要興業<6566> 収集運搬ルートの「路線化」等の競争優位性に磨きをかけてシェア拡大を図る

2019/04/09

東京23区を地盤に事業所からの廃棄物を扱う総合廃棄物処理業大手
収集運搬ルートの「路線化」等の競争優位性に磨きをかけてシェア拡大を図る

業種: サービス業
アナリスト: 藤野敬太

1.会社概要
・要興業(以下、同社)は、一般的な事業所から排出される廃棄物の収集運搬、処分、リサイクルを中核事業としている。事業地域は東京23区であり、東京23区の民間事業者の中ではトップシェアである。

2.財務面の分析
・顧客の増加により増収基調できたが、15/3期はドライバーの労働時間の適正化を目指したことが要因で減収減益となった。また、低利益率のヨドセイの買収により16/3期以降連結業績の開示となったが、連結全体の売上高経常利益率を下げる要因となった。
・廃棄物の収集・運搬と中間処理を行う上場企業との比較では、安全性に関する指標の優位性が目立つ。収益性や成長性も総じて遜色はないが、経常利益の成長性が低い点には留意しておきたい。

3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、競争優位性を支える仕組み(組織資本)にあり、その多くは自社開発によって導入されてきた。これらにより、運搬車両の効率的運用を実現したほか、サービス品質の向上を通じて、顧客や行政受託案件の獲得(関係資本の増強)につながっていった。

4.経営戦略の分析
・対処すべき課題として、廃棄物に関するコンプライアンス体制の更なる強化、用地の取得、設備老朽化への対応が挙げられる。
・同社はシェア拡大を成長戦略の中心に据えており、顧客数の増加や取り扱う廃棄物の種類の増加、リサイクル率の向上を図っている。そのための経営基盤の強化に向け、積極的な設備投資を続けていく方針である。

5.アナリストの評価
・証券リサーチセンターでは、市場全体の拡大が見込みづらい廃棄物処理関連の業界では、同社が志向するシェア拡大戦略が適切と考え、また、ハードとソフトのバランスの良さの上に成り立つ同社の競争優位性を評価している。一方、競争優位性を高めるための先行投資的な費用増が短期業績を損なうことで、実際の競争力に対する評価と株価の評価の間に乖離が生じる局面が出てくる可能性がある点には留意しておきたい。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。