エスネットワークス(5867)常駐型支援のスタイルが差別化の最大の要因
CFO領域の実務実行支援に強みを有するコンサルティングファーム
常駐型支援のスタイルが差別化の最大の要因
業種:サービス業
アナリスト:藤野敬太
◆ 企業のCFO領域の実務実行支援のためのコンサルティングを提供
エスネットワークス(以下、同社)は、「CFO機能の実務実行支援」を標榜するコンサルティングファームである。99年10月に会計コンサルティング会社として設立されたが、00年12月に受託したIPO支援案件にて常駐支援形態で実務執行支援を実施してから、ハンズオン注スタイルの常駐型の経営支援を特徴として展開してきた。
企業の財務戦略にまつわるニーズは、ライフサイクルのどのステージにいるかによって様々である。同社はサービスをフルラインナップで揃えているため、どのようなニーズにも対応し支援することができるとしている。また、経営課題に対する解決策の立案、実行に際して重要なのは経営課題の可視化であり、常駐することで経営課題やニーズの把握を適切に行い、コンサルティングの対象及び内容を柔軟に変えることが可能となる。経営課題の可視化を起点に、解決策の立案、実行というサイクルを通じて、顧客企業が自走可能な仕組みの構築までを支援していくのが、同社のコンサルティングのスタイルである。
同社は経営支援のテーマとして早い段階から顧客企業の海外進出支援に着目し、実施してきた。そのための拠点として、ベトナムに2社の子会社、フィリピンに1社の子会社と2社の孫会社を保有している。また、コンサルティングサービスの提供先への投資も行っており、投資事業を行うパラダイムシフトグループとその子会社であるイーエスピーシーワンも連結対象としている。
このように、同社はコンサルティング事業と投資事業を営んでいるが、22/12期では投資事業の売上高が計上されていないため、コンサルティング事業の単一セグメントとして業績を開示している。コンサルティング事業は、コンサルティングの種類によって、経営支援コンサルティング、再生支援コンサルティング、海外進出支援コンサルティングに区分されている(図表1)。
◆ 3つのコンサルティング(1):経営支援コンサルティング
22/12期の全売上高の約64%を占めるコンサルティングサービスで、M&AやIPO等を行うような成長フェーズの転換期にある企業を対象としている。経営状況の可視化やオペレーションの仕組化を通じて企業の中長期的な企業価値向上に向けた支援を行う。幅広いCFO機能のうち顧客企業に必要なものを、常駐型実行支援という形で提供する。
短期間で大きな変革が必要なプライベート・エクイティ・ファンド投資後の企業価値向上を目的とする管理体制全般の構築の需要が高まっている。
◆ 3つのコンサルティング(2):再生支援コンサルティング
22/12期の全売上高の約20%を占めるコンサルティングサービスで、過剰債務に陥った企業を対象としている。過剰債務に至った原因を分析し、再生計画の策定や実行の支援を行う。
◆ 3つのコンサルティング(3):海外進出支援コンサルティング
22/12期の全売上高の約17%を占めるコンサルティングサービスで、アジアを中心とした海外で事業展開を行う企業を対象としている。海外進出時の市場調査、現地法人設立支援、営業開始後の会計、税務、労務業務等をアウトソーシングする案件を受託している。
◆ 顧客企業の属性
同社は特定の業種に特化しておらず、国内売上高における顧客企業の業種別売上構成比は小売業・サービス業28%、製造業27%、エネルギー・インフラ16%、情報通信・IT10%、金融保険業8%、官公庁・地方公共団体3%、その他9%となっており、顧客業種は分散されている。また、国内売上高の顧客企業の売上規模別構成比は、10億円未満7%、10億円以上100億円未満32%、100億円以上1,000億円未満39%、1,000億円以上19%、官公庁・地方公共団体3%となっている。
また、案件の流入経路は、同社の国内売上高の36%が未上場企業への投資を行うプライベート・エクイティ・ファンド経由となっている。
◆ 収益構造
同社の事業はコンサルティングサービス主体であることから、売上高の大半は、コンサルタントの1人当たり売上高とコンサルタントの人数の掛け算で説明がつく。この売上高に対し、コンサルタントの人件費が原価として計上される。