。これらの先から、パートナー企業を介して年間2,000件を超える相談が持ち込まれている。
足元では、システム開発や保守を行っていることもあり、辻・本郷税理士法人向けへの売上依存度は一定程度ある。24/9期の辻・本郷税理士法人向け売上高は439百万円、売上割合は34.0%であった(図表2)。また、辻・本郷税理士法人を含む関係会社グループ向け売上高は449百万円、同34.8%であった。新規顧客獲得についても関係会社グループに依存している部分もあり、24/9期の関係会社グループからの新規案件が売上高に占める割合は7.5%であった。

