POPER<5134> 学習塾市場でのシェア拡大と他の教育分野への事業展開で成長を目指す

2022/11/22

学習塾等の教育事業者向けの業務管理プラットフォームComiruを運営
学習塾市場でのシェア拡大と他の教育分野への事業展開で成長を目指す

業種: 情報・通信業
アナリスト: 鎌田 良彦

◆ 学習塾等教育事業者向けの業務管理プラットフォームComiruを運営
POPER(以下、同社)は、学習塾や予備校等の教育事業者向けにSaaS注1型業務管理プラットフォームComiru(コミル)を開発・運営している。同社はComiruの他にオンライン授業・自宅学習支援サービスComiruAir、講師等の労務管理・コミュニケーションサービスComiruHRを提供している。

◆ SaaS型業務管理プラットフォームComiru
Comiruは、学習塾等の教育事業者のバックオフィス業務を効率化し、保護者とのコミュニケーションを強化することにより、学習塾の講師が生徒と向き合い「教える時間」を増やすことを目的に開発され、15年12月にリリースされた。Comiruは、22/10期第3四半期累計期間の売上高の97%以上を占める同社の主力サービスである。Comiruのサービスは、コミュニケーション機能、業務改善機能と生徒集客管理機能の3つに分けられる(図表1)。

コミュニケーション機能では、保護者がスマートフォンに専用アプリをインストールしLINEと連携することにより、学習塾からのお知らせをLINEで確認することができ、学習塾側では既読・未読の判別もできる。従来のメールや電話での連絡に比べ、漏れなく効率的に保護者とのコミュニケーションを取ることができる。入退室管理では、教室毎に生徒にQRコードのついたカードを発行し、それを学習塾のスマーフォンやタブレット端末等で読み取ることで入退室管理ができ、入退室情報は保護者のスマートフォンにも伝えられる。専用アプリを使って保護者との面談予約や面談内容の管理も行える。

業務改善機能では、毎月の請求書の自動作成や入金状況の確認、未収対応ができる。口座振替では授業料等の支払をインターネット経由で銀行口座からの引き落としにした場合、教育事業者等から決済銀行への支払手数料を1件68円に抑えることができる。クレジットカード決済でも決済代行業者等への支払手数料を最低1.7%で提供している。座席管理では生徒の授業希望日と講師のスケジュールを調整して作成する授業のコマ割りを効率化することができる。

生徒集客管理機能では、講習等に参加した生徒等の見込み顧客管理、卒塾生による口コミの収集や掲載、体験会予約や資料請求のweb申込を行うことができる。

Comiruの料金体系は、Comiru FREE、Comiru BASIC、Comiru PROの3つのプランに分かれている(図表2)。Comiru BASICは、上記の3つの機能が利用できる。21年2月にリリースされた無料のComiru FREEでは、webでの体験会の日程調整を除く生徒集客管理機能を利用することができる。21年6月にリリースされたComiru PROは大手教育事業者向けのサービスで、複数教室のKPI注2状況の可視化や、API注3によりComiruの機能と自社の基幹システムとの連携が可能になる。

◆ オンライン授業・自宅学習支援サービスComiruAir
ComiruAirはComiruの利用を前提に、オンライン授業と自宅学習支援を行うサービスで、20年8月にリリースされた。オンライン授業では特定の生徒のみとの会話や画面共有等の個別対応、自宅学習では、質疑応答のオンライン対応と対応履歴の保護者への通知、動画コンテンツを指定した生徒のみに視聴させる等の機能がある。料金は、教室毎の初期費用と講師・生徒合計の利用時間に応じた利用料金からなる。

◆ 講師等の労務管理・コミュニケーションサービスComiruHR
ComiruHRはComiruの利用を前提に、講師等のシフト調整、勤怠管理と勤怠実績に基づく給与計算、これらに関連するコミュニケーションを効率的に行うためのサービスで、20年12月にリリースされた。授業単位での出勤記録、一日複数回の出退勤、コマ給、時間給等、学習塾や予備校の勤務実態に合わせたきめ細かな対応が可能となっている。料金は講師毎に月額300円となっている。

◆ 売上高と主要KPI
同社はサービス別の売上高は開示していないが、有料契約企業数、利用生徒ID数、ARPU注4、ARR注5、広告宣伝費/売上高比率、顧客の解約率といった主要KPIを開示している(図表4)。

有料契約企業数については、同社の基準に基づく規模別の顧客数を開示している(図表5)。塾には予備校も含まれ、その他習い事にはプログラミング教室、英会話教室等が含まれる。

利用生徒ID数は、各期末の数字で、ARPUは有料契約企業1社当たりのComiruの平均基本利用料(月額課金)を示している。ARPUの増加は、大手顧客の増加や、1社当たりの利用部門・教室数の拡大等による。ARRは基本利用料(月額課金)の収益を示しており、顧客の増加に伴い売上高に占める月額課金の比率は上昇してきた。21/10期では売上高の93%弱が月額課金によるものとなっており、サブスクリプション型の収益構造になっている。なお、22/10期第3四半期累計期間のARRは、22年7月単月の月額課金を年換算した数字となっている。顧客の解約率は、毎月の顧客企業数ベースの解約率の平均値であり、コロナ禍の影響を受けた20/10期を除くと0.5%程度の低水準で推移している。

>>続きはこちら(1.20 MB)

一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。