フォースタートアップス<7089>成功報酬型人材紹介サービスを核に、周辺サービスを拡充中

2020/03/17

人材資源を中心にスタートアップ企業を支援するサービスを展開
成功報酬型人材紹介サービスを核に、周辺サービスを拡充中

業種: サービス業
アナリスト:松尾 十作

◆ 人材紹介を核に成長産業支援を展開
フォースタートアップス(以下、同社)は、社会にイノベーションをもたらすスタートアップ企業に対し人材を始めとする様々な支援を行う成長産業支援事業を行っている。サービス別ではタレントエージェンシーサービスと19年4月から開始したアクセラレーションサービスに大別される(図表1)。

タレントエージェンシーサービスは、スタートアップ企業に対して人材紹介サービス、採用支援サービスなどを提供している。

人材紹介サービスは創業時からのサービスで、ヒューマンキャピタリストと称する転職を支援するコンサルタントが人材をスタートアップ企業に紹介し、入社した時点で成功報酬としてのコンサルティングフィーを受け取っている。但し入社した人材が一定期間内に退職した場合は、契約内容に基づき報酬の一部を返金する。19/3期に同社が転職を支援し紹介した会社への入社人員(以

下、取引数)は406 名、1 取引数当たりの平均コンサルティングフィーは2,459 千円であった(図表2)。コンサルティングフィーは、一般的な人材紹介会社と 同様に年間報酬額見込みの

30%から35%であるが、経営トップ層に近い人 材の場合は50%から100%の場合もある。

ヒューマンキャピタリストは候補となる人材を、人材紹介会社の人材データベースを利用して発掘している。国内の人材紹介会社の多くは転職希望者を自社で集めているのに対し、同社はスタートアップ企業が求める人材を効率的に発掘できるよう、外部のデータベースを利用している。スタートアップ企業に同社が紹介した人材が入社した場合には、利用したデータベースを保有する人材紹介会社に、手数料を払う仕組みである。

利用する外部のデータベースとしてはビズリーチ(東京都渋谷区)が多い。ビズリーチのデータベースを利用して同社が得たコンサルティングフィーは、19/3 期の売上高の65.4%を占めている。転職希望者は複数の人材紹介会社に登録する傾向があるため、人材情報源としては数社の人材紹介会社のデータベースで十分としている。

ヒューマンキャピタリストは、独立系のベンチャーキャピタルからスタートアップ企業の情報を得て、スタートアップ企業の経営陣と接触し情報交換をすることで、求める人材像を把握し、データベースから候補者を選定している。

ベンチャーキャピタルを対象としている同社のデータベースもあり、同社が運営しているWeb サイトの「STARTUP DB」である。同サイトは公開されており、誰もが無料で閲覧でき、11,000 社以上(19 年12 月末時点)の企業情報、資金調達状況、ニュース、インタビュー等多数のコンテンツが掲載されている。このWeb サイトには、誰もが無料閲覧できるコンテンツとは別に同社のヒューマンキャピタリストがアクセスできる限定されたコンテンツがある。

同社はスタートアップ企業が属する業態や成長性、及び当該会社へのベンチャーキャピタルからの投資額等を踏まえ、同社独自のアルゴリズムを用いて各スタートアップ企業を数値化している。同社が考える成長性が高いと思われる企業に対して優先的に人材紹介サービスを提供している。

18 年3 月から開始した採用支援サービスは、スタートアップ企業をより一層支

援するためのもので、サービス利用企業に対して候補者の提案やターゲット人材の設定等のコンサルティングサービスを定額で提供している。

アクセラレーションサービスは、スタートアップ企業に対する人材支援サービ
ス以外のサービスを指している。具体的には、オープンイノベーションサービ
ス、採用ブランディングサービスを展開している。オープンイノベーションサー
ビスは、社内で新事業を模索している、或いは企業が経営の多角化やイノベ
ーションのために資金を他の企業に出資している大手企業を顧客としている。
大手企業には、同社のデータベースを活用してスタートアップ企業に関する
情報等を提供している。採用ブランディングサービスは、スタートアップ企業
に対して、ブランドイメージ向上に係るコンサルティングを行っている。

>>続きはこちら(1.12 MB)

一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。