ペットゴー<7140> 定期購入の促進やD2Cブランドの強化による成長を目指す
ペットヘルスケア商品のEコマース事業が中心
定期購入の促進やD2Cブランドの強化による成長を目指す
業種: 小売業
アナリスト: 阪東 広太郎
◆ ペットヘルスケア商品のEコマース事業を主として展開
ペットゴー(以下、同社)グループは、同社及び連結子会社(ペットゴープロダクツ)の計2社で構成されており、動物用医薬品、食事療法食、サプリメントなどの犬猫のペットヘルスケア商品に特化したEコマース事業を中心に展開している。同社グループのセグメントは、ペットヘルスケア事業の単一セグメントである。
◆ 取扱商品
同社グループは、ペット飼育者に対して、従来動物病院のみで販売されていたペットの健康管理に対応する動物用医薬品や食事療法食、その他のペットヘルスケア商品を中心に販売している。21/3期における売上構成比は、食事療法食が約75%、残りの大半は動物用医薬品、その他のペットヘルスケア商品は数%である。同社グループはナショナルブランド注1と20年4月より販売を開始した「VETSOne(ベッツワン)」というD2C注2ブランドを取り扱っている。
食事療法食については、犬猫のペットフードのうち、栄養成分の量や比率などを調整することによって、特定の疾病等に対して使用されるものを販売している。同社グループの食事療法食の売上高の大半を、ROYAL CANIN(フランス)とHill’s Pet Nutrition(米国)の2社が保有するブランドの商品が占めている。
動物用医薬品については、指定医薬品と要指示医薬品の2種類の規制区分に指定されないもののみを販売している。販売中の主な医薬品としては、ノミ・マダニ駆除薬、目薬、皮膚薬、外耳炎薬、胃腸薬等が挙げられる。
その他のペットヘルスケア商品については、総合栄養食やサプリメント、ケア商品を中心に販売している。
◆ 販売チャネル
21/3 期の販売チャネル別の売上構成比は、オンライン店舗が約9 割、オフライン店舗が約1 割である。オンライン店舗における売上高のうち20%が自社オンラインサイト「petgo(ペットゴー)」経由であり、80%が他社オンラインモール経由である。
他社オンラインモールにおける店舗は、楽天グループ(4755 東証プライム) が運営する「楽天市場」に3 店舗、Z ホールディングス(4689 東証プライム) の子会社ヤフージャパンが運営する「Yahoo!ショッピング」に2 店舗、アマゾンジャパン(東京都目黒区)が運営する「Amazon.co.jp」に1 店舗、KDDI (9433 東証プライム)が運営する「au PAY マーケット」に1 店舗、eBay Japan (東京都港区)が運営する「Qoo10」に1 店舗の合計8 店舗を出店している。
オフライン店舗については、認知度向上のために、14 年9 月よりホームセンターへの卸売を開始した。ホームセンター等から注文を受けた商品を一括で納入し、店舗内に同社グループの特設コーナーを設置し、販売している。
21 年3 月末時点における、アクティブ購入者数注3 は589,371 人、累計ユニーク購入者数注4 は、1,727,880 人である。21/3 期において、オンライン店舗での売上高の約80%は、過去に1 回でも同社グループの商品を購入したことのある顧客によるものである。
顧客の1 回当たりの購入単価は平均すると、5,000 円から6,000 円程度である。犬や猫の食事療法食を1 袋ずつ購入する顧客が多い。
◆ サブスクコマース
同社グループは、自社オンラインサイトにおける購入形態の1 つである定期購入を13 年4 月に開始した。21/3 期における自社オンラインサイトの売上高に占める定期購入の割合は33.1%である。同社によると、定期購入の月商は、20 年3 月頃までは40 百万円程度で推移していたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、食事療法食や動物用医薬品を購入するために動物病院へ行く事を避け、オンライン購入に移行するペット飼育者が増加した事などで、22 年3 月には約1 億円まで増加している。
同社の自社オンラインサイトにおける定期購入は、購入タイミング及び配送日時を自由に設定でき、解約の自由度が高いこともあり、同社の自社オンラインサイトの売上高に占める定期購入比率は、20/3 期の29.3%から、21/3 期 は33.1%、22/3 期第3 四半期累計期間では40.7%へと上昇している。
◆ D2C ブランド
ペットヘルスケアD2C ブランドの「VETSOne」シリーズを20 年4 月より販売している。主なD2C ブランドとして、犬猫の食事療法食「ベッツワンベテナリー」、犬猫の総合栄養食「ベッツワンプレミアム」、犬猫のノミ・マダニ駆除薬「ベッツワンプロテクトプラス」(ジェネリック動物用医薬品)等が挙げられる。上記以外にも、犬猫の関節、目、下部尿路や腸内環境の健康維持に対応した各種サプリメント(栄養補助食)や歯磨きペースト、デンタルガム等のデンタルケア製品、ウェットティッシュやペットシーツ、猫砂等のD2Cブランド製品を展開している。
D2C ブランドに関して、同社グループは商品の企画・開発・販売に特化しており、原材料の調達・商品製造については同社の株主でもある住友商事(8053 東証プライム)が担っている。
◆ 顧客構成と購買行動
21/3 期における、同社グループの顧客の年齢・性別の売上構成比は、40 代及び50 代の女性の割合が最も高く、60 代の女性が次に高い。性別のみで見た売上構成比は、女性が73%、男性が27%である。同社によると、ペットの飼育に必要な費用が嵩むことや、ペットヘルスケア商品を使用するのは年齢の高いペットが多い事等から、40 代以上の売上構成比が高い。
顧客の居住地別の売上構成比は、東京都16%、神奈川県11%、大阪府10%、埼玉県9%、千葉県6%と、上位5 都府県で52%を占めている。都市部は動物病院への通院手段が徒歩の場合が多く、療法食を持ち帰る負担等から、都市部の方がE コマースへの需要が強く、売上構成比が高いと推察される。
ペット種別の売上構成比は、犬69%、猫30%、その他1%である。顧客数において犬の飼育者の割合が高い事に加えて、犬の方が猫よりも体が大きく1 頭当たりの食事消費量が多いことから、猫より犬向けの売上構成比が高い。
ペット飼育者は自分の飼育するペットの体調不良を感じた際、まず動物病院を受診する場合が大半である。獣医師の診断を受け、獣医師の進める食事療法食や動物用医薬品を動物病院で購入する。食事療法食や動物用医薬品の販売チャネルはほとんどが動物病院のため、継続使用を希望するペット飼育者は動物病院に再訪する事が多い。一部のペット飼育者は、食療法食や動物用医薬品の2 回目以降の購入において、仕事の都合等で動物病院に行く時間が取れない、ペットが動物病院を嫌うなどの理由から、E コマースに切替えるようである。