コアコンセプト・テクノロジー<4371> 独自のDX開発基盤の適用業種拡大とパートナー企業人材の活用で成長を目指す

2021/09/27

製造業・建設業向け中心のDX支援サービスとIT人材調達支援サービスの2本柱
独自のDX開発基盤の適用業種拡大とパートナー企業人材の活用で成長を目指す

業種: 情報・通信業
アナリスト:鎌田 良彦

◆ DX支援サービスとIT人材調達支援サービスの2本柱
コアコンセプト・テクノロジー(以下、同社)は、ITベンダーとしてコンサルティングとIT技術を融合し、独自のシステム開発基盤を活用して製造業・建設業向けにデジルトランスフォーメーション(以下、DX)支援を行うほか、Salesforceのカスタム導入支援、大手システムインテグレータやコンサルティング会社の二次請けとしてDX推進のためのシステム開発等を行っている。

同社の事業は、DX関連事業の単一セグメントであるが、サービス内容は、大きくDX支援サービスとIT人材調達支援サービスに分かれる。売上高は両サービスでほぼ半々となっている。

◆ DX支援サービス
DX支援サービスは、製造業・建設業向けにDX構想から仕組み構築、内製化までを一気通貫で提供するDX支援のほか、Salesforceのカスタム導入支援等も行っている。DX支援サービスでは、顧客企業からの一次請けが中心となっている。

1) CCT-DX Method
同社は顧客のDX実現を一気通貫で伴走支援するため、独自手法であるCCT-DX Methodを活用している。

CCT-DX Methodは、①目指す姿の策定、②技術検証、③仕組み構築、④運用・内製化支援の4つのステップからなり、最終的には顧客がシステムの開発・運用を内製化することを目指している。

まず、①目指す姿の策定では、DX実現後のあるべき姿をDX-ToBeダイジェストという形で可視化する。②技術検証では、システムが技術的に実現可能かについてプロトタイプを作成して実際のデータを用いて検証する。実際のデータを用いて検証するところが当社の強みとなっている。③仕組み構築では、顧客のシステム部門と共同アジャイル開発注1を行い、システムを構築すると同時に顧客のIT人材育成をサポートする。④運用・内製化支援では、同社の開発パートナー企業の人材を紹介することにより、システム開発後も顧客の内製化支援のサポートを行う。

2) Orizuru
Orizuruは、製造業・建設業向けのDX製品であり、Orizuruの機能を用いて顧客の個別のDXニーズに対応したシステムにカスタマイズするDX開発基盤でもある。Orizuruは、Orizuru 3DとOrizuru OPC UAの2つの機能で構成されている。

Orizuru 3Dは3次元CAD注2データを軽量化してPCやスマホ上に表示するOrizuru 3D Viewerと過去の設計や製造、見積り等のデータの中からAIによって類似性を検索するOrizuru 3D類似検索からなる。主に製造業の上流工程で部品の製造原価や発注価格の自動見積り等に利用される。従来は1週間から1カ月程度かかっていた人手による見積り業務を、数分から10分程度で終えることができる。

Orizuru OPC UAは、データの収集や工程の自動化を実現する通信基盤である。工場の製造工程等において設備・装置の状態をデータとしてリアルタイムで把握し、その解析結果に基づいて設備・装置に自動的に指示を出すことができ、製造の自動化が実現できる。

◆ IT人材調達支援サービス
IT人材調達支援サービスでは、主に大手システムインテグレータやコンサルティング会社等からの二次請けとして、システム開発を行っている。その際には、同社が独自に開拓した中小IT企業からなる開発パートナー企業の人材も活用する。

また、従来は同社がパートナー企業の人材のスキルや過去の開発実績等をデータベース化し、人材調達システムとして自社活用してきたOhgiを、外部のユーザーも使えるように案件登録機能やチャット機能等を追加し、21年2月にIT人材調達プラットフォームOhgiとしてリリースした。今後は、Ohgiを活用して、システム内製化段階に達した顧客のIT人材ニーズとパートナー企業のIT人材をマッチングさせて紹介手数料を得る計画である。

◆ 顧客基盤と主要販売先
過去4期の実績をみると、同社の顧客数と売上高はともに順調に拡大してきた(図表1)。1 顧客当たりの平均売上高は20/12 期で26 百万円程度とな るが、売上高が5 億円を超える大口販売先がある一方で、DX 開発の初期 段階やSalesforce 導入案件、少人数・短期間のIT 人材調達支援サービス では顧客当たり売上高が小さいケースもあり、顧客当たり売上高はばらつき が大きい。

示されている主要販売先で、ミスミグループ本社(9962 東証一部)傘下のミスミはDX 支援サービスの大口販売先、シンプレクス・ホールディングス(4373 東証一部)傘下のシンプレクスは二次請けとしてシステム開発を行うIT 人材調達支援サービスの大口販売先である(図表2)。DX 支援サービスについては、対象とする事業や工場、地域の広がり等により、サービス提供期間が長期にわたる。IT 人材調達支援サービスについても、他の顧客案件への参画等により、契約が長期にわたる傾向がある。このため、同社の売上高の8 割以上が既存顧客からの売上となっている。

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資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。