visumo(303A)顧客の画像や動画データを一元管理し、幅広い用途に活用する機能開発に強み

2025/01/09

ビジュアルマーケティングプラットフォーム「visumo」を開発・提供
顧客の画像や動画データを一元管理し、幅広い用途に活用する機能開発に強み

業種:情報・通信業
アナリスト:星匠

◆ ビジュアルマーケティングプラットフォーム「visumo」を提供
visumo(以下、同社)は、「誰でも簡単にデジタル活用ができる世界を創る」という創業理念のもと、ビジュアルマーケティングプラットフォーム「visumo」の開発、提供を行っている(図表1)。visumoは、オウンドメディア注1において、写真や動画などのデジタルアセットを有効活用したい企業に対して、デジタルアセットを一元管理し、専門知識がなくてもコンテンツを作成できるプラットフォームである。

同社は、ソフトクリエイトホールディングス(3371東証プライム)の100%子会社で、ECサイトパッケージソフトを開発するecbeingのビジュアルマーケティングプラットフォーム事業を承継するために19年4月に設立された。ソフトクリエイトホールディングスは上場時においても59.1%を保有する同社の親会社となる。SNSに投稿された写真や動画をオウンドメディアに転載するvisumo socialは、17年9月にecbeingが開発したが、設立とともに同社が引き継ぎ、サービスを提供している。

21年4月にvisumo snapとvisumo videoを追加機能としてリリースした。visumo snapは顧客企業が撮影した写真や動画をアップロードし、オウンドメディアに掲載する機能であり、visumo videoは動画データの管理と活用に特化した機能である。

24年9月には、ユーザーの閲覧ページやページでの反応などの行動履歴とコンテンツの関連性をAIで分析し、ユーザーの好みに合ったコンテンツを表示するvisumo recommendの提供を始めるなど、順次、機能を拡張している。この他には、API注2連携で外部ツールにデータを連携する機能がある。

(1)visumo social
visumo socialは、Instagramに投稿されている写真や動画をオウンドメディアに転載するCMS注3である。ユーザーがInstagramに投稿した内容に二次利用の許可を取る機能、オウンドメディアに投稿する際のテンプレート機能、写真や動画に関連する商品やコンテンツを紐づけて、ECサイトに誘導する機能などが実装されている。

visumo socialを利用することで、コンテンツ作成に要する時間を削減でき、業務の効率化に貢献できる。また、オウンドメディアのコンテンツが拡充するため、オウンドメディアへの訪問や商品購入などへの誘導率の向上が期待できる。投稿コンテンツ単位でデータ分析する機能も実装されており、閲覧数や購入数などの効果検証が可能である。

(2)visumo snap
visumo snapは、顧客企業が撮影した写真や動画をスマートフォンからアップロードし、オウンドメディアに掲載する機能である。従来、オウンドメディアは限られた人材で運用されてきたが、visumo snapを活用することで、店舗スタッフや営業担当者といった幅広い人材を活用して、コンテンツを拡充することが可能になる。

店舗スタッフの接客力やセンスを活かしたコンテンツ、営業担当者の商品知識を活かしたコンテンツなど、幅広い人材がvisumo snapを活用することで、コンテンツの訴求力の向上につなげることができる。データ分析機能を用いて、人材や掲載部門の単位で効果測定を実施し、改善活動につなげることも可能である。

(3)visumo video
visumo videoは、プロモーションビデオやライブコマース、商品説明などの動画データの管理と活用に特化した機能である。動画コンテンツは、複数の部門で制作する傾向があり、他のシステムとの連携が取れていない状態に陥りやすく、コンテンツを他の部門で活用できていないといった問題につながる。同社はこういった問題の解決に向け、動画データを一元管理し、管理業務の効率化、デジタルアセットを部門横断で有効活用することを目的にvisumo videoを開発した。visumo socialやvisumo snapと組み合わせることで、動画データをオウンドメディアに掲載することも可能になる。

(4)visumo recommend
visumo recommendは、visumoに集めた画像や動画コンテンツの中から、ユーザーごとに異なるコンテンツをオウンドメディアに表示する機能である。表示されるコンテンツは、ユーザーのサイトでの反応や閲覧ページなどでの行動履歴とコンテンツの関連性をAIが分析し、ユーザーの閲覧行動や好みに合ったものとなる。コンテンツの閲覧率や購買率の向上など、顧客体験価値(CX)の向上に貢献することが期待される。

(5)データ連携
データ連携は、visumoで蓄積したコンテンツやデータを外部ツールとつなぐ機能である。連携先は、検索エンジン、Web接客ツール、マーケティングオートメーションツール、アプリツール、CDP注4ツールなどがあり、マーケティング領域を中心に活用されている。

連携するのは、コンテンツと分析結果データなどがある。コンテンツを検索エンジンに連携した場合、ECサイトの検索結果にvisumoで蓄積した画像や動画を表示することができるようになる。データ分析結果をCDPツールなどと連携することで、visumoの効果測定結果と外部ツールの効果測定結果を合わせて分析することができ、マーケティング施策を高度化することができる。

◆ 導入実績
17年9月にサービスを開始して以来、着実に導入社数を増やしており、24年4月末時点での累計導入社数は800社超、9月末時点で同社サービスを利用している企業数(以下、アクティブ社数)は649社に達している(図表2)。24/3期末のアクティブ社数626社のうち、売上高30億円以上の企業が57.5%を占める。24年9 月末時点のアクティブ社数649社の顧客の業種は、アパレル、食品・健康食品、家具・インテリア、美容・コスメなど多岐に亘り、BtoC企業を中心に幅広い業種で導入されている(図表3)。

◆ 販売経路
同社の販売経路は、直販、紹介パートナー販売、再販パートナー販売の3パターンある(図表4)。

直販は、自社ホームページやセミナー、展示会出展などにおける同社のセールス部門、マーケティング部門による販売を指す。24/3期末のアクティブ社数に占める直販の割合は約88%であった。紹介パートナー販売は、パートナー企業からの顧客紹介を受ける形で、契約からサービス提供までは同社が対応する。再販パートナー販売は、パートナー企業が顧客との窓口となり、契約から利用料徴収まで対応し、同社はサービスを提供する。紹介か再販かの違いはあるものの、パートナー企業は、ECサイトのシステム構築やデザイン制作、マーケティング支援事業者など、強固な顧客基盤を持つ企業が多い。ecbeingもパートナー企業であり、取引金額は24/3期の売上高の6.1%を占めた。

◆ ストック型ビジネスがメイン
visumoは、月額課金・従量課金モデルであり、月額課金は利用する機能の数、従量課金はオウンドメディアに投稿した数や動画のデータ量に応じて徴収している。顧客が投稿する際のテンプレートや分析などのオプション機能を追加で利用する際にも月額課金をしている。ストック売上である月額課金・従量課金モデル以外の売上高としては、アカウント開設やデザイン調整などの初回導入費用、運用代行やデザイン調整などの1~2カ月間程度の短期間の支援業務などに関するものが挙げられる。売上高に占めるストック売上の割合は、25/3期第2四半期では82.1%となった(図表5)。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。