フェローテックホールディングス(6890) 徐々に需要回復見込み

2024/09/26

賀 賢漢 社長

株式会社フェローテックホールディングス(6890)

 

 

企業情報

市場

東証スタンダード市場

業種

電気機器(製造業)

代表者

賀 賢漢

所在地

東京都中央区日本橋 2-3-4 日本橋プラザビル

決算月

3月

HP

https://www.ferrotec.co.jp/

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

2,226円

47,018,584株

104,663百万円

7.8%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

100.00円

4.5%

340.29円

6.5倍

4,635.52円

0.48倍

*株価は9/12終値。発行済株式数(自己株式控除後)、DPS、EPS、BPSは2025年3月期1Q決算短信より。ROEは前期実績。

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2019年3月(実)

89,478

8,782

8,060

2,845

76.90

24.00

2020年3月(実)

81,613

6,012

4,263

1,784

48.12

24.00

2021年3月(実)

91,312

9,640

8,227

8,280

222.93

30.00

2022年3月(実)

133,821

22,600

25,994

26,659

668.06

50.00

2023年3月(実)

210,810

35,042

42,448

29,702

644.81

105.00

2024年3月(実)

222,430

24,872

26,537

15,154

322.65

100.00

2025年3月(予)

235,000

26,000

26,000

16,000

340.29

100.00

*予想は会社予想。単位:百万円、円。21年3月期の配当には記念配当4.00円/株を含む。22年3月期の配当には特別配当9.00円/株を含む。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。

 

 

(株)フェローテックホールディングスの2025年3月期第1四半期決算概要、2025年3月期通期業績予想などについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2025年3月期第1四半期決算概要
3.2025年3月期業績予想
4.新中期経営計画
5.資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について
6.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 25/3期1Qは、前年同期比16.9%増収、同1.4%営業減益で着地。営業減益ではあるものの、真空シールおよび金属受託加工や石英坩堝などの出荷が好調で、会社計画を上回って進捗したもよう。1Q実績に鑑み、2Q累計会社計画は増額修正された。視界不良の状況が続いていた半導体市場だが、緩やかながらも回復基調を辿りつつある。同社は在庫調整を経て25年から半導体市場が再拡大することを前提に積極的な設備投資を行ってきたが、そのシナリオに沿った展開になっていると言えよう。依然として半導体関連や自動車・EV関連の市況等の不透明感が拭えたとは言い切れないことから、通期会社計画は期初計画で据え置かれたが、ベクトルは上向きであると考えて良いだろう。 
  • 25/3期通期会社計画は、前期比5.7%増収、同4.5%営業増益。外部環境については、全般的に回復基調となる前提。半導体業界では23年まで継続したデバイスの在庫調整局面から徐々に需要回復が見込まれ、特にロジック半導体分野では生成AIに欠かせないGPUの需要増、サーバー投資の増加が見込まれるほか、メモリ関連も直近で価格の改善傾向がみられることから、年後半からは工場稼働率改善、設備投資水準回復へと繋がっていくことを想定している。移動通信システム業界については、5Gネットワーク投資が継続するほか、サーバー向けの大容量光トランシーバー需要も大きく伸びると見ており、総じて堅調な需要状況となる見通し。自動車関連では、引き続きEV、自動運転システムなどの需要が伸びる想定。地政学的見地では、半導体先端技術に関する米中規制の強化が半導体各社の中国外への製造拠点移転を促しているが、その受け皿となるべく東南アジア地区での製造能力整備が進んでいることから、同地区での需要増が期待される。 
  • 24/3期を基点とした3期間CAGRは、売上高19.5%増、営業利益34.1%増を計画。半導体市場は23年にマイナス成長となったものの、24年には回復し、30年には市場規模が2024年比1.7倍に成長すると考えている。製造装置等の需要も2024年から上昇基調に転じる想定。中国についても米中半導体摩擦の影響は残るものの、一定の成長は可能と考えている。3期間の設備投資累計額は1,400億円を計画。将来を見据えた積極投資姿勢は不変。営業キャッシュ・フローをしっかりと増加させることで、フリー・キャッシュ・フローは改善していくことを想定している。 
  • かねてより同社は投資機会と財務状況の適切なバランスを確保した上でキャピタルアロケーション戦略を立てるなど、資本市場へ向き合う姿勢を明確にしている。7月には東証が上場企業に対し要請している「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」も率先して開示している。現状同社のPBRは1倍を割れた状態であるが、課題認識と対応策を明示していることから、今後の進捗には注目していきたい。

1.会社概要

同社は、半導体やFPD(フラットパネルディスプレイ)の製造装置等に使用される真空シール、石英製品、セラミック製品、CVD-Sic製品、シリコンパーツ、坩堝、温調機器等に使用されるサーモモジュールのほか、シリコン製品、磁性流体、センサおよびその応用製品などの開発、製造、販売を手掛けている。
取り扱う製商品によって、セグメントは「半導体等装置関連事業」、「電子デバイス事業」、「車載関連事業」に大別されている。各セグメントの主要製商品および主要な会社は以下の通り。

 

(同社資料より)

 

1980年、NASAのスペースプログラムから生まれた磁性流体を応用した真空技術製品や、冷熱素子として用途が広がっているサーモモジュール等、独自技術を核にした企業として誕生したのが始まりである。創業から40年以上にわたって培われてきた多様な技術は、エレクトロニクス、自動車、次世代エネルギー等、様々な産業分野で応用されている。また、トランスナショナルカンパニーとして、日本、欧米、中国、アジアに事業を展開し、マーケティング、開発、製造、販売、そしてマネジメントと、それぞれの国・地域の強みを活かした経営を行っていることが同社の特徴になっている。17年4月、持株会社体制へ移行。22年4月、市場再編に伴い、東証スタンダード市場に移行。

 

【1-1 事業セグメント】

事業は、半導体・FPD・LED等の製造装置に使われる真空シール、石英製品、セラミックス製品等の「半導体等装置関連事業」、サーモモジュールが中心の「電子デバイス事業」、車載向けサーモモジュール、パワー半導体用基板、センサ製品が中心の「車載関連事業」及び報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、シリコン結晶や太陽電池ウエーハ、ソーブレード、工作機械、表面処理、業務用洗濯機等の「その他」に分かれる。

 

半導体等装置関連事業
半導体、FPD、LED、太陽電池等の製造装置部品である真空シール、デバイスの製造工程に使われる消耗品である石英製品、セラミックス製品、CVD-SiC製品、石英坩堝を製造・販売している。その他、シリコンウエーハ加工や製造装置洗浄等も手掛けるなど、エンジニアリング・サービスを総合的に提供している。

 

主力製品の真空シールは、製造装置内部へのガスや塵等の侵入を防ぎつつ、回転運動を装置内部に伝える機能部品で、世界トップシェアを誇る。真空シールの内部には創業からのコア技術である磁性流体(磁石に反応する液体)シールが使われている。ただし、いずれの分野も設備投資の影響を受けやすいことから、比較的需要が安定した搬送用機器や精密ロボット等、一般産業分野への展開にも注力している。加えて、真空シールを組み込んだ真空チャンバーやゲートバルブ等(共に真空関連の装置で使われる)の受託製造にも力を入れている。
一方、石英製品、セラミックス製品、CVD-SiC製品、及び石英坩堝は共に半導体の製造工程に欠かせない消耗品である。石英製品は半導体製造の際の高温作業に耐え、半導体を活性ガスとの化学変化から守る高純度のシリカガラス製品である。材料や加工技術を核とするセラミックス製品は国内外の半導体製造装置メーカーを主な顧客とし、半導体検査治具用マシナブルセラミックスと半導体製造装置等の部品として使われるファインセラミックスが二本柱となっている。CVD-SiC製品は「CVD法(Chemical Vapor Deposition法:化学気相蒸着法)」(シリコンと炭素を含むガスから作る)で製造されたSiC製品である。現在、半導体製造装置の構造部品として供給しているが、航空・宇宙(タービン、ミラー)、自動車(パワー半導体)、エネルギー(原子力関連)、IT(半導体製造装置用部品)等への展開に向け研究開発を進めている。シリコンウエーハ加工では、6インチ(口径)、8インチ、12インチを製造している。製造装置洗浄では中国で過半を超えるトップシェアを有する。

 

(同社資料より)

 

電子デバイス事業
事業の核となっているのは対象物を瞬時に高い精度で温めたり、冷やしたりできる冷熱素子「サーモモジュール」である。
サーモモジュールは自動車用温調シートを中心に、半導体製造装置でのウエーハ温調、遺伝子検査装置、光通信、家電製品、およびその応用製品のパワー半導体用基板等、利用範囲は広く、世界シェアNo.1。高性能材料を使用した新製品開発や自動化ライン導入によるコスト削減と品質向上により、新規の需要開拓や更なる用途拡大に取り組んでいる。
スマホのリニアバイブレーションモーターや4Kテレビや自動車のスピーカー、高音質ヘッドフォン等で新たな用途開発が進んでいる磁性流体も世界トップシェアを誇る。そのほか、連結子会社の(株)大泉製作所は温度センサを手掛けている。

 

 

なお、25/3期1Qより、同事業に区分されていた車載向けサーモモジュール、パワー半導体用基板、センサ製品を車載関連事業としてセグメント区分している。

 

(同社資料より)

 

 

2.2025年3月期第1四半期決算概要

【2-1 連結業績】

 

24/3期1Q

構成比

25/3期1Q

構成比

前年同期比

25/3期

(会社計画)

進捗率

売上高

52,261

100.0%

61,110

100.0%

16.9%

235,000

26.0%

売上総利益

17,623

33.7%

18,278

29.9%

3.7%

販管費

10,510

20.1%

11,263

18.4%

7.2%

営業利益

7,113

13.6%

7,015

11.5%

-1.4%

26,000

27.0%

経常利益

7,628

14.6%

8,217

13.4%

7.7%

26,000

31.6%

四半期純利益

4,346

8.3%

4,849

7.9%

11.6%

16,000

30.3%

* 単位:百万円

 

 

期初会社計画を上回っての推移
25/3期1Qは、売上高が前年同期比16.9%増の61,110百万円、営業利益が同1.4%減の7,015百万円となった。エレクトロニクス産業全体では、昨年からの半導体デバイス在庫調整から徐々に回復し始めたほか、半導体製造装置の需要にも回復傾向がみられた。これまでは中国メーカーの需要が下支え要因となっていたが、足元では欧米系メーカーからの需要も回復してきている。パワー半導体市場についても堅調に推移した。
このような事業環境の中、半導体製造装置関連事業では製造装置向け真空部品・金属受託加工に回復傾向がみられたほか、半導体製造プロセス向け各種マテリアル製品(石英製品・セラミック製品・シリコンパーツ等)や部品洗浄も工場稼働率の改善により増収となった。電子デバイス事業ではサーモモジュールが通信分野を中心に堅調に推移したほか、パワー半導体用基板も産業機器向けに伸長した。
収益面では、引き続き積極的な先行投資を継続していることもあり、工場新設・設備投資による減価償却費増加等が原価率を上昇させた(前年同期比3.8ポイント上昇)。増収効果により売上高販管費率は低下したものの、営業利益は前年同期比1.4%減の7,015百万円に留まった。なお、営業外損益に為替差益および補助金収入が計上されたこともあり、経常利益段階では前年同期比増益を確保している。
同社は1Q実績に鑑み、2Q累計会社計画を増額修正した(売上高:従来1,100億円→1,200億円、営業利益:同125億円→130億円、経常利益:同125億円→145億円)。具体的には、真空シールおよび金属受託加工・石英坩堝などの出荷が期初想定を上回ったことに加え、1Qに計上された補助金収入や為替差益を反映した。米ドルの期中平均レート前提は150円を据え置き。通期会社計画についても、依然マクロ環境が不透明なことから期初計画に据え置かれている。

 

 

【2-2 セグメント別動向】

セグメント別売上高・利益

 

24/3期1Q

構成比・利益率

25/3期1Q

構成比・利益率

前年同期比

半導体等装置関連

29,874

57.2%

39,926

65.3%

33.6%

電子デバイス

9,156

17.5%

9,951

16.3%

8.7%

車載関連事業

7,408

14.2%

5,841

9.6%

-21.2%

その他

5,821

11.1%

5,391

8.8%

-7.4%

連結売上高

52,261

100.0%

61,110

100.0%

16.9%

半導体等装置関連

4,115

13.8%

4,538

11.4%

10.3%

電子デバイス

1,709

18.7%

1,930

19.4%

12.9%

車載関連事業

1,715

23.2%

730

12.5%

-57.4%

その他

-80

-1.4%

-101

-1.9%

調整額

-346

-82

連結営業利益

7,113

13.6%

7,015

11.5%

-1.4%

* 単位:百万円

 

25/3期1Qより、報告セグメントの区分を変更。具体的には、従来電子デバイス事業に含めていた車載向けサーモモジュール、パワー半導体用基板、センサ製品を車載関連事業に区分けした。24/3期1Qの数値については今期の区分に基づき遡及して記載している。

 

(1)半導体等装置関連事業
半導体等装置関連事業の売上高は前年同期比33.6%増の39,926百万円、営業利益は同10.3%増の4,538百万円となった。セグメント利益率は同2.4ポイント低下の11.4%。半導体全体および半導体製造装置の需要が回復するなどマクロ環境が改善する中、真空シールや各種製造装置向け金属加工製品の売上が伸長した。マテリアル製品も石英製品・セラミックス製品を中心に堅調に推移した。部品洗浄サービスについては工場稼働率の回復を背景に増収を確保、石英坩堝は太陽光パネルメーカー向け出荷が伸びた。

 

(2)電子デバイス事業
電子デバイス事業の売上高は前年同期比8.7%増の9,951百万円、営業利益は同12.9%増の1,930百万円となった。セグメント利益率は同0.7ポイント上昇の19.4%。なお、連結子会社の大泉製作所は決算期変更による9カ月決算となったため、今1Qには含まれていない。
5G用の移動通信システム機器向けや光トランシーバー向けを中心にサーモモジュールが堅調に推移したほか、パワー半導体用基板も産業機器向けを中心に伸長した。

 

(3)車載関連事業
車載関連事業(サーモモジュール、パワー半導体用基板、センサ)の売上高は前年同期比21.2%減の5,841百万円、営業利益は同57.4%減の730百万円となった。サーモモジュールは自動車温調シート向けの販売が伸長したものの、DCB基板での競争激化によりパワー半導体用基板は減収となった。電子デバイス事業と同様、連結子会社の大泉製作所は決算期変更による9カ月決算となったため、今1Qには含まれていない。

 

(4)その他事業
その他事業(ソーブレード、工作機械、太陽電池用シリコン製品等の事業)の売上高は前年同期比7.4%減の5,391百万円、営業利益は101百万円の赤字。工作機械の出荷は復調した一方、太陽電池用シリコン製品の出荷が減少した。

 

 

【2-3 財政状態】

◎財政状態

 

24年3月

25年3月1Q

増減

 

24年3月

25年3月1Q

増減

流動資産

248,408

271,758

+23,350

流動負債

122,148

128,790

+6,642

現預金

117,254

117,970

+716

仕入債務

38,334

43,627

+5,293

売上債権

61,940

76,518

+14,578

短期有利子負債

47,476

48,139

+663

たな卸資産

56,909

62,481

+5,572

固定負債

109,712

124,535

+14,823

固定資産

261,618

280,970

+19,352

長期有利子負債

87,684

101,407

+13,723

有形固定資産

201,339

218,924

+17,585

負債合計

231,860

253,326

+21,466

無形固定資産

6,611

6,674

+63

純資産

278,166

299,402

+21,236

投資その他の資産

53,666

55,371

+1,705

利益剰余金

79,881

82,380

+2,499

資産合計

510,026

552,728

+42,702

負債純資産合計

510,026

552,728

+42,702

*単位:百万円

 

資産合計は前期末比42,702百万円増の552,728百万円に増加。売上増加に伴い売上債権が増加したこと(同14,578百万円増)および各事業での積極投資継続によって有形固定資産が増加したこと(同17,585百万円増)が主要因。
負債合計は同21,466百万円増の253,326百万円となった。仕入債務および長期借入金(含、1年内返済予定)が増加した。
純資産は同21,236百万円増の299,402百万円。利益剰余金が同2,499百万円増加したほか、為替換算調整勘定同11,225百万円増、非支配株主持分同7,689百万円増となった。

 

 

3.2025年3月期業績予想

【3-1 連結業績】

 

24/3期

構成比

25/3期(予)

構成比

前期比

売上高

222,430

100.0%

235,000

100.0%

+5.7%

営業利益

24,872

11.2%

26,000

11.1%

+4.5%

経常利益

26,537

11.9%

26,000

11.1%

-2.0%

当期純利益

15,154

6.8%

16,000

6.8%

+5.6%

* 単位:百万円

 

全般的に回復基調となる前提
25/3期通期会社計画は、売上高2,350億円(前期比5.7%増)、営業利益260億円(同4.5%増)。25/3期2Q累計会社計画は増額修正されたものの(売上高+100億円、営業利益+5億円、経常利益+20億円)、通期については期初計画が据え置かれた。外部環境については、全般的に回復基調となる前提。半導体業界では23年まで継続したデバイスの在庫調整局面から徐々に需要回復が見込まれ、特にロジック半導体分野では生成AIに欠かせないGPUの需要増、サーバー投資の増加が見込まれるほか、メモリ関連も直近で価格の改善傾向がみられることから、年後半からは工場稼働率改善、設備投資水準回復へと繋がっていくことを想定している。移動通信システム業界については、5Gネットワーク投資が継続するほか、サーバー向けの大容量光トランシーバー需要も大きく伸びると見ており、総じて堅調な需要状況となる見通し。自動車関連では、引き続きEV、自動運転システムなどの需要が伸びる想定。地政学的見地では、半導体先端技術に関する米中規制の強化が半導体各社の中国外への製造拠点移転を促していることを背景に、その受け皿となる東南アジア地区での各社製造能力整備が進んでいる。今後同地区での需要増が期待される。一方、原材料調達の面では、ロシアのウクライナ侵攻および中東での紛争継続もあり、材料価格高騰、物流混乱による調達ひっ迫などの悪影響を一定織り込んでいるとのこと。想定為替レートは、米ドル150円、中国人民元21円としている。
経常利益が前期比マイナス成長となるのは、前期計上された為替差益1,383百万円の剥落によるもの。

 

 

4.新中期経営計画(再掲)

【4-1 新中期経営計画の基本方針】

以上の点に鑑みた、新中期経営計画の基本方針は次の通り。

 

(同社資料より、インベストメントブリッジ作成)

 

【4-2 中期経営計画数値目標】

(同社資料より、インベストメントブリッジ作成)

 

24/3期を基点とした3期間CAGRは、売上高19.5%増、営業利益34.1%増を計画している。半導体市場は23年にマイナス成長となったものの、24年には回復し、30年には市場規模が24年比1.7倍に成長すると考えている。製造装置等の需要も24年から上昇基調に転じる想定。中国についても米中半導体摩擦の影響は残るものの、一定の成長は可能と考えている。
3期間の設備投資累計額は1,400億円を計画。加えて、投資機会によって変動はするものの、M&Aも100億円を想定。半導体関連のクライアントから25年以降のキャパシティ増強要請が来ていること、中国以外での生産体制強化、パワー半導体基盤等の自動車セグメントへの投資継続、を前提とした額になっている。営業キャッシュ・フローをしっかりと増加させることで、フリー・キャッシュ・フローは改善していくことを想定している。

 

【4-3 カテゴリー別】

(同社資料より、インベストメントブリッジ作成)

 

<石英>
24/3期の石英は、半導体マーケット減速の影響を中国市場の成長を取り込むことで挽回しようとしたが、前期比2.0%減収に留まった。25/3期売上高もユーザー在庫消化の影響から横ばいとなる想定だが、26/3期以降は本格的に回復すると考えている。それに合わせ、マレーシア、熊本でキャパシティ増強を行う計画(投資額200億円)。欧米顧客の中国外製品ニーズはマレーシア工場で対応することになる。

 

<セラミックス>
中国市場は拡大したものの、半導体マーケット減速の影響を受け、24/3期は前期比10.6%減収となった。常山、石川、マレーシアで新工場を設立するなど、キャパシティ拡大への投資は引き続き積極的に行った。今後の見通しについては、石英同様にユーザー在庫消化の影響を織り込みつつ、26/3期から本格的な回復基調に転じる想定。

 

<CVD-SiC>
堅調な需要に支えられ、24/3期は前期比42.1%増収となった。半導体顧客の需要は今後も拡大継続する見通しの下、常山、岡山での生産能力を増強し、キャパシティ拡大に努める。
<シリコンパーツ>
中期的には需要拡大が見込まれることから、常山工場を新設するなどキャパシティを増強している。しかし、25/3期は在庫影響により増収に転じることは難しいと判断している。

 

<サーモモジュール>
24/3期は前期比1.6%減に留まった。PCRなどバイオ装置向けがピークアウトしたほか、5G通信機器向けも調整局面入りしたことが背景。生成AI関連光トランシーバー向けは増加した。今後については、生成AI関連の増加が見込まれるうえ、5G通信機器向けも増加トレンドに転換してくる想定。そのほか、中国5G-A投資・需要の拡大に期待を寄せている。

 

<パワー半導体>
24/3期後半は調整色が強まったものの、中期的な需要は拡大トレンドを継続している。引き続きキャパシティ増加へ積極的に投資していく考え。中期的にも、パワー半導体基板への需要拡大は継続するものと考え、DCB、AMB、DPCの製品レンジを拡充していく計画である。

 

 

【4-4 主な工場新設・生産能力

増強の状況】

(同社資料より)

 

◎株主還元
株主還元の増加を重視し、当面は配当性向20%~30%を意識していく方針。その考えに則り、25/3期の一株配当は100円(配当性向29.4%)とする計画。

 

◎長期業績目標
これまで長期ビジョンとして掲げてきた31/3期売上高5,000億円、当期純利益500億円という数値目標に変更はない。

 

 

5.資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について

同社は7月31日に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」を開示。ここではポイントについて記載したい。
同社は資本資産評価モデル(CAPM)から算出した株主資本コストを8.62%(24/3期)と定義(前提条件は、リスクフリーレート:20年国債利回り1.735%、β:半導体製造装置業界β1.043、資本リスクプレミアム:6.60%)。24/3期ROEは7.8%と株主資本コストを下回っていることがROE1倍割れに繋がっていると分析。株主資本コストを上回る収益力の強化を喫緊の経営課題として認識し、ROE15%への改善(事業成長、収益成長、収益力の強化、ROICの管理および事業の選択と集中による総資産回転率の向上・財務レバレッジの改善)、PER改善(株主還元策、非財務戦略の更なる強化)に努める方針。具体的な取り組みについては以下の通り。

 

(同社資料より)

 

中期経営計画の達成が上記目標達成に欠かせないことから、短期・中長期インセンティブに加え業績連動を強めた報酬制度への移行も合わせて開示している。

 

6.今後の注目点

視界不良の状況が続いていた半導体市場だが、緩やかながらも回復基調を辿りつつある。同社は在庫調整を経て25年から半導体市場が再拡大することを前提に積極的な設備投資を行ってきたが、そのシナリオに沿った展開になっていると言えよう。25/3期1Qは真空シールおよび金属受託加工や石英坩堝などの出荷が好調だったと同社はコメントしていることから、会社計画を上回って進捗したことが窺える。依然として半導体関連や自動車・EV関連の市況等の不透明感が拭えたとは言えないため、通期会社計画を見直すには至っていないものの、ベクトルが上向きに転じてきたと考えて良いだろう。
かねてより同社は投資機会と財務状況の適切なバランスを確保した上でキャピタルアロケーション戦略を立てるなど、資本市場へ向き合う姿勢を明確にしている。7月には東証が上場企業に対し要請している「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」も先駆けて開示している。現状同社のPBRは1倍を割れた状態であるが、課題認識と対応策を明示していることから、今後の進捗には注目していきたい。

 

 

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

9名、うち社外3名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2024年8月6日)
<基本的な考え方>
当社グループは、「顧客に満足を」、「地球にやさしさを」、「社会に夢と活力を」を企業理念とし、行動規範として、「グローバルな視点のもと、常に国際社会と調和を図り、地域社会その他私たちに関係する世界の人々の生活に貢献できる製品とサービスを提供する企業として、各国の法令を遵守することはもちろん、確固とした企業倫理と社会的良識を持って、誠実に行動すること。」、「新エネルギー産業およびエレクトロニクス産業を中心に高品質な製品やサービスを提案し、コスト競争力のある製品やサービスを提供することにより、お客様から信頼されて、満足を頂くこと。」、「地球環境に配慮した活動を積極的に推進することを経営上の重要課題の一つとして、最新の環境規制要求への適応を順次進め、新エネルギー産業で活用できる素材・製品などを開発し、地球環境問題の解決に貢献すること。」、「コア技術を活用したものづくりを通して社会に貢献し、顧客、株主、社員、取引先、地域社会などステークホルダーの方々が成長する楽しみを持てる企業であり続け、企業活動にあたり法令遵守、社会秩序、国際ルールなど社会的良識をもって行動すること。」を掲げています。

 

当社はこれらの企業理念と行動規範に従い、環境保全活動とグループガバナンスを積極的に推進するとともに、ステークホルダーの皆様にとって「成長する楽しみが持てる企業」であり続けることに努めております。また、半導体用マテリアル製品をはじめとする新素材及び生産技術の開発に注力し、品質を第一に考えて顧客満足の向上を追求する旨の「品質理念」を掲げ、生産の自動化、デジタル化、標準化を進めております。世界での市場シェアを高め、安定的な収益体質の企業集団を形成することを経営の基本方針としております。

 

以上の企業理念、行動規範、経営の基本方針を踏まえて、企業価値を高め、株主、顧客、取引先、従業員、地域社会などステークホルダーに信頼され支持される企業となるべく、経営の健全性を重視し、併せて、経営環境の急激な変化にも迅速かつ的確に対応できる経営体制を確立することが重要であると考えております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない主な理由>
<補充原則1-1①: 株主総会における相当数の反対票があった場合の原因分析> 当社は、株主総会において相当数の反対票があった場合の、「相当数」の基準を設けておりませんが、今後基準を設けるよう検討を進めてまいります。相当数の反対票があった場合は、反対理由や反対票が多くなった原因を速やかに分析し、分析の結果をプレスリリースするなど、当社の見解を公表してまいります。

 

<補充原則1-2③: 株主総会関連の日程の適切な設定> 当社は、株主の皆さまとの建設的な対話が重要であると考え、株主総会招集通知の早期開示・発送及び集中日を避けた開催に努めておりますが、法定書類の作成日程や高品質な監査のための十分な時間を確保しつつ決算事務を進めたいという点と、招集手続きに関する期間、会場の空き状況などの点を勘案して決定した結果、直近4回がやむを得ず集中日の開催となっております。今後も開催日につきましては上記の観点を踏まえつつ集中日を避けた開催をできるよう検討を進めてまいります。

 

<原則1-7: 関連当事者間の取引>  当社では、関連当事者との取引を行う場合には、法令のほか取締役会規則、職務権限規程に基づき取締役会での審議・決議を要することとしており、利害関係を有する取締役は当該議案に対し、決議に参加できないこととしております。関連当事者間の取引につきましては、他の資本関係のない会社と取引する場合と同様の条件による取引を基本とし、取引内容の妥当性について少数株主利益を害することのないよう対応しております。 関連当事者との取引については、全ての取引案件毎に、取引開始前に取締役会において取引金額及び取引条件の妥当性、合理性並びに取引自体の発生の是非について書面により説明をおこない、討議のうえ妥当と判断された案件のみ承認決議なされるものとしております。 また、長期に渡る契約や、継続的な取引等を行う場合には、最低年1回は取引金額及び取引条件の妥当性、合理性並びに取引自体の是非について、取締役会で決議をすることとしております。 一方、当該取引後、取締役会に遅滞なく報告する旨が社内関係規程に明記されていないことから、取引後の報告が失念されていることがあり、事前の承認決議だけでなく、取引後の報告義務も明記した社内規程の見直し又は新たな管理規程の制定をもって周知徹底を図り、関連当事者間の取引について適正な手続きが漏れることなく履践されるよう取り組んでまいります。

 

<補充原則2-4①: 中核人材の登用等における多様性の確保> 当社グループは、当社グループは、人的資本の基本方針として、組織・人材について2つの大きな方針のもとグループを運営しております。1つは、従業員のあらゆる属性に関係なく、一人ひとりが志をもって自律的に行動し、働きがいを持つことができる会社・組織とすること。もう1つは、マネジメントを現地化し、迅速な意思決定と、地域の特性にあわせたビジネス及び組織運営を行うことです。 グローバルに企業規模が拡大する中、人材と組織の抜本的な強化を図り、中長期的な企業価値の向上に向け、幅広いスキルと経験を持つ女性・外国人・中途採用者を積極的に採用しております。また、女性・外国人・中途採用者の高いスキル、当社グループ以外で培われた貴重な経験等を総合的に勘案・評価し、管理職への登用も積極的に行っております。 しかしながら、中長期的視点に立った女性・外国人・中途採用者の管理職への登用含めた人材育成方針及び社内環境整備方針、並びにそれらの進捗や達成状況について、併せて開示できるまでに至っておりません。今後、グローバルな企業規模の拡大に応じた中長期的な企業価値の向上に資するべく、人的資本に関する基本方針のもと、人材育成及び社内環境方針を設定し実施状況を開示できるよう鋭意検討を進めてまいります。

 

<補充原則3-1③: サステナビリティについての取組み、人的資本や知的財産への投資等経営戦略の開示> 当社では、「顧客に満足を、地球にやさしさを、社会に夢と活力を」の企業理念の下、中長期的な企業価値向上に向け、ESG(Environment/環境、Social/社会、Governance/企業統治)が非常に重要であるとの認識から、2021年にマテリアリティ及びサステナビリティ基本方針を策定しました。今後は、ESGを推進するための組織体制の整備、社内啓発、定量目標の設定を進めてまいります。また、人的資本や知的財産への投資等については、日本の子会社では若手の幹部への積極登用や組織のフラット化を推進しております。また、中国の子会社では半導体関係の研究院の設置や博士クラス人材の採用強化、優秀な特許出願者があった場合には、表彰や報奨金の付与等を適宜実施するなどにより知的財産への投資に積極的に取り組んでおります。今後は、設定した定量目標のモニタリングを行い、取組み状況をホームページやIR資料等で公開してまいります。

 

<補充原則4-12①: 取締役会での審議の活性化> 当社では取締役会資料は、事前(開催2日前)にメールなどで配布しており、前日または当日に事前説明会を開催しております。また、取締役会に報告又は付議する事項の内容は、経営会議の位置づけとなる執行役員会(毎月月末開催)に上程し、参加した取締役・監査役と共有しております。執行役員会に参加しない取締役・監査役には、同会議の議事録を配布しております。取締役会及び執行役員会議等の開催スケジュールは、毎年開催カレンダーを配布しており、決算取締役会等は予めスケジュール化をしております。審議項目数は、極めて多項目に渡り審議を行うため、開催2日前より前倒しした取締役会資料の事前配布による審議のための事前準備期間の確保、及び決議事項や報告事項の範囲の見直しを、社外取締役を含む取締役から要請されている状況です。決議資料に対する追加質問に関しては、各部門の担当者が迅速に情報を収集し、報告する意識と体制は整っている旨の評価を社外取締役から得ております。当社では、必要に応じて会社法370条に基づく書面決議を行っております。審議時間に関しては、1件当たりの審議時間が十分に取られていない旨の指摘があるため、改善すべき課題として認識しております。

 

<補充原則4-14②: 取締役・監査役に対するトレーニング方針> 取締役・監査役の就任時は、取締役・監査役の一般的な役割・責務や事業内容・財務・組織等について説明することを基本方針としております。さらに、当社に対する理解を深めるため、執行役員会、経営戦略会議、グローバル会議等の重要会議への出席や各製造拠点の視察等を実施しております。また、基本方針に基づくトレーニングの他に、取締役・監査役はそれぞれ外部セミナーに参加しております。今後は、これらの取締役・監査役に対するトレーニングの方針について明文化するとともに、ホームページ等で開示してまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく主な開示>
<原則1-1:株主の権利の確保> 当社は、株主総会における議決権をはじめとする株主の権利が正しく確保されるように対応するとともに、当社の取締役会は、コーポレート・ガバナンスに関する役割・責務を果たす体制を整えます。さらに、少数株主の権利についても平等性の確保のため、株主総会後の事業説明会の開催やIR・広報部による個別電話対応等により対話の機会と窓口を確保するなど、十分な配慮を行なっております。

 

<原則1-3:資本政策の基本的な方針> [基本的な考え方] 当社は、株式価値を中長期的に高めるには、持続的な成長が必要と考え、その為に事業成長・利益成長を徹底的に追求しながら、収益性を高め、キャッシュ創出力、ひいては株主価値の最大化を目指しています。また、中長期的な成長へ向けた投資と資本効率や財務健全性とのバランスを確保すると共に、株主還元の拡充に努めることを基本としております。

 

<原則1-4、補充原則1-4-1、補充原則1-4-2:政策保有株式>当社では、株式の政策保有に関する方針及び政策保有株式の議決権行使の基準を以下のように定め、運用しております。 1.当社の政策保有に関する方針 当社は、政策保有株式を持たないことを基本方針としております。 ただし、発行会社との関係性において、事業提携先など、当該株式を保有する高度な合理性があると判断した場合に限り、当社は他社株式を保有します。保有株式については、社長室が定期的に保有の合理性を検証し、取締役会に上程しております。具体的な検証方法として、保有目的が適切か否か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を取締役会で検証し、検証結果に基づき政策保有株式の縮減を進めております。2024年6月の取締役会において、精査の結果、1銘柄を条件付き保有、5銘柄を保有継続することとしました。2.当社の政策保有株式の議決権行使基準 議決権の行使については、原則として当該株式発行会社の取締役会の判断を尊重し、当該議案が当社グループとの関係・取引に悪影響を及ぼす場合、又は明らかに株主共同の利益を損なうと考えられる場合を除いては肯定的に判断して行使しております。3.当社の株式の政策保有に関する対応 上記とは別に当社の株式の政策保有に関しては、保有先から売却の意向が示された場合、取引の縮減を示唆する等の売却を妨げることは一切行っておらず、適切に売却等に対応しております。

 

<原則1-5:いわゆる買収防衛策> 当社は、いわゆる買収防衛策を導入しておりません。 当社株式が公開買付けに付された場合、取締役会は、その目的と内容を慎重に検討した上で、当社の考えを公表します。取締役会は、企業価値の維持・向上の観点から必要と判断する場合には、株主が公開買付けに応じる権利を不当に害さないように留意し、適切な対応措置を提案いたします。

 

<原則1-6:株主の利益を害する可能性のある資本政策> 当社は、資本政策の立案及び実行については、既存株主を不当に害することがないよう、取締役会において必要性と合理性を十分に検討した上で決議いたします。

 

<原則2-1:中長期的な企業価値向上の基礎となる経営理念の策定> 当社は、グローバルな視点のもと国際社会や地域社会と調和を図り、あらゆる人々の生活に貢献できる製品とサービスを提供する企業として誠実に行動すべく、「お客様から信頼されて満足を頂くこと」、「地球環境問題の解決に貢献すること」、「ものづくりを通して社会に貢献すること」の3つの経営理念にもとづき事業活動を展開しております。

 

<原則2-2:会社の行動準則の策定・実践> 当社は、経営理念を実現するために、会社としての価値観を示し、会社の構成員が従うべき準則として以下の行動規範を定めております。
1. 「グローバルな視点のもと、常に国際社会と調和を図り、地域社会その他私たちに関係する世界の人々の生活に貢献できる製品とサービスを提供する企業として、各国の法令を遵守することはもちろん、確固とした企業倫理と社会的良識を持って、誠実に行動します。」
2. 「新エネルギー産業及びエレクトロニクス産業を中心に高品質な製品やサービスを提案し、コスト競争力のある製品やサービスを提供することにより、お客様から信頼されて、満足を頂くことを掲げます。」
3. 「地球環境に配慮した活動を積極的に推進することを経営上の重要課題の一つとしており、最新の環境規制要求への適応を順次進めます。また、新エネルギー産業で活用できる素材・製品などを開発し、地球環境問題の解決に貢献することを掲げます。」
4. 「コア技術を活用したものづくりを通して社会に貢献し、顧客、株主、社員、取引先、地域社会などステークホルダーの方々が成長する楽しみを持てる企業であり続けます。また、企業活動にあたり法令遵守、社会秩序、国際ルールなど社会的良識をもって行動することを掲げます。」

 

<原則2-3:社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題> 半導体の製造プロセスは環境負荷が大きく、これを解決することが業界全体の課題となっております。当社では、ノン・フロンの温調デバイスであるサーモモジュールや消費電力削減に有効な「パワー半導体基板」、「磁性流体」等の製品販売並びに日本及び中国の工場における太陽光パネルを用いたクリーンエネルギーでの発電等、事業を通じて環境汚染に配慮した温室効果ガス低減に貢献しております。2023年3月「サステナビリティ委員会」を当社執行役員会傘下の委員会として設置し、サステナビリティへの取り組みの状況確認、検討、審議を行い、取締役会等で適宜に報告することでサステナビリティの全社的な検討・推進を行います。その他、コロナ禍の中で経済的に困窮する大学生が増加している中、当社は将来社会に貢献し得る有為な人材の育成に寄与すべく工学系の学生に奨学金を給付している公益財団法人山村章奨学財団を支援しております。

 

<原則2-4:女性の活躍促進を含む社内の多様性の確保> 社内に異なる経験や価値観が存在することは、特に当社のようなグローバルに展開している経営環境下においては、会社の持続的な成長を確保する強みであると考え、現地子会社のマネジメントは現地に任せる方針の下、女性を含めた多様性の確保に努めております。

 

<原則2-5、補充原則2-5-1:内部通報> 当社は内部通報制度を整備し、通報をしたことによる不利な取り扱いを受けないことを明記しており、内部通報制度の理解・浸透を目的として社内のイントラネットへ内部通報のご案内の掲示をしております。また、内部通報制度にもとづき、社内外に相談窓口を設置しており、都度対応を実施します。

 

<原則2-6: 企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮> 企業年金の運用は、企業年金基金(以下、「企業年金基金」といいます)にて行われております。当社は、企業年金基金が企業年金のアセットオーナーとしての機能を発揮していることを確認しております。 企業年金基金は、全ての国内株式運用委託機関がスチュワードシップ・コードを受入れていることを確認しております。 また、運用委託機関に対し、投資先企業との建設的な対話や、議決権行使の実施状況に関するモニタリングを行い、その際、スチュワードシップ活動の具体的な事例を含めて確認しております。さらに年金運用コンサルタントに対し、情報提供等の正確性や透明性を確認しております。なお、利益相反の管理は、個別の投資先企業の選定や議決権行使を運用委託機関へ一任する契約とすることで、適切に行われております。

 

<原則3-1: 情報開示の充実>
(ⅰ)当社の企業理念、中期経営計画、コーポレート・ガバナンス、ESG・SDGs当社は法令に基づく開示を適切に行うことに加え、会社の意思決定の透明性・公平性を確保し、実効的なコーポレート・ガバナンスを実現するとの観点から、企業理念、中期経営計画、コーポレート・ガバナンス、ESG・SDGsについては、ホームページにて開示しております。
1)企業理念https://www.ferrotec.co.jp/company/company_philosophy.php
2)中期経営計画https://www.ferrotec.co.jp/ir/ir_ml_plans.php
3)コーポレート・ガバナンスhttps://www.ferrotec.co.jp/esg/esg_governance.php
4)ESG・SDGs https://www.ferrotec.co.jp/esg/

 

(ⅱ)コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針本報告書の「1.コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方及び資本構成、企業属性その他の基本情報」に記載のとおりです。

 

(ⅲ)取締役会が経営陣幹部・取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続き1.基本方針当社グループの役員報酬の基本方針として重視する点は以下の通りです。(1)取締役(社外取締役を除く)・当社の使命の実現に向けた優秀な人材を内外から獲得・保持できる報酬制度であること・業績目標の達成及び中長期的な企業価値の向上を動機付け、当社グループの持続的な成長に寄与するものであること・株主を含むすべてのステークホルダーに対する説明責任の観点から透明性、公正性および合理性を備えた報酬決定プロセスであること(2)社外取締役・独立かつ客観的な立場から当社の経営を監督するという役割・責務に適した報酬体系であること2.報酬構成・報酬水準取締役のうち執行役員を兼ねる者(以下「執行役員兼務取締役」という。)の報酬は、役位等によって決定する基本報酬(固定報酬)、短期業績連動報酬、中長期業績連動報酬(以下「株式報酬」という。)により構成します。「基本報酬:短期業績連動報酬:株式報酬」の比率は、代表取締役社長の基準額(連結報酬ベース)で概ね「1:1:1」を目安とし、その他の執行役員兼務取締役については職責の大きさ等に基づいて決定します。なお、役員退職慰労金制度はありません。また、社外取締役および監査役については、その役割・責任を考慮して基本報酬(固定報酬)のみの構成とします。報酬構成・報酬水準の決定にあたっては、外部専門機関が運営する客観的な報酬市場調査データ等を活用して、市場水準との比較結果を踏まえるものとします。3.インセンティブ報酬インセンティブ報酬は、業績等の成果や企業価値と連動する報酬制度のもとで経営理念や経営戦略に則した職務の遂行を強く促すべく、成長を徹底的に追及する基本方針を持つ中期経営計画に掲げた指標等の成果に応じて支給される仕組みとし、短期業績連動報酬、RSUとPSUの株式報酬制度による中長期業績連動報酬で構成します。4.報酬ガバナンス取締役会決議に基づき、代表取締役社長に、規則の定めるところにより、公正性・透明性を確保するため、報酬委員会を招集の上、諮問し、その答申内容を尊重して決定することを委任します。当社の報酬委員会は、委員の過半数を独立社外取締役で構成しております。報酬委員会は、役員報酬の環境に関する最新の状況やマーケット動向、比較企業との報酬比較結果やその他助言等も踏まえ、取締役会へ必要な答申または報告を行います。また、当社は、外部の報酬コンサルティング会社(WTW〔ウイリス・タワーズワトソン〕)をアドバイザーとして起用しております。5.社外取締役の報酬等当社の社外取締役の報酬等は、客観的かつ独立した立場から当社の経営を監督するという役割に鑑み、固定報酬(基本報酬)のみとします。固定報酬の水準は、社外取締役報酬の環境に関する最新の状況やマーケット動向、比較企業との報酬比較結果や外部の報酬コンサルティング会社の助言等を参考に、報酬委員会等での役割、また各社外取締役の経験等を踏まえ、決定します。

 

(ⅳ)取締役会が経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補の指名を行うに当たっての方針と手続き 当社は、取締役候補の選定基準及び手順、監査役候補の選定基準及び手順を以下のとおり定めております。 (取締役候補の選定基準及び手順)1.選定基準取締役会は、取締役候補者の選定に関しては、指名委員会において取締役としての適格性を慎重に検討したうえで決定しなければならない。候補者は、会社法及び当社の定款並びに取締役会規則に定められた役割と任務を遂行できると思われる人物とする。具体的には、下記を基準として人格、能力、職歴などから総合的に判断し選定する。1) 企業活動を通じ、事業の拡大・成長及び事業の管理・運営を遂行する意欲を有すること2) 当社グループ、株主、従業員及び社会に利益をもたらす信念と行動力を有すること3) 広い視野と先見性を持ち、決断力と統率力を有すること4) 取締役の任期を全うするに支障のない健康状況であること5) 取締役のうち原則として2名以上は、社外取締役候補者として選定するものとする。当該候補者については、企業統治の観点から以下の条件を満たすものを候補者として選定する。①他の企業等で経営にあたり、取締役及び同等の経営幹部を歴任したことがあること。または、弁護士・会計士 などの有資格者であること②代表取締役及び他の取締役または主要な使用人との特別な利害関係をもたない独立性の確保に問題がないこと③社外取締役として中立の立場から、代表取締役及び取締役会に対して客観的に意見を表明することができること④取締役の業務執行の監督にあたることができること2.選定手順候補者は、原則として次の手順で選定する。代表取締役または各取締役からの推薦により、代表取締役が候補者の資質及び略歴を検討し、面接を行ったうえで候補者を特定し、指名委員会で審議する。その後、取締役会にて審議の上、定時株主総会へ取締役候補者として選任決議案を上程する旨を決議する。(監査役候補の選定基準及び手順)1.選定基準候補者は、会社法及び当社の定款・監査役会規則に定められた役割・任務を遂行できると思われる人物とする。具体的には、下記を基準として人格、能力、職歴から総合的に判断し選定する。一監査役の任期を全うするに支障のない健康状況であること二会社経営者及び業務執行者からの独立性を確保できること三下記の事項の一つを満たす者①会社経営に関わる会計及び法務等の知識、経験を充分に有していること②当会社定款に定める事業分野に関する知識、経験等を充分に有していること③管理業務に精通し経営資源の重要性を認識する知識、経験等を有していること四監査役の内、半数以上は社外監査役候補として選定するものとし、当該候補については当会社との関係について特に以下の事項を勘案の上、候補者を選定する。①代表取締役、その他の取締役または主要な使用人との関係等を勘案し、独立性の確保に問題ないこと②社外監査役としての中立の立場から、代表取締役及び取締役会に対して忌憚のない質問を行い、客観的に監査意見を表明することを期待される者③必要な情報の入手を心がけ、他の監査役と情報共有に努め、他の監査役と協力して監査にあたることを期待される者2.選定手順代表取締役または各監査役からの推薦による候補者について監査役会で略歴を検討した後、面接を行い、審議の上、株主総会へ上程する選任決議案の監査役候補としての可否を決議し、その結果を速やかに代表取締役に対し、書面にて伝達を行う。

 

(ⅴ)取締役会が上記(ⅳ)を踏まえて経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補の指名を行う際の、個々の選解任・指名についての説明 取締役・監査役の選任理由につきましては、株主総会招集通知にそれぞれの略歴と合わせ記載しております。現任の取締役の選任理由につきましては、当社ホームページ https://www.ferrotec.co.jp/ir/ir_shareholder_related.php に掲載しております。

 

<原則3-2:外部会計監査人> 取締役会は、担当部室を通じて外部会計監査人から報告を受けるものとしております。監査役及び監査役会は、外部会計監査人と定期的に会合を持つ等緊密な連結を保つとともに、監査計画については事前に報告を受けるものとしております。また、内部監査室が外部会計監査人と定期的に面談を行い、監査に必要な情報について、共有化を図っております。

 

<原則4-1:取締役会の役割・責務(1)> 取締役会の職能及び権限として、法令又は定款に定める事項のほか、経営上の業務執行の基本事項について決定するとともに、その執行を監督すると取締役会規則で定めております。

 

<補充原則4-1①: 取締役会から経営陣への委任の範囲の概要> 当社では、法令、定款、取締役会規則にもとづき、取締役会において決議を要する事項を定めており、株主総会に関する事項、決算に関する事項、取締役及び執行役員に関する事項、株式に関する事項、計画に関する事項、人事・総務に関する事項、営業に関する事項、内部統制システムの決定、関係会社に関する事項について、取締役会の決議をもって決定することとしております。また、当社は執行役員制度を採用し、取締役会で業務執行取締役の職掌を決議し、代表取締役社長の指揮のもと、迅速な意思決定ができるよう業務分掌規程、職務権限規程に定めた権限にもとづき業務を遂行しております。

 

<原則4-2:取締役会の役割・責務(2)> 当社は、取締役会規則において、取締役会を毎月1回開催し、必要な場合は臨時取締役会を開催することと定め、経営環境の変化に応じた迅速な意思決定を行える体制をとっております。

 

<原則4-3:取締役会の役割・責務(3)> 当社の取締役会は、取締役社長が月度の貸借対照表、損益計算書及び資金の収支を取締役会に報告することとしております。また、取締役は、取締役会規則で定めた経営上の重要事項や競業取引、自己取引等の重要事実について取締役会へ報告することとなっております。

 

<補充原則4-3②: CEOの選任> 当社では、最高経営責任者の選任・解任基準を設けており、CEOとして求められるCEOとしての必要な要素(品位品格、健康面、リーダーシップ、変化への対応力、決断力、グローバル的視野、経営実績など)を定めております。取締役会は当社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上を図るうえでCEOの決定は最も重要な戦略的意思決定であると認識しております。候補者の選定等において公正性、妥当性及び経営の実効性を確保するため、取締役会の諮問委員会として独立社外取締役が過半数を占める指名委員会を設置し、候補者の選定、審議、決定し、取締役会へ報告しております。取締役会は、指名委員会の推薦内容について審議を行い、次期CEOを決定いたします。

 

<補充原則4-3③: CEOの解任>  当社では、最高経営責任者の選任・解任基準を設けており、解任基準として「業績要件」「健康状態」「取締役欠格事由」「CEOの不祥事による信用失墜」など業務運営に支障をきたすと認定される場合を定めており、社外取締役及び社外監査役の全員で構成する社外役員会議において審議し、取締役会へ付議する旨を定めております。

 

<原則4-4:監査役及び監査役会の役割・責務> 監査役及び監査役会は、ガバナンスのあり方とその運営状況を監視し、取締役の職務執行を監査しております。監査役は、取締役会への出席、執行役員との面談、重要な書類の閲覧等を通じて経営全般に関する幅広い検討を行うとともに、毎月開催される監査役会において情報を共有し実効性の高い監査を効率的に実施するよう努めております。また常勤監査役は、取締役会はもとより経営会議その他の重要会議に出席し、業務執行に関する適切な監査や助言を行い、経営の質的向上と健全性確保に努めております。

 

<原則4-5:取締役・監査役等の受託者責任> 取締役及び監査役は、株主を中心としたステークホルダーと協業し、社会や株主共同の利益のために行動することが、当社の企業価値向上につながることを認識した上で、株主に対する受託者責任を全うしております。

 

<原則4-6:経営の監督と執行> 当社では、取締役会による独立かつ客観的な監督の実効性を確保すべく、業務の執行には携わらない、業務の執行と一定の距離を置く取締役として、独立社外取締役を選任しております。

 

<原則4-7:独立社外取締役の役割・責務>  当社では、独立社外取締役は、その独立性の立場を踏まえ、執行の監督機能、助言機能、利益相反の監督機能、少数株主の意見の反映、ステークホルダーの意見の反映を果たすものと捉え、独立社外取締役を選任しております。

 

<原則4-8:独立社外取締役の有効な活用> 当社の取締役会は9名の取締役で構成され、うち3名は社外取締役であります。また、取締役会の経営監視機能をより一層明確でかつ透明性のあるものとするために、東京証券取引所の有価証券上場規程にもとづき当社の独立役員選任基準を定め、その要件を満たす独立社外取締役として、岡田達雄、坂本明彦、磯巧の3名を選任しております。

 

<原則4-9:独立社外取締役の独立性判断基準及び資質> 当社は、東京証券取引所の有価証券上場規程に基づき当社の独立役員選任基準を定めております。また、多様なステークホルダーの視点を事業活動の監督に取り入れる観点から、指名委員会に適宜諮問する等、その出身分野・性別等の多様性に留意しております。

 

<補充原則4-10①: 指名・報酬委員会設置による独立社外取締役の適切な関与・助言> 当社は現在、独立社外取締役が取締役会の過半数には達しておりませんが、取締役会の諮問委員会として独立社外取締役が過半数で構成する報酬委員会及び指名委員会を設置しております。ESG経営に知見、事業法人の研究開発経験、経営者として豊富な経営経験等を有する社外取締役が参加しており、幅広い視点による適切な関与と助言を得ており、当社取締役会はその諮問内容を最大限尊重することとし、取締役の報酬及び指名における透明性、公正性を確保しております。

 

<補充原則4-11①:取締役会全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方> 当社の取締役会は、業務執行の監督と重要な意思決定には、多様な視点と経験、及び多様で高度なスキルを持った取締役の構成が必要であると考えております。また監査役についても、取締役会に出席し、必要に応じて意見を述べる義務があり、取締役と同様に多様性と高いスキルが必要であると考えております。社外役員については、取締役会による監督と監査役による監査という二重のチェック機能を果たすため、法定の社外監査役に加え、取締役会での議決権を持つ社外取締役が必要であり、ともに高い独立性を有することが重要であると考えております。さらに、独立社外取締役は他社での経営経験を有する人物の選任を意識し、取締役会全体として必要とする知識・経験・能力等のバランスを考慮して選任し、スキルの網羅性を確保しております。各取締役・監査役の知識・経験・能力等を一覧化したスキル・マトリックスは、当社ホームページ
https://www.ferrotec.co.jp/esg/sdgs.phpに掲載しております。

 

<補充原則4-11②:取締役の兼任状況> 当社は、取締役候補者及び取締役の重要な兼職の状況を、「株主総会招集通知」の参考書類、事業報告、有価証券報告書の開示書類において毎年開示しております。

 

<補充原則4-11③: 取締役会の実効性に関する評価> 当社は、取締役会の機能を向上させ、ひいては企業価値を高めることを目的として、取締役会の実効性評価を外部機関からの助言を受けながら、2024年1月に取締役会の構成員であるすべての取締役・監査役を対象に、取締役会の構成、運営及び議論、株主との対話等に関するアンケート(以下「2024年3月期アンケート」)を実施いたしました。回答方法は外部機関に直接回答することで匿名性を確保いたしました。外部機関からの集計結果の報告を踏まえたうえで、2024年4月、定時取締役会において分析・議論・評価を行いました。 2024年3月期アンケートの大項目は以下のとおりです。回答は5段階で評価する方式と記述式といたしました。・取締役会の在り方・取締役会の構成・運営・議論・取締役会のモニタリング機能・社外取締役のパフォーマンス・取締役・監査役に対する支援体制・トレーニング・株主との対話・自身の取り組み・指名委員会・報酬委員会の運営・総括 2024年3月期の評価結果の概要は、取締役会の運営として資料の網羅性・分かりやすさ、取締役会のモニタリング機能として子会社を含めた内部統制構築・運用状況の監督・監視、社外取締役のパフォーマンスとして大局的な目線で適切な発言・指摘がなされている等、おおむね肯定的な評価が得られており、取締役会全体の実効性については確保されていると認識いたしております。一方、取締役会で議論すべきテーマとして、時宜を捉えたESG、SDGs、サステナビリティ経営、中長期的な人事戦略といった内容があげられ取締役会での議論の設定、活性化に向けた課題についても共有いたしました。今後、当社の取締役会では本実効性評価を踏まえ、中長期的な企業価値の向上のため、取締役会の機能を高める取り組みを継続的に進めてまいります。

 

<原則4-12:取締役会の審議の活性化> 当社では、会社法及び定款で定められた事項及び当社の経営に関する重要事項等について審議・決定する機関として、取締役会を原則として毎月1回開催しております。また、取締役及び執行役員で構成された経営戦略会議を取締役会の日程にあわせて実施しており、経営に係わる重要事項の報告と活発な議論と通じ、意思疎通及び情報共有を図っております。取締役会付議事項につきましては、総務法務統括室より、取締役及び監査役に対して資料を事前に配布しており、取締役会の前日又は当日に事前説明会を開催しております。

 

<原則4-13:情報入手と支援体制> 当社では、取締役及び執行役員並びに、各監査役は取締役会への出席、重要な書類の閲覧を行うことができ、また、当社及び重要な子会社の代表取締役との適宜の意見交換や子会社の代表取締役との監査実施時の意見交換をはじめ、各部門や子会社の責任者から活動状況の方向を、定期的に又は必要に応じて受け取ることが出来る体制を整えております。また、取締役、執行役員及び従業員並びに子会社の取締役、監査役及び従業員等は、会社もしくは子会社に著しい損害を及ぼす恐れがある事実もしくは法令・定款に違反する重大な事実等が発生した場合又はこれらの事実等の報告を受けた場合は、速やかにリスク管理委員会に報告した上で、同委員会より、取締役会等で適宜報告することとしております。

 

<原則4-14:取締役・監査役のトレーニング> 当社は、取締役・監査役が外部セミナーに参加し、取締役会にて適宜報告、又は伝達しております。

 

<原則5-1:株主との建設的な対話に関する方針> 当社は、会社の持続的成長及び企業価値の向上を目指し、株主の皆さまとの建設的な対話を促進し、当社の経営方針や経営状況を分かりやすく説明し、株主の皆さまの理解が得られるよう努めてまいります。
~株主との建設的な対話に関する方針~
1.株主の皆さまとの対話の統括  IR担当である管理統括、欧米・アジア事業担当取締役を株主の皆さまとの対話を統括する経営陣として指定しております。
2.株主の皆さまとの対話を補助する社内各部門の連携体制  IR・広報部及び財務経理統括室が連携して、株主の皆さまとの対話を補助しております。
3.個別面談以外の対話の手段の充実に関する取組み  決算説明会、スモールミーティング、個人投資家説明会、株主総会後に開催する事業説明会、Webによるミーティング、各種印刷物をはじめとする様々な情報伝達手段を活用しております。決算説明会及び事業説明会では、代表取締役が自ら説明を行っております。
4.対話に際してのインサイダー情報の管理  内部情報管理規程に基づき情報管理を徹底しております。

 

【資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応】【英文開示有り】
当社は、株式資本利益率(ROE)と投下資本利益率(ROIC)を重要な経営指標と捉え、中期経営計画(2025/3期~2027/3期)期間中において、ROEを15%、ROICを8%とすることを経営目標(KPI)の一つとしておリます。なお、取締役会において定期的に資本コストおよび加重平均資本コスト(WAC C)の見直しを行っておリ、2024年3月期の株主資本コストは8%台半ば、WACCは7%台後半の水準と算定しておリます。それに対して、同連結会計年度のROEは7.8%、ROICは4.5%と、資本コスト、WACCをそれぞれ下回っており、近時の大型設備投資に伴う費用の増加による親会社株主に帰属する当期純利益率の低下及び有形固定資産の増加が主な要因であります。そのため、資本コストとWACCをそれぞれ上回るROEとROICを安定的に達成させることが、足元の重要な経営課題と認識しております。また、株価純資産倍率(PBR)については、2024年3月期で0.68倍と1倍を下回っている状態が継続しており、ROEと株価収益率(PER)を向上させることが重要であると認識しております。 これら経営課題の現状評価及び各種施策については、2024年7月31日に開示しました「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた取り組みについて」をご覧ください。
(日本語) https://www.ferrotec.co.jp/php/download.php?f=jp/66b077985a236.pdf
(英語)  https://www.ferrotec.co.jp/php/download.php?f=en/66b0929d8d3aa.pdf

 

 

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