テー・オー・ダブリュー(4767) 増収増益 上期の業績予想を上方修正
村津憲一 代表取締役社長 |
株式会社 テー・オー・ダブリュー(4767) |
企業情報
市場 |
東証スタンダード市場 |
業種 |
サービス業 |
代表取締役社長 |
村津 憲一 |
所在地 |
東京都港区虎ノ門 4-3-13 ヒューリック神谷町ビル3F |
決算月 |
6月 |
HP |
株式情報
株価 |
発行済株式数(自己株式を控除) |
時価総額 |
ROE(実) |
売買単位 |
|
324円 |
40,259,344株 |
13,044百万円 |
3.8% |
100株 |
|
DPS(予) |
配当利回り(予) |
EPS(予) |
PER(予) |
BPS(実) |
PBR(実) |
14.00円 |
4.3% |
22.74円 |
14.2倍 |
206.43円 |
1.6倍 |
*株価は12/18終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
*ROEは23/6期実績、BPSは24/6期1Q実績、EPS、DPSは24/6期予想。数値は四捨五入。
連結業績推移
決算期 |
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
当期純利益 |
EPS |
DPS |
2019年6月(実) |
16,278 |
1,995 |
2,017 |
1,345 |
29.94 |
14.50 |
2020年6月(実) |
19,325 |
2,316 |
2,332 |
1,584 |
35.26 |
16.75 |
2021年6月(実) |
12,209 |
655 |
698 |
455 |
10.14 |
12.90 |
2022年6月(実) |
11,134 |
883 |
924 |
598 |
13.22 |
14.00 |
2023年6月(実) |
11,774 |
1,150 |
1,178 |
355 |
8.61 |
14.40 |
2024年6月(予) |
14,000 |
1,370 |
1,400 |
915 |
22.74 |
14.00 |
*単位:百万円、円。予想は会社予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益(以下、純利益については同様)。
* 2020年4月1日、1株を2株に分割。EPS、DPSは株式分割を反映。
(株)テー・オー・ダブリューの2024年6月期第1四半期決算と2024年6月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.中期的取り組み
3.2024年6月期第1四半期決算
4.2024年6月期業績予想
5.今後の注目点
<参考1:コーポレート・ガバナンスについて>
<参考2:対処すべき課題と取り組み>
今回のポイント
- 24/6期1Qは前年同期比40.6%増収、149.7%営業増益。主力事業であるイベント領域において、リアルイベントを中心に回帰の動きは力強さを増し、大幅な伸びを示した。オンライン領域においては、デジタル広告市場の成長鈍化等を背景に、軟調な推移となったが同社のオンラインイベントは増収となった。利益面では、売上総利益率は前年同期から約1.7%改善、増収効果もあり売上総利益は同57.6%増。販管費は減少し、営業利益率が前年同期5.6%から9.9%に向上して大幅な営業増益となった。経常利益は138.0%増。前年同期に退任役員に対する特別功労金を計上した反動により、親会社株主に帰属する四半期純利益は2億48百万円(前年同期は3億27百万円の損失)となった。
- 経済活動の活発化を背景にリアルイベントが増加し、上期の業績予想を上方修正。通期予想は現在精査中のため修正はなく、24/6期は前期比18.9%増収、19.1%営業増益を計画するが2Q決算発表時に見通しを発表予定。同社のコアビジネスであるリアル領域の本格的な回復の兆しを背景に、主力業種のイベント・プロモーションの増加を見込む。また堅調な成長が続くデジタル市場においてオンライン領域の更なる拡張を見込み、2桁増収を計画。利益面では、売上総利益については、高付加価値の提供によるフィー型業務および発注適正化による収益確保を引き続き推進する。販管費は、戦略的な人的資本への投資、事業の成長に向けた重点テーマへの取組等の基盤整備のための費用投下を予定している。予想配当も修正なく、決算発表日の前日(23年8月8日)の終値に株価配当利回り4.5%を乗じて算出された14.0円が最低配当金となる。従って、年間配当金は14.00円/株(うち上期末7.00円/株)とする予定。
- 1Qは前年同期比で大幅な増収増益となったが、23年6月期1Qは売上高12.9%減収、55.8%営業減益であった反動もある。進捗率は、通期予想に対して売上高が27.1%、経常利益が27.9%。上期予想に対してはそれぞれ40.8%、33.1%。秋がイベント繁忙期であることを考慮すると順当なスタートを切ったといえるだろう。広告業界のイベント・プロモーション分野で独立系No.1の同社の提案力の強さから、今後も着実な展開が考えられる。コロナ禍前から進めてきた案件の大型化などの施策も成果をあげていくと思われる。今期予想EPSは大きく拡大する見通しだが、PERは低位にとどまる。高い配当利回りから考慮しても株価の見直し余地は大きいと思われる。尚、昨年9月には発行済株式数の12.1%にのぼる大規模な自己株式の取得を行っており、株主還元がより強化されていることも注視しておきたい。
1.会社概要
広告業界のイベント・プロモーション分野で独立系No.1、上場市場は東証スタンダード。記者発表会、PRイベント、展示会、文化・スポーツイベントの、企画・制作・運営を強みに事業規模を拡大。リアルで培ったプロデュース力に加え、2000年代初期からデジタル分野に取り組み、オフライン、オンラインを問わず、「体験価値(※)」をコアにしたプランニング力とプロデュース力を駆使し、「魅力的なコンテンツを創る力」と「プラットフォームを活性化する力」を発揮することで、新規顧客の獲得、既存顧客の育成・活性化につなげることに成功してきた。
顧客の成長に貢献する『TOW体験デザインモデル』の開発に取り組み、提供価値の拡張とビジネスの成長を実現し、新たな企業像として『新しい時代の体験を創る、成果をデザインするプロダクション』を目指している。
(※)体験価値とは、情緒的価値・感性的価値・機能的価値を含めて顧客心理に訴えかける価値を指す。
グループは同社の他、イベントの制作・運営・演出及び映像制作を手掛ける(株)ティー・ツー・クリエイティブ、および23年7月に子会社化したCM制作会社である(株)モット、23年7月に設立した色彩豊かなブランド体験を生み出すプランニグブティック(株)いろいろの連結子会社3社(23年9月末現在)。
【事業内容】
イベント及びプロモーションの企画から実施まで
イベント及びプロモーションは、主催者や広告主が何らかの目的(対象者に情報を発信したいとの意図)を持った時点で案件が発生する。
同社は、主催者や広告主よりその目的についての説明を受け、分析や調査を経て戦略や企画の作成に入り、その後、幾度かのミーティングを繰り返すことにより、当初の企画から基本計画、実施計画、詳細計画へと段階的に移行し、最終的には手法に応じた成果物となり、各種資料に従って準備を進め、イベント及びプロモーションを実施する。
同社の業務範囲
上述の企画から実施までを受注し、「分析・調査」・「戦略立案・コンセプト策定」・「企画提案」・「実施制作」・「効果検証」並びにそれに付帯する業務を行うが、それぞれの課題に応じて多くの手法がある。
リアルイベント、オンラインイベント、動画制作、SNSキャンペーン、デジタル広告運用、デジタルメディア運用、SNSアカウント運用、デジタルサービスUX設計、PR、SP等、それぞれの領域の専門業者を外注先として業務ごとに発注し、プロモーション全体をトータルにプロデュース、ディレクションすることで主催者や広告主の意図することを生活者に伝えることが同社の業務である。
なお、株式会社ティー・ツー・クリエイティブは、このうちイベントの「制作」・「運営」・「演出」を主として行っている。
パーパス
同社の普遍的な強みである「体験価値」を軸にしながら顧客・生活者・社会に貢献したい、という想いを込めてパーパスを制定。
(同社資料より)
パーパスの実現に向けて強化テーマを設定。統合プロモーションの更なる強化のために領域拡張に取り組む。
【強化テーマ】 不確実性の高い時代の中で持続的に成長するために、社会・産業を根本から変革するテクノロジー「AI」及び、ESG・SDGsを背景に取り組みが加速する「環境」に注力
|
【領域拡張】 デジタル領域(SNS・デジタル広告他)に続き、 「映像」「OOH」領域も拡張
|
(同社資料より)
サステナビリティに関する基本スタンス
パーパス「新しい時代の体験を創る。」を実現するために、クライアントビジネスを通じて持続可能性の好循環を追求する
(同社資料より)
サステナビリティ方針
社員一人一人が創り出す体験を通じて企業課題・社会課題に向き合い、持続的に成長する会社へ
パーパスのもとに、 4つの重要テーマをマテリアリティとして特定し、 これらの重要課題に取り組むことで、 「持続可能な社会への貢献」と 「持続的な企業価値の向上」の両立を目指す。 |
(同社資料より)
マテリアリティと推進体制
サステナビリティ委員会を設置し、重点課題に関する全社方針や目標の策定、推進体制の構築・整備を進める。
2.中期的取り組み
(同社資料より)
(同社資料より)
(同社資料より)
(同社資料より)
3.2024年6月期第1四半期決算
(1)連結業績
23/6期 1Q |
構成比 |
24/6期 1Q |
構成比 |
前年同期比 |
|
売上高 |
2,698 |
100.0% |
3,793 |
100.0% |
+40.6% |
売上総利益 |
377 |
14.0% |
595 |
15.7% |
+57.6% |
販管費 |
227 |
8.4% |
219 |
5.8% |
-3.2% |
営業利益 |
150 |
5.6% |
375 |
9.9% |
+149.7% |
経常利益 |
164 |
6.1% |
390 |
10.3% |
+138.0% |
親会社株主に帰属する 四半期純利益 |
-327 |
– |
248 |
6.5% |
– |
*単位:百万円。数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。
前年同期比40.6%の増収、同149.7%の営業増益
売上高は前年同期比40.6%増の37億93百万円。主力事業であるイベント領域において、リアルイベントを中心に回帰の動きは力強さを増し、大幅な伸びを示した。オンライン領域においては、デジタル広告市場の成長鈍化等を背景に、軟調な推移となったが同社のオンラインイベントは増収となった。オンラインプロモーションについては減収。
営業利益は前年同期比149.7%増の3億75百万円。利益面では、売上総利益率は前年同期から改善、増収効果もあり売上総利益は同57.6%増の5億95百万円。販管費は減少し、営業利益率が前年同期5.6%から9.9%に向上した。営業外では譲渡制限付株式関連費用の計上などがあり、経常利益は同138.0%増の3億90百万円。前年同期に退任役員に対する特別功労金6億47百万円を特別損失に計上した反動により、親会社株主に帰属する四半期純利益は2億48百万円(前年同期は3億27百万円の損失)となった。
カテゴリー別売上高
リアルイベントが大幅に回復、オンラインプロモーションは堅調に増加
23/6期 1Q |
24/6期 1Q |
||||
売上高 |
構成比 |
売上高 |
構成比 |
前年同期比 |
|
リアルイベント |
1,726 |
64.0% |
2,712 |
71.5% |
+57.1% |
オンラインイベント |
200 |
7.4% |
421 |
11.1% |
+110.4% |
オンラインプロモーション |
701 |
26.0% |
591 |
15.6% |
-15.6% |
その他 |
69 |
2.6% |
68 |
1.8% |
-1.4% |
合計 |
2,698 |
100.0% |
3,793 |
100.0% |
+40.6% |
*単位:百万円。
①リアルイベント・・・前年同期比57.1%増の27億12百万円。社会経済活動及び生活行動の本格的な活性化を受け、街頭プロモーションや展示会等の大型受注が増加し、リアルイベント回帰への動きが見られ大幅増収となった。
②オンラインイベント・・・同110.4%増の4億21百万円。リアルとオンラインイベントのハイブリッド型イベントの増加等により大幅増収となった。
③オンラインプロモーション・・・同15.6%減の5億91百万円。SNS・動画活用プロモーション・デジタル広告等の各種オンラインプロモーション施策の引き合いには継続しているものの、デジタル広告市場の成長鈍化等の影響により減収となった。
④その他・・・同1.4%減の68百万円。官公庁・団体からの案件を受注した。
(2)財政状態
財政状態
23年6月 |
23年9月 |
23年6月 |
23年9月 |
||
現預金 |
5,781 |
6,347 |
仕入債務 |
990 |
1,979 |
売上債権 |
2,459 |
3,048 |
短期借入金 |
840 |
840 |
未成業務支出金 |
233 |
292 |
未払法人税等 |
66 |
86 |
未収入金 |
868 |
743 |
退職給付負債・役員退職慰労金 |
312 |
297 |
前払費用 |
143 |
137 |
負債 |
2,767 |
3,920 |
流動資産 |
9,548 |
10,627 |
純資産 |
8,427 |
8,326 |
投資その他 |
1,454 |
1,412 |
負債・純資産合計 |
11,194 |
12,247 |
固定資産 |
1,645 |
1,620 |
有利子負債合計 |
840 |
840 |
*単位:百万円。未収入金:ファクタリング方式により譲渡した売上債権の未収額
*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
24/6期1Q末の総資産は、前期末比(以下同)10億53百万円増加し、122億47百万円となった。
流動資産は、10億78百万円増の106億27百万円。これは主に、未収入金が1億24百万円減少したが、受取手形、売掛金及び契約資産が6億60百万円、現預金が5億66百万円増加したこと等によるもの。
固定資産は、25百万円減の16億20百万円。固定資産のうち有形固定資産は、7百万円減の1億57百万円。これは主に、減価償却等によるもの。無形固定資産は23百万円増の50百万円。これは主にのれんが19百万円増加したこと等によるもの。投資その他の資産は、41百万円減の14億12百万円。これは主に、繰延税金資産が32百万円増加したが、投資有価証券が72百万円減少したこと等によるもの。
流動負債は、11億68万円増の35億34百万円。これは主に、買掛金が9億89百万円、その他が1億4百万円増加したこと等によるもの。
固定負債は、15百万円減の3億86百万円。これは主に、役員給付に係る負債が16百万円減少したこと等によるもの。
純資産は、1億円減の83億26百万円。これは主に、その他有価証券評価差額金が58百万円、利益剰余金が41百万円減少したこと等によるもの。
自己資本比率は前期末比7.2ポイント減の67.9%となった。
4.2024年6月期業績予想
(1)連結業績
23/6期 実績 |
構成比 |
24/6期 予想 |
構成比 |
前期比 |
|
売上高 |
11,774 |
100.0% |
14,000 |
100.0% |
+18.9% |
営業利益 |
1,150 |
9.8% |
1,370 |
9.8% |
+19.1% |
経常利益 |
1,178 |
10.0% |
1,400 |
10.0% |
+18.7% |
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
355 |
3.0% |
915 |
6.5% |
+157.4% |
*単位:百万円
24/6期は前期比18.9%増収、19.1%営業増益を見込む
通期予想に修正はなく、24/6期は、売上高が140億円(前期比18.9%増)、営業利益13億70百万円(同19.1%増)、経常利益14億円(同18.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は9億15百万円(同157.4%増)を計画する。
同社のコアビジネスであるリアル領域の本格的な回復の兆しを背景に、主力業種のイベント・プロモーションの増加を見込む。また堅調な成長が続くデジタル市場においてオンライン領域の更なる拡張を見込み、2桁増収を計画。利益面では、売上総利益については、高付加価値の提供によるフィー型業務および発注適正化による収益確保を引き続き推進する。販管費は、事業領域の拡大や同社グループの優位性及び独自性を強化するため、戦略的な人的資本への投資、事業の成長に向けた重点テーマへの取組等の基盤整備のための費用投下を予定している。親会社株主に帰属する当期純利益については、前期の特別損失の影響が無くなることから大幅な増加となる見通し。
予想配当も修正なく、連結配当性向換算で50%を上限とするという方針を一時的に撤廃し、決算発表日の前日(23年8月8日)の終値に株価配当利回り4.5%を乗じて算出された14.0円が最低配当金となる。従って、年間配当金は14.00円/株(うち上期末7.00円/株)とする予定。
(2)上期業績
上期業績予想は以下の通り
23/6期 上期実績 |
構成比 |
24/6期 上期予想 |
構成比 |
前年同期比 |
|
売上高 |
6,392 |
100.0% |
9,300 |
100.0% |
+45.5% |
営業利益 |
663 |
10.4% |
1,167 |
12.5% |
+75.8% |
経常利益 |
677 |
10.6% |
1,180 |
12.7% |
+74.1% |
親会社株主に帰属する 四半期純利益 |
17 |
0.3% |
778 |
8.4% |
– |
*単位:百万円
(3)期初に掲げた見通しと取組み
①カテゴリー別の見通し
リアル比率を伸ばしつつ、オンラインも拡大させて、トップラインを上げていく
(同社資料より)
②取り組み
24/6期の環境認識
社会経済活動及び生活行動の活性化に伴い、マーケティング活動が活性化。このため、当社のコアビジネスであるリアル領域の再開が見込まれ、デジタル市場は引き続き堅調に成長すると予測される。
行動意識の変化・人流回復の機を捉え リアル領域の復活・拡大を目指す |
× |
今後も成長するデジタル市場の流れを捉え 更なるオンライン領域拡張を推進 |
リアルを中心としたマーケティング活動への取り組み
(同社資料より)
デジタルを中心とした統合プロモーションへの取り組み
(同社資料より)
5.今後の注目点
1Qは前年同期比で大幅な増収増益となったが、23年6月期1Qが12.9%減収、55.8%営業減益であった反動もある。進捗率は、通期予想に対して売上高が27.1%、経常利益が27.9%。上期予想に対してはそれぞれ40.8%、33.1%。秋がイベント繁忙期であることを考慮すると順当なスタートを切ったといえるだろう。
リアルイベントの活性化が続いているだけでなく、オンラインとのハイブリッド型イベントも増加している。広告業界のイベント・プロモーション分野で独立系No.1の同社の提案力の強さから、今後も着実な展開が考えられる。コロナ禍前から進めてきた案件の大型化などの施策も成果をあげていくと思われる。
なお12月18日付けで2Qの業績予想を上方修正、通期については現在精査中であり2Q決算発表時に通期予想について見通しを発表予定。
前期の特別損失の影響が無くなるため、今期予想EPSは大きく拡大する見通しである。株価は低調に推移しており、PERは低位にとどまる。高い配当利回りから考慮しても見直し余地は大きいと思われる。尚、昨年9月には発行済株式数の12.1%、550万株にのぼる大規模な自己株式の取得を行っており、株主還元がより強化されていることも注視しておきたい。
<参考1:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態及び取締役、監査役の構成
組織形態 |
監査等委員会設置会社 |
取締役 |
8名、うち社外4名(独立社外取締役4名) |
◎コーポレート・ガバナンス報告書 更新日: 2023年10月20日
<基本的な考え方>
当社では、コーポレート・ガバナンスの意味を「企業価値の継続的な向上を目指して、経営層による適正かつ効率的な意思決定と業務執行、並びにステークホルダーに対する迅速な結果報告、及び健全かつ公正で透明性の高い経営を実現する仕組みの構築・運用」と考えております。
株主をはじめ、顧客、従業員その他のステークホルダーに対する責任を果たすとともに、当社の継続的成長と中長期的な企業価値の向上を図ることを目的として、以下の基本方針に則って、実効性あるコーポレート・ガバナンスを実現してまいります。
1.株主の権利を尊重し、平等性を確保する。
2.株主を含むステークホルダーの利益を考慮し、適切に協働する。
3.会社情報を適切に開示し、透明性を確保する。
4.取締役会による業務執行に対する監督機能の実効性を向上させる。
5.中長期的な株主の利益と合致する投資方針を有する株主との間で建設的な対話を行う。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
【補充原則4-1-2 中期経営計画に対するコミットメント】 【原則5-2 経営戦略や経営計画の策定・公表】
当社は、単年度の業績目標の達成を最重要課題としており、また事業環境の不連続性から中期経営計画の策定は現在凍結しておりますが、2021年6月期 第2四半期決算説明会において事業成長ビジョンを策定、公表しております。なお、持続的な成長を実現していくためにも、中期的な視点に立った経営ビジョンの策定や戦略立案が重要であると考えているとともに、環境変化に合わせた機動的な対応が重要であると考えております。その具体的な内容につきましては、有価証券報告書の「優先的に対処すべき課題」にも記載をしております。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示>
【原則1-4 政策保有株式】
当社の純投資目的以外の投資を行う際の基本方針は、投資対象会社との業務提携、情報共有等を通じて当社の統合プロモーション事業におけるシナジー効果が期待されることであり、中長期的な視点で価値向上を図るために、取引先との関係強化の観点等を踏まえ、効果が見込まれると判断した場合に限り、必要最小限の上場株式を保有することとしています。
政策保有株式の議決権の行使については、適切な対応を確保するために、議案毎に、保有先企業の中長期的な企業価値の向上、当社及びグループ会社の中長期的な経済的利益の増大等の観点から総合的に判断するものとし、主要な政策保有株式については、議決権行使の状況を取締役会に報告します。
【原則2-3 社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題】
【補充原則2-3-1 サステナビリティを巡る課題への対応】
【補充原則3-1-3 サステナビリティについての取組み】
【補充原則4-2-2 サステナビリティを巡る取組みに関する方針の策定】
当社取締役会は、パーパスの実現に向けてサステナビリティ課題への取り組みを行うことは経営上の重要課題として認識し、取締役会の諮問機関として設置したサステナビリティ委員会での審議・答申を行うガンバナンス体制を構築するとともに、取締役会による監督体制を構築いたしました。当社グループのサステナビリティ方針を「社員一人一人が創り出す体験を通じて企業課題・社会課題の解決に取り組み、持続的に成長する会社へ」とし、この方針の下、「持続可能な社会に貢献」及び「持続的な企業価値の向上」の2軸の持続可能性に鑑み、4つのマテリアリティを特定し、戦略として策定しております。その具体的な内容につきましては、有価証券報告書の「サステナビリティに関する考え方及び取り組み」にも記載をしております。
https://tow.co.jp/ir/library/report/
【補充原則2-4-1 中核人材の登用等における多様性の確保】
当社は、多様性を確保するため、中途採用者等を積極的に中核人材として登用し、取締役や執行役員に選任しております。また、女性社員の管理職への登用に関しては、2023年9月末現在で3名、全管理職の7.7%という状況であり、女性取締役も選任しております。なお、当社の方針、目標、環境整備につきましては、一般事業主行動計画を策定しており、当社ホームページに掲載ております。
https://tow.co.jp/company/plan/
【原則4-9 独立社外取締役の独立性判断基準及び資質】
社外取締役候補者の選任にあたっては、東京証券取引所が定める独立性基準を満たす者としています。
【補充原則4-11-1 取締役会全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方】
当社は、定款により、取締役の員数を14名以内と定めており、2023年9月末現在8名(うち社外取締役4名)で取締役会を構成しています。取締役会を構成するメンバーについては、経験、知見、能力等における多様性に配慮しています。スキルマトリックスについては、株主総会招集ご通知においても開示しております。
https://tow.co.jp/wp-content/uploads/2023/08/
第47期定時株主総会招集通知及び株主総会資料.pdf
【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、株主・投資家との双方向の建設的な対話を促進し、これにより当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けた実効的なコーポレート・ガバナンスの実現をはかることを、当社の責任を果たす上での最重要課題の1つと位置付けます。このような考えに基づき、当社は以下のような施策を実施します。
1.株主との対話に関する担当取締役の指定
当社は、経営トップ自らが株主との対話に取り組み、管理本部長がIR実務を統括します。
2.社内部署の有機的な連携のための方策
当社は、IR担当部署でもあるコーポレートサービスチームが経理チームと日常的に打ち合わせや意見交換を実施しており、開示資料作成に際しても連携し、経営トップを交えて内容の検討を行っております。
3.個別面談以外の対話の手段の充実に関する取組み
当社は、株主総会を株主との重要な対話の場と位置付け、株主総会において、当社事業に関する十分な情報開示の確保をはじめ、株主の皆様からの信認を得られるような運営につとめます。
また、当社は、定期的に決算説明会を開催することにより、株主・投資家の皆様とのより緊密なコミュニケーションの実現につとめます。
4.株主の意見・懸念のフィードバックのための方策
当社は、株主・投資家との対話において把握されたご意見や当社に関する懸念を担当部署において取りまとめ、その重要性や性質に応じ、これを定期的に経営陣幹部や取締役会に報告するための体制を整備します。
5.インサイダー情報の管理に関する方策
当社は、株主・投資家の実質的な平等性を確保すべく、公平な情報開示につとめることを基本方針とします。当該方針に基づき、当社に関する重要情報については、適時かつ公平にこれを開示することとし、一部の株主・投資家に対してのみこれを提供することがないよう、その情報管理の徹底につとめます。
<参考2:対処すべき課題と取り組み>
対処すべき課題
◎2024年6月期における取り組み
当社グループがおかれている市場環境は、社会経済活動及び生活行動の活性化に伴い、マーケティング活動においてもリアル領域の再開が見込まれるとともに、デジタル市場においても引き続き堅調な成長をしていくと認識しております。これまでもリアル・オンラインの両領域の拡張を推進してまいりましたが、2024年6月期に向けて、当社への好影響の兆しが顕在化しております。このような環境のなか、注力する主な取り組みは以下のとおりとなります。
①リアル拡大に向けた取り組み
全国規模での体験型プロモーション、4年ぶりに開催される大型イベントや大型展示会、パーパス発信やエンゲージメント強化など各種ステークホルダーに向けたイベント等に注力してまいります。このほか、街を起点とした生活行動活性化の可能性に向けて、屋外広告会社(ケシオン社)とのアライアンスである「TOOH」など、当社の強みである体験領域を活かした更なる体験価値の向上を目指してまいります。
②オンライン領域拡張への取り組み
WEBサイト・SNS・動画・PR等を統合したキャンペーン、デジタル広告を起点に企業の事業に貢献することを目指した年間プロモーション業務、動画・SNSなど専門領域のプロデュースといったデジタル領域にも引き続き注力してまいります。また、動画を起点とする領域拡張を見込み、CM制作会社「MOTTO」を連結子会社化いたしました。これにより当社がプロデュースする統合プロモーションを一層拡張し、提供価値の向上を目指してまいります。これらのアクションにより、当社のコアビジネスであるリアル領域の本格的な回復の兆しを背景に、主力業種のイベント・プロモーションの増加を図ること、また堅調な成長が続くデジタル市場においてオンライン領域の更なる拡張を図ることによりトップラインを上げていき、売上高については前期比18.9%増の140億円を計画しております。また、高付加価値の提供によるフィー型業務及び発注適正化による収益確保を引き続き推進するとともに、事業領域の拡大や当社グループの優位性及び独自性を強化するため、戦略的な人的資本への投資、事業の中長期的な成長に向けた重点テーマへの取り組み等の基盤整備のための費用投下を予定しております。
◎中長期的な取り組み
当社のパーパスである「新しい時代の体験を創る」の実現に向けて、持続的な成長と企業価値の向上の実現を図ってまいります。主な取り組みは以下のとおりとなります。
①重点テーマ「テクノロジー・AI」「環境」
急速な進化を続ける生活全体のデジタル化を背景としたプロモーション業務における高度化・複雑化・高速化に対応し、AIを含むデジタルテクノロジーのイベント・プロモーションへの活用を加速するほか、案件成果の可視化、業務の効率化、自社ソリューション開発などを推進し、体験領域の更なるアップデートをリードしてまいります。また、当社が策定した「サステなイベントガイドライン」をはじめとする環境配慮イベントのプロデュースなど、環境問題への対応力を強化し、企業の課題解決のみならずクライアントビジネスを通じて社会貢献・環境貢献を実践してまいります。
②サステナビリティへの取り組み強化
当社グループでは、クライアントビジネスを通じた社会貢献・環境貢献を実践し、持続可能な社会へ貢献すること、またそれらの業務の実践・ノウハウを通じて当社事業の成長へ還元し、持続的な企業価値向上に繋げていきます。このような考えに基づき、サステナビリティ方針を「社員一人一人が作り出す体験を通じて企業課題・社会課題に向き合い、持続的に成長する会社へ」と定め、下記の4つの重要課題に取り組んでまいります。
人材:新しい時代の体験を創る多様な人材が活躍できる会社を目指す
体験の将来性:テクノロジーを活用し、体験領域の進化をリードする
社会貢献:自社サービスの向上に取り組み、クライアントビジネスを通じて社会貢献・環境貢献を実践
コンプライアンス:企業の社会的責任を認識し、コンプライアンスを遵守する