ウイルテック<7087>主力の製造請負・製造派遣の動向が全体の成長を左右する展開が続く見込み

2020/03/12

製造請負・製造派遣を中心に人材サービスを展開する企業
主力の製造請負・製造派遣の動向が全体の成長を左右する展開が続く見込み

業種: サービス業
アナリスト: 藤野 敬太

◆ 製造請負・製造派遣を中心に人材サービスを展開
ウイルテック(以下、同社)は、製造請負・製造派遣を中心に、主にエレクトロニクス業界向けに人材サービスを展開している。企画・開発、製品設計、生産・組立、流通・販売、保守という製造業の一連のバリューチェーンのうち、生産・組立のプロセスにおけるアウトソーシング需要を取り込む形で成長してきた。その上で、連結子会社を通じて、製品設計や流通・販売のプロセスにも事業領域の拡大を進めている。

同社の事業は、マニュファクチャリングサポート事業、コンストラクションサポート事業、EMS事業の3つの報告セグメントに分類される(図表1)。20/3期第3四半期累計期間において、売上高の71.3%、営業利益の86.0%をマニュファクチャリングサポート事業が占めている。

◆ 請負と人材派遣
マニュファクチャリングサポート事業に属する製造請負・製造派遣が同社の事業の中心となる。請負と人材派遣はどちらも、事業者(人材サービス会社にとっての顧客企業)が事業を行う現場にて外部の労働力を活用する手段ではあるものの、契約形態及びビジネスモデルが大きく異なっている。

請負は、顧客企業と契約した成果物を人材サービス企業の責任で完成させ、顧客企業に提供するサービスである。あくまで成果物についての契約であるため、従事するスタッフは同社の指揮系統の下にある。また、売上高は「成果物単価×成果物個数」で表され、生産効率が上がった分の一部は人材サービス企業の収益増につながる。

人材派遣は、人材サービス企業が雇用するスタッフを、派遣先である顧客企業の指揮命令の下で労働に従事させるサービスである。売上高は「1名当たり時間単価×労働時間×派遣人数」で表され、派遣したスタッフに対しては、その労働時間に応じた給与を支払う(原価計上)。

同社は、顧客企業のニーズを考慮しながら、請負も人材派遣も行っている。

◆ 機能別のグループ経営
同社グループは、同社と6社の連結子会社で構成されている。同社は事業持株会社としてマニュファクチャリングサポート事業を担当しており、コンストラクションサポート事業はワット・コンサルティングが、EMS事業はデバイス販売テクノが、それぞれ担当している(両社とも連結子会社)。また、報告セグメントには含まれないその他に含まれる事業を4社の連結子会社が担当している。

◆マニュファクチャリングサポート事業
同社が直接担当する事業で、製造請負・製造派遣事業、機電系技術者派遣事業、修理サービス事業の3事業で構成される。顧客業種の大半が製造業だが、同事業の19/3期の売上高の32.4%が電子部品・デバイス等メーカー、19.1%が情報通信機械器具メーカー、13.9%が電機機械器具メーカーによるものとなっており、合計65.4%がエレクトロニクス関連向けと言えよう。

(1) 製造請負・製造派遣事業
マニュファクチャリングサポート事業の中心となる事業であり、同社は主に製造業の顧客企業の製造現場に対し、請負及び人材派遣のサービスを提供している。製造請負と製造派遣の売上高はほぼ同額と推察される。

(2) 機電系技術者派遣事業
エレクトロニクスや機械等の設計関連の技術者を中心に、人材派遣をするサービスである。18/3期まではワット・コンサルティングの事業だったが、18年4 月に同社に事業譲渡された。

(3) 修理サービス事業
破損または不具合発生の製造物を補修、修理するサービスを行う。主に太陽光発電の電源設備やコーヒーメーカー等の電気機器の訪問修理を行う。

◆ コンストラクションサポート事業
05 年3 月に連結子会社化したワット・コンサルティングが担当する、建設系技術者の人材派遣を行う事業である。

◆ EMS 事業
14 年10 月に連結子会社化したデバイス販売テクノが担当し、受託製造事業と電子部品卸売事業で構成される。

受託製造事業は、電子機器等の受託生産を行うサービスで、多品種小ロットの製品が中心である。具体的には、電気機械等に内蔵されるプリント基板の実装工程の受託が多い。

電子部品卸売事業では、電子部品メーカーから購入した電子部品を、電機メーカーに対して販売を行っている。

◆ その他
報告セグメントの事業以外に、ウイルハーツが担当する障がい者支援事業、宮崎ウイルファームが担当する畜産業、ベトナムのWILLTEC VIETNAM Co., Ltd.及びミャンマーのWILLTEC MYANMAR Co., Ltd.の2 社は海外事業として、海外人材の育成等を行っている。

◆ 売上高の決定要因となるスタッフ数の推移
マニュファクチャリングサポート事業及びコンストラクションサポート事業は、請負か人材派遣かの形態の違いはあれ、スタッフを労働力として提供するサービスである。そのため、売上高は抱えているスタッフ数に大きく左右される。

19 年12 月末時点で、正社員と臨時雇用者(平均)の合計は、単体で4,007 人、連結で4,863 人に達している。同社は正社員比率の高さが特徴であり、19 年12 月末時点の正社員比率は単体で77.7%、連結で77.2%と上昇を続けている(図表2)。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。