朝日ラバー(5162) 回復兆し 今後回復傾向を強めるのか注目

2023/09/01

 

 

 

渡邉 陽一郎 社長

株式会社 朝日ラバー(5162)

 

 

企業情報

市場

東証スタンダード市場

業種

ゴム製品(製造業)

代表取締役社長

渡邉 陽一郎

所在地

埼玉県さいたま市大宮区土手町2-7-2

決算月

3月

HP

https://www.asahi-rubber.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

549円

4,536,363株

2,490百万円

4.2%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

20.00円

3.6%

31.08円

17.7倍

1,077.92円

0.5倍

*株価8/10終値。発行済株式数は直近期末の発行済株式数から自己株式を控除。
* BPS、ROEは、2023年3月期決算短信、DPS、EPSは、2024年3月期第1四半期決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属する当期純利益

EPS

配当

2020年3月(実)

7,489

325

346

126

27.91

30.00

2021年3月(実)

6,487

-92

18

113

25.06

10.00

2022年3月(実)

7,024

291

313

238

52.56

20.00

2023年3月(実)

7,205

185

194

203

44.75

20.00

2024年3月(予)

7,195

157

150

141

31.08

20.00

*2020年3月期の内訳は、普通配当20円、記念配当10円。
*単位:百万円、円。

 

(株)朝日ラバーの2024年3月期第1四半期決算の概要等をブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.中期経営計画
3.2024年3月期第1四半期決算概要
4.2024年3月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

●24/3期第1四半期は前年同期比5.1%の減収、同86.3%の経常減益。売上面では、コロナ後の需要回復に加えて海外リスクを考慮した顧客の在庫積み増しなどにより、プレフィルドシリンジガスケット製品や採血用・薬液混注用ゴム栓の売上高が増加したものの、自動車向けのASA COLOR LEDが、採用車種の一部に在庫調整などの影響を受けたことなどにより減少した。利益面では、売上高の減少により各段階利益が減少した。

 

●第1四半期が終わり、24/3期の会社計画は、前期比0.1%の減収、同23.0%の経常減益の期初見通しから修正なし。上期は半導体不足による受注調整の影響が続き、自動車用ゴム製品の受注が低下する見通しのため、前期比で微減収減益となる見込みである。材料価格高騰に対する販売価格転嫁の効果が出始めるものの、昨年12月からの電力料上昇も影響する。一方、投資有価証券売却益を特別利益として計上する見込みとなったことから、親会社株主に帰属する当期純利益が期初予想の1億6百万円から1億41百万円へ修正された。
配当予想は、前期と同額の1株当たり年20円(上期末10円、下期末10円)の予定を据え置き。

 

●ASA COLOR LEDの24/3期第1四半期(4-6月)の売上高は、前四半期(1-3月)に比べて増加した。採用車種の市場販売状況により、徐々に回復の兆しが見えつつある模様である。更に、不透明感はあるものの、取引先より下期から徐々に回復する情報も得ているようである。主力製品であるASA COLOR LEDの販売が、今後回復傾向を強めるのか、注目される。

 

1.会社概要

小型電球やLEDに被せる事で様々な発色を可能にする被覆用ゴム製品を主力とする。自動車の内装用照明を中心に、携帯用通信機器、電子・電気機器、産業機器、スポーツ用等、幅広い分野で利用されている。シリコーン(ゴム状の合成樹脂)材料の配合技術と調色技術に強みを有し(色と光のコントロール技術)、シリコーンゴムに蛍光体を配合したLED用ゴムキャップは、LEDの光を波長変換して色調や輝度を調節できるため、10,000色以上の光を出す事やLEDの課題である光のばらつきを均一化する事が可能。また、医療・衛生用ゴム製品や硬質ゴムと軟質ゴムの複合製品等も配合技術を活かしてそれぞれの用途にあったゴム質を実現している。

 

グループは、同社の他、ゴム・プラスチック等の研究開発を行う(株)朝日FR研究所、米国の販売会社Asahi Crosslink Corporation、及び工業用ゴム製品の販売を手掛ける朝日橡膠(香港)有限公司、工業用ゴム製品の製造・販売を手掛ける東莞朝日精密橡膠制品有限公司、及び工業用ゴム製品の開発・設計・販売を手掛ける朝日科技(上海)有限公司の連結子会社5社からなる。

 

事業系統図

(同社決算説明会資料より)

 

生産拠点

(同社決算説明会資料より)

 

(同社ウェブサイトより)

 

連結業績の推移

 

【中期事業分野】

事業分野

主要製品

方針

光学事業

ASA COLOR LED

ASA COLOR LENS

白色シリコーンインキ

「感性、共感」をキーワードに、色と光を制御する技術と

感性技術を磨き、自動車の内装照明市場から外装照明、またアンビエント照明に向けた技術開発と提案を進める。

医療・ライフ

サイエンス事業

プレフィルドシリンジ用ガスケット

採血用・薬液混注用ゴム栓

ARチェックバルブ

診断・治療分野、理化学機器分野、介護・予防分野に向けて制御技術と感性技術を磨き、世界の医療現場と患者のQOL(Quality of Life)向上に貢献する。

機能事業

自動車スイッチ用ゴム

卓球ラケット用ラバー

F-TEM(フレキシブルサーモ

エレクトリックモジュール)

ビークル分野、エネルギー分野、環境発電分野、スポーツ分野において制御技術と触覚・熱・振動・光関連の技術、感性技術を磨き、将来のライフスタイルの実現への貢献に向けて、弾性無限で人に優しい感性価値を提供する。

通信事業

RFIDタグ用ゴム製品

やわらか保護カバー

自動認識分野、通信機器分野、センシング分野において、伝える・伝わるセンシング技術、触覚・熱・振動・光関連の技術、感性技術を磨き、ゴムだからこそ実現できる価値を提供する。

 

【事業内容と主要製品】

事業は、自動車のスピードメーターや内装照明の光源向けの「ASA COLOR LED」や各種センサ向けのレンズ製品「ASA COLOR LENS」、或いは弱電製品に使われる応用製品、更にはスポーツ用ゴム製品(反発弾性、高摩擦抵抗等を追及した高品質の卓球ラケット用ラバー)等の工業用ゴム事業、点滴輸液バッグ用ゴム栓や真空採血管用ゴム栓、プレフィルドシリンジ(薬液充填済み注射器)向けガスケット等、使い捨てのディスポーザブル用ゴム製品の医療・衛生用ゴム事業に分かれ、24/3期第1四半期の売上構成比は、それぞれ77.4%、22.6%。今後は、RFIDタグ用ゴム製品、ASA COLOR LENS、医療回路製品用ゴム部品などの販売拡大が期待される。

 

◎ASA COLOR LED
ASA COLOR LEDとは、青色LEDに蛍光体を配合したキャップを被せた高品質LED。シリコーンゴムキャップ内の蛍光体を調合する事で多彩な色度を創りだすことができる。色度座標をはじめ、相関色温度、色温度偏差で色度規格を設定し、顧客の要望に沿った規格を提案している。すべて日本国内で生産しており、販売開始から19年で売り上げ数23億個を突破。これまで自動車メーカー 計19社(日本9社、欧州7社、北米3社)、150車種以上に採用されている。高品質な色合わせ技術が武器で、①実機を元に、最適な色と明るさのLED選定を手伝う「色合わせ」サービス、②実機の発光面周辺の塗装色や発光面積を加味した、目視による色合せ、③顧客の設計スケジュールに合わせたスピーディーな対応が可能である。LEDを波長ランクごとに分類・選別しており、ランクに合わせた色のキャップを被せることで色・光度のばらつきを低減。自動車内装照明用に10,000色以上の均質な光を提供。顧客に要求される均一な色を実現している。

 

ASA COLOR LEDのイメージ

同社決算説明会資料より

 

ASACOLOR LEDは、主に自動車の内装に採用されている。用途としては、スピードメーター照明・ナビコントロール関連・スイッチ関連・オーディオ関連となっている。

(同社ウェブサイトより)

 

◎医療用ゴム製品
点滴輸液バッグ用ゴム栓、真空採血管ゴム栓、薬液混注ゴム栓、プレフィルドシリンジ(薬液充填済み注射器)向けガスケットなど、医療現場で用いられるディスポーザブル商品に使用される。安全性の高い材料を開発し、独自のコーティング技術で“漏れない”と“滑る”を両立し、注射速度の微妙な調節が可能。素材変性技術による安全性の高い材料と表面改質技術による摺動性の向上により、医療ミス防止などの安全性向上に貢献している。

 

プレフィルドシリンジ向けガスケット(左)とARチェックバルブ

(同社決算説明会資料より)

 

・RFIDタグ用ゴム製品
RFIDタグ用ゴム製品は、溶剤を使わずに接着させる“分子接着・接合技術”を応用し、IC チップやアンテナ部をゴム素材で覆い、折り曲げに強く、耐水性、耐熱性に優れた、柔らかい小型のRFIDを提供。取り付ける対象がどのようなものかを記憶し、認識させる機能で、今後成長が期待される認証・認識ビジネスに対応。 ゴムという弾性体の特徴を生かして、RFIDが使用できなかった用途への利用が可能に。さらに応用し市場拡大を進める。

 

RFIDタグ用ゴム製品のイメージ

(同社決算説明会資料より)

 

・卓球ラケット用ラバーのイメージ
球を高速で弾く反発弾性、強烈なスピンをかける高摩擦抵抗などを追及した高性能、高品質の製品。

(同社決算説明会資料より)
*同社では、製造委託のみを行っており、卓球ラケット用ラバーの販売は行っていない。

 

【コア技術と事業領域】

同社は、独自の競争力の源泉である「色と光のコントロール技術」「表面改質及びマイクロ加工技術」「素材変性技術」の3つのコア技術に、「制御と感性」を成長のキーワードを追加し、人の健康を含めた環境問題の解決に役立つ商品、新たなグリーン市場を創出する画期的な商品にとって、なくてはならないパーツを創り、顧客の期待にクオリティと経済性で応えている。

 

(同社ウェブサイトより)

 

【強み】
同社は、固有の技術力をさらに深化させ、組み合わせることで更なる特徴を生み出すと同時に、市場の広がりと顧客ニーズを分析し、製品の将来性を考慮した市場ターゲット戦略と価格戦略を組み立て、最も効率の良い生産体制を整えている。

 

(同社ウェブサイトより)

 

【サステナビリティビジョン2030】

同社は、「ゴムが持つ無限の可能性で未来を創り持続可能で明るく快適で豊かな社会の実現に貢献します」とするサステナビリティビジョン2030を定めた。ゴムには無限の可能性が秘められている。同社はさまざまなパートナーとともにその可能性をさらに追求していくことで、社会課題を解決し、人々の生活を豊かにするような価値を生み出す会社であり続ける。

 

(同社ウェブサイトより)

 

また、SDGs/ESGへの関心が高まるなか、改めて社会における自社の存在意義を見直した。その結果、会社は社会のためにあるべきものであり、「人を豊かにしてグローバル社会貢献度が高い技術会社」という将来像を見据えた、2030年までの長期ビジョン「AR-2030VISION」を定め、SDGs/ESGを経営の軸に置くことをより明確にした。
また、世界共通の目標であるSDGs達成のためにはさまざまなパートナーとの共創が不可欠と考え、「ステークホルダー・エンゲージメントを高める」という行動指針を定めた。そして、「サステナビリティビジョン2030」実現のため、環境・社会に関する各種基本方針の下、取り組むべき環境・社会目標、KPIを設定した。目標、KPIに関する進捗は毎年報告する。

 

◎環境環境(方針・実績/KPI)
環境問題が人類共通の重要課題であることを認識し、「環境にやさしいものづくり」をスローガンとして、地球環境保全と社会への貢献を目指して活動する。

 

(同社ウェブサイトより)

 

◎社会(方針・実績/KPI)
働きがいのある職場環境で従業員一人ひとりが生き生きと活躍することで、顧客が満足できる製品を提供し続ける。

(同社ウェブサイトより)

 

◎SDGsへの貢献
同社は、「AR-2030VISION」で掲げたビジョン「社会に貢献する企業として成長し続ける」ために、まず社会ニーズを認識し事業の方向性を定めることが必須と考えている。サステナビリティビジョン2030を策定するにあたり、同社が得意とするコア技術で期待されるイノベーションが、どのSDGsに貢献できるかを整理した。そしてさまざまなステークホルダーとの対話やパートナーとして事業を推進することで価値を共創していく。

 

(同社ウェブサイトより)

 

2.中期経営計画

同社は、中期経営計画を策定するにあたり、「私たちは人を豊かにしてグローバル社会貢献度が高い技術会社になる」ことを未来に通ずる姿とし、朝日ラバーらしい価値を磨き、独自の新製品開発による成長を描くため、2030年を見据えたビジョン「AR-2030VISION」を定めた。具体的な内容は、以下の通り。

 

【AR-2030VISION】
弾性無限の創造で持続的な価値向上がつながる社会に貢献する企業へと成長し続ける
【経営基盤】
SDGs/ESG経営へ ―グローバルな社会課題に挑戦する企業へと邁進しますー
【行動指針】
ステークホルダー・エンゲージメントを高めること
【技術基盤】
制御&感性へ -ゴムが有する無限の可能性に感性技術を加えてQOL向上を目指します-
独自の競争力の源泉となるコア技術は、色と光のコントロール技術、素材変性技術、表面改質およびマイクロ加工技術としている。それらコア技術に対して新たに感性技術を融合させ、現実世界・サイバー空間がシームレスにつながる世界において、それぞれの事業分野における「人と機械(システム)のつながり」を成長の視点と捉え、新たな価値の創造をもって社会課題の解決に挑む。
【事業基盤】
重点4事業分野へ -事業価値を高め続けて10年後にありたい姿の実現を目指します-
これまでの重点3事業分野(車載・照明事業、医療・ライフサイエンス事業、その他事業)について社会が求める2030年の環境から見つめ直すとともに、将来に「実装化」が想定されるテクノロジーを見通しながら、光学事業、医療・ライフサイエンス事業、機能事業、通信事業の重点4事業分野に集中して10年後にありたい姿の実現を目指す。

 

前中期経営計画(第13次三ヵ年中期経営計画)の振り返り
23/3期を最終年度とする第13次三ヵ年中期経営計画は、売上高目標80~90億円が実績72億円、営業利益率目標8%以上が実績2.6%と残念ながら未達成に終わった。

 

【4事業の振り返り】

光学事業  23/3期目標売上高 40億円⇒実績 26億円

◆新型コロナの影響を受け、自動車向けのASA COLOR LEDの売上高が減少したが、2022年前半は世界的な市場回復で増加傾向となった。

◆2022年後半から半導体不足等の影響を受けて受注が減少し、中期最終年度で未達となった。

医療・ライフサイエンス事業  23/3期目標売上高 15億円⇒実績 14.8億円

◆新型コロナの影響を受け、自動車向けのASA COLOR LEDの売上高が減少したが、2022年前半は世界的な市場回復で増加傾向となった。

◆2022年後半から半導体不足等の影響を受けて受注が減少し、中期最終年度で未達となった。

機能事業  23/3期目標売上高 21億円⇒実績 24.7億円

◆新型コロナの影響を受け、自動車向け製品の受注が減少したが、 2022年から世界的な市場回復で増加傾向となった。

◆卓球ラケット用ラバーの市場回復傾向に加え、顧客の新製品の受注を獲得しさらに増加傾向が続く。

通信事業  23/3期目標売上高 12億円⇒実績 6.3億円

◆新型コロナの影響を受け、RFIDタグ用ゴム製品の受注が減少、一時期回復の兆しがあるもコロナ前の水準には戻っていない。

◆開発案件の中止、延期などの影響から実績が計画から乖離したが、新たな案件への取り組みが進行中。

 

新中期経営計画(第14次三ヵ年中期経営計画)
同社は、AR-2030VISIONの実現に向けて、第2のステージの2026年3月期までの2024年4月~2026年3月を第14次中期三ヵ年として、中期経営計画を策定した。中期経営方針、テーマ、スローガン、中期経営戦略、及び数値目標は、以下の通りである。

 

<中期経営方針:魅力を高めて新たな価値を提供しよう>
<テーマ:後継・Well-being>
<スローガン 「新しいカタチ」に向かって 挑戦>
<中期経営戦略>
①事業活動の深化・進化・新化
②スマートファクトリーの実績
③Well-beingを高める
④地域社会貢献

 

<26/3期数値目標>

売上高 85億円以上
営業利益率 5%以上

 

また、第14次三ヵ年中期経営計画では、エンゲージメント強化により、EX(従業員体験)を通じて従業員やステークホルダーの価値向上を図るとともに、CX(顧客体験)を通じて顧客の価値向上を実現する。更に、単品からモジュールへ、更には完成品へ売上構成の転換を図り、生産のみを行うOEM企業から、設計・生産まで行うODM企業への進化を図る。自らが価値「価格」をコントロールすることが目的であり、同社の独自の技術による付加価値を、ゴム単品の配合・成形からモジュールや完成品を提供できるように進化させることで、「弾性無限」の可能性を製品に表現した新たな価値をもって市場参入機会を増やし、社会に貢献していく。

(同社決算説明会資料より)

 

(1)重点事業分野の取り組み

◎光学事業  23/3期の連結売上高約26億円に対し、26/3期の売上高は30億円を計画
「再構築と挑戦」をキーワードに光の可能性を追求した高付加価値向上で市場に貢献する。
◆車載照明のみならず、通信・セキュリティ、機能性照明、殺菌用途などで標準製品の付加価値向上と複合モジュールの開発を展開する。

 

◎医療・ライフサイエンス事業  23/3期の連結売上高約15億円に対し、26/3期の売上高は20億円を計画
「第二の柱へ成長させる」 をキーワードに、同社らしさで世界の医療現場と患者のQOL向上に貢献する。
◆ODM設計・複合デバイスやシステム機器へ挑戦する。また、診断・治療機器を製造販売する企業を目指し、診断治療機器と診断治療デバイスへ貢献するとともに、新事業を開拓する。

 

◎機能事業  23/3期の連結売上高約25億円に対し、26/3期の売上高は29億円を計画
「新たな柱を創る」をキーワードに、ラストワンマイルを安心・安全につなぐ制御で貢献する。
◆サーモモジュールの開発を推進し、フェローテックマテリアルテクノロジーズ社との販売連携活動を進める。
<F-TEMの事業展開>
サーモモジュールは、ペルチェ素子、または熱電素子とも呼ばれる半導体の電子部品で、コンパクトなヒートポンプ部品として機能する。同社では、サーモモジュールに使用される素子をゴムで覆うことで、“やわらかく曲げられる”サーモモジュールを開発・販売している。従来のサーモモジュールは固いセラミックスを使用しており、曲げることができなかった。市場が変化する中で、「曲げることができれば良いのに」という顧客の声を受け、F-TEMの開発が始まった。同社は、フェローテックマテリアルテクノロジーズ社と販売特約店契約を締結し、今後F-TEMを製造するとともに、フェローテックマテリアルテクノロジーズ社製サーモモジュールの販売を行う。
◆風力発電分野において、施設や設備の完工後に、保守操業を実施するO&M(Operation and Maintenance)を事業化する。

 

◎通信事業  23/3期の連結売上高約6億円に対し、26/3期の売上高は6億円を計画
「基礎基盤を固める」をキーワードに、伝える・伝わる価値でつながる社会に貢献する。
「モノ・センサ・通信規格・情報処理アプリケーション」を駆使し、新たな社会価値への取り組みに参画してスマート社会の発展に貢献する。病院向けでは施設内のIoT機器などを、交通インフラ向けでは保護・施工管理などを、環境センシングでは農業スマート化、発電設備の故障検知などを対象とする。

 

(2)EX(従業員体験)の取り組み

EXの推進により、成長基盤を構築し、社員全員で「好きのカタチ」を築く。

成長エンジン  

<スマートファクトリーの実践>

◆ものづくりの自動化・合理化・省人化

◆内外作政策の促進

◆設計技術、生産技術の強化

◆知的財産力を高める

地球と太くつながる  

<地域社会貢献>

◆地域の方々との交流

◆地域活性化への支援

来たくなる会社  

<well-beingの向上>

◆従業員の声を聞き反映させていく環境と体制整備

◆ワークライフバランスの向上

◆健康、福利厚生活動の充実

◆ITを利用した業務改善と働く環境整備

無形資産価値の向上  

<非財務情報の向上・開示>

◆人材育成計画に基づく活動

◆労働環境の整備

◆温室効果ガス削減活動

◆コンプライアンス実行力を高める

3.2024年3月期第1四半期決算概要

(1)連結業績

23/3期

第1四半期

構成比

24/3期

第1四半期

構成比

前年同期比

売上高

1,754

100.0%

1,665

100.0%

-5.1%

売上総利益

437

24.9%

352

21.2%

-19.3%

販管費

367

20.9%

355

21.3%

-3.1%

営業利益

70

4.0%

-2

-0.2%

経常利益

80

4.6%

11

0.7%

-86.3%

親会社株主に帰属

する四半期純利益

69

3.9%

6

0.4%

-90.4%

*単位:百万円 

 

前年同期比5.1%の減収、同86.3%の経常減益
売上高は、前年同期比5.1%減の16億65百万円。売上面では、工業用ゴム事業において、自動車向けで採用車種の一部に在庫調整などの影響を受けたことから、内装照明用光源のASA COLOR LEDやスイッチ用ゴム製品などの売上高が減少し、前年同期比9.2%の減収となった。一方、医療・衛生用ゴム事業の売上高は、コロナ後の需要回復に加えて海外リスクを考慮した顧客の在庫積み増しなどにより、プレフィルドシリンジガスケット製品や採血用・薬液混注用ゴム栓の売上高が増加したことから、同12.3%増加した。
利益面では、経常利益が前年同期比86.3%減の11百万円。工業用ゴム事業のセグメント利益は、売上高の減少等により前年同期比74.1%の減益となった一方、医療・衛生用ゴム事業のセグメント利益は、売上高の増加が寄与し同18.2%の増益となった。売上総利益率は、21.2%と前年同期比3.7ポイント低下。コストダウンの実施などにより販管費が同3.1%減少したものの、売上高販管費率が同0.4ポイント上昇。以上により、2百万円の営業損失となった。一方、営業外収益で為替差益が7百万円発生したことなどにより、11百万円の経常利益となった。その他、特別損益の大きな計上はなかった。

 

四半期業績の推移

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

24/3期第1四半期(4-6月)は、前年同期比で、減収減益となった。また、前四半期(1-3月)との比較では減収ながら赤字幅が縮小した。

(2)セグメント別動向

セグメント別売上高・利益

23/3期

第1四半期

構成比

24/3期

第1四半期

構成比

前年同期比

工業用ゴム事業

1,420

80.9%

1,290

77.4%

-9.2%

医療・衛生用ゴム事業

334

19.1%

375

22.6%

+12.3%

連結売上高

1,754

100.0%

1,665

100.0%

-5.1%

工業用ゴム事業

124

81.4%

32

49.0%

-74.1%

医療・衛生用ゴム事業

28

18.6%

33

51.0%

+18.2%

全社費用

-82

-68

連結営業利益

70

100.0%

-2

100.0%

*単位:百万円 

 

事業別売上高(中期事業分野別)

23/3期

第1四半期

構成比

24/3期

第1四半期

構成比

前年同期比

光学事業

662

37.7%

578

34.7%

-12.7%

医療・ライフサイエンス事業

352

20.1%

384

23.1%

+9.1%

機能事業

595

33.9%

582

35.0%

-2.1%

通信事業

144

8.2%

120

7.2%

-16.7%

売上高合計

1,754

100.0%

1,665

100.0%

-5.1%

*単位:百万円

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

光学事業は、半導体不足の影響による在庫調整により、自動車内装照明向けのASA COLOR LEDの売上が減少した。医療・ライフサイエンス事業は、診断・治療用の各種製品と逆流防止弁のARチェックバルブの売上が増加した。機能事業は、卓球ラケット用ラバーは市場の回復により売上が増加した。一方、半導体不足の影響による在庫調整により、自動車向けスイッチ用製品は売上が減少した。通信事業は、市場の回復によりRFIDタグ用ゴム製品の売上が増加した。一方、半導体不足の影響等による在庫調整により、コネクター製品などの売上が減少した。

 

国内・海外別売上高

23/3期

第1四半期

構成比

24/3期

第1四半期

構成比

前年同期比

国内

1,377

78.5%

1,227

73.7%

-10.9%

海外

376

21.5%

438

26.3%

+16.3%

アジア

352

20.1%

403

24.2%

+14.5%

北米

21

1.2%

31

1.9%

+42.7%

欧州

2

0.2%

3

0.2%

+30.9%

合計

1,754

100.0%

1,665

100.0%

-5.1%

*単位:百万円

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

国内売上高は前年同期比10.9%の減収となった。海外売上高は規模の大きいアジアの増加が寄与し同16.3%の増収となった。

 

(3)主力製品の売上推移移

22/3期

1Q

2Q

3Q

4Q

23/3期

1Q

2Q

3Q

4Q

24/3期

1Q

ASA COLOR LED

761

754

677

669

608

630

646

502

531

医療用ゴム製品

283

301

289

305

330

357

365

370

372

卓球ラケット用ラバー

90

93

114

122

149

166

144

163

171

RFIDタグ用ゴム製品

94

100

32

85

72

115

123

75

83

*単位:百万円

 

ASA COLOR LEDの売上高は、前年同期比12.7%減の5億31百万円となった。半導体不足影響による在庫調整により受注の減少傾向が続いているものの、採用車種の市場販売状況により、徐々に回復の兆しが見えつつある。
医療用ゴム製品の売上高は、同12.6%増の3億72百万円となった。医療現場での市場が回復し、診断・治療向けの製品の受注が増加したことに加え、逆流防止弁のARチェックバルブの売上増加も寄与し、四半期で過去最高の売上高を更新した。
卓球ラケット用ラバーの売上高は、同14.3%増の1億71百万円となった。市場回復傾向が顕著であることに加え、新製品の市場供給がスタートし、受注が好調に推移。四半期で過去最高の売上高を更新した。RFIDタグ用ゴム製品の売上高は、同15.4%増の83百万円となった。市場はコロナ禍から脱しつつあるものの、需要にばらつきがあり、本格回復までは至っていない。

 

(4)財政状態

財政状態

23年3月末

23年6月末

23年3月末

23年6月末

現預金

1,988

2,661

仕入債務

275

290

売上債権

1,641

1,430

短期有利子負債

790

1,119

棚卸資産

1,151

1,084

流動負債

2,367

2,670

流動資産

5,073

5,560

長期有利子負債

1,111

1,259

有形固定資産

3,353

3,310

固定負債

2,129

2,297

無形固定資産

63

60

純資産

4,889

4,877

投資その他

897

913

負債・純資産合計

9,387

9,845

固定資産

4,313

4,284

有利子負債合計

1,902

2,378

*単位:百万円。有利子負債=借入(リース債務含まず)

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

23年6月末の総資産は前期末比4億58百万円増の98億45百万円。資産サイドでは、現預金が主な増加要因となり、売上債権、棚卸資産などが主な減少要因となった。負債・純資産サイドでは、短期有利子負債などが主な増加要因となり、利益剰余金などが主な減少要因となった。23年6月末の自己資本比率は、49.5%と前期末から2.6ポイント低下した。
なお、24/3期第1四半期の設備投資は50百万円、減価償却費は97百万円となった。

 

4.2024年3月期業績予想

(1)連結業績

23/3期

構成比

24/3期

構成比

前期比

売上高

7,205

100.0%

7,195

100.0%

-0.1%

売上総利益

1,758

24.4%

1,739

24.2%

-1.1%

販管費

1,573

21.8%

1,582

22.0%

+0.5%

営業利益

185

2.6%

157

2.2%

-15.2%

経常利益

194

2.7%

150

2.1%

-23.0%

親会社株主に帰属する当期純利益

203

2.8%

141

2.0%

-30.5%

*単位:百万円

 

24/3期は、前期比0.1%の減収、同23.0%の経常減益予想
第1四半期が終わり、24/3期の会社計画は、売上高が前期比0.1%減の71億95百万円、経常利益が同23.0%減の1億50百万円から修正なし。
売上面では、第2四半期までの自動車製品の受注減の影響から微減収となる見込みである。工業用ゴム事業は、前期比1.5%減の予想。自動車向け製品の新製品の量産化や受注情報の変動に応じて安定供給を行う。また卓球ラケット用ラバーは活況が継続していることから受注の増加が見込まれる。RFIDタグ用ゴム製品は、引き続き最終ユーザーである海外市場の動向をみた対応を進める。また、研究開発においては、風力発電関連製品や熱電モジュールの量産化に向けた活動を推進する。一方、医療・衛生用ゴム事業は、同5.4%増の予想。プレフィルドシリンジガスケット製品や採血用・薬液混注用ゴム栓の受注増加を見込む。また、同社独自製品である回路製品の市場投入を本格化させ、さらなる受注拡大に向けて活動を活性化させる。研究開発においては、理化学機器分野への貢献を目指して超親水性処理技術を生かした製品開発に注力する。利益面では、売上高の減少に加え、材料価格高騰に対する販売価格転嫁の効果が出始めるものの、昨年12月からの電力料の上昇が影響する。売上総利益率は、前期比0.2ポイント低下の24.2%、売上高対販管費率は、同0.2ポイント上昇の22.0%の予定。この結果、営業利益は前期比15.2%減の1億57百万円となる見込みである。売上高営業利益率は、前期比0.4ポイント低下の2.2%の予想。その他、前期に計上した補助金収入、関係会社株式売却益、受取保険金などの減少を見込み経常利益と当期純利益の減益率は営業利益の減益率よりも拡大する見込みある。なお、同社は政策保有目的の投資有価証券の一部を売却することから、第2四半期に特別利益を計上する見込みであり、8月8日に第2四半期の四半期純利益と通期の当期純利益の上方修正を実施した。会社計画は、第2四半期の四半期純利益が17百万円から52百万円へ、当期純利益が1億6百万円から1億41億円へ修正された。
また、配当予想は、前期と同額の1株当たり年20円(上期末10円、下期末10円)の予定を据え置き。連結配当性向は64.3%となる。

 

24/3期決算見通しの上期下期比較

上期見通し

(23年4月~9月)

下期見通し

(23年10月~24年3月)

通期見通し

(23年4月~24年3月)

会社

計画

構成比

前年

同期比

会社

計画

構成比

前年

同期比

会社

計画

構成比

前年

同期比

売上高

3,431

100.0%

-4.1%

3,764

100.0%

3.8%

7,195

100.0%

-0.1%

売上総利益

802

23.4%

-9.5%

937

24.9%

7.3%

1,739

24.2%

-1.1%

営業利益

28

0.8%

-79.3%

129

3.4%

158.1%

157

2.2%

-15.2%

経常利益

27

0.8%

-81.2%

123

3.3%

141.5%

150

2.1%

-23.0%

当期純利益

52

1.5%

-53.9%

89

2.4%

-1.3%

141

2.0%

-30.5%

 

第2四半期までのASA COLOR LEDなど自動車向け製品の受注減少の影響から通期で減収減益を予測している。しかし、不透明感はあるものの、下期から徐々に回復する情報がある模様である。加えて、医療用ゴム製品や卓球ラケット用ラバーの好調も継続する見込みである。一方、材料価格高騰に対する販売価格転嫁の効果が24/3期から出始めるものの、昨年12月以降の電力料アップが利益の押し下げ要因として働く。

 

セグメント別売上高(中期事業分野別)の見通し

23/3期

実績

構成比

24/3期

会社計画

構成比

前期比

光学事業

2,607

36.2%

2,577

35.8%

-1.2%

医療・ライフサイエンス事業

1,483

20.6%

1,530

21.3%

+3.1%

機能事業

2,474

34.3%

2,496

34.7%

+0.9%

通信事業

639

8.9%

592

8.2%

-7.5%

売上高合計

7,205

100.0%

7,195

100.0%

-0.1%

*単位:百万円

 

光学事業は、第2四半期までのASA COLOR LEDの受注の減少の影響により減収となる見込みである。医療・ライフサイエンス事業は、製品全般で回復し、さらに新製品のARチェックバルブの貢献により売上が増加する見込みである。機能事業は、卓球ラケット用ラバーの受注が引き続き好調に推移する見込みであるが、スイッチ用ゴム製品などの自動車向けの回復は不透明感がある。通信事業は、RFIDタグ用ゴム製品の売上は微増を見込む。一方、コネクター製品の受注の回復は不透明感がある。

 

主要製品の売上見通し

23/3

実績

24/3

会社計画

前提・方針

ASA COLOR LED

2,388

2,323

◆自動車市場は回復傾向にあるものの、上期の受注は

回復が遅れる見込みである。

◆一方下期は、サプライチェーンの正常化に伴い、受注が回復する見込みである。

医療用ゴム製品

1,423

1,495

◆一部の用途の製品の在庫調整は解消し、コロナ後の

増加傾向が続く見込みである。

◆新規製品のARチェックバルブの市場投入を進める。

卓球ラケット用ラバー

625

667

◆市場の需要回復により、更に受注が拡大する見込みで

ある。

◆既存製品の受注増加と新製品の生産スタートで売上高は増加の見込みである。

RFIDタグ用ゴム製品

386

371

◆半導体不足の影響は緩和されつつあるものの、市場

環境の不透明さが続く見込みである。

*単位:百万円

 

5.今後の注目点

同社の24/3期第1四半期決算は、前年同期比5.1%減収、同86.3%経常減益の厳しい内容となった。これは、自動車向けのASA COLOR LEDが、採用車種の一部に在庫調整などの影響を受けたことなどにより減少したことが影響したものである。一方で、ASA COLOR LEDの24/3期第1四半期(4-6月)の売上高は、前四半期(1-3月)に比べて増加した。採用車種の市場販売状況により、徐々に回復の兆しが見えつつある模様である。更に、不透明感はあるものの、取引先より下期から徐々に回復する情報も得ているようである。主力製品であるASA COLOR LEDの販売が底打ちし、今後回復傾向を強めるのか注目される。また、医療用ゴム製品では、市場の回復と逆流防止弁のARチェックバルブの売上増加が寄与し、四半期で過去最高の売上高を更新した他、卓球ラケット用ラバーにおいても、市場の回復に加え、新製品の発売が寄与し、四半期で過去最高の売上高を更新した。加えて、RFIDタグ用ゴム製品においても、市場の回復により若干ではあるものの前四半期に比べ売上高が回復した。これら主力製品の販売拡大が牽引し、業績の回復傾向が鮮明となるのか、続く第2四半期の業績動向が注目される。
また、前中期経営計画中に育成した新製品の販売拡大が期待される。光学事業では、機能性照明や殺菌用途での新製品の拡大が期待される。また、医療用ゴム製品では、ARチェックバルブの拡大が期待される。更に、機能事業では、フェローテックマテリアルテクノロジーズ社との販売提携によるF-TEMの拡大などが期待される。これら育成中の新製品の進捗状況にも引き続き期待を込めて注目していきたい。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態 監査等委員会設置会社
取締役 6名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2023年6月28日

 

<基本的な考え方>
当社及び当社グループのコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、「継続的な成長を通して、企業価値を高めていくという経営の基本方針を実現するために、経営の透明性・健全性を高め、コンプライアンス経営を徹底する」であり、経営上の重要な課題のひとつと位置付けております。

 

【実施をしないコード:そのおもな原則と理由】

原則

実施しない理由

【補充原則1-2④】

当社の株主構成で機関投資家また外国人株主の比率が低いため、議決権電子行使プラットフォームや決算資料および招集通知の英訳は実施しておりません。それぞれ一定程度の株主構成比率になった場合または要望が多くなった場合に検討いたします。

【補充原則2-4①】

当社では、必要に応じて適材適所での人員配置とすることを基本方針としているため、女性、外国人等の区分で管理職の構成割合や人数の目標値、中核人材の登用等における多様性の確保についての考え方等は定めておりませんが、今後も、従業員が最大限の能力を発揮できる職場環境や企業風土の醸成に努め、意欲と能力のある従業員を育成し、適性のある人材を管理職として登用していく方針であります。

【補充原則3-1②】

海外投資家、外国人投資家の株主構成比率は少ないため、英語での決算情報など開示資料の公開は行っておりません。

【原則4-11.取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件】

女性取締役や外国人取締役は在籍しておりません。当社では女性の管理職が6名、また現場でのリーダーは26名でございます。いろいろな考え方を尊重して、多様性を高めた人事を進めていきたいと考えています。当社では、出産や育児のあとも短時間勤務制度を利用しながら継続して働いている女性社員が増えてきており、こうした方たちが、将来、活躍できるように体制を整えてまいりたいと考えております。財務・会計に関する十分な知見を有している取締役は1名で、旧大蔵省での財務・会計業務を長年にわたって携わられてきたことによる豊富な知識と弁護士としての幅広い見識を、当社の監査業務やコンプライアンス活動等に活かしていただくため、社外取締役に指定しております。

 

【コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示】

原則

開示をしている主な原則

【原則1-4.政策保有株式】

方針として、中長期的な企業価値向上を図ることを基本とし、その保有の合理性を得られない場合は保有いたしません。政策保有株式の目的は取引関係の強化、情報収集などが主な目的であり、それぞれの目的が効果をあげているかの状況等を検討して、適宜判断しております。

当社が保有している法人の株式については、その簿価と株価とを比較し、また当該会社の事業状況等も踏まえて、保有するか売却するかの判断を行っております。

特に定量的な数値指標はございません。取引状況、情報収集状況、また相手先の会社の経営状況等を総合的に判断して、議決権を行使してまいります。

【原則2-6.企業年金のアセットオーナーと

しての機能発揮】

当社は、確定給付型の制度として規約型企業年金制度を採用しております。

企業年金の積立及び運用に関して、外部の資産管理運用機関と契約を締結し、安全かつ効率的な資産運用を旨とし、必要とされる総合収益を長期的に確保することを運用の目的としています。運用状況については、定期的に管理部門がモニタリングしております。なお、議決権行使については、委託機関に一任することで、企業年金の受益者と会社の間で利益相反が生じないようにしております。

2019年4月から運用を開始し、投資教育について、従業員への資産運用への教育の取り組み内容をお知らせいたします。また外部の資産管理運用機関と教育業務委託契約を締結しております。

【原則3-1.情報開示の充実】

ⅰ)会社の社訓、経営基本方針を会社ホームページにて開示しております。また中期経営計画を策定し、説明会を開催して公表して会社ホームページにて開示しております。

ⅱ)当社は、当社グループ全体の企業価値の最大化を図るためにはコーポレート・ガバナンスの強化が重要であると認識しており、経営の透明性と健全性の確保、適時・適切な情報開示を行うことに努めています。また、「内部統制システムに係る基本方針」に基づき、当社および子会社の内部統制システムを整備し運用しております。

ⅲ)当社の取締役の報酬は、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブとして十分に機能するよう株主利益と連動した報酬体系とし、個々の取締役の報酬の決定に際しては各職責を踏まえた適正な水準とすることを基本方針としております。決定の手続きについては、他社水準及び対従業員給与とのバランスを考慮しながら総合的に勘案して、取締役会で了承された方法により決定いたします。

ⅳ)取締役候補者の選任について、当社の持続的な発展と中長期的な企業価値の向上に貢献できる人物を役員とすることを基本方針とし、経営の意思決定および業務執行の監督に携わる者としてふさわしい経歴、能力、リーダーシップ、中長期的視野および高い倫理観を持つ者の中から、人格、経験を総合的に勘案し、取締役候補者といたします。その手続きは、候補者を代表取締役社長が監査等委員会に提案し、監査等委員会で確認後、取締役会で候補者を決定し、取締役の選任に関する議案を株主総会に提出いたします。執行役員の選解任については、代表取締役社長が取締役会に提案し、取締役会でその提案について審議し、決定いたします。

ⅴ)役員等の候補者選定の手続きについては、管理部門が候補者の経歴書、推薦書等の資料を準備し、監査等委員会にて面談を実施し、審議、取締役会への答申内容を決定し、取締役会で審議結果を答申し決定いたします。

【原則4-9.独立社外取締役の独立性判断基準及び資質】

当社は、独立役員の資格を充たす社外役員を全て独立役員に指定しております。独立役員とは、当社の一般株主と利益相反が生じるおそれのない社外役員といたします。

金融商品取引所が定める独立性基準を、当社の社外役員の独立性基準とし、当社経営陣から著しいコントロールを受け得る者である場合や、当社経営陣に対して著しいコントロールを及ぼし得る者である場合は、一般株主との利益相反が生じるおそれがあり、独立性はないと判断いたします。

【原則5-1.株主との建設的な対話に関する方針】

IR活動を強化し、頻度をあげております。外部からの意見もいただきながら、問い合わせ窓口を広げてまいります。今後も株主の皆様や投資家の皆様のご意見をいただきながら、体制を整備していきたいと考えております。

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