(5162)株式会社朝日ラバー 増収増益 引き続き堅調な展開

2022/02/24

 

 

 

渡邉 陽一郎 社長

株式会社 朝日ラバー(5162)

 

 

企業情報

市場

JASDAQ

業種

ゴム製品(製造業)

代表取締役社長

渡邉 陽一郎

所在地

埼玉県さいたま市大宮区土手町2-7-2

決算月

3月

HP

https://www.asahi-rubber.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

580円

4,536,363株

2,631百万円

2.6%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

20.00円

3.4%

52.02円

11.1倍

1,016.30円

0.6倍

*株価2/10終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは前期実績。BPSは直近四半期末実績。
*EPSとDPSは今期の会社予想。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属する当期純利益

EPS

配当

2018年3月(実)

7,534

561

589

459

101.98

20.00

2019年3月(実)

7,706

483

508

352

77.97

20.00

2020年3月(実)

7,489

325

346

126

27.91

30.00

2021年3月(実)

6,487

-92

18

113

25.06

10.00

2022年3月(予)

7,252

321

311

236

52.02

20.00

*2020年3月期の内訳は、普通配当20円、記念配当10円。
*単位:百万円、円。

 

(株)朝日ラバーの2022年3月期第3四半期決算の概要等をブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.新中期経営計画
3.2022年3月期第3四半期決算
4.2022年3月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

今回のポイント

  • 22/3期第3四半期は前年同期比14.9%の増収、2億63百万円の経常利益(前年同期は97百万円の経常損失)。売上高面では、ASA COLOR LEDやスイッチ用ラバーなどの自動車向けゴム製品は、半導体不足など部材調達難の影響を受けて受注が減少傾向であるものの前年同期比では増収となった。また、卓球ラケット用ラバーの受注が大きく増加したことが売上高の増加に寄与した。利益面でも自動車向けゴム製品を中心とする売上高の増加が増益に寄与した。

     

  • 22/3期の会社計画は、前期比11.8%増収、3億11百万円の経常利益(前期は18百万円の経常利益)の修正予想から変更なし。半導体不足やグローバルでの部品調達不足による自動車市場の伸びの鈍化は予測の範囲内であり、原材料の高騰の影響も価格転嫁できる見込みである。また、配当予想も、1株当たり10円増加の年20円(上期末10円、下期末10円)の予定を据え置き。

     

  • 殺菌・浄水、空気清浄をはじめ、ウイルスの不活性化にも利用できると期待される深紫外線LEDの光を効率的に配光させる光学部材の開発、ライフサイエンスや医療分野を中心とするシート・チューブ等の親水化製品の開発、再生可能エネルギーの分野における風車用プラズマ気流制御電極、風車の落雷被害に対応するダイバータストリップ、風力発電用保護シート・カバーの開発など同社の開発ラインナップは豊富である。同社の今後の成長の牽引役となる新製品が誕生するのか注目される。

     

1.会社概要

小型電球やLEDに被せる事で様々な発色を可能にする被覆用ゴム製品を主力とする。自動車の内装用照明を中心に、携帯用通信機器、電子・電気機器、産業機器、スポーツ用等、幅広い分野で利用されている。シリコーン(ゴム状の合成樹脂)材料の配合技術と調色技術に強みを有し(色と光のコントロール技術)、シリコーンゴムに蛍光体を配合したLED用ゴムキャップは、LEDの光を波長変換して色調や輝度を調節できるため、10,000色以上の光を出す事やLEDの課題である光のばらつきを均一化する事が可能。また、医療・衛生用ゴム製品や硬質ゴムと軟質ゴムの複合製品等も配合技術を活かしてそれぞれの用途にあったゴム質を実現している。

 

グループは、同社の他、ゴム・プラスチック等の研究開発を行う(株)朝日FR研究所、米国の販売会社ARI INTERNATIONAL CORP.及び工業用ゴム製品の販売を手掛ける朝日橡膠(香港)有限公司、10年7月に設立した工業用ゴム製品の製造・販売を手掛ける東莞朝日精密橡膠制品有限公司、及び12年1月に設立した工業用ゴム製品の開発・設計・販売を手掛ける朝日科技(上海)有限公司の連結子会社5社からなる。

 

事業系統図

(同社決算説明会資料より)

 

生産拠点

(同社HPより)

 

海外拠点

(同社決算説明会資料より)

 

連結業績の推移

 

【事業内容と主要製品】

事業は、自動車のスピードメーターや内装照明の光源向けの「ASA COLOR LED」や各種センサ向けのレンズ製品「ASA COLOR LENS」、或いは弱電製品に使われる応用製品、更にはスポーツ用ゴム製品(反発弾性、高摩擦抵抗等を追及した高品質の卓球ラケット用ラバー)等の工業用ゴム事業、点滴輸液バッグ用ゴム栓や真空採血管用ゴム栓、プレフィルドシリンジ(薬液充填済み注射器)向けガスケット等、使い捨てのディスポーザブル用ゴム製品の医療・衛生用ゴム事業に分かれ、22/3期第3四半期の売上構成比は、それぞれ83.2%、16.8%。今後は、RFIDタグ用ゴム製品、ASA COLOR LENS、医療回路製品用ゴム部品などの販売拡大が期待される。

 

・ASA COLOR LED
ASA COLOR LEDとは、青色LEDに蛍光体を配合したキャップを被せた高品質LED。色度座標をはじめ、相関色温度、色温度偏差で色度規格を設定し、顧客の要望に沿った規格を提案している。すべて日本国内で生産しており、販売開始から17年で売り上げ数18億個を突破。これまで自動車メーカー 計18社(日本8社、欧州7社、北米3社)、150車種以上に採用されている。高品質な色合わせ技術が武器で、①実機を元に、最適な色と明るさのLED選定を手伝う「色合わせ」サービス、②実機の発光面周辺の塗装色や発光面積を加味した、目視による色合せ、③顧客の設計スケジュールに合わせたスピーディーな対応が可能である。LEDを波長ランクごとに分類・選別しており、ランクに合わせた色のキャップを被せることで色・光度のばらつきを低減。自動車内装照明用に10,000色以上の均質な光を提供。顧客に要求される均一な色を実現している。

 

ASA COLOR LEDのイメージ

同社決算説明会資料より

 

ASACOLOR LEDは、主に車載用に採用されている。用途としては、スピードメータ照明・ナビコントロール関連・スイッチ関連・オーディオ関連となっている。

 

(同社HPより)

 

・医療用ゴム製品
点滴輸液バッグ用ゴム栓、真空採血管ゴム栓、薬液混注ゴム栓、プレフィルドシリンジ(薬液充填済み注射器)向けガスケットなど、医療現場で用いられるディスポーザブル商品に使用される。安全性の高い材料を開発し、独自のコーティング技術で“漏れない”と“滑る”を両立し、注射速度の微妙な調節が可能。素材変性技術による安全性の高い材料と表面改質技術による摺動性の向上により、医療ミス防止などの安全性向上に貢献している。

 

プレフィルドシリンジ向けガスケットのイメージ

(同社決算説明会資料より)

 

・RFIDタグ用ゴム製品
RFIDタグ用ゴム製品は、溶剤を使わずに接着させる“分子接着・接合技術”を応用し、IC チップやアンテナ部をゴム素材で覆い、折り曲げに強く、耐水性、耐熱性に優れた、柔らかい小型のRFIDを提供。取り付ける対象がどのようなものかを記憶し、認識させる機能で、今後成長が期待される認証・認識ビジネスに対応。 ゴムという弾性体の特徴を生かして、RFIDが使用できなかった用途への利用が可能に。さらに応用し市場拡大を進める。

 

RFIDタグ用ゴム製品イメージ

(同社決算説明会資料より)

 

・卓球ラケット用ラバー
球を高速で弾く反発弾性、強烈なスピンをかける高摩擦抵抗などを追及した高性能、高品質の製品。

(同社HPより)

 

 

【コア技術と事業領域】

オープンイノベーションで事業領域深耕につながる研究を加速するとともに、製品化に向けた実証研究を強化する。

(同社HPより)

 

・色と光のコントロール技術
シリコーンゴムに着色剤や蛍光体を配合し、様々な色と光を出すことのできる色調管理技術を有し、ばらつきを調整し、顧客が望む細かい色調を実現。また、透明なシリコーン樹脂を材料とし、耐熱性、対紫外線性に優れ、集光・拡散といったレンズ機能を実現。ASA COLOR LEDなどにこの技術が生かされている。今後もこれら技術を活用し、自動車内装、照明分野とコア技術を応用したスイッチ分野の拡大を図る方針。

 

・表面改質及びマイクロ加工技術
接着剤を使わずに、ゴムとゴムや金属、樹脂を接着させる分子接着・接合技術を有する。接着させる表面を改質処理し、化学反応で結合。これにより、有害な溶剤の廃棄処理が不要となり、耐熱性、耐水性もクリア。耐水性、耐候性に優れており、RFIDタグ用ゴム製品やマイクロ流体デバイスでこの技術が生かされている。また、数十ミクロンから数ミクロン単位の表面加工を行うマイクロ加工技術を確立。医療用ゴム製品である薬液混注ゴム栓の薬液注入口の形成と薬液漏れの防止や、充電して使用できる二次電池の内圧管理にもこのマイクロ加工技術が生かされている。今後もこれら技術を活用し、高性能製品や新たな分野を開拓する方針。

 

・素材変性技術
ゴムをはじめとするソフトマテリアルは、素材に添加物を配合することで求める機能を持たせることができる。更に、ナノ・分子レベルで成形することによりその機能をパワーアップすることも可能。卓球ラケット用ラバーなどにこの技術が生かされている。今後もこれら技術を活用し、医療分野を支える製品を提供する方針。

 

【強み】

同社は、固有の技術力をさらに深化させ、組み合わせることで更なる特徴を生み出すと同時に、市場の広がりと顧客ニーズを分析し、製品の将来性を考慮した市場ターゲット戦略と価格戦略を組み立て、最も効率の良い生産体制を整えている。

 

(同社HPより)

 

【サステナビリティビジョン2030】

同社は、「ゴムが持つ無限の可能性で未来を創り持続可能で明るく快適で豊かな社会の実現に貢献します」とするサステナビリティビジョン2030を定めた。社会の一員として持続可能な社会の実現に向けて、社会課題解決へのアプローチとして、ESGの取り組みを経営の基本的な枠組みとし、事業を通じて貢献する。

(同社決算説明会資料より)

 

SDGs/ESGへの関心が高まるなか、改めて社会における自社の存在意義を見直した。その結果、会社は社会のためにあるべきものであり、「人を豊かにしてグローバル社会貢献度が高い技術会社」という将来像を見据えた、2030年までの長期ビジョン「AR-2030VISION」を定め、SDGs/ESGを経営の軸に置くことをより明確にした。
また、世界共通の目標であるSDGs達成のためにはさまざまなパートナーとの共創が不可欠と考え、「ステークホルダー・エンゲージメントを高める」という行動指針を定めた。

 

長期ビジョン「AR-2030VISION」の下、「サステナビリティビジョン2030」に沿って、グローバルな社会課題の解決に挑戦する企業を目指す。
「サステナビリティビジョン2030」実現のため、環境・社会に関する各種基本方針の下、取り組むべき環境・社会目標、KPIを設定した。目標、KPIに関する進捗は毎年報告する。

 

◎環境環境(方針・実績/KPI)
環境問題が人類共通の重要課題であることを認識し、「環境にやさしいものづくり」をスローガンとして、地球環境保全と社会への貢献を目指して活動する。

(同社ウェブサイトより)

 

◎社会(方針・実績/KPI)
働きがいのある職場環境で従業員一人ひとりが生き生きと活躍することで、顧客が満足できる製品を提供し続ける。

(同社ウェブサイトより)

 

2.新中期経営計画

同社は、中期経営計画を策定するにあたり、「私たちは人を豊かにしてグローバル社会貢献度が高い技術会社になる」ことを未来に通ずる姿とし、朝日ラバーらしい価値を磨き、独自の新製品開発による成長を描くため、2030年を見据えたビジョンを「AR-2030VISION」を定めた。具体的な内容は、以下の通り。
【AR-2030VISION】
弾性無限の創造で持続的な価値向上がつながる社会に貢献する企業へと成長し続ける。弾性無限への挑戦。
【経営基盤】
CSR/ESG経営を重視し、グローバルな社会課題に挑戦する企業へと邁進します。
【行動指針】
ステークホルダー・エンゲージメントを高めること。
【技術基盤】
制御&感性へ -ゴムが有する無限の可能性に感性技術を加えてQOL向上を目指します-
独自の競争力の源泉となるコア技術は、色と光のコントロール技術、素材変性技術、表面改質およびマイクロ加工技術としている。それらコア技術に対して新たに感性技術を融合させ、現実世界・サイバー空間がシームレスにつながる世界において、それぞれの事業分野における「人と機械(システム)のつながり」を成長の視点と捉え、新たな価値の創造をもって社会課題の解決に挑む。
【事業基盤】
重点4事業分野へ -事業価値を高め続けて10年後にありたい姿の実現を目指します-
これまでの重点3事業分野(車載・照明事業、医療・ライフサイエンス事業、その他事業)について社会が求める2030年の環境から見つめ直すとともに、将来に「実装化」が想定されるテクノロジーを見通しながら、光学事業、医療・ライフサイエンス事業、機能事業、通信事業の重点4事業分野に集中して10年後にありたい姿の実現を目指す。

 

第13次三ヵ年中期経営計画
同社は、AR-2030VISIONの実現に向けて、最初のステージの2023年3月期までの2020年4月~2023年3月を第13次中期三ヵ年として、中期計画および単年度計画を策定した。中期経営方針として「誠実で機敏な対応力で岩盤を築き質的に成長する」を掲げ、中期経営戦略として、①事業が貢献する機会を増やして密着し、素早く課題を解決する技術で経験と実績を積み上げる、②CSR/ESG経営へ進化させると定め、最終年度である23/3期に、数値目標である連結売上高80~90億円、連結営業利益率8%以上を目指す。環境の変化による影響を考慮しながら成長を続ける目標とするため、売上高目標は範囲を持って設定するとともに、利益については、売上高に影響を及ぼす市場環境の変化に対応しながらも、質的成長を目指すことから、連結営業利益率を目標指標とした。また、設備投資計画は、21/3期~23/3期累計で約10億円。20/3期までに進めてきた設備投資や環境整備による生産体制充実と、更に新製品・開発製品に注力し、案件を早期に立ち上げるための開発投資も進める予定である。

 

(1)重点事業分野の取り組み

光学事業(主要製品:ASA COLOR LED、シリコーン製レンズ、白色シリコーンインキ、カラーフィルター、蛍光体応用製品など)
20/3期の連結売上高約35億円に対し、23/3期の売上高は40億円を計画。「感性、共感」をキーワードに、色と光を制御する技術と感性技術を磨き、自動車の内装照明市場から外装照明、またアンビエント照明※に向けた技術開発と提案を進める。また、海外の顧客へのアプローチをさらに進めていくため、自動車産業向けの品質マネジメントシステムであるIATF16949の認証を白河工場で2020年11月に取得した。
※アンビエント照明とは、室内の環境照明、または全般照明の総称。

(同社中期経営計画資料より)

 

医療、ライフサイエンス(主要製品:採血用・薬液混注用ゴム栓、AR超薄膜シリコーンシート、ARチェックバルブ、プレフィルドシリンジ用ガスケット、マイクロ流体デバイスなど)20/3期の連結売上高約12億円に対し、23/3期の売上高は約15億円を計画。診断・治療分野、理化学機器分野、介護・予防分野に向けて制御技術と感性技術を磨き、世界の医療現場と患者のQOL(Quality of Life)向上に貢献する。また、医療機器産業に向けた提案力を高めるため、医療機器の品質管理システム構築のための国際標準規格であるISO13485の認証について、白河第二工場においてこの中期経営計画中の取得を目指す。

(同社中期経営計画資料より)

 

機能事業(主要製品:車載スイッチ用ラバー、感圧ラバーセンサ、F-TEM※、卓球ラケット用ラバー、気流制御電極など)
20/3期の連結売上高約18億円に対し、23/3期の売上高は21億円を計画。ビークル分野、エネルギー分野、環境発電分野、スポーツ分野において制御技術と触覚・熱・振動・光関連の技術、感性技術を磨き、将来のライフスタイルの実現への貢献に向けて、弾性無限で人に優しい感性価値を提供する。
※F-TEM(Flexible Thermos Electric Module)とは、ゴムならではの柔軟性を持った同社独自のペルチェデバイス。

 

(同社中期経営計画資料より)

 

通信事業(主要製品:RFIDタグ用ゴム製品、ビーコン、コネクタ、伸縮配線、ラバーファントムなど)
20/3期の連結売上高約9億円に対し、23/3期の売上高は12億円を計画。自動認識分野、通信機器分野、センシング分野において、伝える・伝わるセンシング技術、触覚・熱・振動・光関連の技術、感性技術を磨き、ゴムだからこそ実現できる価値を提供する。

(同社中期経営計画資料より)

 

(2)海外展開

同社グループは、顧客の要望に応えるため最適なロケーションとして、アメリカと中国に販売子会社と生産子会社を設置している。重点事業分野に向けて同社の価値をこれまでよりも広く認知してもらうため、積極的に海外市場へのアプローチを進めて、価格競争ではなく、顧客に密着した活動により独自の価値を提供して、顧客満足度の向上を図り販売拡大に結び付ける方針である。

 

(同社HPより)

 

3.2022年3月期第3四半期決算

(1)連結業績

 

21/3期

第3四半期

構成比

22/3期

第3四半期

構成比

前年同期比

売上高

4,595

100.0%

5,279

100.0%

+14.9%

売上総利益

820

17.9%

1,293

24.5%

+57.7%

販管費

981

21.4%

1,034

19.6%

+5.5%

営業利益

-160

-3.5%

258

4.9%

経常利益

-97

-2.1%

263

5.0%

親会社株主に帰属する四半期純利益

28

0.6%

201

3.8%

+598.8%

*単位:百万円 

 

前年同期比14.9%の増収、2億63百万円の経常利益
売上高は、前年同期比14.9%増の52億79百万円。売上面では、工業用ゴム事業の売上高が前年同期比18.9%増加。自動車向け製品の一部で、部品調達リスクの影響等により受注調整があったものの、自動車向け製品や卓球ラケット用ラバーなどの売上高が回復したことから前年同期比で増加した。一方で、RFIDタグ用ゴム製品は、経済環境や生産調整影響により売上高が減少した。医療・衛生用ゴム事業の売上高は同1.6%の減少となった。プレフィルドシリンジガスケット製品や採血用・薬液混注用ゴム栓において、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響による生産調整により売上高は減少した。
利益面では、経常利益が2億63百万円の経常利益(前年同期は97万円の経常損失)となった。工業用ゴム事業セグメント利益では、増収効果により工業用ゴム事業において4億44百万円(前年同期はセグメント損失35百万円)となる一方、売上高が減少した医療・衛生用ゴム事業において前年同期比44.8%の減益となった。これらにより、営業利益は2億58百万円(前年同期は1億60百万円の営業損失)となった。収益性の高い自動車向け製品の売上高の増加等が寄与し、売上総利益率は、24.5%と同6.6ポイント上昇した。合理化により販管費の増加を抑制したことにより、売上高販管費率も1.8ポイント低下した。その他、営業外収益において補助金収入が前年同期の67百万円から5百万円に減少したことが営業外損益の大きな変動要因で、特別損益については大きな影響を及ぼす計上はなかった。

 

四半期業績の推移

22/3期第3四半期(10-12月)は、半導体不足等による自動車生産の減少が影響し第2四半期(7-9月)と比較し売上高、営業利益ともに減少した。一方、前年同期(10-12月)との比較では、減収ながら増益と収益性の改善が図られた。
※15/3Qと4Qは、取締役2名逝去による役員退職慰労引当金繰入額等の特殊要因が影響。

 

(2)セグメント別動向

セグメント別売上高・利益

 

21/3期

第3四半期

構成比

22/3期

第3四半期

構成比

前年同期比

工業用ゴム事業

3,696

80.4%

4,395

83.2%

+18.9%

医療・衛生用ゴム事業

899

19.6%

884

16.8%

-1.6%

連結売上高

4,595

100.0%

5,279

100.0%

+14.9%

工業用ゴム事業

-35

444

87.3%

医療・衛生用ゴム事業

117

64

12.7%

-44.8%

全社費用

-242

-249

連結営業利益

-160

258

100.0%

*単位:百万円 

 

事業別売上高(中期事業分野別)

 

21/3期

第3四半期

構成比

22/3期

第3四半期

構成比

前年同期比

光学

1,983

43.2%

2,376

45.0%

+19.8%

医療・ライフサイエンス

919

20.0%

903

17.1%

-1.7%

機能

1,210

26.3%

1,611

30.5%

+33.1%

通信

481

10.5%

388

7.3%

-19.3%

連結売上高

4,595

100.0%

5,279

100.0%

+14.9%

*単位:百万円 

 

光学事業は、ASA COLOR LEDの受注が自動車市場の需要増加により増加したことが寄与し売上高が増加した。医療・ライフサイエンス事業は、医療用ゴム製品の一部製品で在庫調整が長期化し売上高が減少した。機能事業は、自動車スイッチ用ラバーと卓球ラケット用ラバーの受注が堅調に推移した。通信事業は、RFIDタグ用ゴム製品の受注が顧客の生産調整の影響を受け減少した。

 

国内・海外別売上高

 

21/3期

第3四半期

構成比

22/3期

第3四半期

構成比

前年同期比

国内

3,612

78.6%

4,003

75.8%

+10.8%

海外

983

21.4%

1,276

24.2%

+29.8%

アジア

886

19.3%

1,179

22.4%

+33.1%

北米

89

2.0%

86

1.6%

-3.9%

欧州

7

0.1%

10

0.2%

+41.9%

合計

4,595

100.0%

5,279

100.0%

+14.9%

*単位:百万円

 

国内売上高は前年同期比10.8%増加、海外売上高も規模の大きいアジアの増加が寄与し同29.8%増加した。

 

主力製品の売上推移

 

21/3期

2Q

3Q

4Q

22/3期

1Q

2Q

3Q

前年同期比

ASA COLOR LED

582

779

849

761

754

677

+17.8%

医療用ゴム製品

292

274

248

283

301

289

-1.7%

卓球ラケット用ラバー

51

67

92

90

93

114

+37.8%

RFIDタグ用ゴム製品

126

133

103

94

100

32

-39.1%

*単位:百万円

 

ASA COLOR LEDは、昨年後半からの自動車市場の回復による受注の増加から、半導体不足等による自動車生産の減少が影響し受注が減少傾向となっている。医療用ゴム製品は、一部製品の在庫調整は徐々に回復傾向にあるものの新型コロナウイルス感染症拡大前までには回復していない。卓球ラケット用ラバーは、市場の回復傾向と東京五輪後の需要回復を受けて受注が増加傾向となっている。RFIDタグ用ゴム製品は、最終ユーザーである北米市場における新型コロナウイルス感染症拡大や顧客の生産調整の影響を受け受注が減少した。

 

(3)財政状態

財政状態

 

21年3月

21年12月

 

21年3月

21年12月

現預金

2,903

3,028

仕入債務

437

338

売上債権

1,706

1,500

短期有利子負債

1,099

1,336

たな卸資産

821

1,219

流動負債

2,898

3,092

流動資産

5,706

6,047

長期有利子負債

1,992

1,716

有形固定資産

3,707

3,495

固定負債

3,011

2,762

無形固定資産

86

78

純資産

4,430

4,610

投資その他

840

843

負債・純資産合計

10,341

10,465

固定資産・繰延資産

4,634

4,417

有利子負債合計

3,091

3,053

*単位:百万円。有利子負債=借入(リース債務含まず)

 

21年12月末の総資産は21年3月末比1億23百万円増の104億65百万円。資産サイドでは売上債権などが主な減少要因となったものの、材料調達リスク等を考慮したな卸資産を増やしたことや手元資金の確保のため現預金を積み増したことなどが主な増加要因となった。負債・純資産サイドでは、短期有利子負債が主な減少要因となったものの、長期有利子負債や利益剰余金及び為替換算調整勘定などが主な増加要因となった。21年12月末の自己資本比率は、44.1%と期末から1.3ポイント上昇した。

 

(4)設備投資と減価償却費

連結ベースの第3四半期累計の設備投資額は1億円、減価償却費は3億38百万円。

事業分野

設備投資額(単位:百万円)

内訳

光学事業

13

透明レンズの生産設備など

医療・ライフサイエンス事業

31

回路製品の生産設備導入など

機能事業

36

自動車向けゴム製品生産設備導入など

通信事業

12

RFIDタグ用ゴム製品生産設備改良など

その他

6

 

 

法人

設備投資額(単位:百万円)

分野

朝日ラバー

80

全事業

東莞朝日精密橡膠制品

20

機能事業

 

(5)通期の会社予想に対する第3四半期累計期間の実績の進捗状況

 

22/3期 第3四半期

22/3期 通期会社予想

進捗率

売上高

5,279

7,252

72.8%

売上総利益

1,293

1,753

73.8%

営業利益

258

321

80.7%

経常利益

263

311

84.7%

四半期(当期)純利益

201

236

85.5%

*単位:百万円

 

22/3期第3四半期連結累計期間の業績は、通期の会社計画に対して売上高で72.8%、経常利益で約84.7%の進捗率と通期の会社計画の達成に向け順調な進捗となっている。

 

4.2022年3月期業績予想

(1)連結業績

 

21/3期

構成比

22/3期

構成比

前期比

売上高

6,487

100.0%

7,252

100.0%

+11.8%

売上総利益

1,254

19.3%

1,753

24.2%

+39.7%

販管費

1,347

20.8%

1,432

19.7%

+6.3%

営業利益

-92

321

4.4%

経常利益

18

0.3%

311

4.3%

+1,602.8%

親会社株主に帰属する当期純利益

113

1.8%

236

3.3%

107.4%

*単位:百万円

 

22/3期は、前期比11.8%の増収、同1,602.8%の経常増益予想
第3四半期が終了し、22/3期の会社計画は8月6日の修正計画から変更なし。売上高が前期比11.8%増の72億52百万円、経常利益が同1,602.8%増の3億11百万円。半導体不足やグローバルでの部品調達不足による自動車市場の伸びの鈍化は予測の範囲内であり、原材料の高騰の影響も価格転嫁によりカバーできる見込みである。売上面では、自動車用ゴム製品の受注とRFIDタグ用ゴム製品の受注は減少傾向にあるものの卓球ラケット用ラバーの受注回復などが継続する。工業用ゴム事業は前年同期比14.1%増、医療・衛生用ゴム事業は同0.9%増の計画。
利益面でも、売上高が増加する工業用ゴム事業が営業利益の増加を牽引する見込みである。売上総利益率は、前期比4.9ポイント上昇の24.2%、売上高対販管費率は、同1.1ポイント低下の19.7%の会社前提。この結果、営業利益は3億21百万円(前期は92百万円の営業損失)となる見込み。売上高営業利益率は、4.4%の予想。その他、営業外損益と特別損益において大きな計上の予定はない。
配当予想も、1株当たり10円増加の年20円(上期末10円、下期末10円)の予定を据え置き。連結配当性向は38.4%となる。

 

セグメント別売上高(中期事業分野別)

 

21/3期

構成比

22/3期

構成比

前年同期比

光学

2,890

44.6%

3,212

44.3%

+11.1%

医療・ライフサイエンス

1,206

18.6%

1,182

16.3%

-2.0%

機能

1,759

27.1%

2,271

31.3%

+29.1%

通信

631

9.7%

586

8.1%

-7.1%

連結売上高

6,487

100.0%

7,252

100.0%

+11.8%

*単位:百万円

 

 

光学事業は、ASA COLOR LEDの受注の伸びは鈍化するものの売上高は増加する見込み。医療・ライフサイエンス事業は、医療用ゴム製品の一部製品の在庫調整は緩やかに回復傾向となる見込み。機能事業は、自動車スイッチ用ゴムの受注の伸びは鈍化するものの、卓球ラケット用ラバーの受注が増加し売上高の増加を牽引する予想。通信事業は、RFIDタグ゙用ゴム製品の受注の減少が徐々に回復する見込み。

 

主要製品の売上計画

 

21/3

実績

22/3

(修正計画)

前提・方針

ASA COLOR LED

2,712

2,999

・材料供給不足による自動車市場の伸び率が鈍化傾向。今後の回復状況を精査していく。

・来年度以降の受注活動は計画通り進める。

医療用ゴム製品

1,138

1,055

・一部の用途の製品の在庫調整は徐々に回復傾向にあるが、今期中に従来水準までは至らない。

・新型コロナウイルス感染症拡大の鎮静化による通常医療の需要回復時期を確認していく。

卓球ラケット用ラバー

309

381

・東京五輪開催による効果と競技の再開により徐々に受注は回復傾向。

・新製品開発を計画通り進める。

RFIDタグ用ゴム製品

476

384

・顧客の生産調整が解消し、受注は徐々に回復する見通し。

・収益認識基準の変更により、前期比で売上高計上が約1億円減少する見込み。

*単位:百万円

 

設備投資計画

 

20/3 実績

21/3 実績

22/3 通期会社計画

設備投資

948

266

270

減価償却費

497

507

470

*単位:百万円

 

設備投資計画は、約2億70百万円(前期2億66百万円)の予定。事業分野別内訳は、光学事業90百万円(同59百万円)、医療・ライフサイエンス事業50百万円(同75百万円)、機能事業1億円(同54百万円)、通信事業30百万円。光学事業は、ASA COLOR LEDの工法開発とシリコーンレンズの生産設備増強を計画。機能事業は、自動車用ゴム製品の受注増加に対応する生産設備の増強を計画している。また、法人別では、同社単体で2億円40百万円(全事業)、東莞朝日精密橡膠制品30百万円(機能事業)の予定。

 

(2)22/3期の経営方針と経営戦略

【経営方針】
みんなにうれしさをお届けしよう。

 

【経営戦略】
①事業の魅力を高めて出口をつかむ。
②気づきを高めて課題を解決する。
③ESG経営を推進する。

 

【重点4事業の今後の方針】

事業

主要製品

方針・戦略

光学

・ASA COLOR LED

・ASA COLOR LENS

・白色シリコーンインキ

「感性、共感」をキーワードに、色と光を制御する技術と感性技術を磨き、自動車の内装照明市場から外装照明、またアンビエント照明に向けた技術開発と提案を進める。

医療・

ライフサイエンス

・プレフィルドシリンジ用

ガスケット

・採血用・薬液混注用ゴム栓

・マイクロ流体デバイス

診断・治療分野、理化学機器分野、介護・予防分野に向けて制御技術と感性技術を磨き、世界の医療現場と患者のQOL(Quality of Life)向上に貢献する。

機能

・自動車スイッチ用ゴム

・卓球ラケット用ラバー

・F-TEM(フレキシブルサーモエレクトリックモジュール)

ビークル分野、エネルギー分野、環境発電分野、スポーツ分野において制御技術と触覚・熱・振動・光関連の技術、感性技術を磨き、将来のライフスタイルの実現への貢献に向けて、弾性無限で人に優しい感性価値を提供する。

通信

・RFIDタグ用ゴム製品

・ビーコン

自動認識分野、通信機器分野、センシング分野において、伝える・伝わるセンシング技術、触覚・熱・振動・光関連の技術、感性技術を磨き、ゴムだからこそ実現できる価値を提供する。

 

【今後期待される開発案件の例】
◎深紫外LEDシステムの研究開発
埼玉大学先端産業国際ラボラトリーとの共同開発である「ウイルス不活性化のための深紫外線LEDシステムの研究開発および実証実験」がさいたま市令和2年度イノベーション技術創出支援補助金に採択された。深紫外線(波長が280nm以下の光)は、殺菌・浄水、空気清浄をはじめ、ウイルスの不活性化にも利用が期待されており、深紫外線LEDの光を効率的に配光させる光学部材が求められている。
初期透過率および深紫外線光の連続照射試験(6,000時間照射)で90%以上の透過率(評価波長:265nm)を有するシリコーンレンズの開発に成功、2件の関連技術に関する特許を出願するなど共同開発の成果が出ている。現在は、月刊OPTRONICSに掲載、紫外線フェア2021展示会に出展するなど市場へのPR活動を推進中である。今後、工法確立、工程構築、信頼性試験を通じて早期に製品化し、市場へ提供する方針である。

 

◎超親水性シリコーンゴムの開発
親水化技術により、ゴムの表面に水分を接触させた場合の接触角を10°以下にすることができる(通常のシリコーンゴムの接触角は100°以上)。同社の親水化技術は、親水化効果を長期間保持でき、耐滅菌性があり、簡便なものづくりが可能という特徴を持つ。また、親水化処理方法にも特徴があり、独自の配合技術で従来の配合技術に比べてすぐに親水化効果を得ることができる。また、独自の配合技術による親水化の後、表面修飾剤を塗布することで親水化し、耐熱性に優れた製品の提供が可能となる。現在、配合は量産化に向け、工程構築を実施中で、表面処理は共有結合型を開発・エビデンスデータを取得中である。今後、ライフサイエンスや医療分野を中心に、シート・チューブ等の親水化製品開発を推進していく方針である。

 

◎再生可能エネルギー向け技術開発
同社の技術開発は、産業技術総合研究所の福島再生可能エネルギー研究所から、令和3年度の福島県産総研連携再生可能エネルギー等研究開発補助事業補助金の研究テーマとして採択された。
(1)風車用プラズマ気流制御電極
シリコーンゴムの高い耐候性と柔軟性、耐電圧性を生かして、独自の分子接着・接合技術により金属電極と強固に接合させることで、プラズマ気流を発生させ、空気の流れを制御できる電極を開発。
(2)風車の落雷被害に対応するダイバータストリップ
独自の分子接着・接合技術により金属チップとシリコーンゴムとを強固に接合させることで、高耐久・落下防止・施工性を兼ね備えた落雷対策部品を開発。
(3)風力発電用保護シート・カバー
シリコーンゴムの高い耐候性・柔軟性を活かし、耐エロージョン性(耐侵食性・耐摩耗性)を付与した保護シート・カバーを開発。

 

5.今後の注目点

新型コロナウイルス感染症拡大や半導体不足やグローバルでの部品調達不足による自動車メーカーの生産調整に加えて、原材料の価格高騰など同社を取り巻く事業環境は不透明な状況が続いている。こうした中、半導体不足やグローバルでの部品調達不足の解消に伴う自動車メーカーの段階的な生産拡大や上昇した原材料の価格転嫁など明るい話も始めている。また、北米市場における新型コロナウイルス感染症拡大による需要の減少と顧客の生産調整の影響を受け受注が減少傾向となっていたRFIDタグ用ゴム製品についても顧客の生産調整が解消し、受注の回復見通しが出てきている。来期は中期経営計画の最終年度となるが、目標とする営業利益率8%の達成に向けそのハードルは非常に高い。目標とする利益率の達成のためには、収益性の高いASA COLOR LEDやRFIDタグ用ゴム製品の販売拡大と上昇した原材料の価格転嫁に加え、付加価値の高い新製品の販売拡大が不可欠と言えよう。同社の今第3四半期(10-12月期)の営業利益率は回復傾向にあるものの5%程度と来期の目標とする8%には程遠い。今後のこれら収益性の高い主力製品の販売動向に加え、更なる収益力向上の取組みが注目される。
また、現在研究開発を強化している複数の案件における製品化や本格量産の動きにも引き続き注目しておきたい。殺菌・浄水、空気清浄をはじめ、ウイルスの不活性化にも利用できると期待される深紫外線(波長が280nm以下の光)の分野では深紫外線LEDの光を効率的に配光させる光学部材の開発が求められている。また、親水化技術により、ゴムの表面に水分を接触させた場合の接触角を10°以下にすることができる超親水性シリコーンゴムの分野では、ライフサイエンスや医療分野を中心に、シート・チューブ等の親水化製品の開発が期待される。更に、カーボンニュートラル政策の本格化を受けて今後急拡大が予想される再生可能エネルギーの分野では、風車用プラズマ気流制御電極、風車の落雷被害に対応するダイバータストリップ、風力発電用保護シート・カバーなどの拡大が期待される。同社の今後の成長の牽引役となる新製品が誕生するのか期待を込めて見守りたい。

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

7名、うち社外2名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2021年12月14日

 

<基本的な考え方>
当社及び当社グループのコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、「継続的な成長を通して、企業価値を高めていくという経営の基本方針を実現するために、経営の透明性・健全性を高め、コンプライアンス経営を徹底する」であり、経営上の重要な課題のひとつと位置付けております。

 

【実施をしないコード:そのおもな原則と理由】

原則

実施しない理由

【補充原則1-2④】

当社の株主構成で機関投資家また外国人株主の比率が低いため、議決権電子行使プラットフォームや決算資料および招集通知の英訳は実施しておりません。それぞれ一定程度の株主構成比率になった場合または要望が多くなった場合に検討いたします。

【補充原則2-4①】

当社では、必要に応じて適材適所での人員配置とすることを基本方針としているため、女性、外国人等の区分で管理職の構成割合や人数の目標値、中核人材の登用等における多様性の確保についての考え方等は定めておりませんが、今後も、従業員が最大限の能力を発揮できる職場環境や企業風土の醸成に努め、意欲と能力のある従業員を育成し、適性のある人材を管理職として登用していく方針であります。

【補充原則3-1②原則3-1.情報開示の充実】

海外投資家、外国人投資家の株主構成比率は少ないため、英語での決算情報など開示資料の公開は行っておりません。

【原則4-11.取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件】

女性取締役や外国人取締役は在籍しておりません。当社では女性の管理職が6名、また現場でのリーダーは26名でございます。いろいろな考え方を尊重して、多様性を高めた人事を進めていきたいと考えています。当社では、出産や育児のあとも短時間勤務制度を利用しながら継続して働いている女性社員が増えてきており、こうした方たちが、将来、活躍できるように体制を整えてまいりたいと考えております。財務・会計に関する十分な知見を有している取締役は1名で、旧大蔵省での財務・会計業務を長年にわたって携わられてきたことによる豊富な知識と弁護士としての幅広い見識を、当社の監査業務やコンプライアンス活動等に活かしていただくため、社外取締役に指定しております。

 

【コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示】

原則

開示をしている主な原則

【原則1-4.政策保有株式】

方針として、中長期的な企業価値向上を図ることを基本とし、その保有の合理性を得られない場合は保有いたしません。政策保有株式の目的は取引関係の強化、情報収集などが主な目的であり、それぞれの目的が効果をあげているかの状況等を検討して、適宜判断しております。当社が保有している法人の株式については、その簿価と株価とを比較し、また当該会社の事業状況等も踏まえて、保有するか売却するかの判断を行っております。 特に定量的な数値指標はございません。取引状況、情報収集状況、また相手先の会社の経営状況等を総合的に判断して、議決権を行使してまいります

【原則2-6.企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮】

当社は、確定給付型の制度として規約型企業年金制度を採用しております。企業年金の積立及び運用に関して、外部の資産管理運用機関と契約を締結し、安全かつ効率的な資産運用を旨とし、必要とされる総合収益を長期的に確保することを運用の目的としています。運用状況については、定期的に管理部門がモニタリングしております。なお、議決権行使については、委託機関に一任することで、企業年金の受益者と会社の間で利益相反が生じないようにしております。2019年4月から運用を開始し、投資教育について、従業員への資産運用への教育の取り組み内容をお知らせいたします。また外部の資産管理運用機関と教育業務委託契約を締結しております。

【原則3-1.情報開示の充実】

ⅰ)会社の社訓、経営基本方針を会社ホームページにて開示しております。また中期経営計画を策定し、説明会を開催して公表して会社ホームページにて開示しております。

ⅱ)当社は、当社グループ全体の企業価値の最大化を図るためにはコーポレート・ガバナンスの強化が重要であると認識しており、経営の透明性と健全性の確保、適時・適切な情報開示を行うことに努めています。また、「内部統制システムに係る基本方針」に基づき、当社および子会社の内部統制システムを整備し運用しております。

ⅲ)当社の取締役の報酬は、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブとして十分に機能するよう株主利益と連動した報酬体系とし、個々の取締役の報酬の決定に際しては各職責を踏まえた適正な水準とすることを基本方針としております。決定の手続きについては、他社水準及び対従業員給与とのバランスを考慮しながら総合的に勘案して、取締役会で了承された方法により決定いたします。

ⅳ)取締役候補者の選任について、当社の持続的な発展と中長期的な企業価値の向上に貢献できる人物を役員とすることを基本方針とし、経営の意思決定および業務執行の監督に携わる者としてふさわしい経歴、能力、リーダーシップ、中長期的視野および高い倫理観を持つ者の中から、人格、経験を総合的に勘案し、取締役候補者といたします。その手続きは、候補者を代表取締役社長が監査等委員会に提案し、監査等委員会で確認後、取締役会で候補者を決定し、取締役の選任に関する議案を株主総会に提出いたします。執行役員の選解任については、代表取締役社長が取締役会に提案し、取締役会でその提案について審議し、決定いたします。

ⅴ)役員等の候補者選定の手続きについては、管理部門が候補者の経歴書、推薦書等の資料を準備し、監査等委員会にて面談を実施し、審議、取締役会への答申内容を決定し、取締役会で審議結果を答申し決定いたします。

【原則4-9.独立社外取締役の独立性判断基準及び資質】

当社は、独立役員の資格を充たす社外役員を全て独立役員に指定しております。独立役員とは、当社の一般株主と利益相反が生じるおそれのない社外役員といたします。

【原則5-1.株主との建設的な対話に関する方針】

IR活動を強化し、頻度をあげております。外部からの意見もいただきながら、問い合わせ窓口を広げてまいります。今後も株主の皆様や投資家の皆様のご意見をいただきながら、体制を整備していきたいと考えております。

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