tripla<5136> 主力サービス「tripla Book」、「tripla Bot」は全国の宿泊施設への導入が進む

2022/11/29

宿泊施設向けに公式サイト予約システムなどのITサービスを提供
主力サービス「tripla Book」、「tripla Bot」は全国の宿泊施設への導入が進む

業種:情報・通信業
アナリスト:佐々木 加奈

◆ 宿泊施設向けのITサービス「tripla Book」などを提供
tripla(以下、同社)は、「Delight customers with innovation イノベーションで顧客を感動させる」をミッションとし、宿泊施設向けのITサービスの提供を通じで宿泊業界のDX注1化の推進を支援している。同社に連結子会社はなく、ホスピタリティソリューション事業の単一セグメントである。

同社が提供するサービスは、公式サイト予約システム「tripla Book」(提供開始日19年7月)、AIチャットボット注2「tripla Bot」(同17年1月)、CRM注3・マーケティングオートメーションツール「tripla Connect」(同22年1月)、現地決済サービス「tripla Pay」(同22年5月)で、全てのサービスが宿泊施設向けである(図表1)。

同社は、主力サービスの営業収益を開示しており、21/10期の構成比は、「tripla Book」が42.0%、「tripla Bot」が50.0%となっている(図表2)。その他は、大手ホテルチェーン等の宿泊予約システムの個別開発に係る一時的な収益などで、22/10期からは「tripla Connect」及び「tripla Pay」の営業収益を含んでいる。

◆ 各サービスの概要と特徴
1)「tripla Book」
「tripla Book」は、宿泊施設の公式サイトに同社が用意したJava Script注4を埋め込むことにより、ユーザーが公式サイト上で宿泊予約をすることのできるクラウド型の予約システムである。ユーザーが宿泊施設の予約をする際には、「宿泊日と人数を選択→プランと金額を確認して選択→ユーザー情報を入力→支払方法を選択」という手順を踏み、最短4クリック、30秒程度で予約が確定する。

ユーザーによる直感的な画面操作が可能で、短時間で予約可能であること、会員登録するとLINEやFacebookを利用して簡単にログインできること、外部ポイントにも交換可能なポイント機能を備えていること、予約の際には他の旅行会社が運営するサイトが提示する料金を参照し、自動的に値引き価格を適用するベストレート機能を備えている。

宿泊施設が同社に支払う料金は、部屋数に応じた月額の基本料金(部屋数1~99の場合10千円、100~199の場合15千円、200~299の場合20千円、300~399の場合25千円、400~499の場合30千円、500以上の場合は顧客ごとに相対で決定)に従量料金が加算される。従量料金は、「tripla Book」を通じて宿泊した部屋数が予め設定した値を超えた場合に発生する。設定値は、宿泊施設が「tripla Book」を契約する前に利用していた他社予約エンジンによる宿泊実績(部屋数)をベースして決めている。

また、宿泊施設のプラン情報、部屋在庫の情報はPMS注5によって管理されていることが多く、PMSとOTA注6、予約システムとの連携のために、多くの宿泊施設がチャネルマネージャー注7を導入している。予約システムの拡販のためには、チャネルマネージャーとの連携が必要となるため、同社は、手間いらず(2477東証プライム)が運営する国内大手の「手間いらず」、リクルートホールディングス(6098東証プライム)グループのシーナッツが運営する「TLリンカーン」、楽天グループ(4755東証プライム)傘下のクリップスが運営する「「ねっぱん!サイトコントローラー」、JR各社が出資する鉄道情報システムが運営する「らく通with」との連携を行っている。

2)「tripla Bot」
「tripla Bot」は、宿泊施設の公式サイト上にチャットボットを表示させ、ユーザーからの質問に自動的に回答するサービスである。宿泊施設は、従来は電話で受けていた質問への回答をチャットボットで行うことにより、問い合わせ対応に充てていた人材を他の業務に振り向けることが可能となる。主な特徴は、自社開発AIにより高い回答精度を実現していること、回答ができない問い合わせに対しては同社のオペレーターが対応する体制を構築していること、「tripla Bot」上での予約が可能なこと、LINEやFacebookと連携が可能であること、多言語(英語、中国語簡体字、中国語繫体字、韓国語)に対応していることである。

導入プランにはAIのみが回答する「AI限定」プランと同社のオペレーターによる対応も付加した「フルサービス」プランの2通りがあり、「フルサービス」プランは月額基本料金25千円、リクエスト数(問い合わせを受けた数のうち、同一日、同一ユーザーによるものを除いた数値)が100件増加するごとに25千円が課金される。「AI限定」プランについては、利用実態を検証した上で料金を決定しており、月額20千円からとなっている。

3)「tripla Connect」
「tripla Connect」はCRM・マーケティングオートメーションツールで、過去の宿泊者情報や会員情報などを蓄積して分析し、ユーザーごとに最適な宿泊プランのレコメンドや、メールマガジンの配信などを行い、宿泊施設のマーケティングをサポートしている。

料金体系は、1施設当たり月額15千円の基本料金に、メール送信数、SNS送信数に応じた課金がある。

4)「tripla Pay」
「tripla Pay」は、宿泊施設における現地決済の仕組みを提供するサービスである。同社はインターネットを利用した決済サービスを提供するPayPal Pte.Ltd.(米国PayPal Holdings, Inc.のシンガポール法人)の仕組みを活用して決済事業者が発行するQRコードを「tripla Pay」上に表示させ、それをユーザーがスマートフォンで読み込み、クレジットカード情報を入力して決済を行う。

初期費用や月額固定費用はかからず、決済のためのQRコードをユーザーに提示するための画面モニターあるいはタブレット端末の費用が宿泊施設の負担となっている。

>>続きはこちら(1.55 MB)

一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。