D&Mカンパニー(189A)資金支援先拡大と各種支援サービス提供、医療機関等のM&A支援で成長目指す
医療機関、介護事業者に経営改善のためのコンサルティングや資金支援等を提供
資金支援先拡大と各種支援サービス提供、医療機関等のM&A支援で成長目指す
業種:サービス業
アナリスト:鎌田良彦
◆ 医療機関等に経営改善のためのコンサルティング、資金支援等を提供
D&Mカンパニー(以下、同社)グループは、同社と子会社2社からなり、病院等の医療機関や介護事業者に対し、①診療・介護報酬債権買取による資金支援サービス、②経営改善のためのコンサルティングやM&A支援、③医療機器等のリースや販売、④人材派遣や業務のアウトソーシングサービス等の経営サポートサービスを提供している。
同社の事業は、医療機関等に対する経営サポート事業の単一セグメントであるが、売上高は、①F&I(ファイナンス&インベストメント)、②C&Br(コンサルティング&ビジネスリノベーション)、③HR&OS(人材&アウトソーシング)の3つ分類される。23/5期の売上高構成比は、F&Iサービスが48.8%、C&Brサービスが28.2%、HR&OSサービスが23.0%であった(図表1)。顧客別では医療機関が約7割、介護事業者等が約3割を占めた。
◆ F&Iサービス
F&Iサービスは、同社が診療・介護報酬債権の買取サービスを、子会社のD&Mパートナーズが医療用機器のリースを提供している。
診療・介護報酬債権買取は、医療機関・介護施設等が、国民健康保険、社会保険、介護保険等の保険者に対して有する診療・介護報酬債権を、5年程度の長期に亘り同社に譲渡する契約を結び、医療・介護サービスの提供が完了している確定債権、及び事業の継続により将来発生する見込みの将来債権の双方を対象に同社が買取を行う。
具体的には、月当たりの買取金額を決め、買取初月には、例えば月当たり買取額の3カ月分の金額から、同社の買取手数料を控除した金額を医療機関・介護施設等に支払う。これによって医療機関等は将来債権分を含む資金を早期に調達できる。この資金は、後述の同社によるコンサルティングに基づく経営改善の資金に充当される。
買取2カ月目には更に1カ月先の債権を買取る一方で、債権譲渡を受けた同社が、保険者から回収した資金のうち月当たり買取り額を控除した金額を医療機関等に支払い精算を行う。翌月以降は同じ手続きが繰り返される。月当たり買取額や買取月数に変更がなければ、同社は医療機関に対して初月に実施した3カ月分の買取債権残高を継続して保有することになる。
同社では、経営改善の余地があり、地域にとって必要な医療機関等を債権買取の対象としている。これにより医療機関等の経営を支援するとともに、同社の与信リスクの低減を図っている。24年2月末の債権買取社数は64社、買取債権残高は7,016百万円となっている。資金調達は銀行借入が中心で、借入金残高は6,955百万円、うち短期借入金残高が6,054百万円となっている。
◆ C&Brサービス
C&Brサービスは、同社が経営診断、業務改善コンサルティング、コスト削減コンサルティング、M&A支援等を行い、子会社のD&Mパートナーズが医療用機器等の販売を行っている。コンサルティング業務には、債権買取契約に付随するものと、M&A支援や金融機関からの借入支援等、債権買取サービスとは別に提供するものがある。
◆ HR&OSサービス
HR&OSサービスは、子会社のD&Mキャリアが担当し、人材紹介、人材派遣、アウトソーシング等のサービスを提供している。人材紹介は、医療・介護事業者の経営層や管理者の紹介、介護職等の特定技能外国人支援業務、人材派遣は事務系及び介護系人材の派遣、アウトソーシングは医療機関・介護事業者向けに経理や労務管理業務の受託サービスを提供している。
◆ 債権買取とコンサルティングの収益性が高い
3つのサービスを提供する同社単体と子会社2社の業績を見ると、債権買取とコンサルティングを提供する同社単体の収益性が高い(図表2)。
◆ 顧客基盤と主要販売先
24年2月末の顧客数は141社で、うち債権買取の顧客が64社となっている。債権買取以外の顧客に対しては、人材派遣やアウトソーシング、リース、コンサルティングを提供している。
債権買取の顧客は、医療コンサルティング会社や税理士等からの紹介が多い。医療機関のM&A支援では、日本M&Aセンターホールディングス(2127東証プライム)傘下の日本M&Aセンター等からの紹介案件もある。
主要販売先の医療法人財団コンフォートは、創業間もない頃からの顧客で、コンサルティング、債権買取、人材派遣、医療機器のリース等、多面的なサービスの提供を行っている(図表3)。