イメージ・マジック<7793> オンデマンドプリントの仕組みを外販することで成長を目指す
アパレルや雑貨を対象としたオンデマンドプリントサービス事業を展開
オンデマンドプリントの仕組みを外販することで成長を目指す
業種: その他製品
アナリスト: 阪東 広太郎
◆ オンデマンドプリントサービスを主として展開
イメージ・マジック(以下、同社)は、インターネットを利用して行うアパレルや雑貨を主とした商品へのオンデマンドプリントサービス、及びオンデマンドプリントの仕組み(ソフトウェアやハードウェア)をアパレルメーカー、印刷会社などの事業者へ提供するソリューション(オンデマンドプリントソリューションズ、以下ODPS)事業を展開している。
同社は「オンデマンドプリントソリューション事業」の単一セグメントであるが、売上高は「オンデマンドプリントサービス」と「ソリューション」に区分される。22/4期第2四半期累計期間(以下、上期)における売上構成比は、オンデマンドプリントサービスが89.0%、ソリューションが11.0%である。
◆ オンデマンドプリントサービス
オンデマンドプリントサービスは、顧客がインターネットサイトを通じて入稿したデータを、受注から短納期で印刷加工し納品するサービスである。チームのグッズや個人のギフト、法人のノベルティオーダーなど、オリジナルの製品をプリント作成するニーズに加え、インターネットでグッズ販売のビジネスを始めるクリエイターなどのニーズや、無駄な在庫を作らず受注が入ってから即出荷したいとするアパレルメーカーなどのニーズに対応している。
利用者の用途は、注文者本人用が約4割、団体用が約3割、ギフト用が約3割である。プリント対象となる製品の内訳は、Tシャツが約3割、Tシャツ以外のアパレル製品が約3割、その他雑貨等が約4割である。同社によると、近年は雑貨の構成比が上昇している。
同社はオンデマンドプリントサービスを、自社販売とパートナー企業からの受注の2つのチャネルで展開している。22/4期上期の売上高構成比は、自社販売が約4割、パートナー企業からの受注が約6割である。
(1)自社販売
同社は、ウェブサイト「オリジナルプリント.jp」を自社サービスとして運営している。Tシャツなどの衣料品やマグカップなどの雑貨を中心としたアイテムを仕入れ、エンドユーザーからの注文を直接受注して納品している。受注処理を自動化するために見積もりや納期計算の自動化と、リアルな仕上がりイメージを確認できるデザインシミュレータを搭載し、約1,900種類のアイテムに対応できるサービスサイトである。
同社によると、「オリジナルプリント.jp」における販売額は増加傾向にある。販売額の増加は主に注文件数の増加によるものであり、新規顧客の増加に加えて、繰り返し利用する顧客も多く、取引件数の約6割がリピーターである。平均利用単価は1万円前後で推移している。
(2)パートナー企業からの受注
同社は、パートナー企業から受注した製品に対し、プリント加工を行った上でパートナー企業に納品している。また、パートナー企業のサイトを利用するユーザーからの発注は、パートナー企業から同社へ転送され、同社にてプリント加工を行った製品を直接ユーザーへ納品している。
主なパートナー企業・サービスとしては、GMOペパボ(3633東証一部)の運営するオリジナルアイテム・グッズの個人間取引サイト「SUZURI」、ファーストリテイリング(9983東証一部)が運営する法人・団体向け大量購入サービス「UNIQLO UNIFORM」やグラニフ(東京都渋谷区)が運営するデザインアパレル・雑貨のオンラインサイト「graniph」等が挙げられる。特に「SUZURI」の流通総額の増加に伴い、GMOペパボ向けの売上高構成比は20/4期の16.6%から22/4期上期には26.6%まで上昇している。
自社販売、パートナー企業からの受注いずれも、受注データからクラウド生産管理システムのサーバーにより印刷に必要なデータを自動生成し、同社の工場またはシステム連携された同社の協力工場へ自動で生産指示が振り分けられ、受注から最短5分で梱包出荷処理まで行う事が可能である。
同社は、21/4期末時点で東京都板橋区に4工場、埼玉県朝霞市に1工場、岐阜県多治見市に1工場の合計6工場を持つ。同社の協力工場は東北地方から中国地方まで17工場が存在する。工場の生産能力はTシャツ換算で、自社工場が5万枚/日、協力工場が25万枚/日である。
22/4期上期末時点の「オリジナルプリント.jp」の取り扱いアイテム数は、SKU注1ベースで約11.5万SKUと多数のアイテムを扱っているが、同社ではTシャツを中心に、注文量が多く、短納期ニーズの強い商品については自社で在庫を保有しているが、雑貨を中心に注文量の少ない商品ついては、受注後に、サプライヤーに発注している。
◆ ソリューション(ODPS)
ODPSは、同社のオンデマンドプリントサービスで培った生産管理システムのノウハウをクラウドサービスとして提供したり、生産・出荷プロセスにかかる独自のハードウェア(プリンター、たたみ機、梱包出荷機等)を販売している。同社によると、22/4期上期におけるハードウェアの売上構成比は5割を超えている。
同社はオンデマンドプリントに関する受注システム、発注システムをクラウドサービスとして提供している。受注システムとしては、顧客が初期費用を押さえてオンデマンドECを立ち上げる事ができるデザインシミュレータ付きオンデマンドEC「maker town」を提供している。
ソリューションの顧客は、大手アパレル事業者や中小印刷事業者が中心のようである。アパレル業界や印刷業界等において人手不足に悩む企業が、同社のプリンターやたたみ機の評判を口コミで得て、同社に問い合わせる場合が多いようである。
収益モデルは、クラウドサービスは顧客がソリューションを導入する際に導入料を受け取り、利用期間にわたって月次の定額利用料、及び受発注金額に応じた従量利用料を受け取るというものである。例えば、「maker town」の場合、導入料は数十万円、定額利用料は月数万円、従量利用料は1回数十円程度である。ハードウェアについては、顧客が導入する際に機器の販売代金を受けとり、導入後はトナーなどの消耗品の販売代金や機械保守料を顧客から受け取っている。機械保守料は月次定額料金または保守の都度支払の2パターンがある。