SOLIZE(5871)実践力、変革力、デジタルものづくりの力が強み

2024/02/09

自動車業界向けを中心に製品開発から生産工程まで幅広く、サービスを提供
実践力、変革力、デジタルものづくりの力が強み

業種:サービス業
アナリスト:百谷淳一

◆ 3Dプリンター技術を核にしたサービスを展開
SOLIZE(以下、同社)は、自動車業界向けを中心に製品開発から生産工程まで幅広く強みを持つエンジニアリング企業である。同社の前身であるインクス社は1990年に設立された。3Dプリンター技術を核に、金型業界に大革命を起こしたが、過大な投資とリーマンショックが重なり、09年に民事再生手続きを開始し12年に民事再生手続きを完了した。なお、13年に現在の商号に変更している。

現在の事業は、(1)同社グループのエンジニアが顧客企業の製品開発において、製品開発ノウハウ・技術等を直接提供する「デザイン事業」と(2)顧客企業に対して同社グループ所有の3Dプリンター等の設備による試作モデル製作、最終製品に使用する少量量産部品の製作、及び3Dプリンターの代理販売・保守サポート等を行う「マニュファクチュアリング事業」から成る(図表1)。中国、米国、インドの海外子会社3社ではデザイン事業を展開するなどグロ-バル化も進んでいる。

◆ デザイン事業
デザイン事業は、主に自動車業界の開発部門向けを中心にサービスを提供している。自動車開発に強みを持つハイエンドエンジニアが22/12期末に1,451名と連結従業員数の78.2%を占めている。

同事業は、自動車業界の開発部門向けを中心にサービスを提供する「エンジニアリングサービス」、企業のビジネスモデルや製品開発の業務プロセスの変革推進を支援する「コンサルティングサービス」により構成されている。

(1)エンジニアリングサービス
同社エンジニアが保有する製品開発ノウハウやデジタル技術等を顧客企業の開発現場で直接提供するオンサイト支援もしくは、顧客企業から依頼を受け、取り決めたアウトプット等を提供するオフサイト支援にて提供している。

エンジニアリングサービスとして、以下の3領域でサービスを提供している。

1)デザイン&シミュレーション領域
デザインから設計、解析、試作、金型製造、生産に至る一連の工程に関して、製品設計及び解析・シミュレーションのサービスを提供している。3D CADはハイエンドCADからミドルエンドCADまで幅広い対応が可能である。

2)ソフトウエア&シミュレーション領域
ソフトウエア開発に加え、自動車開発の主要な開発技術のひとつとなっているMBD注1のサービスを提供しているほか、今後、様々な領域での活用が期待されているXR注2のサービスも提供している。

3)デジタルリスク領域
ものづくり、及びものづくりの開発プロセスに熟知したエンジニアがデジタルリスクに関するアセスメント、セキュリティ設計・実装、デジタル・フォレンジック注3等のサービスを提供している。

(2)コンサルティングサービス
企業のビジネスモデルや製品開発の業務プロセスの変革等の実行力を提供している。暗黙知(意思決定ロジック)まで踏み込む徹底した可視化・数値化技術をベースとした同社独自の方法論とエンジニアリングサービスで培った開発現場での経験・ノウハウ、デジタル技術を融合させて、技術課題の解決や組織横断的なプロセス最適化により顧客企業の顧客優位性強化に向けた変革を推進するコンサルティングを行っている。

◆ マニュファクチュアリング事業
同社は設立時から3Dプリンターを導入し、30年以上にわたり蓄積してきた3Dプリンティングにおける技術とノウハウ、並びに自社で保有する3Dプリンター等の造形設備を活用し、製品開発における評価・検証等に使用される試作製品や、最終製品に使用される少量量産部品の提供を行っている。また3Dプリンティングにおける長年の経験と実績を活かし、3Dプリンターの新材料の開発、AM注4技術導入支援サービスも行っている。

マニュファクチュアリング事業は「デジタルものづくり領域」と「3Dプリンター装置導入領域」に分けられる。

(1)デジタルものづくり領域
計40台と国内最大級の保有台数を誇るハイエンド3Dプリンターと豊富なバリエーションの材料により、顧客企業の要望に合わせた部品を提供している。顧客企業のAM活用の加速に向けた共同プロジェクトを推進するサービスも提供している。技術テ-マに応じ、設計・解析エンジニアを含めたチームを編成し、幅広い対応も可能である。

(2)3Dプリンター装置導入領域
米国の3D Systems社およびHP社の日本国内正規代理店として、3Dプリンターの販売・運用サポート等を行っている。創業時から3D Systems社の造形機を導入し、日本でいち早く光造形の試作サービスを提供しているため、単なる装置販売だけではなく、蓄積した生産技術ノウハウを有効活用し、顧客企業が装置を導入する際には、そのニーズに合った生産技術も併せて提案する形で販売している。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。