シンカ(149A)顧客拡大と機能追加、従量課金増加等による販売単価引き上げで成長目指す

2024/04/03

顧客とのコミュニケーションを一元管理するクラウド型サービス「カイクラ」を提供
顧客拡大と機能追加、従量課金増加等による販売単価引き上げで成長目指す

業種:情報・通信業
アナリスト:鎌田良彦

◆ 顧客とのコミュニケーションを一元管理するクラウド型サービスを提供
シンカ(以下、同社)は、個人顧客向け事業を行っている企業に対して、電話、SMS注1、メール、ビデオ通話等、様々なコニュニケーション手段による顧客とのやりとりを一元管理する、クラウド型のコミュニケーションプラットフォームサービス「カイクラ」の開発、販売を行っている。

◆ カイクラの機能
カイクラには1)固定電話でのコミュニケーション支援、2)SMS送信、3)通話録音、4)ビデオ通話、5)携帯通話録音、6)メール連携といった機能がある。

1) 固定電話でのコミュニケーション支援
カイクラユーザーのオフィスの固定電話に着信があった際、顧客情報や会話履歴を、パソコン、タブレット、スマートフォンにポップアップする。ポップアップさせる情報は、ユーザーのニーズに合わせてカスタマイズできる。

カイクラユーザーが他社のCRM注2システムで顧客情報を管理している場合、カイクラとAPI連携注3が可能であり、オフィスに着信があった場合、他社のCRMシステムで管理している情報をカイクラ画面上に表示できる。

2) SMS送信
カイクラの画面上から、顧客の携帯電話番号に対してSMSの送信ができる。SMSの送信履歴は自動で記録され、顧客情報とともに一元管理されるため、SMSの送信内容を顧客情報から検索できるだけでなく、オフィスに電話の着信があった際には、SMSの送信内容がパソコン等の画面上にポップアップされる。

3) 通話録音
カイクラユーザーのオフィスの通話内容を自動で録音・保存できるほか、会話をAIにより自動でテキスト化し、さらに生成AIによりそのテキストを要約することができる。録音した音声データやテキストデータは、顧客情報と関連付けられ一元管理される。テキストデータはカイクラ上でキーワードによる検索もできる。

4) ビデオ通話
顧客にSMSでビデオ通話のURLを送付することで、顧客はアプリケーションをインストールすることなく、ビデオ通話ができる。ビデオ通話機能では、カメラを通じた動画や音声だけでなく、パソコンやスマートフォンの画面の共有もできる。ビデオ通話の内容を録画することも可能で、他の顧客情報やコミュニケーション履歴とともに一元管理される。

5) 携帯通話録音
NTTドコモ、au、SoftBankが提供する社用携帯電話で会話した内容を録音し、会話内容をAIによりテキスト化することができる。これらのデータも他のコミュニケーション履歴と同様に顧客情報として一元管理される。

6) メール連携
顧客とのメールの送信・受信時にその内容をカイクラに取り込み、社内のチームメンバーに対してポップアップ通知をすることができる。これによりカイクラの画面上で顧客とのメールのやり取りを確認、共有できる。

◆ カイクラの販売チャネルと顧客基盤
カイクラの販売チャネルとしては、直接販売、販売パートナー経由の販売、OEM提供の3つがある(図表1)。23/12期の販売チャネル別売上高は、直接販売が52%、販売パートナー経由が45%、OEM供給が3%であった。

直接販売では、自動車販売店や不動産会社向けの販売実績が多い。特に自動車販売店向けには専門チームによる販売を行ってきた。販売パートナーとしては、地方銀行や大塚商会(4768東証プライム)に加え、大企業向けの販売パートナーとしてNTTグループが挙げられる。OEM提供は、カイクラの一部機能をOEM先が自社のサービスに組み込んで販売するものである。歯科医院の予約システム等、医療機関向けが多い。

23/12期第3四半期末のOEM提供先の顧客を含むアクティブユーザー数は2,565社、拠点数は4,289拠点であった(図表2)。業種別には、自動車販売店が中心の自動車業界と不動産業界が多い。全国の自動車販売店のうち、約10%が同社の顧客となっている。OEM先の顧客では医療関係が多い。

◆ カイクラの収益構造
カイクラの利用料収入は、①導入時の初期費用に相当する初期売上、②月額利用料の月額売上、③SMS等の利用による従量課金売上の3つからなる。カイクラの利用料は、ユーザーの拠点単位で課金され、初期費用は、ユーザーの拠点にカイクラのアダプターを設置することに伴うものである。月額利用料は拠点での利用人数ではなく、1拠点当たりの月額利用料となっている。カイクラの平均月次解約率は22/12期が0.28%、23/12期第3四半期累計期間が0.37%であった。

23/12期の売上高構成比は、初期売上が14.5%、月額売上が71.8%、従量課金売上が13.3%であった(図表3)。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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