エクストリーム(6033) 3事業2桁増収 配当も修正なく実施予定

2023/12/28
 

佐藤 昌平 代表取締役社長CEO

株式会社エクストリーム(6033)

 

 

企業情報

市場

東証グロース市場

業種

サービス業

代表者

佐藤 昌平

所在地

東京都豊島区西池袋1-11-1 メトロポリタンプラザビル21F

決算月

3月

HP

https://www.e-xtreme.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,198円

5,501,508株

6,590百万円

21.0%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

23.00円

1.9%

116.33円

10.3倍

768.47円

1.6倍

*株価は12/8終値。
*発行済株式数は発行済株式数から自己株式を控除。
*ROE、BPSは前期実績。その他数値は24年3月期上期決算短信より。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2019年3月(実)

6,286

945

851

560

104.48

21.00

2020年3月(実)

7,161

1,379

1,295

966

177.69

36.00

2021年3月(実)

6,230

703

750

491

90.14

18.00

2022年3月(実)

7,231

592

714

452

82.61

17.00

2023年3月(実)

8,816

1,024

1,174

814

148.18

30.00

2024年3月(予)

10,000

900

1,000

640

116.33

23.00

* 予想は会社予想。単位:百万円、円。

 

(株)エクストリームの2024年3月期上期決算の概要と2024年3月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2024年3月期上期決算概要
3.2024年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 24/3期上期は前年同期比19.2%増収、42.6%営業増益。3事業いずれも2桁増収。デジタル人材事業では、企業のDX推進などによる技術ソリューションに対する旺盛な需要を背景に、受注が好調に推移。受託開発事業では、企業のデジタル施策への投資拡大を背景に受注獲得が順調に進んだ。利益面では、デジタル人材事業は外部協力会社要員プロジェクトの増加により微増益だが、受託開発事業の安定的稼働が採算性の向上に寄与して大幅増益となった。 
  • 通期予想に修正はなく、24/3期は前期比13.4%増収、12.1%営業減益を計画する。デジタル人材事業はWEB系顧客拡大・積極的採用によるプロジェクト数の増加で同19.4%増収、受託開発事業は同6.9%増収、コンテンツプロパティ事業は同18.5%減収を見込む。利益面では、採用費、広告宣伝費など投資予算を計上し、減益予想としているが、売上規模を安定させ、継続的な事業成長のために投資を行う方針。配当も修正なく23.0円/株の期末配当を実施予定。 
  • 上期は2桁増収増益、営業利益率も前年同期11.1%から13.3%へ改善して好スタートを切ったといえるだろう。先行投資をこなしながらも、しっかりと利益率を向上させている。特に受託開発事業においての改善が前期に続いて顕著に現れており、ベトナム子会社が本格的に軌道に乗っていることが分かる。上期の通期予想に対する進捗率は売上高で48.4%、営業利益で71.7%。前期は実績ベースでそれぞれ46.1%、44.2%であり、年末商戦が控えていることも加味すると特に利益面では会社予想を大きく上回ってくることになりそうだ。2桁減益予想だが増益での着地も十分に視野に入る。2014年の上場時に目標とした売上高100億円についても達成は十分射程圏内。尚、好業績にも拘らず株価は全体市場が上昇している中で軟調に推移している。会社予想が保守的であることも考慮すると低位にとどまるバリュエーションの見直し余地は大きいといえるだろう。 

1.会社概要

クリエイティブな開発スキルを有するデジタルクリエイター(プログラミングやグラフィックの開発スキルを持ったクリエイター&エンジニア)のプロダクションである。法人向けにゲーム・スマートフォンアプリ・Web・IT企業等へソフトウエア開発サービスを派遣契約または請負契約にて提供するデジタル人材事業、デジタル人材事業またはグループ各社の顧客から持ち込まれるスマートフォンアプリまたはWEB開発案件、大規模会員向けプラットフォームシステムの構築~導入~運用などの案件を持ち帰り形式にて受託・納品する受託開発事業、同社またはグループ会社が保有するゲーム・キャラクター等の知的財産を活用し、様々な事業を展開するコンテンツプロパティ事業を展開している。

 

グループは、同社の他、連結子会社に(株)EPARKテクノロジーズ(出資比率58.3%)、オフショア開発拠点を活用したITサービスの開発等を行う(株)エクスラボ(同100%)及びEXTREME VIETNAM Co., LTD.(同100%、ベトナム国ハノイ市)。また、23/3期に2社を新規連結。22年6月から(株)角川ゲームスから吸収分割承継を受けて(株)Dragami Games(同93.3%)を子会社化した。加えて22年11月にはゲーム開発・組込システム開発を行うエス・エー・エス(株)及び子会社の酒田エス・エー・エス(株)を買収(51.3%取得)、3Qから新規連結となった。持分法適用関連会社には、(株)EPARKペットライフ(同23.8%)、(株)ネクストン及び子会社のウーガ(同15.0%)。(株)EPARKテクノロジーズは飲食店・病院・美容院・時間貸駐車場・エステサロン等の順番予約サイト「EPARK(イーパーク)」の基幹システム開発・保守を手掛けており、(株)EPARKペットライフはペットサロン・動物病院のポータルサイトを運営(予約・送客サービス)している。(株)ネクストンはPC向けゲームソフトの開発・販売を行っており、TVアニメ化された「恋姫†無双」などの著名IPを保有する。

 

沿革

(同社資料より)

 

【企業コンセプトと行動指針】
企業コンセプトは、「まじめに面白いをる会社。未来の楽しいをる会社。」。行動指針を、「スピード×クオリティ×チャレンジ」としている。スピード。常にフルスピードを意識する。今日できる事は今日やる。今出来る事は今やる。後回しにしない。クオリティ。妥協せず常に最高のクオリティを目指す。量は質に転化する。多くのアイデア、多くの成果、多くの挑戦など、多くを生み出すことが、クオリティの高いものに結実する。全ての成果はお客様のためにある。お客様が満足するクオリティを目指す。チャレンジ。失敗を恐れずに前に踏み出す。現状に満足せず、常に改善を心がける。

 

1-1 事業の概要

事業は、デジタル人材事業、受託開発事業、及びコンテンツプロパティ事業に分かれる。各事業の概要は次の通り。

 

23/3期 セグメント別売上高・利益

 

売上高

構成比

営業利益

利益率

デジタル人材事業

5,027

57.0%

949

18.9%

受託開発事業

3,275

37.1%

385

11.8%

コンテンツプロパティ事業

513

5.9%

363

70.7%

合計

8,816

100.0%

1,024

11.6%

* 単位:百万円、営業利益には調整額674百万円があり、合計額と一致しない

 

デジタル人材事業
ゲーム・スマートフォンアプリ・WEB・IT企業等に対し、ソフトウエア(プログラミングやグラフィック等)開発サービスを派遣契約または請負契約にて提供する。クリエイター&エンジニアを持続的に強化・拡充していく事ができる自社養成システム(研修・教育システム)を有し、登録型派遣会社とは異なり、タレント性や独自スキルを持った人材を柔軟に供給する事ができる事が強みである(⇒競合他社が少ない)。研修・教育の実施により取引先企業に対して同社は社員の技術力を企業として担保している。また、同社社員は営業マンとしての側面も持ち、顧客先での取引拡大にも寄与している。デバイスの流行り廃りに左右されない盤石な経営基盤を有する。

 

主要顧客
エンターテインメント・WEB・ITの幅広い企業と取引。

(同社資料より)

 

顧客分布の推移

 

20/3期

21/3期

22/3期

23/3期

エンタメ系顧客

51.0%

55.8%

48.9%

49.2%

スマーフォンアプリ

81.4%

74.1%

77.5%

74.0%

家庭用ゲーム

9.8%

11.0%

10.5%

14.5%

オンラインゲーム

7.4%

10.1%

7.1%

5.5%

遊戯機器

1.0%

0.0%

2.3%

1.7%

業務用ゲーム他

0.4%

4.8%

2.6%

4.3%

非エンタメ系顧客

49.0%

44.2%

51.1%

50.8%

IT

53.9%

45.4%

41.6%

48.5%

Web

46.1%

54.6%

58.4%

51.5%

 

21/3期は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、20/3期まで伸びてきた非エンタメ系顧客の新規開拓が停滞した。エンタメ系既存顧客への深堀り営業(単価アップ施策)が主体となったことから、若干エンタメ系顧客へのウェイトが増加した。
22/3期には再び非エンタメ系顧客が増加に転じ、初めて50%を上回った。23/3期も非エンタメ系顧客がエンタメ系顧客を上回った。尚、当該セグメントの売上高は順調に伸びており、エンタメ系顧客への売上高が低下したわけではなく、非エンタメ系顧客からの受注割合が増加していることを示している。
ゲーム市場では、ゲーム専用機からスマホへのシフトに伴い利用者の裾野が広がったことで、技術力だけではなく、企画力も必要な時代に入る。パブリッシャーは企画・宣伝に注力。一方で、1タイトル当たりの開発費は膨張する。このため、プロフェッショナル集団に対するアウトソーシング需要の増加が予想される
今後も、ゲーム等のエンタメ開発で培った視覚表現力、演出力などのクリエイティブな開発スキルをセールスポイントとして、市場規模が大きいネットビジネス・WEBサービス事業者などへ応用的に展開させ、事業規模を拡大させていく方針。

 

受託開発事業
主に大規模プラットフォームに関わる各種開発・保守、ナショナルクライアントからのシステム開発・保守・追加案件などの受託開発を行う。
子会社(株)EPARKテクノロジーズが手掛けるEPARKプラットフォームに関わる各種開発・保守、(株)エクストリームのテックファンド事業本部とベトナムのオフショア子会社を活用して開発を行う(株)エクスラボによるナショナルクライアントからのシステム開発・保守・追加案件等の受託開発(持ち帰り型の開発)を手掛けている。ナショナルクライアント向けでは、ビッグデータ分析での分析基盤の設計開発及び分析、AIを活用したシステム開発、リアルタイムコミュニケーションを実現する技術を活用した映像配信プラットフォーム開発、遠隔地にある設備をデバイス上の操作で支援するオペレーション支援システムの開発等を手掛けている。下記エス・エー・エスは23/3期から子会社化。

 

受託開発事業の子会社

(株)EPARKテクノロジーズ WebやIoT技術とAR/VR、AI(機械学習)など最新のデジタルテクノロジーを活用し、DX(デジタルトランスフォーメーション)サービスの企画立案、データの検証、PoC、開発、運用まで一気通貫で提供。
(株)エクスラボ 受託開発事業におけるオフショア開発拠点として、品質の高い技術サービスを適切な価格で提供。また、クライアントの要望に応じ、柔軟な開発体制を構築する「ラボ型サービス」や現地進出のサポートを行う「インキュベーションラボサービス」を提供。
EXTREME VIETNAM Co., Ltd. 日本人技術者の他、開発、安定運用の実績が豊富な現地技術者が約120名、日本語対応可能なスタッフも40名在籍。高い日本語力と経験で顧客の企業文化・開発意図まで考慮し、最高の開発環境で高品質のサービスを提供。
エス・エー・エス(株) エンターテイメント事業及びシステムソリューション事業の2事業を展開する受託開発会 社。ゲーム等の受託開発事業においては、大手ゲームパブリッシャーを主な取引先とし て、40年を超える取引実績があり、業界内でも老舗として名が通った企業。

 

受託開発事業の強み

(同社資料より)

 

・ビッグデータ分析での分析基盤の設計開発および分析、AIを活用したシステム開発
・リアルタイムコミュニケーションを実現する技術を活用した映像配信プラットフォーム開発
・遠隔地にある設備をデバイス上の操作で支援するオペレーション支援システムの開発

 

受託開発事業は、以下の売上区分でパイプラインを構成し、それぞれがグループ内シナジーを生むよう効率的な運営で受注拡大と高利益体制を今後構築して行く。売上1(フロー)から売上2・3(ストック)へ、ベトナム子会社の活用も今後積極的に展開。

 

(同社資料より)

 

コンテンツプロパティ事業
ゲームタイトルやキャラクターに関するIPを保有し、これらIPを利用したゲームサービスやライセンスサービスを行っている。 また、ソリューション事業において蓄積した技術力を活かし、ゲームタイトルの制作・開発・配信を行っている。

 

1980年代より家庭用ゲームにおいて100タイトル以上リリースし人気を博したゲームブランド「メサイヤ」に係るゲームタイトルの著作権を保有している。

ライセンスサービスをはじめ、スマートフォンアプリ配信、キャラクター事業などマルチユース展開を行っている。

 

 

 

(同社資料より)

 

ライセンス許諾による「ラングリッサー」の海外配信
中国のゲーム会社である天津紫龍奇点互動娯楽有限公司(中国・北京市)を通して、2018年8月に中国でスマートフォン版ゲームアプリ「ラングリッサー」の使用許諾による配信が始まり、同年10月には、台湾、香港、マカオでの配信を開始した。その後、許諾地域が広がり、日本(19年4月)、韓国、及びロシア(共に同年6月)で配信が開始された。

 

各許諾地域における売上集計作業はライセンス許諾先である天津紫龍奇点互動娯楽有限公司(中国・北京市)が行っており、同社からの収益報告に一定の時間を要する事と契約上収益に係る報告サイクルが定められている事から、現地での実際の収益計上と(株)エクストリームの収益計上にはタイムラグがある。

 

また22年6月には、(株)角川ゲームスより吸収分割承継を受けた(株)Dragami Gamesが新たに加わった。

 

2.2024年3月期上期決算概要

財務基盤は盤石
デジタル人材事業における堅実なビジネスモデル及びラングリッサー関連のロイヤルティ収益等により、営業CFは5億円超の黒字を確保した。有利子負債では、短期借入金が8.5億円となり2億円増加した。上期末のキャッシュポジションは前期末比9.8億円増加した。現預金及び流動性の高い投資有価証券(高格付外債等)の保有残高は40.3億円。自己資本比率は60.0%(前期末59.4%)と引き続き財務基盤は盤石。

 

財政状態

 

23年3月

23年9月

 

23年3月

23年9月

現預金

3,207

3,835

未払金

868

909

流動資産

5,011

5,800

有利子負債

741

922

無形固定資産

274

264

負債

2,293

2,549

投資その他

1,757

1,691

純資産合計

4,825

5,287

固定資産

2,107

2,037

負債・純資産合計

7,118

7,837

* 単位:百万円

* 株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

キャッシュ・フロー(CF)

 

23/3期 上期

24/3期 上期

前年同期比

営業キャッシュ・フロー(A)

516

578

+62

+12.0%

投資キャッシュ・フロー(B)

-607

385

+992

フリー・キャッシュ・フロー(A+B)

-90

963

+1,054

財務キャッシュ・フロー

-216

-23

+193

現金及び現金同等物四半期末残高

1,491

3,333

+1,842

+123.5%

* 単位:百万円

* 株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

2-1 連結業績

 

23/3期 上期

構成比

24/3期 上期

構成比

前年同期比

売上高

4,060

100.0%

4,839

100.0%

+19.2%

売上総利益

1,074

26.5%

1,482

30.6%

+38.1%

販管費

621

15.3%

837

17.3%

+34.7%

営業利益

452

11.1%

645

13.3%

+42.6%

経常利益

606

14.9%

887

18.3%

+46.5%

親会社株主帰属利益

415

10.2%

579

12.0%

+39.4%

* 単位:百万円

 

前年同期比19.2%の増収、同42.6%の営業増益
売上高は前年同期比19.2%増の48.3億円。デジタル人材事業では、企業のDX推進などによる技術ソリューションに対する旺盛な需要を背景に、新規・既存案件とも受注が好調に推移して前年同期比20.9%増収。受託開発事業では、企業のデジタル施策への投資拡大を背景に受注獲得が順調に進んだことにより同16.5%増収。コンテンツプロパティ事業は同19.3%増収。「ラングリッサー」のゲーム販売額に応じたロイヤルティ収益が発生した他、株式会社Dragami Gamesのゲーム販売額も発生している。
営業利益は前年同期比42.6%増の6.4億円。デジタル人材事業は外部協力会社要員プロジェクトの増加により同0.5%増益にとどまった。一方、受託開発事業では開発リソースの安定的稼働が採算性の向上に寄与し同205.0%の大幅増益。コンテンツプロパティ事業は依然として高い利益率を維持して同10.8%増益となった。

 

セグメント別売上高・利益

 

23/3期 上期

構成比・利益率

24/3期 上期

構成比・利益率

前年同期比

デジタル人材事業

2,358

58.1%

2,850

58.9%

+20.9%

受託開発事業

1,469

36.2%

1,711

35.4%

+16.5%

コンテンツプロパティ事業

232

5.7%

276

5.7%

+19.3%

連結売上高

4,060

100.0%

4,839

100.0%

+19.2%

デジタル人材事業

479

20.3%

481

16.9%

+0.5%

受託開発事業

92

6.3%

281

16.4%

+205.0%

コンテンツプロパティ事業

189

81.8%

210

76.0%

+10.8%

調整額

-308

-327

連結営業利益

452

11.1%

645

13.3%

+42.6%

* 単位:百万円
* 各セグメントの売上高は構成比、営業利益は営業利益率。

* 株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

2-2 デジタル人材事業の動向

* 月次売上高推移には、セグメント間の内部売上高または振替高が含まれている。
(同社資料を元にインベストメントブリッジ作成)

 

23年9月は、前年同月比13.3%増、単月売上も5億円を突破し過去最高。

 

(同社資料を元にインベストメントブリッジ作成)

 

プロジェクト稼働数・稼働単価共に、デジタル人材に対する需要の増加に伴い、前期実績を上回り推移した。

* プロジェクト稼働数は、デジタル人材における一件当たり(1人・1ヶ月と1件としてカウント)を合算した期中累計から算出
* 取引先数は、期中において取引(売上)が発生した顧客企業数を1とした通期合算から算出
* クリエイター&エンジニア数は、期末日におけるデジタル人材事業に従事したクリエイター&エンジニア数
(同社資料を元にインベストメントブリッジ作成)

 

稼働プロジェクト数は、上期終了時点で前期の年間稼働数の53.6%と順調に積み上げ。

 

 

3.2024年3月期業績予想

3-1 通期連結業績

 

23/3期 実績

構成比

24/3期 予想

構成比

前期比

売上高

8,816

100.0%

10,000

100.0%

+13.4%

営業利益

1,024

11.6%

900

9.0%

-12.1%

経常利益

1,174

13.3%

1,000

10.0%

-14.9%

親会社株主帰属利益

814

9.2%

640

6.4%

-21.4%

* 単位:百万円

 

前期比13.4%の増収、同12.1%の営業減益を見込む
通期予想に修正はなく、24/3期は売上高が前期比13.4%増の100億円、営業利益は同12.1%減の9億円を計画する。
売上高は14年の上場時に目指した100億円の突破を想定する。デジタル人材事業の売上高は同19.4%増の60億円を見込む。部門毎の前期末稼働プロジェクト数をベースに、当期採用予定数及び離職率予想などを勘案してプロジェクト数を算出した上で、稼働単価実績を参考に推定される収益を予想値としている。WEB系顧客拡大・積極採用によりプロジェクト数の増加を想定。受託開発事業の売上高は同6.9%増の35億円を見込む。前期における受注実績をベースに、新規・保守案件に大別し、新規案件は期末時点での受注済み案件及び受注確度が高い案件の積み上げにより、予想値を算出している。保守案件については、前期末時点において継続中の案件及び1契約当たりの契約金額を抽出し、その積み上げによって予想値を算出している。コンテンツプロパティ事業の売上高は同18.5%減の5億円を見込む。前期におけるライセンス許諾ロイヤルティ実績及びライセンシーの独自予測を参考に算出した数値を予想値としている。子会社(株式会社Dragami Games)における売上高については、当該会社の事業計画をベースに予想値を算出している。いずれも保守的な予想値。
利益面では、人材採用強化(フリーランス人材なども含む)のための採用費、広告宣伝費など投資予算を一定程度計上、減益予想としているが、売上規模を安定させ、継続的な事業成長のために投資を行う方針。営業外では支払利息の発生を見込んでおり、経常利益は前期比14.9%減の10億円、親会社株主利益は同21.4%減の6.4億円を見込む。

 

セグメント別売上高(連結調整後)見通し

23/3期 実績

構成比

24/3期 予想

構成比

前期比

デジタル人材事業

5,441

79.0%

6,000

60.0%

+19.4%

受託開発事業

3,277

13.6%

3,500

35.0%

+6.9%

コンテンツプロパティ事業

513

7.4%

500

5.0%

-18.5%

連結売上高

8,816

100.0%

10,000

100.0%

+13.4%

* 単位:百万円

 

3-2 株主還元

配当は1株当たり23.0円の期末配当を予定している(予想配当性向20.0%)。同社は、配当性向20%を目安として株主還元を実施していく方針。

 

3-3 成長戦略

①成長イメージ
・基盤事業である「デジタル人材事業」を堅実に成長させるとともに、顧客基盤を強化。
⇒23/3期は、WEB系顧客に対する売上が増加。
・広げた顧客基盤を活用し「受託開発事業」へ展開、売上規模を拡大。また、子会社オフショアも活用し、「受託開発事業」の利益率を向上。
⇒23/3期は、前期より大幅に黒字転換(営業損失52百万円→営業利益3億85百万円)
・「デジタル人材事業」「受託開発事業」で培った企画・開発ノウハウを「コンテンツプロパティ事業」へ展開。新しい収益源確保を目指す。
⇒23/3期実績において、ゲーム開発に係る受託開発実績あり。この実績をベースに引き続きコンテンツプロパティ事業への展開を検討中。

 

 

(同社資料より)

 

②事業シナジー最大化、プライム市場への移行を目指す
事業間シナジーの最大化を通じた売上・利益成長を目指し、売上高100億円超、営業利益率20%超、プライム市場への移行を中期目標とする。

(同社資料より)

 

③デジタル人材事業

 

人材戦略

 

顧客戦略

IT人材流動化に対応する採用強化

・コンテンツプロパティ事業など自社プロダクトを通じた採用

・フリーランス人材などの活用

・採用部門、採用活動への積極投資

・社員ケア、サポートシステムによる定着率向上

 

 

 

×

エンタメ系既存顧客の深堀り

・ゲーム系顧客は、1社当たりの取引額を拡大させる

・技術社員が顧客の他部門案件を当社へフィードバック

・実績の積み上げによるチーム常駐の拡大

・IT技術者をゲーム開発プロジェクトへ参画

教育・研修制度の拡充による人材力強化

・当社独自の研修システムによる人材力の相対的強化

・バディシステムの活用(※)

※顧客先にて先輩社員が後輩社員をケア

WEB業界など対象顧客の多様化

・ゲーム開発で培った技術(UI/UX)を他業界へ展開

・WEBサービスのアプリ化に伴う開発需要の取り込み

・単純派遣ではない、企画提案型開発ソリューションの提供

外国人技術者の活用

・ベトナム人材の将来的な活用

・日本からベトナムへの技術支援制度の構築

提供サービス(職種)の多様化

・開発工程だけではなく、プロモーション、データサイエンティスト、デバッグなど周辺業務の提供

・進出する業界によっては、更に専門性の高い職種への展開

(同社資料より)

 

④受託開発事業
・EPARKなど主に大規模プラットフォームに関わる各種開発・保守実績を踏まえ、ナショナルクライアントから直接案件を受注し、開発ノウハウを海外含めグループ内に蓄積していくことで業容拡大を目指す。
・大規模プラットフォームをメインとしたソリューション提供は、運用型サービスがセットとなるケースが多く、新規受注〜保守・運用開発~追加開発と安定的な受注が獲得できるサービスラインを構築する。

(同社資料より)

 

⑤コンテンツプロパティ事業
・100タイトル超のゲームタイトルやキャラクターに関するIPをベースに、ゲームサービスやライセンスサービスなど収益源をマルチに展開し、利益率の高いプロジェクトを積み上げていく。
・他社IPとの相互連携、事業提携なども視野に入れ、知的財産活用機会を積極的に広げていく。
・同事業は、事業環境・景気動向などによって業績の変動が大きいため、状況に応じた事業戦略を立案しスピーディに実行していく方針。

 

【ゲームサービス】

 

【ライセンスサービス】

 

(同社資料より)

 

 

4.今後の注目点

上期は2桁増収増益、営業利益率も前年同期11.1%から13.3%へ改善して好スタートを切ったといえるだろう。先行投資をこなしながらも、しっかりと利益率を向上させている。特に受託開発事業においての改善が前期に続いて顕著に現れており、ベトナム子会社が本格的に軌道に乗っていることが分かる。上期の通期予想に対する進捗率は売上高で48.4%、営業利益で71.7%。前期は実績ベースでそれぞれ46.1%、44.2%であり、年末商戦が控えていることも加味すると特に利益面では会社予想を大きく上回ってくることになりそうだ。2桁減益予想だが増益での着地も視野に入る。上場時(15/3期の売上高は16.6億円)に目標とした売上高100億円についても達成は十分射程圏内。
近年、デザインの需要が高まっている。例えば、SIerはプログラムをつくることはできるが、画面でどう表現していくか、言い換えると、UI・UXに関する部分は苦手だ。一方、同社の強みは、ゲームを通じて、取扱説明書がなくても使うことができるソフトウエアを開発してきたこと。ゲームは遊びながら使い方を理解できるような作り方をしないといけないが、スマートフォンも同じ。ただ、今の日本にはこうした技術を持つ企業は必ずしも多くない。UI・UXに対するニーズが高まっているということは、同社が持っている技術に対するニーズが高まっているということであり、ライバルも少ない。同社が、非エンタメ系(ITやWeb関連)の売上を伸ばしている背景には、時代のニーズと同社の強みが合致しているためだ。
好業績にも拘らず株価は全体市場が上昇している中で軟調に推移している。会社予想が保守的であることも考慮すると低位にとどまるバリュエーションの見直し余地は大きいといえるだろう。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態 監査役設置会社
取締役 4名、うち社外1名
監査役 3名、うち社外3名

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2023年6月29日)

 

基本的な考え方
当社グループは、企業活動を支えるあらゆるステークホルダーの利益を重要視しており、長期的、継続的また効率的な株主価値の最大化を実現する上でも、コーポレート・ガバナンスの確立を重要な経営課題であると認識しております。企業の社会的責任については、株主のみならず、多くのステークホルダー、また直接的な利害関係者でない社会全般に対してもコーポレート・ガバナンスを基盤として会社全体で使命を共有し、事業の根幹たる「お客様を幸せにする」においてたゆまぬ付加価値創造に注力すべく、従業員に対し基本的な心構え・指針となるよう「社内規程」の整備・徹底を図っております。

 

<実施しない主な原則とその理由>
当社グループはコーポレートガバナンス・コードの基本原則を実施しております 。

株式会社インベストメントブリッジ
ブリッジレポート   株式会社インベストメントブリッジ
個人投資家に注目企業の事業内容、ビジネスモデル、特徴や強み、今後の成長戦略、足元の業績動向などをわかりやすくお伝えするレポートです。
Copyright(C) 2011 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。 また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。 当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。 本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。 投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

このページのトップへ