ブレインズテクノロジー<4075> 外観検査等、異常検知ソリューションの機能拡充と用途拡大で成長を目指す

2021/08/12

企業向けに異常検知ソリューション、企業内検索エンジンのAIソフトウェアを提供
外観検査等、異常検知ソリューションの機能拡充と用途拡大で成長を目指す

業種: 情報・通信業
アナリスト: 鎌田 良彦

◆ 企業のDXを加速する2つのAIソフトウェアを提供
ブレインズテクノロジー(以下、同社)は、企業経営のデジタルトランスフォーメーション(DX)を促進する、異常検知ソリューションImpulseと企業内検索エンジンNeuron Enterprise Search(以下、Neuron ES)の2つのAIソフトウェアを提供している。

2つのAIソフトウェアは、開発スピードと価格競争力を確保するために、共通化されたプラットフォーム(Enterprise AI FW)と基盤技術(Enterprise AI Core)上で、企業の大規模データを処理するアプリケーションソフトとして開発されている。

◆ Impulse
Impulseは、企業の業務活動から発生する多種多様な機器データ、センサーデータ、動画像データ等を収集、加工、整理して、機械学習により異常検知や外観検査、要因分析等のためのモデル構築、モデル運用を行うシステムである。

製造業では生産ラインにおける不良品検出や、外観チェックの機械化等に利用されている。建設業では建設現場におけるタワークレーンや工事用エレベーターの遠隔操作による故障予兆検知等に利用されている。通信業ではネットワークを構成する機器のサイレント障害注1回避のための設備監視等に利用されている。

製品の特長としては、データサイエンティスト等の専門人材がいなくても、企業のユーザーが、プログラミングなしに設定を行うだけでモデルの構築と運用ができるオートモデリング(AutoML)機能により、機械学習のプロセスを自 動化している点がある。同社はこのAutoML 機能で特許を取得している。

◆ Neuron ES
Neuron ES は、企業内のファイルサーバーやポータルサイト、オンラインストレージ等様々な場所に保存されている文書やデータを検索する企業内検索エンジンである。ファイルを開かずにキーワードに関連する文章を参照できるサムネイル機能や、モバイル機器での利用が可能となっている。

企業全体の検索プラットフォームとしての採用や、検索業務が多い研究開発部門等の一部の部署での採用が可能であり、製造業、建設業、IT 業界を中心に導入されている。

◆ ビジネスモデルと売上構成
同社の2 つのAI ソフトウェアは、Amazon.comのAWS やMicrosoft のAzure 等を利用するクラウド型とオンプレミス型注2 の双方に対応している。

同社は、エンタープライズAI ソフトウェア事業の単一セグメントであるが、売上高をソフトウェア・ストック売上、ソフトウェア・買取売上、作業売上に分類して開示している。

ソフトウェア・ストック売上はソフトウェア売上の内のサブスクリプション形態の場合の利用料と買取形態の場合のソフトウェア保守ライセンス料の合計である。ソフトウェア・買取売上は買取形態の場合のソフトウェア使用ライセンス料であり、作業売上は製品の導入支援やトレーニングといったサービスへの対価である(図表1)。20/7 期の売上構成比はソフトウェア・ストック売上が34.1%、ソフトウェア・買取が24.7%、作業売上が41.2%となっている。製品別では、Impulse の売上高が全体の半分強を占めた。

また、販売ライセンス数を累計のストックライセンス数と新規買取ライセンス数に分けて開示している(図表2)。累計ストックライセンス数の増加が、売上の拡大につながっている。

◆ 顧客基盤
20/7期末の顧客数は147社であり、うち48社は複数のライセンスを購入している。また、17社の顧客はImpulse、Neuron ESの双方を利用している。20/7期の業種別売上構成比は、製造業が45.6%、情報通信業が25.6%、建設業が13.0%で、3業界で84.2%を占めている。

同社の売上は、直販に加え、販売パートナーによる売上があるが、20/7期では直販の比率が約60%となっている。主要販売先である丸紅情報システムズ(東京都新宿区)はNeuron ESの主要販売パートナーであり、岡谷システムは岡谷鋼機(7485名証一部)の子会社で、Impulseの主要販売パートナーである(図表3)。

一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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