日本エンタープライズ(4829) ソリューション事業増勢 大幅増益

2023/05/11

 

 

植田 勝典 社長

日本エンタープライズ株式会社(4829)

 

 

企業情報

市場

東証スタンダード市場

業種

情報・通信

代表者

植田 勝典

所在地

東京都渋谷区渋谷1-17-8

決算月

5月

HP

https://www.nihon-e.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

140円

38,534,900株

5,394百万円

1.5%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

2.00円

1.4%

2.60円

53.8倍

123.09円

1.1倍

*株価は4/7終値。発行済株式数、DPS、EPS、BPSは23年5月期第3四半期決算短信より。ROEは前期実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2019年5月(実)

3,413

242

292

97

2.44

2.00

2020年5月(実)

3,588

267

310

176

4.40

2.00

2021年5月(実)

4,346

338

355

134

3.35

3.00

2022年5月(実)

4,019

102

153

71

1.81

2.00

2023年5月(予)

4,300

195

200

100

2.60

2.00

* 予想は会社予想。単位:百万円、円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。21年5月期の配当には記念配当0.50円/株を含む。

 

日本エンタープライズ(株)の2023年5月期第3四半期決算概要と今後の見通しについてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2023年5月期第3四半期決算概要
3.セグメント別事業概況
4.2023年5月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 23年5月期第3四半期の売上高は前年同期比5.3%増の31億29百万円。ビジネスサポートサービス(キッティング支援等)やコンテンツサービス等クリエーション事業が減少したものの、受託開発や業務支援サービス等ソリューション事業が増勢に推移し増収。営業利益は同129.4%増の1億22百万円。増収に伴い売上総利益が同2.5%増加した一方、人件費、広告宣伝費の減少等により、販管費は同3.2%減少したことから、大幅増益となった。経常利益は同116.7%増の1億31百万円。営業利益の増加に伴い、こちらも大幅に増加した。
  • 業績予想に変更は無い。23年5月期の売上高は前期比7.0%増の43億円、営業利益は同89.9%増の1億95百万円の予想。収益性の高い通信キャリア向け定額制コンテンツをはじめとした基盤コンテンツの拡充、他社とのアライアンスによる新規コンテンツやサービスの創出、新規端末不足の回復基調に伴う中古端末買取販売サービスの拡大、キッティング支援の注力、社会のDX推進に対応した受託開発や業務支援サービスの伸長等により、増収増益を図る。配当は前期同額の普通配当2.00円/株を予定している。予想配当性向は76.9%。
  • 第3四半期の進捗率は売上高72.8%、営業利益62.9%。売上高はほぼ例年並み、営業利益は水準と言えよう。今期をグループ復活の狼煙を上げる第1期と考えている同社だが、最終第4四半期に堅調なソリューション事業の伸長度合いと共に、収益性は高いものの低調が続くクリエーション事業がどこまで回復してくるかを注目したい。

1.会社概要

モバイルソリューションカンパニーを標榜。個人向けスマートフォンアプリの開発・提供、企業向けシステム開発、モバイルキッティング、e コマース等のサービスを提供しており、事業セグメントは、自社IP(Intellectual Property)を活用したアプリケーションやシステムを提供する「クリエーション事業」と企業の業務用ソフトウェアやシステムの開発を請け負う「ソリューション事業」に分かれる。また、DXを背景に新たなサービスの創出にも取り組んでいる。
2001年2月16日に大阪証券取引所ナスダック・ジャパン市場(現JASDAQ市場)へ株式上場。2007年7月10日に東京証券取引所市場第二部への市場変更、2014年2月28日に同市場第一部の指定を経て、2022年4月4日に同スタンダード市場へ移行。

 

1-1 経営理念

同社の経営理念は「綱領・信条・五精神」及び「日エン経営原則」に刻まれており、「これを繰り返し学ぶ事で基本理念を永遠に堅持していく」事が同社社員の責務。こうした正しい考えと正しい行動の下にこそ、長い目で見た「株主価値の極大化」、すなわち「資本という大切な“お預かりもの”を1円もムダにせず、最大化していくことが可能である」と言うのが同社を率いる植田社長の考えである。そもそも同社は、「社業を通じて社会のお役に立ちたい」という強い一念から植田社長が興した会社であり、IT技術により様々なコンテンツやソリューションを提供する事でお客様の満足度を高めると共に社会貢献していく事を目指している。こうした植田社長の経営哲学の下、創業初年度の経常利益は、ほぼ全額が日本赤十字社・社会福祉施設・児童養護施設等に寄付され、東日本大震災の折には、被災した方々の支援と東北地方の復興に寄与するべく日本赤十字社に寄付が行われた。

 

綱領 我々は商人たるの本分に徹しその活動を通じ社会に貢献し、文化の進展に寄与することを我々の真の目的とします
信条 我々は以下に掲げる五精神をもって一致団結し力強く職に奉じることを誓います
私たちの遵奉する精神 一、商業報国の精神

一、忘私奉職の精神

一、収益浄財の精神

一、力闘挑戦の精神

一、感謝報恩の精神

 

「綱領」を経営の礎に、グループ全体で「信条」「五精神」を共有し、ビジョンを目指して事業活動に取り組み、「21世紀を代表する、社会をより良い方向に変える会社」を目指している。

 

1-2 企業グループ(連結子会社8社、非連結子会社1社)

 

連結子会社は、業務支援、アプリ/WEBサイト企画・開発・運用等の(株)ダイブ、アプリ/システム開発~運用、デバッグ等の(株)フォー・クオリア、音声通信関連ソリューションの(株)and One、スマートフォン向けキッティング支援ツール等の(株)プロモート、アプリ/システム開発等の(株)会津ラボ、太陽光発電の(株)スマート・コミュニティ・サポート、電子商取引サービス「いなせり」「いなせり市場」の企画・開発・運営を手掛ける いなせり(株)、2022年12月に設立したDX推進サポート等の㈱アップデートサポートの国内8社。非連結子会社は、コンテンツ運営等を行うNE銀潤(株)の国内1社。

 

1-3 事業概要

報告セグメントは、クリエーション事業とソリューション事業の2つ。

 

 

(1)クリエーション事業
自社IP(Intellectual Property)を活用したコンテンツサービス、ビジネスサポートサービス、及びその他(太陽光発電)等の提供を通じて新しいライフスタイル、ビジネススタイルを創造している。

 

◎コンテンツサービス
ゲームや総合電子書籍サービス等のエンターテイメント系のコンテンツ、「ATIS交通情報サービス」、「女性のリズム手帳」、「ラッキーステーション」、更には一般消費者向け鮮魚ECサイト「いなせり市場」といったライフスタイル系のコンテンツを提供している。

 

 

エンターテインメント 通信キャリア向け定額制サービスにおいて提供しているゲームや多彩なジャンルをカバーした総合電子書籍など様々なコンテンツを提供している。自社IP等を活用し他社との協業等により事業を拡大中。

 

「ちょこっとゲーム forスゴ得」

通信キャリア向け定額制サービスにおいて100種類以上のゲームを提供しているゲームポータルサイト

 

「BOOKSMART」

多彩なジャンルをカバーした総合電子書籍

ライフスタイル 「ATIS交通情報サービス」

全国の高速道路・一般道路の情報を詳しく知りたいお客様に役立つ機能を搭載した実用サービス。アプリを含め一部機能を無料で利用できるサービスサイトも提供している。

 

「女性のリズム手帳」

月間20万ユーザーが利用する女性のための「美」と「健康」をサポートするアプリ。機能性を向上させるとともに、中年層向けコンテンツを拡充している。

 

「いなせり市場」

一般消費者が、豊洲市場の仲卸の目利きに適った水産物等を購入できるECサイト。SNS等で告知を強化している。

 

「ラッキーステーション」

レジャーやグルメ、ショッピングの他、学びや健康、育児・介護など幅広いジャンルの優待割引を受けられるサービスを提供しているWebサイト

(同社資料を基に作成)

 

◎ビジネスサポートサービス

 

 

キッティング支援 人的作業の軽減を可能とし「生産性」「正確性」の向上を実現できるキッティング支援ツール『Kitting-One』等と、同ツールを用いた請負業務を提供している。
交通情報 全国の高速道路・一般道路の状況のみならず、地域に密着した気象情報・鉄道遅延情報をTV局やFM局へ24時間提供している。

 

交通事象をマップ上で確認できる物流企業向け交通情報サービス『ATIS on Cloud』や、車両動態管理システム『iGPSon NET』を提供している。

コミュニケーション 操作性・柔軟性に優れたビジネスフォン環境を提供するIP-PBXコミュニケーションシステムは、多くの通信事業者が提供するIP電話サービスの接続認定・技術確認をクリアしており、高品質な通話を実現している。
調達・観光・教育 見積業務を効率化する電子見積業務支援ASPサービスは、5つある入札方式のうちの競り下げ式オークションでは公明正大な取引を実現している。

 

自治体向けの観光振興アプリや、社員研修を実施・管理するeラーニング等を提供している。

いなせり 飲食事業者向けECサイト『いなせり』を東京魚市場卸協同組合(仲卸)等と連携を図り、水産物や青果の販売サービスを提供している。

(同社資料を基に作成)

 

◎その他
再生可能エネルギーによる地域活性化を目指し、太陽光による発電と、その電力販売等を行っている。

 

太陽光発電 山口県における再生可能エネルギーによる地域活性化を推進

(同社資料を基に作成)

 

(2)ソリューション事業
ITソリューションの開発を通じて顧客のビジネスに新しい価値を提供している。

 

クリエーション事業で培ったノウハウを活かし、法人からの依頼によりシステムを開発する受託開発の他、業務支援サービスや端末周辺サービスの育成に取り組んでいる。受託開発では、アプリ開発やサイト構築等の受託に加え、サーバの設計から構築、運用監視、デバッグ、カスタマーサポート、コンサルティング等をワンストップで提供している。
高度人材により上流工程のサービスを提供する業務支援サービスは採用力や人材育成力を活かしサービスを拡大している。また、中古端末買取販売サービスやガラスコーティング剤の販売などを行う端末周辺サービスは、キッティングサービスの取引先である企業や携帯電話販社を中心に取引が順調に拡大している。

 

 

システム開発・運用サービス *受託開発

AI、IoT、セキュリティ関連システムの需要が増大する中、コンサルティングから開発、保守・運用、ユーザーサポート、販売促進まで、トータルソリューションサービスを提供。

*業務支援サービス

常駐型でクライアント企業の課題解決へ向けた業務支援を行うサービス。幅広い支援内容でサービスを拡大している。

*端末周辺サービス・中古端末を買い取り、厳正なグレーディング(査定)後、世界標準のソフトを使用しデータを消去

・携帯ショップで多く利用されているガラスコーティング剤やWi-Fiなど、端末周辺環境を支援する各種商材を販売

・広告、その他

(同社資料を基に作成)

 

1-4 経営環境と事業方針

新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、ウクライナ情勢の長期化や原材料価格の高騰による物価上昇等、不透明な状況が続いているものの、コロナ禍で高まったサステナビリティの重要性を追い風に、脱炭素化社会へ向けたDX推進が加速し、ITサービスの需要は堅調に拡大すると予想されている。

 

そうした環境下、様々なIT機器を通して顧客に新しい価値を提供するとともに社業を通じて社会貢献していく事を目指している同社は、多種多様なコンテンツやサービスを提供していく他、他社とのアライアンスにより新規マーケットを創出することで、これまで以上に事業領域の拡大を進めていく考えだ。

 

1-5 ESGについて

持続可能な社会実現と企業価値の向上を目指し、以下のような取り組みを行っている。

E:環境 ●企業活動における取り組み

CO2排出量削減に向けたペーパーレス化や消費電力削減 等

 

●事業活動を通じた取り組み

デジタル化支援サービス、再生可能エネルギー開発、水産物ECサービス、リサイクル支援サービス 等

S:社会 ●多様な人材の活躍に向けた取り組み

早朝勤務制度導入、テレワーク体制構築運用、ノー残業デー設置、女性管理職登用、人事評価・教育制度整備 等

 

●社会貢献活動

・品質向上や情報セキュリティ保持のための資格取得

・最終利益の1%相当額を寄付金として積み立て

G:ガバナンス ●経営の透明性・公平性向上に向けた取り組み

・すべてのステークホルダーへの的確な情報開示

・企業理念に基づく企業倫理の浸透とコンプライアンスの徹底

 

1-6 ROE分析

18/5期

19/5期

20/5期

21/5期

22/5期

ROE(%)

3.4

2.0

3.6

2.7

1.5

売上高当期純利益率(%)

4.3

2.9

4.9

3.1

1.8

総資産回転率(回)

0.6

0.6

0.6

0.7

0.7

レバレッジ(倍)

1.2

1.2

1.2

1.2

1.2

*同社決算資料を基に(株)インベストメントブリッジが計算。

 

*同社決算資料を基に(株)インベストメントブリッジが作成

 

収益性及び資産効率性の改善によるROE水準の上昇が期待される。

 

 

2.2023年5月期第3四半期決算概要

2-1 連結業績

22/5期

3Q

構成比

23/5期

3Q

構成比

前年同期比

売上高

2,971

100.0%

3,129

100.0%

+5.3%

売上総利益

1,231

41.5%

1,262

40.4%

+2.5%

販管費

1,178

39.7%

1,140

36.4%

-3.2%

営業利益

53

1.8%

122

3.9%

+129.4%

経常利益

60

2.0%

131

4.2%

+116.7%

四半期純利益

-4

60

1.9%

* 単位:百万円。

 

増収、大幅増益
売上高は前年同期比5.3%増の31億29百万円。ビジネスサポートサービス(キッティング支援等)やコンテンツサービス等クリエーション事業が減少したものの、受託開発や業務支援サービス等ソリューション事業が増勢に推移し増収。
営業利益は同129.4%増の1億22百万円。増収に伴い売上総利益が同2.5%増加した一方、人件費、広告宣伝費の減少等により、販管費は同3.2%減少したことから、大幅増益となった。
経常利益は同116.7%増の1億31百万円。営業利益の増加に伴い、こちらも大幅に増加した。

 

 

2-2 セグメント別動向

◎セグメント別売上高・利益

22/5期3Q

構成比

23/5期3Q

構成比

前年同期比

クリエーション事業

1,361

45.8%

1,212

38.8%

-10.9%

ソリューション事業

1,610

54.2%

1,916

61.2%

+19.0%

連結売上高

2,971

100.0%

3,129

100.0%

+5.3%

クリエーション事業

324

23.8%

287

23.7%

-11.2%

ソリューション事業

189

11.8%

247

12.9%

+30.1%

調整額

-460

-412

連結営業利益

53

1.8%

122

3.9%

+129.4%

* 単位:百万円。利益の構成比は売上高営業利益率。

 

*同社決算資料を基に(株)インベストメントブリッジが作成

 

①クリエーション事業

22/5期3Q

23/5期3Q

前年同期比

コンテンツサービス

755

678

-10.2%

ビジネスサポートサービス

560

489

-12.7%

その他(太陽光発電)

45

45

-0.7%

セグメント売上高

1,361

1,212

-10.9%

* 単位:百万円

 

*コンテンツサービス
通信キャリアが運営するプラットフォームで提供する定額制コンテンツにおいて女性向け健康サポートコンテンツが伸長したが、月額コンテンツ及び通信キャリア以外が運営するプラットフォームで提供するコンテンツの減少を補えず10.2%の減収。

 

*ビジネスサポートサービス
企業による業務効率化やクラウド活用が進む中、交通情報・音声・調達・観光・教育等の各種サービスの他、自社開発のサービスを活用した受託開発に注力した。一方で、キッティング支援において、前第1四半期における特需の剥落や上期におけるサプライチェーンの停滞によるスマートフォンやタブレット等新規端末不足の影響等に伴い12.7%の減収

 

*その他(太陽光発電)
横這いに推移した。

 

四半期ベースでは、前期比(第2四半期比)では、コンテンツサービスは通信キャリア向け定額制コンテンツが増加したものの、月額コンテンツ、通信キャリア以外が運営するプラットフォームでのコンテンツ等の減少により3.0%減収。前年同期比(前年第3期半期比)では13.1%の減収。
ビジネスサポートサービスは、交通情報、コミュニケーション(IP電話)等が増加したものの、キッティング支援等の減少により前期比(第2四半期比)11.4%の減収。前年同期比(前年第3期半期比)では7.4%の減収。

 

②ソリューション事業

22/5期3Q

23/5期3Q

前年同期比

システム開発・運用

1,610

1,916

+19.0%

セグメント売上高

1,610

1,916

+19.0%

* 単位:百万円

 

法人向け「受託開発」、人手不足問題にマッチした「業務支援サービス」、中古端末買取販売等「端末周辺サービス」の増加により19.0%の増収。
四半期ベースでは、前期比(第2四半期比)では、4.5%の減収だったものの、企業のDX推進トレンドは継続しており、法人向け「受託開発」、中古端末買取販売等「端末周辺サービス」の増加により、前年同期比(前年第3四半期比)では21.2%の増収。

 

 

2-3 財政状態とキャッシュ・フロー

◎要約BS

22年5月

23年2月

増減

22年5月

23年2月

増減

流動資産合計

4,952

4,950

-2

流動負債合計

532

495

-36

現金及び預金

4,218

4,190

-27

仕入債務

138

160

+21

売上債権

647

674

+27

短期借入金

23

23

0

固定資産合計

711

653

-58

固定負債合計

238

226

-12

有形固定資産合計

311

291

-20

長期借入金

183

165

-17

無形固定資産合計

220

186

-33

負債合計

771

722

-49

投資その他の資産合計

179

174

-4

純資産合計

4,892

4,881

-11

資産合計

5,664

5,603

-61

負債純資産合計

5,664

5,603

-61

* 単位:百万円

 

*同社決算資料を基に(株)インベストメントブリッジが作成

 

現預金及び無形固定資産(ソフトウエア)の減少等で総資産は前期末比61百万円減の56億3百万円。負債は同49百万円減少の7億22百万円。純資産は同11百万円減少の48億81百万円。この結果自己資本比率は前期末から0.7ポイント上昇し84.7%となった。

 

3.セグメント別事業概況

両事業において、注目すべき商材、サービスは以下の通り。

 

3-1 クリエーション事業

◎エンターテインメント/ライフスタイル
電子書籍やゲーム、健康サポート、優待割引などのコンテンツを提供しているサービス。
「基盤コンテンツ」「グロースコンテンツ」「新規コンテンツ」の3つの区分に分け、既存コンテンツの拡充やキャンペーンの実施
の他、他社とのアライアンスによる新規サービス推進など各種施策を実施している。

 

収益規模が大きい既存コンテンツを営業力強化と運用効率化で安定運用する「基盤コンテンツ」においては、サービスの拡充やキャンペーンの実施により既存ユーザーの継続と新規ユーザーの獲得を促進している。
潜在需要が見込め、コンテンツの企画やシステムの改修で収益性を向上させる「グロースコンテンツ」においては、機能の拡充や他社との協業による販売強化により成長市場での拡販を推進する。
新規サービスを創出する「新規コンテンツ」においては、トータルソリューションサービスの提供で協業企業とのIP融合を促進し新規マーケットの開拓を推進する。

 

◎キッティング支援
従来手作業で行われていた端末初期設定(キッティング)を、RPAツールを用いて自動で行うキッティング支援では、パートナー企業との連携強化やRPAツールの活用を推進し事業拡大を図る。
2022年は品不足の影響を受けたが、2023年以降世界のスマホ出荷台数は再び増加傾向に入ると見られる。

 

◎交通情報
1993年に世界で初めて提供を開始した道路交通情報を含む高度交通情報サービス「ATIS」は、渋滞や事故、天候やイベントを含めた交通情報をTV/FM向けに提供する他、その情報を応用し、サイネージ表示や車両動態管理、物流DXシステムなどのサービスも提供している。特にサイネージに関しては、時間対効果を重視する時流を背景に、販売促進や業務効率化へ向けた利用が増加しており、特にDX推進に積極的な大型商業施設や物流施設で導入が加速しているため、大型商業施設・スポーツ施設等を開拓し、全国規模の展開を促進する。

 

◎IP-PBXコミュニケーションシステム
オンプレミス/クラウド双方対応のIP-PBXコミュニケーションシステム。4大通信キャリアを含む7つの主要通信事業者に対応し高品質な通話を実現する他、自社開発による様々なシステムとの連携で顧客の理想のワークスタイルを可能にしている。
パートナー企業との連携を強化・拡大し、販売を促進する。

 

3-2 ソリューション事業

◎受託開発
自社コンテンツで培った開発力とコンサルティングから開発・保守、販売促進までトータルソリューションを提供するサービス力で、AI、IoT、セキュリティをはじめとした各種システムを受託開発している。多様な開発実績と提案力でソリューション開発を拡大する。

 

(開発事例)
2020年提供の業界初・AI画像解析システムによる立体駐車場出庫所要時間予測サービスを応用し、人流解析サービスの提供を開始した。個人を特定しない属性分析を実現し、商業施設等の販売促進に貢献する。23年4月から住宅展示場において導入が始まった。住宅展示場の他、全国の大型商業施設、スポーツ施設等へ拡販する。丸紅ネットワークソリューションズ株式会社との共同開発である。

 

◎業務支援サービス
大手通信キャリアをはじめとした各種企業に対し、高度人材により上流工程の業務を支援している。チーム組成による支援により、さらに高品質なサービスを提供し先端プロジェクトでの受注を獲得するとともに仙台など新拠点でも事業を拡大している。米国に子会社を設立する予定である。

 

◎端末周辺サービス
企業における中古端末処分を支援する中古端末買取販売サービスや、SIAA(※)の認証を取得した抗菌・抗ウイルスのガラスコーティング剤などを提供している端末周辺サービスでは、端末を取り扱う企業(代理店)を開拓するほか、既存代理店との連携を強化し、効率的な販路拡大を推進する。

 

※SIAA:抗菌技術製品協議会。適正で安心できる抗菌・防カビ加工製品の普及のためにメーカーや試験期間によって設立された団体

 

4.2023年5月期業績予想

◎連結業績予想

22/5期 実績

構成比

23/5期 予想

構成比

前期比

進捗率

売上高

4,019

100.0%

4,300

100.0%

+7.0%

72.8%

営業利益

102

2.6%

195

4.5%

+89.9%

62.9%

経常利益

153

3.8%

200

4.7%

+29.9%

65.8%

当期純利益

71

1.8%

100

2.3%

+39.6%

61.0%

* 単位:百万円

 

業績予想に変更なし、増収増益を予想
業績予想に変更は無い。売上高は前期比7.0%増の43億円、営業利益は同89.9%増の1億95百万円の予想。
収益性の高い通信キャリア向け定額制コンテンツをはじめとした基盤コンテンツの拡充、他社とのアライアンスによる新規コンテンツやサービスの創出、新規端末不足の回復基調に伴う中古端末買取販売サービスの拡大、キッティング支援の注力、社会のDX推進に対応した受託開発や業務支援サービスの伸長等により、増収増益を図る。
配当は前期同額の普通配当2.00円/株を予定している。予想配当性向は76.9%。

 

 

5.今後の注目点

第3四半期の進捗率は売上高72.8%、営業利益62.9%。売上高はほぼ例年並み、営業利益は水準と言えよう。
今期をグループ復活の狼煙を上げる第1期と考えている同社だが、最終第4四半期に堅調なソリューション事業の伸長度合いと共に、収益性は高いものの低調が続くクリエーション事業がどこまで回復してくるかを注目したい。

 

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態 監査役設置会社
取締役 5名、うち社外2名
監査役 3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2022年10月21日)
基本的な考え方
当社グループは、経営目標の達成の為に取締役会が行う意思決定について、事業リスク回避または軽減を補完しつつ、監査役会による適法性の監視・取締役の不正な業務執行の抑止、また、会社の意思決定の迅速化と経営責任の明確化を実現する企業組織体制の確立により、株主利益の最大化を図ることがコーポレート・ガバナンスと考えております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>
2021年6月の改訂後のコードに基づき記載しております。

 

<補充原則2-4-1:多様性の確保に関する考え方と自主的かつ測定可能な目標の開示>
当社は、企業価値向上の実現には、目まぐるしく変化する事業環境において、各々の従業員が継続的に成長し、自らの価値を高めることで、多様性の確保に繋がると考えております。そのため、当社では、管理職への登用に際し、特に制限は設けず、能力や適性、実績等を重視する人物本位の人材登用を実施することを基本方針としております。従いまして、現在、中途採用者の管理職は28名、女性の管理職は7名が登用されておりますが、中途採用者、女性や外国人といったカテゴリー別での具体的な数値目標は特に定めておりません。多様性の確保に向け、人材育成方針及び社内環境整備方針の策定並びにその実施状況の開示について、今後検討してまいります。

 

<補充原則4-2-2:取締役会による自社のサステナビリティを巡る取組みについての基本的な方針の策定、経営戦略の配分や事業ポートフォリオ戦略の実行の監督>
当社では、サステナビリティを巡る取組みを推進するために必要な経営資源を投じておりますが、自社のサステナビリティを巡る取り組みに関する基本方針の策定については検討中であります。また、人的資本や知的財産等の経営資源の配分についても、基本方針に基づき計画を策定し、取締役会による実効性のある監督が機能するよう努めてまいります。

 

<原則5-2:経営戦略や経営計画の策定・公表>
当社は中期経営計画を公表しておりませんが、毎期初において、当該期の目標額を開示しております。その目標額の策定にあたっては、資本コストを考慮した上で、事業ポートフォリオの見直しや、設備投資、研究開発投資、人的投資への投資を含めた経営資源の配分について計画を策定しておりますが、目標達成に向けた具体的な施策については、決算短信や決算説明会の他、日常のIR活動を通じて株主に分かりやすく伝えるよう努めてまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
 2021年6月の改訂後のコードに基づき記載しております。

 

<原則1-4:政策保有株式>
当社の政策保有株式の縮減に関する方針、保有の適否の検証及び議決権行使に関する基準は、以下の通りであります。
1.政策保有株式の縮減に関する方針
当社は、取引先との安定的な関係維持・強化が企業戦略上重要且つ当社の持続的な成長と企業価値向上に資すると判断した場合に限り、政策保有株式を限定的に保有する方針であります。その戦略上の判断は、適宜見直しを行い、意義が不十分であるか、又は資本政策に合致しない政策保有株式については縮減する方針でございます。

 

2.政策保有株式の保有の適否の検証
当社は、保有先企業の動向、取引の状況、当該保有株式の市場価額等の状況を踏まえて、当該企業との業務提携、取引の維持・発展等の保有目的の合理性を勘案し、当社の成長への必要性、一方では保有リスクも勘案し、資金活用の有効性の観点から、保有の適否について毎年検証を行っております。

 

3.政策保有株式の議決権行使に関する基準
政策保有株式に係る議決権行使は、その議案が当社の保有方針に適合するかどうかに加え、発行会社の企業価値の向上を期待できるかどうかなど、複合的に勘案して行います。

 

<補充原則3-1-3:自社のサステナビリティについての取組みに関する開示>
当社グループは、便利でお喜びいただける多種多様なサービスを創出・提供することで、社会全体のお役に立つことを目指しており、当社の企業価値を中長期的に維持・向上させるためには、より便利で豊かな社会の実現に向けた新サービスを開発・提供していくことが重要であると考えております。
当社グループではサステナビリティへの取り組みの一環として、山口県において太陽光発電による発電事業を営む他、ブロックチェーン技術を用いたエネルギー・マネジメント・システム構築を請け負うなど、ITソリューション事業で蓄積した企画力・技術力を活かし、「持続可能な社会の実現」に向けてAIや5G等の最先端技術を用いたシステム開発にも積極的に取り組んでおります。これらの取り組みは、脱炭素社会の実現に繋がるものであり、当社が中長期的に企業価値を維持・向上していくためにも重要であると考えております。
これらの事業推進に必要な人材については積極的な採用活動の継続等、人的資本への投資を行っております。また、知的財産への投資については、継続的なソフトウェア資産への投資が、競争力及び付加価値の向上、当社グループの継続的なサービス提供に資するため、毎年一定水準額の投資を行っております。

 

<原則5-1:株主との建設的な対話に関する方針>
当社では、「IR活動の基本姿勢と開示基準」、「情報開示の方法と情報の公平性」、「将来の見通しについて」、「IR自粛期間について」からなるIR基本方針を策定しており、当社ウェブサイトにて公表しております。

 

●IR基本方針
URL:https://www.nihon-e.co.jp/ir/management/line.html

 

現在、当社ではこのIR基本方針に基づき、株主との建設的な対話という観点から、以下の取り組みを積極的に実施しております。
(1)当社では常務取締役管理本部長を内部情報管理責任者に指定し、経理部、総務部、人事・広報部等のIR活動に関連する部署を管掌し、日常的な部署間の連携を図っております。
(2)社内各部門の会社情報については、内部情報管理責任者が一元的に把握・管理し、的確な経営判断のもと、有機的な連携に努め、IRに関連する他部署との情報共有を密にすることで、連携強化を図るよう努めております。
(3)広報・IRグループにおいて、株主・投資家からの電話取材やスモールミーティング等のIR取材を積極的に受け付けると共に、アナリスト向けに決算説明会を開催し、社長又は常務取締役が説明を行っております。
(4)IR活動及びそのフィードバック並びに株主異動等の状況については、適宜取締役会へ報告を行い、取締役や監査役との情報共有を図っております。
(5)投資家と対話をする際は、当社の公表済みの情報を用いた企業価値向上に関する議論を対話のテーマとすることにより、インサイダー情報管理に留意しております。

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