カバー (5253) 世界ランキングの Top10 をほぼ独占する所属 VTuber のチャンネル登録数

2023/03/31

VTuber のキャラクターIP 開発及び VTuber プロダクションを運営
世界ランキングの Top10 をほぼ独占する所属 VTuber のチャンネル登録数

業種: 情報・通信業
アナリスト: 松尾十作

◆ 主力事業はアニメルックVirtual YouTuberのプロダクション運営
カバー(以下、同社)は、アニメルックのVirtual YouTuber(以下、VTuber)のプロダクションである「hololive production(以下、ホロライブプロダクション)」を運営している。VTuberとは、顔や髪形、服装などを自由に選択してつくった、アニメに登場してくるようなバーチャルエンターテイナーである。VTuberを演ずる配信者は画面に出ず、関節などの動作の特徴となる部位にマーカー等の装置をつけ、そのマーカーの動きをカメラ等で読みこむ「モーションキャプチャー」を用いて、配信者の動きに合わせてVTuberが画面上で踊ったり、歌ったりする。

ホロライブプロダクションに所属しているVTuberのキャラクターIP(Intellectual Property:知的財産)は同社に帰属しており、キャラクターIPに基づいた関連商品販売やキャラクターIPのライセンスビジネス等の多様な事業を展開している。

同社の事業はVTuber事業並びにその他付帯業務の単一セグメントである。売上高については、配信/コンテンツ、ライブ/イベント、マーチャンダイジング、ライセンス/タイアップの4つの事業分野別に開示されている(図表1)。

配信/コンテンツは、同社が運営している配信プラットフォームを通じ、所属VTuberによるライブ配信を主とした動画コンテンツを提供している他、音楽ストリーミングサービスでの楽曲コンテンツの提供も行っている。Super Chatでの課金、ch(チャンネル)メンバーシップ、動画配信プラットフォーム上での広告収益、楽曲コンテンツ販売収益を得ている。

Super ChatとはYouTubeの機能のひとつで、YouTubeでのライブ配信時のチャットの利用時に、視聴ユーザーが対価を払うことで、チャットメッセージを目立たせることが出来る機能である。金額次第でチャットメッセージを画面に固定させられる時間が変わる。例えば500円から999円では2分、1,000円から1,999円までは5分といった具合である。

インターネット画面でお気に入りを登録すると、アドレスを入力しなくてもお気に入りに登録したページへワンクリックでジャンプできるように、YouTube画面でのお気に入り登録はch登録を指す。chメンバーシップとは、一定の月額料金を支払うことでVTuberのライブ配信チャンネルのメンバーとなり、メンバー向けの限定動画視聴や絵文字利用等の特典が得られる制度である。例えば、ホロライブ応援プラスで月額290円、付加価値がついたホロライブ応援プレミアムで同じく490円である。

ライブ/イベントとは、所属VTuberによる、オフライン及びオンラインでのライブ、及びイベント開催のことである。収益としては、チケットや関連グッズ、イベントの様子を収録した映像ソフトウェアの販売代金がある。ライブの場合、年間6,600円のホロライブ公式ファンクラブ加入後にチケットを購入出来る仕組みとなっている。

マーチャンダイジングは、所属VTuberのキャラクターグッズ、及びデジタルコンテンツの販売のことである。グッズにおいて、デジタル商品とフィギアなどのリアル商品の比率は、凡そ1:9とリアル商品が多い。

ライセンス/タイアップはメーカーなどへの所属VTuberのIPライセンスの使用権利の提供、所属VTuberとのタイアップ広告、所属VTuberのプロモーションやメディア出演のことである。

同社の22/3期の販売先では、GoogleLLCが34.1%、ピクシブ(東京都渋谷区)が27.3%、Shopify Inc.が2.3%である(図表2)。同社が運営している配信プラットフォームはGoogle LLCが提供している世界最大の動画共有サービスであるYouTubeを利用しているため、配信/コンテンツやライブ/イベントの収益は、YouTube利用料を控除した収益をGoogle LLCから受け取るかたちとなっている。

ピクシブとShopify Inc.は、グッズ販売のプラットフォーム提供会社である。両社が運営しているプラットフォームを通してグッズを販売しているため、グッズ販売代金の回収先である。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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