アソインターナショナル(9340) 歯科技工物生産のデジタル化推進とグローバル展開で成長を目指す
矯正歯科治療用の歯科技工物を歯科医療機関に提供 歯科技工物生産のデジタル化推進とグローバル展開で成長を目指す
業種: サービス業
アナリスト: 鎌田 良彦
◆ 矯正歯科治療用の矯正装置等の歯科技工物を歯科医療機関に提供
アソインターナショナル(以下、同社)グループは、同社と子会社4社からなり、歯科技工所として矯正歯科治療に必要な歯科技工物(以下、矯正歯科技工物)を歯科医院、歯科大学及び附属病院等の歯科医療機関に提供している。
一般的な歯科技工所は主に虫歯治療後に歯に被せる補てつ物等の製造・販売を行っているが、同社グループは創業来、矯正歯科技工物の製造・販売に特化してきた。
◆ 多岐にわたる矯正歯科技工物に対応
矯正歯科治療では診断・治療の段階で様々な矯正歯科技工物を使用するが、同社では100種類以上の製品を取り扱っている。標準的な矯正歯科治療の流れは、歯科医師が患者の歯型の採取や口腔内スキャナーで口腔内のデジタルデータを取得し、歯科技工所に口腔内の立体模型である平行模型を発注する。医師は平行模型で口腔内の状況を確認後、治療方針を決定し、それに基づいて矯正装置等の矯正歯科技工物の発注を行う。
矯正歯科治療の初期段階では、顎を頬側に拡大させ歯の移動スペースを確保するための拡大床が使われる。その後、歯の移動を行うための矯正装置が使われ、後期段階では矯正後の歯の後戻りを防ぐリテーナーが使用される。歯の移動を行う矯正装置には、ブラケットとワイヤーを歯の表側に装着するラビアル治療用、歯の裏側に装着するリンガル治療用の固定式矯正装置や、プラスチック(PET材)による着脱可能なマウスピース型矯正装置まで多様な製品がある。
矯正歯科技工物の製造方法では大きく、歯形を取る材料(以下、印象材)で歯形を取り、それに基づき歯科技工士が手作りで技工物を製造する方法と、口腔内スキャナーで口腔内のデジタルデータを採取し(以下、光学印象)、そのデータに基づき3DCADや3Dプリンター等を使って技工物を製造する方法の2つに分けられる。
矯正歯科治療は、厚生労働大臣が定める口腔内の先天性異常や疾患、顎変形症等、一部で保険適用はあるが、殆どが自由診療となっている。100万円程度とされる矯正歯科治療費のうち、矯正歯科技工物の占める割合は10%程度となっている。
同社の事業は歯科矯正事業の単一セグメントであるが、売上高をアナログ製品とデジタル製品からなる矯正歯科技工物売上、商品売上、その他の3つに分けて開示している(図表1)。
矯正歯科技工物売上のアナログ製品は口腔内情報について印象模型を利用したもので、歯科技工士が手作りで矯正装置を製造している。デジタル製品とは口腔内情報について口腔内スキャナー等によるデジタルデータを利用したもので、その後の生産工程も3DCADによる設計や3Dプリンターや機械による製造がおこなわれる。同社の製品ではマウスピース型矯正装置のAsoAligner DIGITAL、ラビアル治療用矯正装置のSYMPHONY、リンガル治療用矯正装置のHARMONYがデジタル対応製品である。現状では、デジタル製品売上の殆どは、AsoAligner DIGITALとなっている。
商品売上は、子会社のフォレスタデント・ジャパンが、矯正材料等を歯科技工士や歯科医療機関に販売しているものである。その他は主に、3DCAD
用ソフトウェアのライセンス料となっている。
22/6期の売上高構成比は、矯正歯科技工物売上が88.3%、商品売上が11.1%、その他が0.6%であった。矯正歯科技工物売上の内訳は、アナログが約80%、デジタルが約20%となっている。22/6期の海外売上高は98百万円(売上構成比3.2%)であったが、この殆どが子会社のASO INTERNATIONAL HAWAII, INC.が現地の歯科診療機関向けに矯正歯科技工物を販売しているものである。