ジェイ・イー・ティ(6228)殆どが海外売上で、主な販売先は韓国と中国の半導体メーカー

2023/09/27

半導体洗浄装置の開発・設計、製造、販売を行う
殆どが海外売上で、主な販売先は韓国と中国の半導体メーカー

業種:機械
アナリスト:髙木伸行

◆ 半導体洗浄装置を開発・設計、製造、販売
ジェイ・イー・ティ(以下、同社)グループは、半導体製造の前工程で使用される半導体洗浄装置を開発・設計、製造、販売を主な事業としている。

同社グループは、同社、半導体洗浄装置部品の販売支援業務、顧客工場での装置立上業務、及びフィールドサービス業務を行う台湾のJ.E.T. Semi-Con. International Taiwanと中国のOribright Shanghai、半導体洗浄装置の製造を行うJ.E.T. Korea、半導体、液晶用各種製造装置の製造・販売を行う同社の親会社である韓国のZEUS、そして農産物の生産・販売を行うジェイ・イー・ティ・アグリで構成されている。

売上高の大半は半導体事業が占め、残りはその他として農産物などの販売が計上されている(図表1)。

◆ 設立の経緯と親会社との関係
08年のリーマン・ショック後の09年1月に民亊再生手続きを開始したエス・イー・エスが同社の前身企業である。エス・イー・エスは半導体洗浄装置を製造しており、JASDAQ証券取引所に上場していた。バッチ式洗浄装置で当時10%強の世界シェアを保有していたエス・イー・エスの破綻は、半導体メーカーの生産や設備投資計画への影響が大きかった。そこでエス・イー・エスの韓国エージェントであったZEUSは09年4月に全額出資により同社を設立し、同年5月にエス・イー・エスの岡山グリーンテクノ工場(現本社工場)などを事業譲渡により引き継いだ。

同社の親会社のZEUSは韓国取引所(KOSDAQ)に上場している。ZEUSグループには同社以外に半導体洗浄装置を製造・販売している会社はなく、ZEUSが製造・販売する半導体洗浄装置は同社がライセンス供与した一般的な枚葉式洗浄装置に限定されており、同社と同社の子会社はZEUSとは競合関係にない。

上場時点ではZEUSは発行済株式総数の64.6%を保有し、親会社であり続けるが、同社の自主性の尊重、上場を維持すること、少数株主の利益を不当に害することがないよう、同社の経営方針及びガバナンス体制に関する合意書を締結している。

◆ 半導体事業
同社グループは半導体事業として半導体洗浄装置の開発・設計、製造、販売に加えて装置の保守・メンテナンスサービスであるフィールドサービスを行っている。22/12期の半導体事業の売上高の92%が半導体洗浄装置、8%がフィールドサービスであった。また、非常にわずかであるが、同社が新規事業として取り組んでいるリチウムイオン電池の検査・製造装置の売上も含まれている。

同社グループが製造する半導体洗浄装置にはバッチ式洗浄装置注1と枚葉式洗浄装置注2があるが、半導体洗浄装置の売上高の95%がバッチ式洗浄装置である。ウエハが大口径化していることや多品種少量生産が半導体生産の流れとなり枚葉式洗浄装置へのシフトが顕著であった時期もあったが、生産性が高いことからバッチ式洗浄装置はウエット洗浄装置の中では4分の1程度のシェアを占め、一定の需要を確保している。

顧客企業の設備投資動向によって汎用品であるメモリー向け装置の売上が多い年と、半導体メーカーやファブレスメーカーからの委託を受けて半導体チップの製造を行う、生産機能に特化したファウンドリ向けの売上が多い年がある。直近の2期間は中国のファウンドリ向けの売上高が拡大傾向にあることから、ファウンドリ向けの売上構成比が上昇傾向にある。

連結子会社であるJ.E.T. Semi-Con. International Taiwan、Oribright Shanghai、ZEUSは部品販売及び保守といったフィールドサービス並びに装置の一部については顧客への販売支援業務や顧客工場内での装置立上業務を行っている(図表2)。J.E.T.Koreaは韓国で半導体洗浄装置を製造しているが、19年7月に日本政府から発表された韓国向け輸出管理強化の影響から韓国内での装置製造の要請が顧客からあり、それに対応したためである。J.E.T. Koreaで生産したSamsung Electronicsへ販売する半導体洗浄装置は22/12期よりZEUS経由での販売となっている。

主要販売先としては中国のSemiconductor Manufacturing International Corporation(SMIC)、Samsung Electronics、ZEUSが開示されている(図表3)。22/12期の売上割合はSMIC向け16.8%、Samsung Electronics向け16.4%、ZEUS向け12.9%であるが、ZEUS向けにはSamsung Electronics向けの売上高2,411百万円が含まれており、この分を考慮した実質的な売上割合はSamsung Electronics向けは26.9%、ZEUS向けは2.5%となる。

◆ 新規事業
同社グループではリチウムイオン電池の検査・製造装置の製品化を目指すLIB事業、及びアグリ事業を新規事業として取り組んでいる。

LIB事業については14年から手掛けており、リチウムイオン電池の弱点である発熱、発火、爆発といったリスクを製造段階で検出する検査装置などを開発しており、基本技術については特許を取得している。展示会への出展などにより引き合いの獲得に努めている段階である。

アグリ事業はOSMIC(東京都中央区)がFC展開するオスミック農産物生産事業を採用し、20年11月から高糖度フルーツトマトの出荷を開始している。損益責任を明確にするために、21年10月にジェイ・イー・ティ・アグリを設立し同事業に取り組んでいる。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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