ミンカブ・ジ・インフォノイド<4436> 「みんなの株式」等の運営並びに情報系フィンテックソリューションを提供

2019/03/26

AI、クラウドインプットによる情報生成技術を活用した金融情報メディア
「みんなの株式」等の運営並びに情報系フィンテックソリューションを提供

業種: 情報・通信業
アナリスト: 髙木伸行

◆ 情報の価値を具現化する企業
AI を活用したコンテンツ自動生成技術」とネットユーザーの投稿や閲覧とい った「クラウドインプットを活用したコンセンサス情報の生成技術」が、ミンカ ブ・ジ・インフォノイド(以下、同社)のコア・テクノロジーである。同社は、この コア・テクノロジーを金融・経済をテーマとした分野に利用しており、個人向 けにはメディアサービス(メディア事業)を通じて、法人向けにはソリューショ ンサービス(ソリューション事業)を通じて情報を生成、配信している。

同社の持つコア・テクノロジーが活かせる分野は金融・経済の分野に限定さ れるわけではない。今後はスポーツの分野等でもメディアサービスやソリュ ーションサービスを展開して行くことを考えている。

◆ 国内展開へ資源を集中
同社は 18/3 期末までに全ての連結子会社を吸収合併、清算、売却を行い、 海外事業等から撤退した。海外関係に関連する損失を計上する等、負の資 産を処分し、19/3 期を国内でのメディア事業とソリューション事業にリソース を集中した形で迎えている。当レポートでは同社業績の推移をより適切に把 握するために、18/3 期の損益項目については、未監査の連結数値を単独 数値に優先して記述している。

同社の事業は、メディア事業とソリューション事業の二つのセグメントからな る。メディア事業の売上高は 18/3 期の連結売上高の 45.4%を、ソリューション事業は 54.6%を占めている(図表 1)。単独ベースではソリューション事業 の売上高は608百万円となり連結ベースの3 分の2 の水準にとどまるが、こ れは 18 年 11 月に吸収合併した子会社エムサーフの 4 月から 10 月までの 売上高が含まれていないためである。

◆ メディア事業
メディア事業では「みんなの株式」、「株探(Kabutan)」といったソーシャルメ ディアを活用したユーザー参加型や AI を活用した自動生成型の株式情報 サイトを始め、外国為替や投資信託、保険等様々な金融商品の情報を投資 家に直接提供する(B2C)インターネットメディアを多数運営している(図表 2)。

同社の運営するサイトを訪れるユニークユーザー数は 18 年年初来の平均 で月間500万人以上、訪問延べ人数は1,800万人を超えている。多数の投 資家層をユーザー基盤としていることやサイトへのアクセスの多さは同社の 強みとなっている。

メディア事業は大きく分けると広告収入と課金収入からなり、当セグメントの 約9割を占める広告収入はクリック数や表示回数等の保証型広告収入や証 券口座開設に至ったら収入になるといった成果型広告収入によるものであ る。残りが課金収入等であるが、17 年 6 月より開始した有料サービス「株探 プレミアム」の月額課金の他、投資教育サービスとして提供している「トレー ドマスター225」において一部課金収入がある。

同社の主なメディアサイトは以下のとおりである。

「みんなの株式」
同社の旗艦サイトである「みんなの株式」はクラウドの活用によるユーザー参 加型の個人投資家を対象とする株式情報サイトである。一般的な株式投資 関連情報に加えて AI によって自動算出される個別銘柄の理論株価、証券 アナリストの予想株価、ユーザーによって投稿された売買予想データを集合 知として自動算出する個人投資家の予想株価、これらを基に算出される目 標株価を提供している。「みんなの株式」のサービスは無料で提供されてお り、多くのユーザーを抱える、高いメディア価値を背景に広告収入を獲得し ている。

「株探(Kabutan)」
経験が豊富な投資家を対象とした「株探(Kabutan)」も同社の主力サイトであ り、決算情報や AI により生成されるニュース等、速報性の高い情報提供を 行っている。ユーザー数は「みんなの株式」と同等の規模にある。同サービ スではリアルタイム株価や最大20期の企業業績表示、5年間の業績修正履 歴等の情報を提供する有料サービス「株探プレミアム」も提供している。

「みんかぶ保険」
「みんかぶ保険」は三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306東証一部)の子 会社である Japan Digital Design との共同開発による国内初の保険ロボアド バイザー機能を搭載した個人向け保険情報サイトである。18年4月よりサー ビスを開始している。

以上の他、外国為替、商品先物、投資信託、仮想通貨(同社は暗号資産と 呼んでいる)等、多くの金融商品に対応した専門メディアを運営している。

◆ ソリューション事業
ソリューション事業ではメディア事業向けに開発したコンテンツやアプリケー ション等を主に金融機関向け(B2B)や金融機関経由で金融機関の顧客向 け(B2B2C)に提供している。取引先は 100 社を超えている。全上場銘柄を 対象とした“網羅性”、会社発表から 1 秒で配信する“速報性”、過去データ を基に銘柄ごとの特徴を捉えた分析記事の自動生成を実現しており、金融 情報記事の“品質の高さ”は他社との差別化要因となっている。

同事業売上高の約 4 分の 3 がストック型である。同事業は主にクラウド型の ASP 導入後の保守・運営業務や情報提供業務に対して固定料金や一部、 ID 数に応じた従量課金を受け取っている。その他としては、コンテンツの販 売・配信に対する収入で月額固定を中心に、一部、ダウンロード数に応じた 従量課金となっている。

ASPの提供は同社が保有するアプリケーションプログラムをカスタマイズして 提供し、初期導入費用をスポット型売上としている。コンテンツの販売やソフ トウェア等開発受託もスポット型売上に分類される。

同事業の主なサービスは以下のとおりとなっている。

「MINKABU テーマ別銘柄ソリューション」
MINKABU テーマ別銘柄ソリューションは個人投資家に人気のテーマ株コ ンテンツを証券会社等に提供する B2B2C プロダクトである。独自の分析に 基づくポートフォリオの組成やインデックス化、更にはテーマインデックス毎 に、多様な指標を用いて様々な角度から先行銘柄や遅行銘柄を抽出する 等のサービスを提供している。

「MINKABU IVR ソリューション」
一般公衆網を経由し顧客の要望に合わせたコンテンツを自動音声で提供 するシステムで、高い市場シェア保有している。IVR(Interactive Voice Response)は、音声 AI により自動応答を行なうコンピュータシステム で、発信者側のプッシュ操作に合わせて、問い合わせへの対応や株価 情報などの音声を自動的に再生するものである。人間によるオペレー ションよりも、低コストで 24 時間受付を実現している。

「MINKABU e-profit」、「 MINKABU e-profit FX」
MINKABU e-profit は商品先物情報に、MINKABU e-profit FX は外国為 替情報に特化した B2B 向け情報端末ソリューションである。リアルタイムの マーケット情報や同社独自の市況やニュース等、機能性と操作性の良さで 高い市場シェアを獲得している。

「MINKABU Sales-Cue」
AI を利用してマーケット情報と顧客管理機能を融合し、営業員に適時適切 な情報を提供することにより業務効率を向上するソリューションである。ある 株式の株価が変動した際に顧客の保有方針や投資方針に照らして推奨さ れるアクションを営業員に知らせる等の機能がある。

18 年 9 月にエヌ・ティ・ティ・データ(9613 東証一部)と資本業務提携を締結 したが、その一環でエヌ・ティ・ティ・データグループの日本電子計算が保有 する証券会社向け勘定系サービスと MINKABU Sales-Cue を連携したパッ ケージソリューションの展開に向けた協業を開始した。

「MINKABU Corporate-Cue」
事業法人の経営企画や IR 担当者が自社の情報や同業他社の情報を効率 的に収集し、レポーティングする機能を備えており、同社の既存資産を活用 することで低価格での提供を可能にしている。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。