マーケットエンタープライズ(3135) 2桁増収、損失縮小、売上高は過去最高を更新

2023/03/30
 

小林 泰士 社長

株式会社マーケットエンタープライズ(3135)

 

 

企業情報

市場

東証プライム市場

業種

小売業(商業)

代表者

小林 泰士

所在地

東京都中央区京橋3-6-18 東京建物京橋ビル

決算月

6月

HP

https://www.marketenterprise.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,198円

5,322,800株

6,376百万円

-32.5%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

0.00

31.39円

38.2倍

197.95円

6.1倍

*株価は3/9終値。発行済株式数、DPS、EPSは23年6月期第2四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2019年6月(実)

8,472

452

455

203

39.87

0.00

2020年6月(実)

10,904

655

664

291

55.90

0.00

2021年6月(実)

10,875

54

32

-40

-7.63

0.00

2022年6月(実)

11,986

-319

-328

-404

-76.29

0.00

2023年6月(予)

15,000

300

275

167

31.39

0.00

2024年6月(計画)

20,000

1,200

*単位:百万円、円。 予想は会社予想。中計は会社発表の中期経営計画の目標値。

 

 

(株)マーケットエンタープライズの2023年6月期第2四半期決算概要などをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2023年6月期第2四半期決算概要
3.2023年6月期業績予想
4.中期経営計画の進捗
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 23年6月期上期は2桁増収、損失縮小、売上高は過去最高を更新した。売上高は前年同期比34.5%増の73億86百万円。全セグメントで増収。営業損失は前年同期の2億4百万円から43百万円へ大幅に縮小。増収に伴い売上総利益も同40.1%増加し、積極的な広告展開、人員拡充、新規拠点開設等、販管費増を吸収した。粗利率も1.4ポイント上昇。 
  • 業績予想に変更は無い。23年6月期の売上高は前期比25.1%増の150億円、営業利益は3億円の黒字に転換を予想。2024年6月期を最終年度とする中期経営計画の初年度の22年6月期は外部環境・社内施策共に概ね想定通りの進捗となったことから、今期についても計画内容を踏襲し、様々な施策を着実に遂行する。 
  • 23年6月期上半期は、大幅な増収で損失は縮小し、四半期ベースでは第2四半期の売上高は過去最高を記録し、営業利益は8四半期ぶりの黒字転換となった。下期も売上高は過去最高を更新し、営業利益も急回復する計画となっている。中期経営計画の最終年度に向け、各施策の進捗動向とともに、計画に対しどれだけの進捗を示すことができるかを注目していきたい。 

1.会社概要

リユースを核とした持続可能な社会を実現する最適化商社を目指し、様々な事業を展開している。最適化商社とは、多様化する消費行動や様々な消費スタイルに対し、個々人、そして一部の商品・サービスにおいては法人にまでその枠を広げ、インターネットを通じて、最適な選択肢を提供できる会社と同社は定義している。なお、マーケットエンタープライズという社名の由来は、市場(マーケット)と冒険的創出(エンタープライズ)。「市場を創出していく会社を築き上げたい」という創業時の思いが込められている。
事業は、ネット型リユース事業、メディア事業、モバイル通信事業の3事業に分かれ、ネット型リユース事業は、個人向けリユースを中心に農機具の取扱い、全国のリサイクルショップと消費者をつなぐリユースプラットフォーム「おいくら」も手掛ける。メディア事業は、通信関連、リユース関連、消費関連等、消費者にとって関心の高い分野にフォーカスしており、通信事業は連結子会社(株)MEモバイルがWiMAX(高速無線通信サービス)サービス「カシモWiMAX」を展開している。グループは同社と連結子会社(株)MEモバイル、(株)MEトレーディング、(株)UMM、MARKETENTERPRISE VIETNAM CO., LTD.の5社。
2021年2月、東京証券取引所マザーズ市場から東京証券取引所市場第一部へ市場変更。2022年4月、市場再編に伴い東証プライム市場へ移行した。

 

【1-1 経営の指針と3つの取り組み】

国連が示すSDGsの17の目標を経営の指針としており、この指針の下で次の3つの取組みを進めている。1つはリユースによる循環型文化の推進。創業以来展開しているネット型リユース事業による商品の買い取りと再販売を通して持続可能な社会の実現に貢献していく(SDGs17の目標の「12」に関わる取り組み)。2つ目は、リユースを通じて日本に眠っている製品の国内外を問わない循環。農機具、建設機器、医療機器等、国内では使用されなくなった商品やリユースされ難いものを、海外で活躍する販路を通じて循環させ持続可能な社会の実現に貢献していく(「2」、「3」、「6」、「12」が関わる取り組み)。3つ目は、同社がこれまで培ってきたノウハウやリソースを活用したDX推進支援による中小企業の成長支援である(「8」に関わる取り組み)。

 

【1-2事業概要】

(1)ネット型リユース事業
販売店舗を有さずインターネットに特化したリユース品の買取及び販売に関するサービスを展開する同社グループの基幹事業。
買取においては「高く売れるドットコム」を総合買取サイトの基軸とし、商品カテゴリー別に分類された複数の買取サイトを自社で運営している。販売においては「ヤフオク!」はじめ、「楽天市場」、「Amazon」、自社ECサイト「ReRe(リリ)」など複数サイトへ同時出品し、インターネットを通じて商品を販売している。
主に「大型」「高額」「大量」といった、CtoC(個人間取引)では梱包や発送が難しい商品を取扱い、CtoBtoCというプロセスで同社が取引に介入することで、品質担保をはじめ、リユース品の売買に対して顧客に安心感を提供している。
近年ではこれらで培ったナレッジ・ノウハウを元に農機具分野へ参入し、国内のみならず農機具輸出事業を展開するなど、既存事業とのシナジーを活かして事業の多角化に努めている。また、全国のリサイクルショップが加盟し、売り手である一般消費者と買い手であるリサイクルショップをマッチングするインターネットプラットフォーム「おいくら」の基盤拡充に向けた施策を行っている。

 

①個人向けリユース
商品ジャンル毎30種の買取専門サイトを用意し、月間で約4万件に及ぶ買取依頼に対してコンタクトセンターで事前査定を行い、買取価格や買取方法を提案する。
出張(自社の物流網を用いた顧客宅への訪問買取)、宅配(同社が宅配キットを用意)、店頭(リユースセンターへの持ち込み)の3つの買取方法が用意されており、いずれの場合も過去のオークションの落札価格や価格比較データを取り込んだ自社データベースを活用し、顧客に迅速に買取金額を伝える「事前査定」を実施している。このため、顧客は安心してサービスを利用できる。

 

買い取った商品は全国13都市で展開するリユースセンターで管理し、販売は、「ヤフオク!」、「Amazon」、「楽天」といった主要ECマーケットプレイスや自社ECサイト「ReRe(リリ)」に同時出品している。商品在庫を一元管理するシステムを自社開発しているため、どこかのサイトで売れると自動的に他サイトの在庫が消し込まれる。このように、複数サイトに同時に出品して販売できるため、商品回転率が高い点も同社の強みとなっている。また、販路の多様化が進んでいるため、買取が伸びれば売上の拡大に繋がる仕組みを構築している。こうした、完全自社開発の統合基幹業務システムをベースにして、一気通貫で高品質なリユースサービスを提供できる体制を確立している点は同社の大きな強みである。
また、独自の研修プログラムやオペレーションシステムを構築しており、サービスレベルの標準化にも注力している。

 

(同社資料より)

 

②マシナリー(農機具)
個人向けリユースで培ったノウハウを活かし、中古農機具の買取から国内販売・輸出まで一気通貫のビジネスフローを確立している。
日本のトラクターは20年~30年前のものでも高性能で壊れにくいためUsed in Japan としてヨーロッパ、中東、アジアで需要が高い。これまでに81ヶ国以上への実績があり現在も海外販路を拡大している。

 

(同社資料より)

 

③おいくら
全国のリサイクルショップや買取専門店、質屋などと、「物を売りたい」一般の消費者をつなぐ集客支援マッチングプラットフォーム「おいくら」を運営している。
査定したい・売りたいリユース品の情報を登録するだけで複数のリユースショップに依頼が可能で、最適な買取業者を選択することができる。
持続可能な循環型社会の実現に向けて地方自治体との連携を加速しており、連携自治体数は2022年末で16自治体。2025年までに100自治体との連携を目指している。

 

(同社資料より)

 

(2)メディア事業
賢い消費者への情報提供を目的に通信、モノの売買や修理に関するサイトなど8つの最適なウェブコンテンツを提供。広告掲載企業への送客により広告収入を得ている他、連結子会社(株)MEモバイルへ送客し同社サービスで顧客化している。

 

 

 

 

(同社資料より)

 

(3)モバイル通信事業
連結子会社(株)MEモバイルがWiMAXサービス「カシモWiMAX」を展開している。収益モデルは回線販売に伴う販売奨励金収入と、累積販売回線数に伴う回線料収入。既存の回線契約により発生が見込まれる将来の通信料収入などの収益である「将来収益」の拡大を目指している。

 

2.2023年6月期第2四半期決算概要

【2-1連結業績】

 

22/6期2Q

(累計)

構成比

23/6期2Q

(累計)

構成比

前年同期比

売上高

5,492

100.0%

7,386

100.0%

+34.5%

売上総利益

1,914

34.9%

2,682

36.3%

+40.1%

販管費

2,119

38.6%

2,726

36.9%

+28.6%

営業利益

-204

-43

経常利益

-221

-73

四半期純利益

-177

-134

* 単位:百万円。四半期純利益は、親会社株主に帰属する四半期純利益。

 

2桁増収、損失縮小、売上高は過去最高を更新
売上高は前年同期比34.5%増の73億86百万円。全セグメントで増収。
営業損失は前年同期の2億4百万円から43百万円へ大幅に縮小。増収に伴い売上総利益も同40.1%増加し、積極的な広告展開、人員拡充、新規拠点開設等、販管費増を吸収した。粗利率も1.4ポイント上昇。

 

 

四半期ベースでは第2四半期の売上高は過去最高を記録し、営業利益は8四半期ぶりの黒字転換となった。

 

 

【2-2 セグメント別動向】

 

22/6期2Q

(累計)

構成比

23/6期2Q

(累計)

構成比

前年同期比

ネット型リユース事業

3,108

56.6%

4,071

55.1%

+31.0%

メディア事業

261

4.8%

393

5.3%

+50.7%

モバイル通信事業

2,161

39.3%

2,995

40.5%

+38.6%

セグメント内消去

-37

-74

連結売上高

5,492

100.0%

7,386

100.0%

+34.5%

ネット型リユース事業

21

0.7%

121

3.0%

+462.0%

メディア事業

143

55.0%

230

58.6%

+60.6%

モバイル通信事業

50

2.3%

87

2.9%

+71.6%

調整

-420

-483

連結営業利益

-204

-43

*単位:百万円。利益の構成比は売上高利益率。

 

 

ネット型リユース事業
増収増益。
売上高は前年同期比31.0%増の40億71百万円、セグメント利益は同462.0%増の1億21百万円。
四半期ベースでの売上高は過去最高を記録した。

 

売上高動向

 

22/6期2Q

(累計)

23/6期2Q

(累計)

前年同期比

個人向けリユース事業

2,513

2,974

+18.3%

マシナリー(農機具)

531

1,023

+92.7%

おいくら

63

73

+15.9%

*単位:百万円。同社資料より作成。

 

*個人向けリユース事業
第2四半期(累計)売上高は前年同期比18.3%増の29億74百万円。
買取依頼件数、買取件数とも引き続き順調に増加した。第2四半期(10‐12月)の出張買取件数は過去最高を更新した。
22年10月、出張買取需要の高まりを受け、首都圏の買取能力拡充のため、千葉市にリユースセンターを新設したほか、出張買取バイヤーの採用及び教育研修、車両等の増強にも取り組んだ。
販売が好調なため在庫は前年同期比では減少したが、前四半期比で増加し、想定どおりの推移である。

 

*マシナリー(農機具)
第2四半期(累計)売上高は前年同期比92.7%増の10億23百万円。
2022年4月に譲り受けた株社ファーマリーの中古農機具買取・販売事業とのシナジーにより国内法人との取引量が増加した。
好調な買取を背景に、在庫も増加した。

 

*おいくら
第2四半期(累計)売上高は前年同期比15.9%増の73百万円。
リユースプラットフォームとしての中長期的な収益基盤拡充に向けたシステム投資や官民協働でのSDGsの実現(不要品の二次流通促進による廃棄物の削減及び環境負荷軽減)に向けた地方自治体との連携を推進した。2022年12月末の連携数は前四半期比10自治体増加し、16自治体となった。

 

メディア事業
増収増益。
第2四半期(累計)の売上高は前年同期比50.7%増の3億93百万円、営業利益は同60.6%増の2億30百万円。
検索エンジンアルゴリズムのアップデートに対応した既存掲載記事のメンテナンスや送客対象となる商品・サービスの領域拡大を行ったこと等により、引き続き収益性の高いキーワードにおける検索ランキングがほぼ想定どおりに推移した。
結果として主力分野であるモバイル通信に関するメディアは概ね堅調に推移し、その他分野(趣味、インターネットサービス等)に関するメディアのページビュー数、送客収入は大きく成長。収益基盤の多様化が進捗した。

 

モバイル通信事業
増収増益。
第2四半期(累計)の売上高は前年同期比38.6%増の29億95百万円、営業利益は同71.6%増の87百万円。
メディア事業との連携強化により自社通信メディアからの送客が堅調に推移したことに加え、他社が運営するメディアへの積極露出を行ったことから新規回線獲得数が増加した。
既存契約回線(4G)の契約期間が満了するユーザーに対し、後続となる5G回線への変更を訴求することで、1ユーザー当たりの契約期間延長を図った。
中期的に安定した収益基盤を構築すべくストック収入の比率が高い料金プラン拡販のために、新規回線獲得に向けた積極的な広告宣伝活動を行ったことで一時的にコストが増加した。
将来収益は当初予定を上回って推移している。
価格.com内のモバイル回線プロバイダ人気ランキング2022年において、モバイルルーター部門・ホームルーター部門共に年間1位を獲得した。

 

【2-3 財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)】

財政状態

 

22年6月

22年12月

増減

 

22年6月

22年12月

増減

流動資産

2,541

3,020

+479

流動負債

2,058

2,898

+840

現預金

941

1,296

+355

仕入債務

366

403

+37

売上債権

971

937

-33

短期有利子負債

1,063

1,848

+784

商品

439

657

+218

固定負債

176

82

-94

固定資産

990

1,147

+157

長期有利子負債

161

81

-80

有形固定資産

365

398

+32

負債合計

2,235

2,980

+745

無形固定資産

215

170

-45

純資産

1,296

1,187

-108

投資その他の資産

408

578

+169

利益剰余金

406

273

-133

資産合計

3,531

4,167

+636

負債純資産合計

3,531

4,167

+636

* 単位:百万円。有利子負債にはリース債務を含む。

 

現預金および商品の増加などで資産合計は前期末比6億36百万円増加し41億67百万円。
有利子負債の増加等で負債合計は同7億45百万円増加の29億80百万円。
利益剰余金の減少等で純資産は同1億8百万円減少の11億87百万円。
自己資本比率は前期末より7.6ポイント低下し22.1%となった。

 

キャッシュ・フロー

 

22/6期2Q

23/6期2Q

前年同期比

営業キャッシュ・フロー(A)

-348

-96

+252

投資キャッシュ・フロー(B)

-98

-198

-99

フリー・キャッシュ・フロー(A+B)

-446

-294

+152

財務キャッシュ・フロー

-21

654

+676

現金及び現金同等物期末残高

1,003

1,296

+293

* 単位:百万円

 

税金等調整前四半期純損失額の減少等で営業CF、フリーCFともマイナス幅は縮小した。キャッシュポジションは上昇した。

 

3.2023年6月期業績予想

【3-1 連結業績予想】

 

22/6期 実績

構成比

23/6期 予想

構成比

前期比

売上高

11,986

100.0%

15,000

100.0%

+25.1%

営業利益

-319

300

2.0%

経常利益

-328

275

1.8%

当期純利益

-404

167

1.1%

* 単位:百万円。当期純利益は、親会社株主に帰属する当期純利益。

 

業績予想に変更なし。増収、黒字転換
業績予想に変更は無い。売上高は前期比25.1%増の150億円、営業利益は3億円の黒字に転換を予想。
2024年6月期を最終年度とする中期経営計画の初年度の22年6月期は外部環境・社内施策共に概ね想定通りの進捗となったことから、今期についても計画内容を踏襲し、様々な施策を着実に遂行する。

 

【3-2 セグメント別事業戦略】

下期のアクションプランは以下のとおり。

 

(1)ネット型リユース
①個人向けリユース
買取能力増強のため、戦力化に向けての教育研修を拡充するほか、関東地区の新規拠点追加開設を検討する。
販路の多様化は進捗が遅れており、独自販路の開拓、他プラットフォームとの提携を検討する。

 

②マシナリー(農機具)
国内法人からの買取が順調で在庫が増加しているため、買取基準を見直し、収益基盤を確立する。
海外法人への輸出拡大は大きな進捗がないため、販売強化に向けて販路を開拓する。

 

③おいくら
引き続き自治体提携数を拡大する一方、新規加盟店獲得数が鈍化しているため加盟店営業を強化し、新規契約数を拡大する。

 

(2)メディア
通信分野以外の成長が顕著であり、更なる分散化に向けてコンテンツを強化する。
新規領域への横展開を検討していたが、方向性が決定したため、第3四半期よりトライアルを開始し、新たに収益化を目指す。

 

(3)モバイル通信
WiMAX5Gの新規回線獲得は順調であり、商機となる3月~4月向け体制を整備する。
保有回線のARPU(1回線当たり売上高)上昇に向けては、将来収益は当初想定を上回る推移となっているため、足元の収益を確保したプランの販売を図る。

 

(同社資料より)

 

 

4.中期経営計画の概要・進捗

【4-1 計画の進捗】

現在の中期経営計画期間を第2次投資期間と位置付けている。

 

フェーズ

期間

概要

上場後第1次投資期 2016年6月期~2018年6月期 新規事業であるマシナリー メディア モバイルを拡大フェーズ入りさせるために投資を実施
第1次収穫期

 

2019年6月期~2020年6月期 *マシナリー メディア モバイルの寄与により収益拡大

*事業譲受によりMEトレーディングやおいくらなどの次の成長の基盤を取得

第2次投資期

(今中期経営計画期)

2022年6月期~2024年6月期 *主力事業の個人向けリユースは再成長のための投資を実施

*マシナリーは成長を加速

*おいくらは中期的な成長のための基盤を整備

*モバイル通信は中期的なストック収益基盤を構築すべく新たな料金プランを設定

第2次収穫期 2025年6月期以降 リユースの継続的成長に加えおいくら及びモバイルのストック収益を中心に、持続的な収益拡大を目指す。

リユース事業においては、個人向けリユース、マシナリー、おいくら全てが売上・利益成長期に入る。

 

 

【4-2市場認識と注力戦略】

(1)同社の市場認識
人口減少と高齢化が一段と進む中、家庭に眠っている潜在リユース市場、いわゆる「隠れ資産」は約44兆円と推計される。
世代別には、50代及び60代以上で約7割が「隠れ資産」を保有している。

(同社資料より)

 

個人金融資産は過去30年間で60歳代以上の構成比が倍増した。
2020年における個人金融資産の保有割合は60歳以上で68.5%、50歳以上で83.8%を占めている。

 

こうした環境下、高齢化の進展は同社ビジネスに大きな追い風であり、マシナリーに加え、個人リユース市場は市場成長率が大きく高まると見ている。
今期は個人リユースの戦略加速に注力する方針だ。
また、今後の顧客の中心はニーズが顕在化していないシニア層(潜在層)になるため、44兆円に上る隠れ資産市場のニーズを掘り起こすための顧客との最終接点づくりやコンサルティング営業が重要になると考えている。

(同社資料より)

 

(2)同社の強みと強化すべき分野
①強み
リユース市場における同社の強みは以下の2点である。

 

*マーケティング力
幅広い商品別の買取バーティカルメディアを数多く運営しており、これらを基軸に低コストで年間37万件という業界でもトップクラスの買取依頼を獲得することができる。
22年6月期の買取依頼件数37.4万件のうち潜在層が圧倒的多数であり、既に潜在層の買取依頼確保の体制は出来上がっている。

 

*営業
多種多様な商品を買取可能な買取営業ノウハウは同社最大の強みである。
また顧客のニーズに合わせた「宅配」「店頭」「出張」という3つの買取チャネルと全国13カ所の買取拠点(リユースセンター)を有しており、インフラの整備は進んでいる

 

②強化すべき点
強みを活かし、個人リユース市場の開拓を推進するためには、潜在層におけるニーズ顕在化に向け対面コンサルティング営業の強化が不可欠であり、出張買取人員の増員に注力する。

 

(3)数値目標
ネット型リユース事業を中心とした売上成長と、モバイル通信事業での将来収益の獲得による収益基盤の安定化により以下の数値目標を達成する。

 

 

21/6期

22/6期

23/6期(計画)

前期比

24/6期(計画)

前期比

売上高

10,875

11,986

15,000

+25.1%

20,000

+33.3%

ネット型リユース事業

6,580

6,631

9,804

+47.9%

13,744

+40.2%

個人向けリユース

5,350

5,140

7,500

+45.9%

10,000

+33.3%

マシナリー

1,061

1,365

2,000

+46.5%

3,000

+50.0%

おいくら

169

125

304

+143.2%

744

+144.7%

メディア事業

519

599

700

+16.9%

800

+14.3%

モバイル通信事業

3,866

4,861

5,000

+2.9%

5,500

+10.0%

営業利益

54

-319

300

1,200

+300.0%

営業利益率

0.5%

-2.7%

2.0%

6.0%

+4.0%

営業利益+将来利益

373

398

997

+150.5%

1,950

+95.6%

*単位:百万円

 

5.今後の注目点

23年6月期上半期は、大幅な増収で損失は縮小し、四半期ベースでは第2四半期の売上高は過去最高を記録し、営業利益は8四半期ぶりの黒字転換となった。
下期も売上高は過去最高を更新し、営業利益も急回復する計画となっている。
中期経営計画の最終年度に向け、各施策の進捗動向とともに、計画に対しどれだけの上積みを図ることができるかを注目していきたい。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態 監査役設置会社
取締役 5名、うち社外2名
監査役 3名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2022年10月13日)
基本的な考え方
当社は、「Win Winの関係が築ける商売を展開し、商売を心から楽しむ主体者集団で在り続ける」という創業以来の経営理念を常日頃より体現すべく、公正で透明性が高く、迅速で効率的な経営に取り組むことを基本的な考えとしております。その実現のため、少数の取締役による迅速な意思決定及び役員相互間の経営監視をはじめとした組織全体でのコンプライアンスの徹底、ディスクロージャーの充実等により、株主の皆様やお客様をはじめ、取引先、地域社会、従業員等各ステークホルダーと良好な関係を築き、長期的視野の中で企業価値の向上を目指すべく経営活動を推進しております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>
補充原則2-4①】
当社では、従業員が当社の成長を支える重要な存在であるとの認識にたち、多様な人材が仕事と家庭を両立し、最大限の能力を発揮できる職場環境や企業風土の醸成に取り組んでおります。
上記の考えのもと、当社では、管理職への登用等に当たっては、年齢、性別や社歴等では区分せず、意欲と能力のある従業員が、平等に機会が得られるような人事評価制度とキャリアプランを整備しております。以上のことから、当社では女性、外国人等の区分での目標とする管理職の構成割合や人数を定めておりません。今後も、人数等の目標は設定せず、従業員の最大限の能力を発揮できる職場環境や企業風土の醸成に努め、意欲と能力のある従業員を育成し、適性のある人材を管理職として登用していく方針であります。

 

【原則3-1】
(ⅰ)経営理念やビジョンを当社ホームページにて開示しております。
(ⅱ)コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方を、当社ホームページ、コーポレートガバナンスに関する報告書及び有価証券報告書にて開示しております。
(ⅲ)取締役の報酬は、株主総会の決議により定められた報酬総額の範囲内で、取締役会の決議により代表取締役に一任され決定しております。
役員報酬は、株主の皆様への利益還元を経営上の重要課題として認識するとともに、中長期的な成長のための内部留保とのバランス等を優先的に考慮したうえで、世間水準、経営内容、経済情勢、従業員給与等を踏まえ、各取締役の職務範囲(中長期的な業績への寄与)、全社業績、全社目標達成度に応じた評価を反映させております。なお、報酬の決定に先立ち、代表取締役は、独立社外取締役に対して個別の報酬の決定根拠について説明を行い、助言を得たうえで決定しております。
(ⅳ)取締役及び監査役の指名にあたっては、それぞれの人格及び見識等を十分に考慮の上、その職務と責任を全うできる適任者を指名する方針としております。加えて、社外取締役及び社外監査役の指名にあたっては、株式会社東京証券取引所が定める独立性の基準に照らして、独立性を確保し公正不偏の態度を保持できるか等を勘案するとともに、取締役会への出席可能性を検討のうえ指名する方針としております。また、監査役については、当社監査役のうち最低1名は財務及び会計に関して相当程度の知見を有する者であることが望ましいことを踏まえて候補者を選定しております。取締役候補者の指名は、代表取締役及び取締役が候補者を選定し、取締役会の決議をもって決定しております。監査役候補者の指名は、代表取締役と取締役管理本部長が候補者を選定し、監査役会の同意を得た上で取締役会にて株主総会への上程内容を決定しております。また、執行役員の選解任については取締役会で、上位役職者の選解任については、常勤取締役間で開催される評価会議で決定するものとしております。
役員の解任については、役員として不正あるいは背任にあたる行為があったとき、あるいは役員としての適格性に欠ける者に対しては取締役会によって辞任勧告を行い、役員の解任は正当な解任事由に基づき、取締役会の承認を得て株主総会の決議によります。
(ⅴ)株主総会招集通知において、取締役及び監査役候補者の情報(社外役員に関する事項・略歴、地位および担当ならびに重要な兼職の状況)を記載しておりますが、今後は、個々の選解任・指名理由についてもあわせて開示いたします。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則の各原則に基づく開示(抜粋)>
【原則1-4】
当社は、現在、政策保有株式として上場株式を保有しておりませんが、当社グループの企業価値向上及び中長期的な発展に資すると判断される技術やノウハウを有している企業との関係性強化、事業戦略上の重要性等を総合的に勘案のうえ、当該企業の株式を政策保有する方針としております。保有にあたっては投資金額の多寡にかかわらず取締役会での審議を経ることとしており、当該取締役会において、前述の方針との適合性はもとより、投資金額の妥当性、利害関係等についても多角的に検証を行います。なお、当社及び投資先の状況変化に鑑み、妥当性がないと判断された場合には、取締役会の審議を経て保有株式の縮減等の見直しを行います。議決権行使にあたっては、当該企業の中長期的な企業価値向上に資するか否かを議案ごとに判断し、適切に議決権を行使することとしております。

 

【原則5-1】
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値向上のためには、常日頃から株主と積極的な対話を行い、株主の意見や要望を経営に反映させ、株主とともに会社を成長させていくことが重要であると認識しております。
株主との対話全般について統括を行い、建設的な対話が実現するよう代表取締役社長は取締役管理本部長を中心とするIR体制を整備し、当社の経営戦略や経営計画に対する理解を得るため、個別面談のほか、決算説明会、個人投資家向け説明会、証券会社等主催のIRイベントへの参加、機関投資家との対話の場等を設け、個人投資家からの質疑応答、機関投資家からの取材にも積極的に対応しております。
対話の内容については適宜取締役会に報告されており、株主より拝聴したご意見・懸念事項については真摯に受け止め、経営に反映させております。
株主との建設的な対話に向け、株主投資家の投資判断に資する有益な情報を適切に提供すべく、情報取扱責任者である取締役管理本部長を中心として社内各部門(総務、財務、経理、法務、広報)の責任者は原則週1回会社情報を共有し、有機的な連携を図っております。一方で、インサイダー取引や特定情報の漏えいが行われないよう、情報発信前に開示可否事項について明確な取決めを行う等、細心の注意を払っております。

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