マクアケ<4479> Makuakeの認知度向上とブランド力の強化により持続可能な成長を目指す

2019/12/16

クラウドファンディングプラットフォーム「Makuake」を運営
Makuakeの認知度向上とブランド力の強化により持続可能な成長を目指す

業種: 情報・通信業
アナリスト: 大間知 淳

◆ クラウドファンディングプラットフォーム「Makuake」を運営
マクアケ(以下、同社)は、購入型クラウドファンディングプラットフォーム「Makuake(マクアケ)」を運営するサイバーエージェント(4751東証一部)の連結子会社である。

クラウドファンディング(Crowdfunding)とは、群衆(Crowd)と資金調達(Funding)を組み合わせた造語であり、あるプロジェクトの実行者(以下、実行者)が、インターネット上のサービスサイト(プラットフォーム)を通じて不特定多数のプロジェクトの支援者(以下、支援者)から支援金を得る仕組みである。プロジェクトが実現した時に、実行者から支援者に提供される商品やサービス等の支援者に対するリターンは、以下の3形態に大別される。

1) 寄付型~金銭的・物質的なリターンがない形態。NPO法人による運営が多い。インターネットによる募金活動。

2) 投資型~企業が個人投資家から融資を受け、金銭的なリターン(利息)を支払う形態。ソーシャルレンディングとも呼ばれる。

3) 購入型~実行者が商品・サービス等の物質的なリターンを支援者に提供する形態。

同社が運営するMakuakeは、購入型に分類されるが、矢野経済研究所によると、17年度の国内購入型クラウドファンディングにおいて、年間支援金規模で同社が首位となっている。

同社は、13年5月にサイバーエージェントの子会社として設立され、同年8月からMakuakeのサービスを開始した。サイバーエージェントは、19年10月時点で同社の発行済株式総数の78.1%を保有していたが、公募増資や売出しを実施した上場後も同社株式の59.1%を保有する親会社にとどまる見通しである。

同社の取締役は5人であるが、非常勤取締役である中山豪氏はサイバーエージェントの常務取締役である。また、同社の売上高にサイバーエージェントに対するものはないが、費用については、19/9期において広告宣伝費の立替経費の支払が存在している。

同社グループは、「クラウドファンディング事業」の単一セグメントであるが、サービス別の事業内容や売上高等の情報が開示されている(図表1)。

(1) Makuakeサービス
クラウドファンディングプラットフォームMakuakeを通じて、新しいアイデアや優れた技術等を用いた製品やサービスの実現及びその加速を目指す企業や個人(実行者)と、そのプロジェクトを支援する複数の個人等(支援者)とを、インターネット上でマッチングするサービスである。

サービスの概略は以下の通りである。

① プロジェクトの実行者が実現を目指すプロジェクトについて同社に申し込む。

② 同社は実行者に対して計画進捗に関するコンサルティングを行う。

③ プロジェクトの適正性や実現可能性に関する審査を実施した上で、サイト上に公開する。

④ 支援者は掲載されたプロジェクト情報及び支援額に応じて設定されたリターンを踏まえて支援を行う(代金を同社に前払いする)。

⑤ プロジェクトが成立した場合、同社は実行者に対して支援者の支援金から手数料等を控除した金額を支払う。

⑥ 実行者が支援者にリターンを提供する。

支援者から実行者への支援金提供の決定方法には、プロジェクト掲載の終了期日までに集められた支援額が目標額に達しなくても実行者に提供されるAll-in方式と、支援額が設定された目標額に達した場合のみ実行者に提供される(目標額に達しない場合は支援金が支援者に返還される)All or Nothing方式がある。同社では、プロジェクト内容に応じて決定しており、概ね9割がAll-in方式となっている。

掲載プロジェクトのジャンルとしては、プロダクト系(各種新製品の開発等)が最も多い。その他、飲食分野(飲食店開業における会員権や食事券の予約販売等)や、映像や映画のチケットの予約販売、「ふるさと納税型クラウドファンディング:Makuakeガバメント」等も扱っている。

(2) Makuake Incubation Studioサービス
Makuake Incubation Studio(以下、MIS)では、企業等が有する研究開発技術を活かした新事業を創出することを目的に、新製品の企画、企画を実現するためのパートナーマッチング、プロジェクトの戦略立案や事業計画、マーケティングレポートの作成等、製品開発領域における各種インキュベーションサービス(新事業創出のための支援業務)を企業に提供している。

MISを利用した企業は、量産前の新製品をMakuakeに掲載して市場評価を行い、量産化の判断の参考にしている。同サービスの顧客としては、シャープ(6753東証一部)、キングジム(7962東証一部)、富士通(6702東証一部)等が挙げられる。

(3) その他のサービス
同社は、Makuakeの運営に関連して、以下のサービスを提供している。

・EC(電子商取引)サイト運営サービス
Makuakeで創出されたプロダクト(商品)を「Makuakeストア」にて販売取次するサービス。プロジェクト終了後も実行者にプロダクトを販売する機会を提供し、同社はサイトの販売実績に基づく手数料を受領している。

・広告配信代行サービス
Makuakeにおける顧客支援額の拡大を目的に、実行者に対してFacebookやTwitter 等のSNS 広告等を利用した広告配信を代行するサービス。同社は広告メディアや広告代理店に支払う広告媒体費を利用企業から受領している。

・Makuake SHOP サービス
全国各地の様々な業態のパートナー企業と連携したリアル店舗「Makuake SHOP」をプロジェクトが成立した実行者に紹介するサービス。同社は実行者から販売実績に基づく手数料を受領している。

・販路紹介サービス
プロジェクトが成立した実行者に、同社が提携している販売業者を販路として紹介するサービス。同社は販売業者から販売実績に基づく手数料を受領している。

◆ 決済総額の拡大を目指して経営している
同社は、Makuake サイトにおける決済金額(税込)の総額(以下、決済総額) の一定率を手数料として受領しているため、決済総額を最重要指標としており、その拡大に注力している。収益には直接関係はないものの、Makuake のプラットフォームとしての規模感及びユーザー行動(サイトへの訪問やリピート決済の状況)の健全性を測定する係数として以下の経営指標も重視している。

・アクセスUU(ユニークユーザー)
Makuake サイトへの訪問者数(名寄せ後)。会員及び非会員を合わせたサイトへの訪問者数。期間中にサイトを訪問した人数はサイトの認知度の尺度であり、潜在的会員数でもあるため、同社はその拡大による会員基盤の拡大を目指している。

・会員数
Makuake サイトで会員登録をした累計人数。会員数は決済者や潜在的決済者であるため、同社はその拡大による決済総額の成長を推進している。

・会員UU(ユニークユーザー)
期間中にサイトを訪問した会員の人数(名寄せ後)。会員UU は会員登録したユーザー中のアクティブであるユーザーの数であり、同社はその拡大による会員のリピート利用及びリピート決済の増加を目指している。

・リピート決済率
Makuake における決済金額の内、過去1 年間において決済実績がある支援者による決済金額の割合。リピート決済率はロイヤルカスタマーの割合とも考えられるため、同社はその割合を高水準で維持することで、強固な会員基盤、安定収益を確保することを目指している。

16/9期から19/9期における四半期ベースの主要管理指標の推移は図表2の通りである。

◆ 売上総利益率が高いビジネスモデル
同社の主力サービスであるMakuakeは、売上高の約7割を占めている。その手数料率はMakuakeの決済総額の約2割である。

同社の売上総利益率は18/9期が82.1%、19/9期が80.7%と高い。公表されている18/9期の売上原価明細書によって、主要原価項目の当期総製造費用に占める比率をみると、広告配信代行サービスに対する原価である広告媒体費が55.1%と過半を占めている。以下は、業務委託費が14.9%、労務費が10.9%、サーバー利用料が8.6%、ソフトウェア減価償却費が8.1%となっている。

広告配信代行サービス等によって構成されるその他のサービスについては、18/9期の売上高が139百万円であるのに対して、広告媒体費は111百万円に達している。その他のサービスの売上高の内訳は開示されていないが、その大半は広告配信代行サービスであると証券リサーチセンターでは推測しており、その他のサービスの売上高構成比の上昇は同社の売上総利益率の悪化要因になると考えている。

販売費及び一般管理費(以下、販管費)については、「給料及び手当」と、決済総額に連動する「回収手数料」が中心である。18/9 期の販管費率は66.0%、営業利益率は16.1%であったが、トラブルへの対応コストが増加した19/9 期においては、販管費率が71.5%に上昇したこと等から、営業利益率は9.3%に低下した。

同社は支援者から受領した支援金をプロジェクトの掲載期日までの間、預り金(流動負債)に計上している。19/9 期末の預り金は800 百万円(前期末比57.8%増)に達しており、20/9 期の業績は好スタートが期待される。他方、19/9 期末において、預り金は総資産の57.2%を占めているため、自己資本比率は20.4%と低水準である。しかし、同期末の有利子負債は77 百万円に過ぎない一方、現金及び預金の残高は預り金の金額を上回る879 百万円であることから、同社の財務体質に大きな問題はないと考えられる。

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ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。