クルーバー<7134> 自社 IT プラットフォームを活用した新サービス開発でサービス事業拡大を目指す

2022/01/12

中古自動車用品の買取・販売事業と新品自動車用品の卸売事業を展開
自社 IT プラットフォームを活用した新サービス開発でサービス事業拡大を目指す

業種: 小売業
アナリスト: 鎌田 良彦

◆ 中古自動車用品のリユース業態と新品タイヤ等の流通卸売業態を展開
クルーバー(以下、同社)グループは、同社と子会社3社からなり、中古カー&バイク用品の買取・販売を行うリユース業態と、タイヤ等の新品自動車用品の卸売を行う流通卸売業態を展開している。

リユース業態は、子会社のアップガレージが直営店舗、フランチャイズ(FC)店舗、及びECサイトのCroooober.com(クルーバードットコム)を通じて、中古カー&バイク用品の買取・販売を行っている。

流通卸売業態は、子会社のネクサスジャパンが、同社グループが開発したITプラットフォームを通じて新品タイヤやその他の新品自動車用品をメーカーから仕入れ、新品タイヤの販売店舗である「東京タイヤ流通センター」の直営店・FC店・加盟店向けに卸売を行っている他、大手中古車販売チェーン向け等に新品自動車用品の卸売を行っている。

米国の子会社UPGARAGE USA Co.,Ltd.は、カリフォルニア州において、海外版Croooober.comを通じて販売された中古カー&バイク用品を日本から輸入・配送する際のデポとしての役割を果たし、今後、米国での中古カー&バイク用品の買取・販売を行うための準備を進めている。

同社はグループ管理を行うとともに、リユース業態の基幹システム(売上・在庫管理、買取査定システム)運用やECサイト構築、ITプラットフォーム開発等を行っている。また、19年6月には新規事業として自動車業界専門の人材紹介サービス「BoonBoonJob」を立ち上げた。

同社グループは、「カー&バイク用品関連の買取、販売及びその付随業務」の単一セグメントであるが、売上高をリユース業態、流通卸売業態、その他の3つに分けて開示している(図表1)。21/3期の売上高は、リユース業態が5,981百万円(売上構成比60.3%)、流通卸売業態が3,926百万円(同39.6%)、その他が15百万円(同0.2%)と、小売事業であるリユース業態の売上高が約60%を占めている。

◆ リユース業態
リユース業態では、アルミホイールやカーナビ、マフラー、サスペンション等の中古カー&バイク用品を主に店舗で個人顧客から買取り、販売している。顧客は殆どが男性で、年代は30~40代が多い。

中古カー&バイク用品を買取に出す顧客は、車やバイクを買い替える際、中古車買取業者は中古自動車用品の価値を見ないため、中古自動車用品を個別に買取に出すケースが多い。この場合、買い替えた車に搭載する中古自動車用品の販売につながることが多い。

リユース業態では店舗展開とEC販売の2つのチャネルで顧客との接点を持っている。店舗展開では、中古カー用品買取・販売の「アップガレージ」からスタートし、中古バイク用品の買取・販売の「アップガレージ ライダース」、中古ホイールの買取・販売の「アップガレージ ホイールズ」、中古車の買取を行う「パーツまるごとクルマ&バイク買取団」、中古工具の買取・販売を行う「アップガレージ ツールズ」の専門店ブランドを立ち上げ、現在は5つの店舗ブランドを展開している(図表2)。

店舗は徳島県と高知県以外の45都道府県に展開しており、21年11月現在の各業態店舗の合計は、直営店44店、FC店195店の合計239店となっている(図表3)。1つの店舗に複数の店舗ブランドを併設しているケースもあるため、拠点店舗数では159店舗である。直営店は東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県を中心に展開し、FC店はその他の地域を中心に展開している。

EC販売は、モール型ECサイトのCroooober.comを通じで行っている。Croooober.comは基幹システムにECサイト登録機能を組み込んだもので、写真情報や適合車種情報等が即座に掲載できる。直営店、FC店以外の企業や販売店、等も加盟・掲載が可能となっている。

リユース業態の売上高は、東京タイヤ流通センター店舗を含めた直営店の売上と、FC店からのロイヤリティ収入、FC店や加盟店がCroooober.comを通じて販売した場合の売上高に応じたEC手数料等からなる。

◆ 流通卸売業態
流通卸売業態では、子会社のネクサスジャパンが、クラウドベースの受発注ITプラットフォーム「NEXLINK(ネクスリンク)」をベースに開発した「東京タイヤ流通センター」向けと、「チェーン展開企業向けITプラットフォーム」の2つのシステムを通じ、新品タイヤやその他新品自動車用品の卸売業務を行っている。

東京タイヤ流通センターは、元々はアップガレージ店舗で取り扱いニーズが高かった新品タイヤやオイル、バッテリーを扱う販売チャネルとして設立したもので、アップガレージの直営店やFC店への併設店が多い。整備工場等が店舗単位で加盟することも可能で、21年11月現在の加盟店は168店となっている。東京タイヤ流通センター加盟店では、サイズ別に「ゴールド・プラチナ・ダイヤモンド」の3プライスでの新品タイヤ販売を行っている。

「チェーン展開企業向けITプラットフォーム」は、メーカーとチェーン展開企業間の受発注を行うITプラットフォームである。主要販売先として開示されている、中古車販売のGulliver等を展開するIDOM(7599東証一部)は、「チェーン展開企業向けITプラットフォーム」の大口顧客である(図表4)。

一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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