TAC(4319) 営業損益は大きく改善 黒字に転換

2025/03/20

 

 

多田 敏男

代表取締役社長

TAC株式会社(4319)

 

 

会社情報

市場

東証スタンダード市場

業種

サービス業

代表取締役社長

多田 敏男

所在地

東京都千代田区神田三崎町3-2-18

決算月

3月末日

HP

https://www.tac-school.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

213円

18,504,000株

3,941百万円

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

4.00円

1.9%

8.27円

25.8倍

323.28円

0.66倍

*株価は3月7日の終値。24年3月期決算短信、及び25年3月期第3四半期決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2021年3月(実)

19,749

404

646

405

21.92

5.00

2022年3月(実)

20,471

413

442

444

24.05

6.00

2023年3月(実)

19,711

319

324

214

11.69

6.00

2024年3月(実)

19,001

-307

-329

-219

6.00

2025年3月(予)

19,220

270

220

150

8.27

4.00

*単位:百万円。予想は会社予想。数値は発生ベース。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。

 

 

TACの2025年3月期第3四半期決算概要等についてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2025年3月期第3四半期決算概要
3.2025年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 25/3期3Q累計は前年同期比0.5%増収、営業利益は4億39百万円(前年同期は3億21百万円の損失)。なお、同社が経営管理上重視する現金ベース売上高は、前年同期比1.8%増の147億19百万円。利益面では売上原価・販管費が減少したことにより営業損益は大きく改善した。経常利益は4億52百万円、四半期純利益は2億88百万円とそれぞれ黒字に転換した。
  • 通期予想に修正はなく、25年3月期は、売上高が前期比1.1%増の192億20百万円、営業利益は2億70百万円(前期は3億7百万円の損失)を予想。上期決算発表の段階では、下期計画を上期実績に上乗せすると売上高192億43百万円、営業利益5億98百万円となる。配当も修正なく、4.00円/株(うち上期末2.00円/株)を予定。予想配当性向は48.4%。
  • 25/3期は期初から「コスト構造を見直し、適正利益の確保を目指す」という方針を示していた。四半期別に見ても、書き入れ時の2Qは大幅な増益としたうえで1Qと3Qは営業損失が前年同期から大きく縮小している。通期で黒字転換する会社予想の達成も目途がついたといえよう。また、売上高についても1Qまでは減収基調だったが2Q・3Qと小幅ながらも増収に転じており、前回レポートで「課題」とした「トップラインの拡大」についても流れを掴みかけている。株価は依然としてPBRは1倍を大きく割り込んだ状態。引き続きPBR1倍超の定着化にはトップラインの拡大は必須と考えてはいるが、その前段階として利益面の改善から上昇余地が見出せそうだ。 

1.会社概要

「資格の学校TAC」として、資格取得スクールを全国展開。社会人や大学生を対象に、公認会計士、税理士、不動産鑑定士、社会保険労務士、司法試験、司法書士等の資格試験や公務員試験の受験指導を中心に、企業向けの研修事業や出版事業等も手掛ける。

 

主なグループ会社と事業内容

会社区分

会社名

セグメント

事業内容

連結子会社

(株)TAC総合管理

個人教育事業 教室用ビルの契約・メンテナンス業務等

太科信息技術(大連)

有限公司

個人教育事業 大連オペレーションセンター(事務・教材視聴チェック等)

(株)オンラインスクール

個人教育事業 インターネットを通じての会員制教育事業

(株)早稲田経営出版

出版事業 「Wセミナー」ブランドの出版事業

(株)TACプロフェッション

バンク

人材事業 人材紹介・派遣・求人広告事業

(株)医療事務スタッフ関西

人材事業 医療事務系労働者派遣、レセプト作成業務

持分法適用関連会社

(株)プロフェッション

ネットワーク

実務家向けWeb情報誌の発行

*2024年12月末。

 

 

分野別のターゲットとするマーケット

分野

主な講座等

財務・会計分野 公認会計士、簿記検定、ビジネス会計検定試験®、建設業経理士検定
経営・税務分野 税理士、中小企業診断士、IPO実務検定、財務報告実務検定
金融・不動産分野 不動産鑑定士、建築士、1級建築施工管理技士、宅地建物取引士、マンション管理士/管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、ファイナンシャル・プランナー、DCプランナー(*1)、証券アナリスト(CFA® (*2)含む)、証券外務員、企業経営アドバイザー、ビジネススクール、貸金業務取扱主任者、 相続検定
法律分野 司法試験、司法書士、弁理士、行政書士、ビジネス実務法務検定試験®、法律関連、通関士、貿易実務検定®(*3)、知的財産管理技能検定®
公務員・労務分野 社会保険労務士、年金検定、国家総合職・外務専門職、国家一般職・地方上級、理系公務員(技術職)、警察官・消防官、教員採用試験、マスコミ・就職対策
情報・国際分野 情報処理技術者 (ITパスポート、情報処理安全確保支援士等)、米国公認会計士、米国税理士、 米国公認管理会計士、CompTIA(*4)、IT関連、CIA(公認内部監査人)、TOEIC® L&R TEST
医療・福祉分野 医療系人材事業等
その他 電気主任技術者、電気工事士、実用講座、会計系人材事業、受付雑収入、TAC BOOK、W-BOOK他

(*1) DC:Defined Contribution 確定拠出型年金 (*2) CFA®: Chartered Financial Analyst® CFA協会認定証券アナリスト (*3)貿易実務検定®は株式会社マウンハーフジャパンの登録商標。 (*4) CompTIA:米国コンピューティング技術産業協会のノンベンダー試験

 

【1-1沿革】

1980年12月、資格試験の受験指導を目的として設立され、公認会計士講座、日商簿記検定講座、税理士講座を開講。2001年10月に株式を店頭登録。03年1月の東証2部上場を経て、04年3月に同1部に指定替えとなった。09年9月には司法試験、司法書士、弁理士、国家公務員Ⅰ種(現・国家総合職)・外務専門職等の資格受験講座を展開していた(株)KSS(旧・早稲田経営出版)から資格取得支援事業及び出版事業を譲受。これにより、会計分野に強みを有する同社の資格講座に法律系講座が加わると共に、公務員試験のフルラインナップ化も進んだ。13年12月、小中高生向け通信教育事業を柱とする(株)増進会出版社と資本・業務提携契約を締結。14年6月には医療事務分野への進出を狙い、M&Aを実施。22年4月に東証スタンダードへ移行。

 

【1-2強み】

(1)試験制度の変化や法令改正へのきめ細かい対応
同社は、会社設立間もない頃から講師陣が毎年テキストを改訂し、試験制度の変化や法令改正にきめ細かく対応することで他社との差別化を図り受講生の支持を得てきた。事業が200億円規模になると、毎年発生するテキスト改訂コストを吸収することが可能だが、新規参入を考える企業はもちろん、同社よりも事業規模の劣る同業者にとっても、テキストを毎年改訂することは大きな負担である(ノウハウの蓄積が進み、高い生産性を実現していることも強みとなっている)。

 

(2)積極的な講座開発と充実したラインナップ
同社は大学生市場の開拓も含めて積極的に新しい分野(新講座の開設)にチャレンジすることで業界トップに上り詰め、業界初の株式上場を果たした。また、09年には、Wセミナーの資格取得支援事業を譲受し、従来手薄だった法律系講座や公務員試験のラインナップを拡充した。法律系講座及び公務員講座は、会計系3講座(公認会計士、税理士、簿記検定)と共に3本柱を形成し、マーケットの大きい3本柱を中心に多様な講座をラインナップしている。

 

(3)受講生中心主義の下でのサービスの先進性
サービスの先進性も同社の強みである。教育メディアや講師を受講生が自由に選択できるシステムを、資格取得学校市場で最初に導入したのは同社である。その背景にある受講生中心主義の経営姿勢は、テキストの品質と共に、「資格の学校TAC」のブランド醸成に一役買っている。

【1-3 ROE分析】

18/3期

19/3期

20/3期

21/3期

22/3期

23/3期

24/3期

ROE(%)

8.6

5.7

1.9

7.2

7.4

3.5

-3.6

 売上高当期純利益率(%)

2.11

1.51

0.51

2.05

2.17

1.09

-1.15

 総資産回転率(回)

0.96

0.95

0.97

0.97

0.98

0.93

0.91

 レバレッジ(倍)

4.27

4.00

3.81

3.60

3.49

3.41

3.45

 

 

2.2025年3月期第3四半期決算概要

(1)連結業績

24/3期 3Q累計

構成比

25/3期 3Q累計

構成比

前年同期比

売上高

14,369

100.0%

14,435

100.0%

+0.5%

売上総利益

5,220

36.3%

5,634

39.0%

+7.9%

販管費

5,542

38.6%

5,195

36.0%

-6.3%

営業利益

-321

439

3.0%

経常利益

-353

452

3.1%

四半期純利益

-236

288

2.0%

*単位:百万円。四半期純利益は親会社株主に帰属する四半期純利益。以下、同様。

 

微増収、各段階損益は大幅な改善
25/3期3Q累計は前年同期比0.5%増収、営業利益は4億39百万円(前年同期は3億21百万円の損失)。なお、同社が経営管理上重視する現金ベース売上高は、前年同期比1.8%増の147億19百万円。個人教育事業、法人減収事業は微減収だが、出版事業が増収。利益面では、売上原価が3.8%減少し売上総利益率は前年同期36.3%から39.0%に上昇した。販管費については6.3%減少したことにより営業損益が大きく改善した。経常利益は4億52百万円(前年同期は3億53百万円の損失)、四半期純利益は2億88百万円(同2億36百万円の損失)となった。

 

売上高について
同社が行う資格取得支援事業は、受講申込者に全額受講料をお支払いいただき(現金ベースの売上)、同社はこれを一旦、前受金として貸借対照表・負債の部に計上する。その後、教育サービス提供期間に対応して、前受金が月ごとに売上に振り替えられる(発生ベースの売上)。損益計算書に計上される売上高は発生ベースの売上高で、同社は経営管理上、現金ベースの売上高の増加を重視している。
25年3月期3Q累計の現金ベース売上高は147億19百万円(前年同期比1.8%増)。

 

季節的特徴について
同社の四半期毎の業績推移は次のとおり。
同社が扱う公認会計士や税理士などの主な資格講座の本試験が春から秋(第1~第3四半期)に実施されることや、公務員講座など大学生が主な顧客となる講座の申し込みは春から夏(第1~第2四半期)に集中する等の特徴があるため、第4四半期は申し込み(現金ベース売上高)がその他の四半期に比べて少なくなりやすい傾向がある。一方、賃借料や講師料、広告宣伝費などの営業費用は毎月一定額が計上されるため四半期ごとの偏重は無い。
25/3期は各四半期で損益が大幅に改善している。

 

24/3期

1Q

前年比

2Q

前年比

3Q

前年比

4Q

前年比

売上高

5,206

-6.6%

4,919

-5.2%

4,243

+1.4%

4,631

-2.7%

営業利益

123

-77.6%

129

-67.0%

-574

14

 

25/3期

1Q

前年比

2Q

前年比

3Q

前年比

売上高

5,023

-3.5%

5,112

+3.9%

4,299

+1.3%

営業利益

318

+158.0%

504

+289.9%

-383

単位:百万円

 

(2)セグメント別動向

同社ではセグメント情報に関して「セグメント情報等の開示に関する会計基準」等の適用によりマネジメント・アプローチを採用し、下記の数表における売上高を、同社グループの経営意思決定に即した“現金ベー ス”(前受金調整前)売上高で表示している。

 

セグメント別現金ベース売上高

24/3期 3Q累計

構成比

25/3期 3Q累計

構成比

前年同期比

個人教育事業

7,604

52.6%

7,751

52.7%

+1.9%

法人研修事業

3,502

24.2%

3,488

23.7%

-0.4%

出版事業

2,941

20.3%

3,066

20.8%

+4.2%

人材事業

440

3.1%

436

3.0%

-0.8%

セグメント間取引消去

-28

-22

連結売上高

14,459

100.0%

14,719

100.0%

+1.8%

*単位:百万円

 

セグメント別現金ベース営業利益

24/3期 3Q累計

利益率

25/3期 3Q累計

利益率

前年同期比

個人教育事業

-683

128

1.7%

法人研修事業

816

23.3%

912

26.1%

+11.7%

出版事業

503

17.1%

509

16.6%

+1.2%

人材事業

96

21.9%

99

22.9%

+3.8%

全社費用

-965

-925

連結営業利益

-232

724

4.9%

*単位:百万円

 

【個人教育事業】
増収・損益は大きく改善
現金ベースの売上高は前年同期比1.9%増の77億51百万円、現金ベースの営業利益は1億28百万円(前年同期は6億83百万円の損失。3Q(10-12月)も社会人を主な受講生層とする講座を中心に回復傾向が継続している。講座別では、税理士講座、不動産鑑定士講座、社会保険労務士講座、建築士講座等が前年同期の現金ベース売上高を上回った。宅地建物取引士講座、国家総合職・外務専門職講座、司法書士講座、行政書士講座等も好調に推移した。一方、学生を主な受講生層とする公務員講座、公認会計士講座等のほか、中小企業診断士講座、USCPA講座等は低調に推移した。コスト面では、講座運営体制の見直しによる効果もあり、講師料、教材制作のための外注費、賃借料、広告宣伝費等を合わせた営業費用の合計は前年同期比8.0%減の76億22 百万円に抑えた。現金ベースの営業損益は前年同期との比較で8億12百万円の大幅な改善となった。

 

 

~個人教育事業の業績推移~ *売上高・営業損益は発生ベース

(同社資料より)

 

 

【法人研修事業】
微減収・増益
現金ベース売上高は同0.4%減の34億88百万円、現金ベースの営業利益は同11.7%増の9億12百万円。企業向けの研修は引き続き堅調に推移した。一方、大学内セミナーや委託訓練等が低調に推移したことで売上高は前年同期をわずかに下回った。企業研修は主力の金融・不動産分野が好調に推移した。情報・国際分野も好調に推移し前年を上回った。一方、公務員志願者減少の影響は3Qにおいても続いており、大学内セミナーは前年同期を下回った。地方の個人を主な顧客とする提携校事業は前年同期比13.9%減、地方専門学校に対するコンテンツ提供は同6.9%減、委託訓練は同36.3%減となった。コスト面では、業務委託や広告宣伝費の削減等の見直しを行った結果、営業費用全体として前年同期比4.1%減の25億76百万円に抑えたことにより、現金ベースの営業利益は前年を上回った。

 

 

~法人研修事業の業績推移~ *売上高・営業損益は発生ベース

(同社資料より)

 

【出版事業】
増収・増益
売上高は「収益認識に関する会計基準」等に基づき、前期末に計上された返金負債の戻入による影響等もあり前年同期比4.2%増の30億66百万円、営業利益は同1.2%増の5億9百万円。
同社グループの出版事業は、同社が展開する「TAC出版」及び子会社の(株)早稲田経営出版が展開する「Wセミナー」(以下、「W出版」)の2つのブランドで進めている。未だ本格的な回復基調にまでは至っていないものの、独学層に向けたアプローチを強化するなど業績回復のための取り組みの成果も徐々に出始めている。資格試験対策書籍ではTAC出版の簿記検定、税理士、宅地建物取引士、社会保険労務士、建築士、W出版の行政書士、司法書士等は前年を上回った。一方、中小企業診断士、FP、電気主任技術者等は前年を下回った。コスト面では、営業費用全体として前年同期比4.9%増の25億56百万円となった。

 

 

~出版事業の業績推移~ 【売上の内訳】(連結修正前)・・・TAC出版27億81百万円、W出版4億44百万円

(同社資料より)

 

【人材事業】
減収・増益
売上高は前年同期比0.8%減の4億36百万円、営業利益は同3.8%増の99百万円。
子会社(株)TACプロフェッションバンクが手掛ける会計系人材事業は、監査法人や税理士法人、一般企業等の人材需要が引き続き高い水準を維持しており、売上高はほぼ前年同期並みとなった。(株)医療事務スタッフ関西が手掛ける医療系人材事業も、概ね前年同期と同水準の売上・利益を獲得できている。コスト面では、営業費用全体として前年同期比2.1%減の3億36百万円となった。

 

~人材事業の業績推移~

(同社資料より)

 

(3)分野別動向

同社は「収益認識に関する会計基準」等を適用しており、出版事業における返品の可能性のある取引については予想される返品相当額を売上高から直接控除している。当該返品相当額は過去の売上高に対する返品実績等に基づいた全体的な見積計算を行っており分野ごとの控除額は把握していない。そのため、下表中の「24/3期 3Q累計」および「25/3期 3Q累計」における売上高の合計額は、連結損益計算書における売上高とは一致しない。
法律分野や金融・不動産分野が増加した半面、財務・会計分野や公務員・労務分野が減少した。

 

 

分野別発生ベース売上高

24/3期 3Q累計

構成比

25/3期 3Q累計

構成比

前年同期比

財務・会計分野

2,369

16.6%

2,093

14.7%

-11.6%

経営・税務分野

2,379

16.7%

2,505

17.6%

+5.3%

金融・不動産分野

3,593

25.3%

3,858

27.1%

+7.4%

法律分野

966

6.8%

1,059

7.4%

+9.6%

公務員・労務分野

2,632

18.5%

2,460

17.3%

-6.5%

情報・国際分野

1,270

8.9%

1,308

9.2%

+3.0%

医療・福祉分野

202

1.4%

202

1.4%

-0.2%

その他

820

5.8%

761

5.3%

-7.1%

合計

14,234

100.0%

14,250

100.0%

+0.1%

*単位:百万円

 

【マーケット概要】
3Q累計における受講者数は前年同期比0.5%減の168,237名、うち個人受講者は93,348名(同0.5%増、同423名増)、法人受講者は74,889名(同1.6%減、同1,199名減)となった。個人・法人を合わせた講座別では、簿記検定講座が同3.5%増、税理士講座が同2.3%増、不動産鑑定士講座が同18.5%増、FP講座が同18.7%増、建築士講座が同36.1%増、行政書士講座が同13.2%増、CompTIA講座が同4.5%増等となった一方、公認会計士講座が同15.5%減、マンション管理士/管理業務主任者講座が14.9%減、証券アナリスト講座が同3.7%減、公務員(国家総合職・外務専門職)講座が同12.5%減、公務員(国家一般職・地方上級)講座が同13.2%減等となった。法人受講者は、通信型研修が同0.6%減、大学内セミナーは同7.8%減、提携校が同8.9%減、委託訓練は同24.5%減となった。

 

 

(4)財政状態

◎主要BS項目

24年3月末

24年12月末

24年3月末

24年12月末

現預金

5,745

6,310

仕入債務

580

561

売上債権

4,259

4,030

返品廃棄損失引当金

377

290

たな卸資産

936

912

前受金

5,462

5,817

流動資産

11,622

11,781

資産除去債務

656

720

有形固定資産

4,855

4,823

有利子負債

5,649

5,439

無形固定資産

303

298

負債

14,918

14,893

投資その他

4,008

4,056

純資産

5,872

6,066

固定資産

9,168

9,177

負債・純資産合計

20,790

20,959

*単位:百万円

 

現預金の増加などから流動資産は前期末比1億59百万円増加。固定資産は同9百万円増加し、資産合計は同1億68百万円増加し209億59百万円。
仕入債務の減少などから負債合計は同25百万円減少し148億93百万円。
利益剰余金の増加等で純資産は同1億94百万円増加の60億66百万円。
この結果、自己資本比率は前期末より0.7ポイント上昇し28.9%となった。

 

3.2025年3月期業績予想

(1)連結業績予想

24/3期 実績

構成比

25/3期 予想

構成比

前期比

売上高

19,001

100.0%

19,220

100.0%

+1.1%

売上総利益

6,988

36.8%

販管費

7,295

38.4%

営業利益

-307

270

1.4%

経常利益

-329

220

1.1%

当期純利益

-219

150

0.8%

*単位:百万円。予想は会社側予想。

 

増収・黒字転換を見込む。
通期予想に修正はなく、25年3月期は、売上高が前期比1.1%増の192億20百万円、営業利益は2億70百万円(前期は3億7百万円の損失)を予想。上期決算発表の段階で下期の計画を上期実績に上乗せすると売上高192億43百万円、営業利益5億98百万円となる。ただし、公認会計士試験や税理士試験など多くの資格試験等の合格発表を控え合格発表後の就職状況や講座への申込み状況等を確認したうえで判断する必要があるとして通期業績予想の修正は行わなかった。同様の考え方を維持しているものと思われる。
配当も修正なく、4.00円/株(うち上期末2.00円/株)を予定。予想配当性向は48.4%。

 

 

4.今後の注目点

25/3期は期初から「コスト構造を見直し、適正利益の確保を目指す」という方針を示していた。四半期別に見ても、書き入れ時の2Qは大幅な増益としたうえで3Qは営業損失が前年同期から大きく縮小している。通期で黒字転換する会社予想の達成も目途がついたといえよう。なお、下期において当初会社が計画していた通りの着地となった場合、上期実績と合わせて営業利益5億98百万円、EPS22.88円となり、通期業績予想を大きく上回る結果となる。
また、売上高についても1Qまでは減収基調だったが2Q・3Qと小幅ながらも増収に転じており、前回レポートで「課題」とした「トップラインの拡大」についても流れを掴みかけている。今後のさらなる拡大が引き続き課題であると見ている。オンラインを主軸とする新たな学習環境へと変化している中で、同社も対応を進めている。新たな試みも随時行っており、収益源の多様化にも注目していきたい。
上期決算発表時には業績の大幅改善により株価は見直されたがその後は動きなく、依然としてPBRは1倍を大きく割り込んだ状態。引き続きPBR1倍超の定着化にはトップラインの拡大は必須と考えてはいる。ただし、その前段階として利益面の改善から上昇余地が見出せそうだ。

 

 

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

監査等委員でない取締役

11名、うち社外2名

監査等委員である取締役

3名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2024年11月15日

 

<基本的な考え方>
当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、迅速な意思決定の重視という点にあり、当社の社内取締役は、現在9名となっております。一方で、社外取締役を5名配置し、パブリック・カンパニーとして求められる企業統治ないし法令遵守体制について適切に整備するとともに有効に機能するように運用しております。

 

わが国は、成熟した工業社会から急速に知識社会へシフトしつつあります。知識社会ではさまざまな分野ごとに知識専門家(プロフェッション)が要求され、活躍の場を広げています。プロフェッション(profession)とは英語のprofess=「神の前で宣言する」を語源とし、中世ヨーロッパ社会では神に誓いを立てて従事する職業として、神父・医師・会計士・教師等の知識専門家を指していました。当社は公認会計士を養成するビジネスを始めて以来、大学に代わって、現代に求められる多くのプロフェッションの養成を担当してまいりました。

 

当社グループは、「社会が必要とするプロフェッションを養成する」及び「個人の成長に深く関わる」ことを経営理念として、拠点とメディアを通して顧客(大学生・社会人・法人企業)の幅広い支持を受け、教育サービス及び人材育成・供給市場での一強となることを目指してまいります。ステークホルダーとしての顧客の支持基盤を有してこそ、「株主価値の増大」という株式会社に求められる最も基本的な命題も達せられると考えております。

 

当社グループのコーポレート・ガバナンスにはこうしたプロフェッションとしての自己規律が組織風土として働いており、当社の取締役自身も「経営のプロフェッション」たらんと律しております。取締役の任期は会社法上1年(監査等委員である取締役は2年)と定められており、毎期、株主総会において「経営のプロフェッション」であったかどうか株主によって判定されます。また、当社は機関設計として監査等委員会設置会社を採用し、企業経営に関する監督及び監査機能・内部統制の充実、コンプライアンスの徹底を図り、透明性の高い企業経営を目指しております。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの以下の原則について実施しておりませんが、その理由は以下の通りです。

原則

実施しない理由

補充原則1-2(4)

当社の株主構成はその大半が国内の個人株主であり、機関投資家や海外の投資家の割合は限定的なものとなっております。そのため、現時点では議決権電子行使プラットフォームの利用等や招集通知の英訳は実施しておりません。しかしながら、今後、機関投資家や海外の投資家の割合が高まってきた際には、それらを進めていくことを検討してまいります。

補充原則2-4(1)

 

当社は中核人材の登用に関して、その属性にこだわらず、個人の能力に基づく評価・登用を基本としております。それゆえ、属性ごとの数値目標は定めておりません。

また当社は、日本国内での事業活動がそのほとんどを占めることもあり、外国人管理職の登用実績はありません。しかし当社は中核人材の登用に関して、その属性にこだわらず、個人の能力に基づく評価・登用を基本としているため、今後の事業展開により適任者がいれば、登用を検討してまいります。

当社は新卒採用に加え、中途採用等も積極的に行っており、多様性のある人材育成と活気のある組織作りに取り組んでおります。

補充原則4-11(1)

 

当社は、当社グループの経営を効果的かつ効率的に行い、会社の持続的な成長と企業価値の最大化を図るため、取締役会は能力や知識・経験等のバックグラウンドが異なる多様なメンバーで構成することとしております。また取締役の人数の上限については、迅速な意思決定が行えるように定款で15名以内、うち監査等委員である取締役が4名以内と定めております。

なお、スキル・マトリックスの開示に関しましては今後の課題として検討してまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
コーポレートガバナンス・コードで開示が求められる各原則に関する当社の方針は以下の通りです(「コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由」に記載された原則を除く)。

原則

開示内容

補充原則3-1(3)

 

当社はサステナビリティに関する取り組みとして、環境面においては社内の業務におけるペーパーレスの推進、クールビズやウォームビズの実施及びそれに伴う空調エネルギーの省力化によるCO2排出の削減などに取り組んでおります。また、社会的な面においては、ビジネスパーソンに必須の会計知識の習得を推進し、企業並びに日本経済全体の発展に寄与することを目的とした「簿記チャンピオン大会」等を実施しております。

当社の経営理念は「プロフェッションの養成を通して社会に貢献」することです。

当社は学生や社会人の国家資格等の資格取得支援という教育サービス業を行っており、そのための教材・カリキュラム開発等、教育コンテンツの開発は、知的財産への投資にほかなりません。またその教育コンテンツ開発のためにプロフェッションの養成が不可欠であることから、従業員に対して日商簿記3級の取得を義務付けているほか、各種資格の取得を推奨し、そのための講座受講料等のサポートを積極的に行っております。

原則5-1

株主を含む投資家の方々からの問い合わせ等に対応するため、専門の部署(IR室)を設置しております。問い合わせ事項に関しては、インサイダーに抵触する恐れが高いと判断される情報を除き、適切に対応することとしております。

 

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