Branding Engineer<7352> ITエンジニア対象の人材サービスプラットフォームの構築・拡充を志向

2020/07/16

ITエンジニアに特化してスキル開発や就業機会創出等の各種サービスを展開
ITエンジニア対象の人材サービスプラットフォームの構築・拡充を志向

業種: サービス業
アナリスト: 藤野 敬太

◆ ITエンジニアに特化してサービス展開
Branding Engineer(以下、同社)は、ITエンジニアに関する様々なサービスを提供する企業である。ITエンジニアにはスキル開発や就業機会といったキャリアに関するサービスをワンストップで支援する仕組みを提供する。一方で、そのITエンジニアのリソースを、ITサービスの開発力を必要とする企業に供給することで、ITエンジニアとITエンジニアを必要とする企業の両方の需要を満たす形で事業展開をしている。

19/8期まで同社の事業は、サービスの種類別に、Midworks事業、メディア事業、FCS事業、その他の4セグメントに分類されていたが、20/8期からは、それまでその他に含まれていたtech boost事業を新たに報告セグメントとしたことにより、5セグメントになった(図表1)。Midworks事業は、売上の70%超を占める主力サービスである。一方、他の事業は売上構成比こそ低いものの、セグメント利益率が高く、利益への貢献度合いは大きい。

◆ Midworks事業
20/8期第2四半期累計期間(以下、上期)の売上高の75.5%を占める主要事業であり、フリーランスのITエンジニアに対して独立支援をしながら、ITエンジニアと、ITエンジニアを必要とする企業をマッチングさせるサービスが主体である。

Midworks事業のサービスの対象となるITエンジニアには、(1)フリーランスのITエンジニア、(2)同社の社員として雇用されているITエンジニア(社員エンジニア)、(3)外部協力企業のITエンジニアという3つのタイプがある。稼働している人数はフリーランスが多い。フリーランスのITエンジニアと社員エンジニアでは、働き方に対する考え方や習得している技術にそれぞれ特徴があるため、マッチングする仕事のタイプにもそれぞれ一定の傾向があると推察される。また、外部協力企業のITエンジニアは、需給のバランスをとるために変動的に投入されている。

ITエンジニアが安心して働けるように、フリーランスのITエンジニアには独立に対する不安材料を軽減する「Midworks」サービスが、社員エンジニアには福利厚生を厚くした「Mugenworks」サービスが、それぞれ用意されている。外部企業のITエンジニアに対しては特に用意されているサービスはない。

一方、企業に対するサービス提供には、(1)準委任契約に基づいて客先にITエンジニアを常駐させるSES注サービス、(2)派遣契約に基づく人材派遣サービスという2つの形態があるが、SESサービスが主体となっている。

収益構造は、顧客企業から支払われる受注内容に応じた報酬が売上高、エンジニアに対する支払いである業務委託料(外注費として計上)または労務費が原価となる。

◆ メディア事業
20/8期上期の売上高の9.9%を占める事業である。ITエンジニアを中心とするビジネスパーソン向けの情報発信メディアを運営している。ITエンジニアに対して主にキャリアに関する情報発信を行う「Mayonez」や、ビジネスパーソン向けの「Tap-biz」を中心に、複数のメディアを展開している。収益モデルとしては、広告掲載に対する広告料収入を売上高とし、外部のライターに対して支払う執筆料と、アクセスを増やすために利用しているGoogle等の検索エンジンへ支払う広告宣伝費が主な費用となっている。

また、情報発信メディアを運営してきたノウハウを活かして、他社メディアの運営受託や記事作成代行、コンサルティングを行う「SAKAKU」というサービスを20/8期に開始した。こちらは、サービス提供の都度に収益を得る。Google等の検索エンジンを利用していないため、時折発生するアルゴリズム変更による影響を受けないのが特徴である。

メディア事業の位置づけは、広告料収入やコンサルティング料を得るだけではない。メディアを訪れたITエンジニアもしくはITエンジニア志望のビジネスパーソンを、Midworks事業や後述するtech boost事業のサービスに誘導し、他のサービスの収益に貢献する役割も担っている。

◆ FCS事業
20/8期上期の売上高の4.5%を占める事業である。創業当初からの事業で、自社にエンジニア部門がない企業に対して、受託開発サービスやコンサルティングサービスを提供している。受託開発サービスの案件は、ウェブサービスやアプリを利用したサービス展開のためのシステム開発が多い。コンサルティングサービスは、将来的に自社でエンジニアチームを持ちたいという企業に対し、エンジニアの採用も含めたチーム立ち上げの支援を行うことを得意としている。

受託開発サービス、コンサルティングサービスとも、顧客企業とは請負契約を結び、開発物やサービスの提供に応じて支払われるものが同社の売上高に、エンジニアの労務費または外注費が原価となる。

◆ tech boost事業
20/8期上期の売上高の7.3%を占め、売上構成比を急速に高めているtech boost事業では、ITエンジニアを目指す人向けにプログラミング教育を提供している。基本から最先端の技術まで幅広い教育コンテンツを用意しているが、その大半はオンラインでのシステム学習により完結するようになっている。また、同社と業務委託契約を締結している現役のITエンジニアをマンツー マンのメンターにつけていることが大きな特徴で、受講者の理解度や満足 度を高める仕組みとして機能している。

また、20/8 期からは、就業機会の提供とセットにした転職保証型の「tech boost pro」サービスの提供を開始している。

tech boost 事業は、同社のサービスでは唯一、IT エンジニア(またはその希望者)から対価を受け取るサービスである。IT エンジニアからの受講料を売上高とし、メンターまたは講師に対して支払われる委託料が原価となる。

◆ その他
20/8 期になって、tech boost 事業を独立したセグメントとしたため、20/8 期からは、その他にはTechStars のサービスのみが含まれている。20/8 期上期の売上高の2.8%を占めている。

TechStars はIT エンジニア特化した転職支援サービスである。案件が発生した際に対応する形で展開している。転職支援が成功した際に受け取る成功報酬が収益の源泉となる。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。