DAIWA CYCLE(5888)首都圏での出店増と大阪市でのドミナント構築で200店舗体制を目指す

2023/11/14

大阪を中心とする関西や首都圏で自転車専門店チェーン「DAIWA CYCLE」を展開
首都圏での出店増と大阪市でのドミナント構築で200店舗体制を目指す

業種:小売業
アナリスト:藤野敬太

◆ 自転車専門店チェーン「DAIWA CYCLE」を展開
DAIWA CYCLE(以下、同社)は、自転車及び自転車パーツ・アクセサリーの販売のほか、整備及び修理サービスを提供する自転車専門店チェーンを展開している。1990年の創業時は大阪府八尾市で駐輪場を運営していたが、99年に自転車専門店のチェーン展開を開始した。大型自転車専門店としては後発だが、大阪府を中心とした関西エリアで店舗数を増やしてきた。大阪府では56店鋪を出店しており、大阪府での市場シェアは23%となっている。また、07年の東京都世田谷区での初出店を皮切りに、関東エリアでも店舗を増やしてきている。

同社の事業は自転車関連販売事業の単一セグメントだが、売上高は4つの品目に区分されている(図表1)。自転車が売上高の約75%、パーツ・アクセサリーが約15%を占め、残りの約10%をFC店舗からのロイヤリティとその他(修理代、自転車向け保険、大和サポートパック加入料)が占めている。

◆ 後発ながらシェアを拡大してきた4つの要因
同社の主力店舗ブランドである「ダイワサイクル」の展開に関しては、(1)店舗展開、(2)商品展開、(3)店舗スタッフの確保・育成、(4)付随サービスといった点で特徴があり、後発ながらシェアを拡大してきた要因となっている。

◆ 要因(1): 店舗展開
同社の店舗ブランドには、「DAIWA CYCLE(ダイワサイクル)」、「ダイワサイクルSTYLE(ダイワサイクル スタイル)」、「ダイワサイクルプロ」の3種類がある。

主力の「DAIWA CYCLE」は郊外ロードサイドで展開している店舗ブランドである。同社は自転車を生活必需品と位置づけており、顧客の日常生活の動線に近いところに出店するため、国道沿いではなく、生活道路沿いへの出店にこだわってきた。

「DAIWA CYCLE」の売場面積は100坪~250坪で、約500台の自転車を展示している。また、出張修理サービスを含めた修理・メンテナンスのサービスも提供している。なお、修理スペースであるピットは、店内ではなく入口のすぐ側に置かれている。店舗におけるレイアウトの工夫により、店舗スタッフは顧客とのコミュニケーションが取りやすくなり、販売増につなげている。

なお、ロードサイド型の「DAIWA CYCLE」とは別に、ショッピングモールや都心部の駅近に立地する「ダイワサイクルSTYLE」という店舗ブランドもある。こちらは売場面積が40坪~100坪である。修理・メンテナンスサービスは提供しているが、出張修理サービスは実施していない。

また、「ダイワサイクルプロ」はスポーツバイク中心のプロショップだが、現時点では、「DAIWA CYCLE」川崎野川店内に併設されているだけであり、単独ブランドとしての出店はまだ行っていない。

実店舗以外にもECサイト「ダイワサイクルオンラインストア」も運営しているが、同社の売上高のほとんどは実店舗での販売によるものである。実店舗は、年々数を増やし、23/1期末107店舗、23年8月末120店舗となっている。その大半は直営店舗である(図表2)。また、23年8月末120店舗のエリア別内訳は、関西エリア72店舗、関東エリア45店舗、中部エリア3店舗となっている(図表3)。

◆ 要因(2): 商品展開
同社は、一般車から電動アシスト車、幼児・子供車までフルラインナップで商品を取り揃えている。また、12年以降PB(プライベートブランド)商品を開発しており、23/1期においては13車種のPB自転車を販売している。

なお、自転車の種類は、一般車、幼児車、スポーツ車、電動アシスト車の4カテゴリに大別されるが、一般車と幼児車の大半はPB商品、スポーツ車、電動アシスト車の大半はNB(ナショナルブランド)商品となっている。PB商品の販売は、金額ベースで同社全体の約35%と高い比率になっている。

また、同社は電動アシスト車の販売にも注力している。電動アシスト車の自転車販売に占める割合は23/1期で59%であり、同時期の業界全体の39%を大幅に上回っている。

◆ 要因(3): 店舗スタッフの確保・育成
自転車はその商品の特性上、自転車本体の販売時のみならず、定期的なメンテナンスや修理の時にも顧客との接点を持つことになる。そのため、質の高い店舗スタッフが欠かせない。電動アシスト車の販売が増えている中では、尚更のことである。

同社では、採用の仕組み及び、自転車販売に関する知識や技術を有するスタッフを育成する仕組みを整えている。同社によれば、新卒入社から最短3年で店長昇格者を育成できるとしており、出店ペースに見合ったスタッフの確保につながっている。

◆ 要因(4): 付随サービス
同社は顧客のロイヤリティ向上を目指し、自転車販売に付随するサービスを強化している。

そのひとつが、「出張修理」サービスである。他の自転車専門店の出張サービスでは、トラブルが発生した場合、自転車を引き取って別の場所で修理を行うのが通例である。一方、同社の「出張修理」サービスでは、トラブルが発生した現場までスタッフがバイクで駆けつけ、その場で修理を行う。この結果、トラブル解決までの時間が大幅に短縮され、顧客満足度の向上につながっている。

もうひとつは、自転車購入時にのみ加入可能な「ダイワサポートパック」である。盗難補償や定期点検、自転車保険、修理工賃割引等の自転車を利用するのに必要なアフターサービスをまとめて提供するサービスである。同社の自転車購入者の半数以上が加入しており、継続的な顧客接点の構築につながっている。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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