マテリアルグループ(156A)PRコンサルティング事業での人員増強、デジタル関連業務拡大で成長目指す

2024/04/09

PRコンサルティング事業を核にデジタルマーケティング事業等に展開
PRコンサルティング事業での人員増強、デジタル関連業務拡大で成長目指す

業種:サービス業
アナリスト:鎌田良彦

◆ PRの全体戦略構築から具体的なマーケティング施策までを提供
マテリアルグループ(以下、同社)グループは、同社と子会社6社から構成され、企業のブランドや商品・サービスのPRとマーケティングの全体戦略構築を核に、デジタルマーケティングの戦略立案、デジタル広告の制作・運用、Web接客ツールの提供といったマーケティングの具体的施策までを提供している。各事業は子会社が担当し、同社は持株会社として子会社の経営管理や本社機能を担っている。

同社は、コア事業と位置付けるPRコンサルティング事業、準コア事業と位置付けるデジタルマーケティング事業、育成事業と位置付けるPRプラットフォーム事業の3事業を展開している。23/8期の売上高構成比は、PRコンサルティング事業が85.8%、デジタルマーケティング事業が8.8%、PRプラットフォーム事業が5.4%であった(図表1)。

◆ PRコンサルティング事業
PRコンサルティング事業は、中核子会社と位置付けているマテリアルを中心に、ルームズとキャンドルウィックが担当している。

同事業では、国内の消費者向け商品・サービスを提供する大手・中堅企業を主要顧客としている。PRの各種手法を中心に、広告を含む各種施策を用いて、顧客企業のブランド、商品、サービス等の情報をメディア、SNSを通じて、消費者/生活者等に届け、認知度向上や、認知の変容を起こすための戦略設計から施策の実行までを提供している。

従来型のPRコンサルティング企業は、年間契約等の形態で主に企業の広報部門を顧客にコンサルティング活動を行っている。一方、同社のPRコンサルティング事業は、事業部やマーケティング関連部署を顧客とし、マーケティング課題の解決のための戦略構築を行うプロジェクト型の契約が多い。

マス広告の時代から消費者の興味・関心が多様化し、消費者自身の情報発信が影響力を持つ1億総メディアの時代に移行している。同社では戦略構築の手法として、共通の興味・関心を持つ多様なグループ毎に、最適なマーケティング手段とストーリーによりメッセージを届け、多くの人からのリアクションを得る、PR発想/ストーリーテリングをコアの手法としている。

販売チャネルとしては直接販売に加え、広告代理店との契約により主にPR戦略部分の仕事を引き受ける代理店経由の販売がある。23/8期では、直接販売の比率が56.5%と過半を占めた。広告代理店経由の販売では博報堂DYホールディングス(2433東証プライム)傘下企業向けが多い(図表2)。

◆ デジタルマーケティング事業
デジタルマーケティング事業は、子会社のマテリアルデジタルが担当しており、2つのサービスを提供している。ひとつは、デジタルのマーケティングコミュニケーションの戦略設計、デジタル広告運用支援、広告クリエイティブ制作等であり、主にPRコンサルティング事業の顧客向けにサービスを提供している。戦略設計と広告クリエイティブ制作については、サービスの提供、制作物の納品の対価を収益とし、デジタル広告運用支援は、デジタル広告の配信・出稿額に一定比率を乗じた金額を収益としている。

もうひとつは、Web接客ツールの「Flipdesk(フリップデスク)」の提供である。Flipdeskは、主にECサイト運営等の顧客に対して、サイトへの訪問履歴に基づいて、訪問者の興味・関心に基づく情報提供を行う、クラウド型サービスである。収益は顧客からの月額課金収入である。

◆ PRプラットフォーム事業
PRプラットフォーム事業は、子会社のCONNECTED MATERIALとPRASが担当しており、中小企業やスタートアップ向けの2つのサービスからなる。

CONNECTED MATERIALが運営する「CLOUD PRESS ROOM(クラウドプレスルーム)」は、メディアに情報を届けたい中小企業、スタートアップと記事コンテンツへのニーズがあるメディアをオンライン、オフライン上でマッチングさせるサービスである。主な収益は企業からの月額課金収入である。

PRASが運営するフリーランサープラットフォームは、PRASに所属するPR・広報を専門とするフリーランサーが、スタートアップ向けにPR・広報支援サービスを提供するものである。収益は、一定期間にわたってサービスを提供するリテナー契約による収益である。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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