(8860)フジ住宅株式会社 受注契約残高は過去最高水準

2021/07/08

 

 

宮脇 宣綱 社長

フジ住宅株式会社(8860)

 

 

会社情報

市場

東証1部

業種

不動産業

代表取締役社長

宮脇 宣綱

所在地

大阪府岸和田市土生町1-4-23

決算月

3月

HP

https://www.fuji-jutaku.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

636円

35,676,843株

22,690百万円

5.8%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

27.00円

4.2%

86.89円

7.3倍

1,162.92円

0.55倍

*株価は6/28終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。数値は四捨五入。
* ROE、BPSは21年3月期実績、EPS、DPSは22年3月期予想。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属する

当期純利益

EPS

配当

2018年3月(実)

103,880

6,438

6,139

4,168

116.08

27.00

2019年3月(実)

115,710

6,636

6,445

4,298

120.40

27.00

2020年3月(実)

110,444

5,002

4,611

3,038

87.40

27.00

2021年3月(実)

121,541

3,986

3,558

2,358

66.00

27.00

2022年3月(予)

121,400

5,000

4,600

3,100

86.89

27.00

*単位:百万円、円

 

 

フジ住宅の2021年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.中期利益計画(20/3期~22/3期)
3.2021年3月期決算
4.2022年3月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 21/3期は前期比10.0%の増収、同22.9%の経常減益。売上面では、中古住宅が一戸建て、マンションともに前期を下回ったものの、分譲マンションの引渡戸数増加した他、兵庫県下の大型分譲住宅用地の一部を素地販売したことなどにより、分譲住宅セグメントが全体を牽引した。利益面では、販売価格の弾力化の影響により、在庫評価の見直しを実施したことから、各段階利益で減益となった。販売状況を示す受注契約高は、中古住宅が減少した住宅流通事業で減少したものの、自由設計住宅や土地販売が増加した分譲住宅事業の増加などが寄与し同6.0%増加した。売上高の先行指標となる受注契約残高は、前期末比6.2%の増加となった。

     

  • 22/3期の会社計画は、前期比0.1%減収、同29.3%経常増益。売上面では、前期の土地販売がなくなる反動や中古マンションを中心に住宅流通セグメントにおいて厳しい環境が続くことが見込まれるものの、高水準の受注契約残高が引渡しとなる分譲住宅セグメントや土地有効活用セグメントなどの増加によりカバーする計画。利益面では前期の在庫評価の見直しの影響がなくなることや収益性の高い自由設計住宅や個人投資家向け一棟売賃貸アパートなどの引渡しの増加が寄与する。配当予想は、前期と同額の1株当たり年27円を予定(上期末14円、期末13円)。

     

  • 業績の先行指標である期末時点の受注契約残高が過去最高水準まで増加している。弾力的な売価設定を実施したことにより獲得した収益性の低い物件の引渡しが今後増加することや欧州・北米産の集成材の入手難と価格高騰などのリスクがあるものの、受注契約残高の水準を勘案すると保守的な会社計画と思われる。今期は中期計画の最終年度である。生産性の改善やコストコントロールの徹底などにより、中期業績目標にどれ位近くことができるのか注目される。

     

     

1.会社概要

地盤である大阪府を中心に、阪神間と和歌山市内で、戸建分譲・中古住宅等の住宅・不動産事業を展開。主力の戸建分譲は、分譲ながら間取りや設備仕様等、建築基準法の範囲内で最大限に顧客の要望を取り入れる「自由設計」と50~200戸規模で街並みの統一性を重視した開発を行う「街づくり」に特徴がある。また、中古住宅の改装販売、金融機関とタイアップした土地有効活用事業や個人投資家向け一棟売賃貸アパート販売事業、賃貸・管理事業も事業の柱である。
販売代理や戸建住宅から派生した各事業が独自のノウハウを持ち、他の事業部門を相互に補完する(相乗効果)、単なる住宅の分譲会社ではなく地域や時代の住宅に関するあらゆるニーズに対応できる機能を備えていることが「住まいのトータルクリエイター」である同社の特長だ。地域密着型経営の特長を活かし、顧客に顔を向けた「売りっ放し」、「建てっ放し」のない顧客満足度の高い住宅づくりを目指している。

 

(同社会社説明会資料より)

 

【1-1 事業内容】

分譲住宅事業(21/3期 売上構成比33.1%)
戸建とマンションの分譲を展開。特徴は50~200戸規模の新築戸建住宅の「街づくり」と、顧客自身が住まいづくりに参加する 「自由設計」。自由設計住宅では間取りや設備仕様に対する様々なニーズに対応。また、新築分譲マンション販売事業も分譲住宅セグメントに含まれている。マンション分譲は地価上昇とその後の供給過剰・需要低下に伴う事業リスクの高まりを予見し05年春に事業を停止したが、リーマン・ショック後の地価の下落と分譲マンション市場の需給改善を踏まえて12年2月に再開。駅近の利便性の高い立地等、物件を厳選した1次取得者向けの価格訴求力のある分譲マンション販売を特徴とする。

 

(同社HPより)
『西宮浜甲子園』(兵庫県西宮市)

 

住宅流通事業(同 27.0%)
中古住宅再生事業『快造くん』の販売を展開。中古住宅再生事業『快造くん』は、中古住宅の「仕入」から、「リフォーム」、「販売」に至る住宅販売の3つの要素を全て揃えた同社ならではの事業。地域密着型経営やリフォームのマニュアル化による独自のノウハウに強みを持つ。

 

(同社HPより)
自由に見て、自由に選べる住宅情報展示場『おうち館 本店』(大阪府岸和田市)

 

土地有効活用事業(同 20.1%)
賃貸住宅等の建築請負と個人投資家向け一棟売賃貸アパートを展開。建築請負では、賃貸管理のノウハウを生かした提案型の賃貸住宅の建築請負を実施。また、個人投資家向け一棟売賃貸アパートは、同社で土地を仕入れ、賃貸アパート等を建築し販売する。コスト競争力のある木造アパート「フジパレス」シリーズに08年11月サービス付き高齢者向け住宅「フジパレスシニア」が加わり、より独自性が強まった。個人投資家向け一棟売賃貸アパートでは、1棟当たり1億円前後の賃貸アパートが中心。資金運用手段として根強い需要がある。また、近年サービス付き高齢者向け住宅を積極的に開発している。

(同社HPより)
サービス付き高齢者向け住宅『フジパレスシニア』(大阪府堺市)

 

(同社HPより)
個人投資家向け一棟売賃貸アパート『フジパレス』シリーズ

 

賃貸及び管理事業(同 17.9%)
100%子会社フジ・アメニティサービス(株)が、賃貸アパートの建物管理や入居者募集、賃料回収等の管理業務及び分譲マンションの管理組合からの運営受託を展開。安定収益源となるばかりでなく、良質の賃貸・管理サービスは、賃貸住宅の建築請負や個人投資家向け一棟売賃貸アパートの他、分譲マンションの販売等との相乗効果も高い事業。

 

建設関連事業(同 2.0%)
2020年1月29日付で全株式を取得し同社の完全子会社となった雄健建設株式会社、関西電設工業株式会社及び日建設備工業株式会社の売上高。21/3期第1四半期より報告セグメントとなった。
土地有効活用事業の需要へのさらなる対応に向けて、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建築工事で、大阪府下を中心に官公庁から民間企業まで幅広い施工実績がある雄健建設グループをパートナーとして迎えたことにより、木造以外の住宅を提供できるようにして事業のラインナップの充実を図り、業績の安定拡大を目指している。

 

【1-2同社の強み】

住まいのトータルクリエイターとして幅広い事業に強みを有していること
土地の仕入れ・許認可の取得・設計・建築・販売の一貫体勢を備えた戸建住宅事業で築き上げたノウハウを基盤に、中古住宅販売、土地有効活用、個人投資家向け一棟売賃貸アパート販売、賃貸及び管理の幅広い事業を、相乗効果を図りながら展開。地域密着型経営の特長を活かしながら住まいに関する幅広い事業の相乗効果を発揮し、より高い顧客満足を実現する不動産・サービスの提供を実施。

 

(同社HPより)

 

ノウハウを活かした中古住宅再生事業が展開できること
創業当初の住宅の代理販売事業とリフォーム事業のノウハウの融合から生まれたのが、中古住宅再生事業『快造くん』。中古住宅の「仕入」から、「リフォーム」、「販売」に至る住宅販売の3つの要素を全て揃えた同社ならではの事業となっている。 地域密着型経営による情報収集はもちろん、リフォームのマニュアル化による“売れる中古住宅づくり”が強み。また、中古住宅の仕入にあたっては、相続登記が未了の場合でも、司法書士と連携して買取りを行う『フジホームバンク』を開設。相続登記にかかる費用も、売却代金から支払いできるなど顧客の利便性も高い。

 

(同社HPより)

 

収益力を高める土地活用の提案力を有すること
同社は、単なる土地活用の事業提案だけではなく、市場調査・企画・設計・建築・賃貸管理はもちろんのこと、総合不動産業(ディベロッパー)として、その力を最大限に発揮している。土地の購入や売却、アパート・マンションの建替え、法務・税務に関することなど、顧客からの様々な相談に専門的な見地から的確に対応している。賃貸住宅経営については、多くの土地情報の中から適した土地を厳選し、専任のマーケティングスタッフによる綿密な市場調査をもとに、長期安定経営が可能なプランニングを実施。また、中古収益物件についても、好立地で優良な物件のみを仕入れて商品化。更に、オーナーの「安心・安全・安定」した賃貸経営を万全にサポートする一括借上システムも提案している。

 

(同社HPより)

 

ポートフォリオ効果
不動産業界は景気や金利の変動といった外部要因に大きな影響を受ける。そこで、フジ住宅では多様な商品・サービスを提供することにより、収益の安定化を図れる事業ポートフォリオを目指してきた。
過去5年の売上構成比を比較してみると、以前は分譲住宅が4割超を占めていたが、現在では分譲住宅、住宅流通、土地有効活用及び賃貸管理と3つの事業がほぼ3割超となり、バランスのとれた事業ポートフォリオを実現している。

 

2.中期利益計画(20/3期~22/3期)

同社は、今後3年間の中期業績目標を策定した。地価高騰、建築費高騰、職人不足、消費税増税、販売価格高止まりなど様々な外部環境の変化に対応するべく、「分譲マンションの供給戸数増加」、「より利益率の高いエリアに注力」 、「ストック収入の増加」を積極的に行い、中期利益計画の最終年度である22/3月期に過去最高益の更新を目指す。22/3期の数値目標は、売上高1,250億円、経常利益68億円。

 

中期業績目標

 

19/3期実績

20/3期実績

21/3期実績

22/3期会社計画

22/3期中期計画

売上高

115,710

110,444

121,541

121,400

125,000

営業利益

6,636

5,002

3,986

5,000

7,300

経常利益

6,445

4,611

3,558

4,600

6,800

当期純利益

4,298

3,088

2,358

3,100

4,600

ROE(自己資本当期純利益率)

11.9%

8.0%

5.8%

10%以上

*単位:百万円

 

中期利益計画の前提
20/3期 実績
当初の中期利益計画では、以下の見通しを持っていた。分譲マンション供給の端境期と消費税増税による影響で調整の一年。分譲マンション供給の端境期となり、また、職人不足の解消に時間がかかることにより、分譲住宅セグメントの業績は前期よりも減少。こうした中、大阪市内の営業拠点の移設に伴う投資が先行。また、土地を保有していない個人投資家向けに、サービス付き高齢者向け住宅の建築条件付き土地販売を増加。賃貸及び管理事業は、個人投資家向け一棟売賃貸アパート及びサービス付き高齢者向け住宅の取扱戸数の増加により堅調に推移する見込み。
売上高は期初予想を上回る業績となったものの、翌期に販売開始を予定している大型現場の土地造成工事が進んだことによる土地等にかかる控除対象外消費税が増加したこと及び当連結会計年度末時点の現預金積み上げのために資金調達費用が増加したことにより、営業利益及び経常利益は予想を下回る結果となった。

 

21/3期 実績
当初の中期利益計画では、以下の見通しを持っていた。分譲マンションの引渡しが増加し全体で19/3期を超える水準まで業績回復する計画。堺市及び和泉市の分譲マンション2棟の引渡しを予定しており、分譲住宅セグメントの売上高が19/3期の水準まで回復。また、北摂、阪神間の大型戸建プロジェクトが相次いで販売開始となる。住宅流通セグメントでは、大阪市内・北摂・阪神間といったエリアでの利益率の高い商品の仕入を強化。その他、19/3月期に受注したサービス付き高齢者向け住宅の引渡しが、21/3月期以降に集中する。賃貸及び管理セグメントは、引き続き着実に伸長し売上高200億円に到達する見込み。
しかし、中古住宅に加え分譲住宅事業において、土地販売、建売住宅販売の促進と、新規発売の大型分譲現場も対象とした価格引き下げ等の弾力的な売価設定により、資金の回収と在庫の回転を早めることで、新型コロナウイルス感染症拡大に備えた手許資金の充実、在庫リスクの低減に努めたことから、21/3期の会社計画は中期業績目標を下回る結果となった。

 

22/3期 計画
当初の中期利益計画では、以下の見通しを持っていた。一棟売賃貸アパート・分譲マンションとも大きく伸び売上高及び利益が過去最高額を更新する予定。大阪市、堺市、摂津市の分譲マンション3棟の引渡しを予定しており、分譲住宅セグメントの売上高は過去最高額を更新する計画。また、北摂、阪神間の大型戸建プロジェクトが引渡時期を迎える。一棟売賃貸アパートの引渡件数が大きく伸びる他、賃貸及び管理セグメントでは、自社保有のサービス付き高齢者向け住宅が50棟を超える見込み。
戸建住宅、分譲マンション、一棟売賃貸アパートの引渡し増加やストック収益である賃貸及び管理セグメントの積み上がりなど当初の見込みに沿った事業運営となっているものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響などにより、期初の会社計画は売上高、各段階利益ともに中期業績目標を下回る発表となった。

 

 

事業セグメント別の中期業績目標

売上高

19/3期 実績

20/3期 実績

21/3期 実績

22/3期 中計

 分譲住宅

40,919

28,926

40,241

44,300

 住宅流通

33,094

38,176

32,789

31,000

 土地有効活用

23,847

23,298

24,401

25,700

 賃貸及び管理

17,849

20,042

21,728

24,000

建設関連

2,379

セグメント利益

19/3期 実績

20/3期 実績

21/3期 実績

22/3期 中計

 分譲住宅

3,726

1,313

395

2,720

 住宅流通

507

713

505

1,140

 土地有効活用

2,381

2,171

2,085

2,690

 賃貸及び管理

1,747

2,430

2,584

2,610

建設関連

22

*単位:百万円
*セグメント利益は全社費用控除前の数値
*2019年5月8日発表の連結中期利益計画より

 

分譲住宅事業のトピック
【今後販売予定の主な分譲マンションプロジェクト】

(同社会社説明会資料より)

 

分譲住宅事業では、21/3期に堺市及び和泉市の分譲マンションの引渡しを行い、22/3期には大阪市、堺市、摂津市などの分譲マンションの引渡しを予定している。

 

住宅流通事業のトピック
【中古住宅販売分布エリア】

(同社中期利益計画についてより)

 

住宅流通事業では、今後利益率改善のため、大阪市・阪神間・北摂のエリアでの仕入を強化していく方針。

 

土地有効活用事業のトピック
【サービス付き高齢者向け住宅供給累計棟数の推移】  

土地有効活用事業では、19/3期に受注したサービス付き高齢者向け住宅の引渡しが、21/3期以降に集中する見込み。

 

賃貸及び管理事業のトピック
【ストック収入の推移】

ストック収入は安定的に増加し。15/3期に売上高が100億円に達した後、わずか5年後の 20/3期には売上高が200億円に到達した。

3.2021年3月期決算

(1)連結業績

 

20/3期

構成比

21/3期

構成比

前期比

会社予想

予想比

売上高

110,444

100.0%

121,541

100.0%

+10.0%

119,000

+2.1%

売上総利益

16,597

15.0%

15,853

13.0%

-4.5%

販管費

11,595

10.5%

11,866

9.8%

+2.3%

営業利益

5,002

4.5%

3,986

3.3%

-20.3%

2,500

+59.5%

経常利益

4,611

4.2%

3,558

2.9%

-22.9%

2,000

+77.9%

親会社株主に帰属

する当期純利益

3,088

2.8%

2,358

1.9%

-23.6%

1,300

+81.4%

*数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。
*単位:百万円
*会社予想は、第1四半期決算時公表予想より

 

前期比10.0%の増収、同22.9%の経常減益
21/3期の売上高は、前期比10.0%増の1,215億41百万円となった。売上高は、中古住宅が一戸建て、マンションともに前期を下回ったものの、堺市北区金岡町の分譲マンションの引渡しに加え、兵庫県下の大型分譲住宅用地の一部を素地販売したこともあり、分譲住宅セグメントが全体を牽引した。また、賃貸及び管理セグメントにおいて土地有効活用事業にリンクする賃貸管理物件数が順調に伸びていることや、前期に連結子会社化した雄健建設グループ3社の売上高が計上されたことも売上高の増加に寄与した。販売状況を示す受注契約高は、同6.0%増加した。中古住宅が減少した住宅流通事業で減少したものの、自由設計住宅や土地販売が増加した分譲住宅事業の増加が寄与した。売上高の先行指標となる受注契約残高は、前期末比6.2%の増加となり、期末における受注契約残高としては過去最高額となった。

 

経常利益は、前期比22.9%減の35億58百万円。セグメント利益は、弾力的な売価設定に伴う在庫評価の見直しにより分譲住宅セグメントで減益となったことに加え、価格引き下げ等の弾力的な売価設定や仕入環境の悪化の影響で販売戸数が減少した住宅流通事業などで減少した。一方、売上高が好調に拡大した賃貸及び管理セグメントでは利益が着実に増加した。
売上総利益率が前期比で2ポイント低下したものの、販管費の伸び率を売上高の伸び率以下に抑え売上高対販管費比率を同0.7ポイント低下させたことにより、売上高営業利益率は3.3%と1.2ポイント低下にとどまった。これにより、営業利益は前期比20.3%減益の39億86百万円となった。また、営業外収益で補助金収入が前期に比べ減少したことや営業外費用で支払利息が同増加したことなどにより経常利益の減益率は営業利益の減益率よりも拡大した。その他、特別損益は特別利益で固定資産売却益を1億27百万円計上したことと、特別損失で固定資産売却損を82百万円と投資有価証券評価損31百万円計上したことが主なもの。

 

(2)セグメント業績

セグメント別売上高・利益

売上高

構成比

前期比

セグメント利益

構成比

前期比

分譲住宅

40,241

33.1%

+39.1%

395

7.1%

-69.9%

住宅流通

32,789

27.0%

-14.1%

505

9.0%

-29.2%

土地有効活用

24,401

20.1%

+4.7%

2,085

37.3%

-4.0%

賃貸及び管理

21,728

17.9%

+8.4%

2,584

46.2%

+6.3%

建設関連

2,379

2.0%

22

0.4%

調整額

-1,607

合計

121,541

100.00%

+10.0%

3,986

-20.3%

*単位:百万円
※建設関連セグメントは、2020年1月29日付で全株式を取得し同社の完全子会社となった雄健建設株式会社、関西電設工業株式会社及び日建設備工業株式会社の売上高及びセグメント利益。今第1四半期より報告セグメントとなった。

 

分譲住宅セグメントの売上高は前期比39.1%増の402億41百万円、セグメント利益は同69.9%減の3億95百万円。
売上高は自由設計住宅の引渡しが前期の736戸から714戸へ減少したものの、分譲マンションの引渡しが前期の14戸から138戸へ増加したことに加え、兵庫県下の大型分譲住宅用地の一部を素地販売したことが大きく寄与した。セグメント利益は素地販売など増益要因があったものの、弾力的な売価設定に伴う在庫評価の見直しにより大幅な減益となった。
受注契約高は、自由設計住宅が761戸(前期は719戸)、分譲マンションが131戸(同143戸)、土地販売が73億10百万円(同15億31百万円)となり、437億17百万円と前期比24.7%の増加となった。

 

住宅流通セグメントの売上高は前期比14.1%減の327億89百万円、セグメント利益は同29.2%減の5億5百万円。
中古住宅(戸建)の引渡戸数は前期の279戸から215戸へ減少し、中古住宅(マンション)の引渡戸数も前期の1,428戸から1,244戸へ減少した。前期より在庫回転率の引き上げを目的に在庫数量の適性化を進めていることに加え、今期は中古住宅の仕入環境悪化に伴い、在庫数量の減少が販売数量にも影響を及ぼし減収、減益となった
中古住宅(戸建)の受注契約戸数は199戸(前期は275戸)、中古住宅(マンション)の受注契約戸数は1,193戸(同1,445戸)と減少、住宅流通セグメントの受注契約高は、308億34百万円と前期比19.9%減少した。

 

土地有効活用セグメントの売上高は前期比4.7%増の244億1百万円、セグメント利益は同4.0%減の20億85百万円。
コロナ禍の状況下においても、富裕層の相続税対策ニーズ、投資用不動産取得ニーズは旺盛であり、個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡し件数の増加と賃貸住宅等建築請負の増加が、売上の増加に寄与した。一方、セグメント利益は若干の減益となった。受注契約高は前期比17.2%増の245億39百万円となった。受注契約高は、賃貸住宅等建築請負とサービス付き高齢者向け賃貸住宅で減少したものの個人投資家向け一棟売賃貸アパートで同36.9%増加したことが寄与した。

 

上記の他、賃貸及び管理セグメントの売上高は前期比8.4%増の217億28百万円、セグメント利益は同6.3%増の25億84百万円。土地有効活用事業にリンクした賃貸物件の引渡しに伴い管理物件の取扱い件数が増加したことに加えて、自社で保有するサービス付き高齢者向け賃貸住宅の棟数が増加したことが増収増益に寄与した。
また、子会社の新規連結により新たに報告セグメントとなった建設関連セグメントは23億79百万円の売上高と22百万円のセグメント利益となった。

 

セグメント別売上高

 

 

20/3期 

21/3期 

数量

金額

数量

金額

構成比

前期比

自由設計住宅等

736戸

27,666

714戸

28,734

23.6%

+3.9%

分譲マンション

14戸

519

138戸

4,816

4.0%

+827.5%

土地販売

6,142㎡

740

50,967㎡

6,690

5.5%

+803.4%

分譲住宅

28,926

40,241

33.1%

+39.1%

中古住宅(戸建)

279戸

6,917

215戸

5,554

4.6%

-19.7%

中古住宅(マンション)

1,428戸

31,255

1,244戸

27,233

22.4%

-12.9%

その他

3

1

0.0%

-45.0%

住宅流通

1,707戸

38,176

1,459戸

32,789

27.0%

-14.1%

賃貸住宅等建築請負

29件

3,250

35件

3,460

2.8%

+6.5%

サービス付き高齢者向け賃貸住宅

19件

5,581

26件

5,369

4.4%

-3.8%

個人投資家向け一棟売賃貸アパート

110棟

14,466

113棟

15,571

12.8%

+7.6%

土地有効活用

23,298

24,401

20.1%

+4.7%

賃貸料収入

15,080

16,058

13.2%

+6.5%

サービス付き高齢者向け賃貸住宅事業収入

4,017

4,796

3.9%

+19.4%

管理手数料収入

944

874

0.7%

-7.4%

賃貸及び管理

20,042

21,728

17.9%

+8.4%

建設関連

156件

2,379

2.0%

合計

110,444

121,541

100.0%

+10.0%

*単位:百万円
*建設関連セグメントは、2020年1月29日付で全株式を取得し同社の完全子会社となった雄健建設株式会社、関西電設工業株式会社及び日建設備工業株式会社の売上高。今第1四半期より報告セグメントとなった。
*土地販売は、兵庫県加古川市の大型分譲住宅用地の一部を素地販売したもの。

 

セグメント別受注契約高

 

20/3期 

21/3期

数量

金額

数量

金額

前年同期比

自由設計住宅等

719戸

28,578

761戸

31,197

+9.2%

分譲マンション

143戸

4,954

131戸

5,209

+5.2%

土地販売

11,055㎡

1,531

57,035㎡

7,310

+377.4%

分譲住宅

35,063

43,717

+24.7%

中古住宅(戸建)

275戸

7,006

199戸

4,935

-29.6%

中古住宅(マンション)

1,445戸

31,494

1,193戸

25,896

-17.8%

その他

3

1

-45.0%

住宅流通

1,720戸

38,504

1,392戸

30,834

-19.9%

賃貸住宅等建築請負

31件

3,168

20件

2,148

-32.2%

サービス付き高齢者向け賃貸住宅

9件

2,805

7件

1,906

-32.1%

個人投資家向け一棟売賃貸アパート

109棟

14,964

147棟

20,485

+36.9%

土地有効活用

20,938

24,539

+17.2%

建設関連

142件

1,109

合計

94,507

100,200

+6.0%

*単位:百万円
※建設関連セグメントは、2020年1月29日付で全株式を取得し同社の完全子会社となった雄健建設株式会社、関西電設工業株式会社及び日建設備工業株式会社の受注契約高。今第1四半期より報告セグメントとなった。
*土地販売は、兵庫県加古川市の大型分譲住宅用地の一部を素地販売したもの。

 

(3)四半期業績の推移

第4四半期(1-3月期)の連結売上高と経常利益の推移

第4四半期(1-3月期)は、過去の第4四半期と比較しても高水準の売上高となったものの、分譲住宅セグメントにおける在庫評価の見直しなどが影響し、四半期ベースで経常赤字となった。

 

四半期毎の連結売上高実績と計画の推移

(同社決算短信補足資料より)

 

第4四半期(1-3月)の連結売上高は 333億31百万円となった。分譲住宅セグメントにおいて、JR阪和線和泉府中駅前の分譲マンションの引渡しがあったことに加え、兵庫県加古川市の大型分譲住宅用地の一部を素地販売したことが全体を牽引した。

 

四半期毎の受注契約高実績と計画の推移

(同社決算短信補足資料より)

 

第4四半期(1-3月)の受注契約高は 269億35百万円となった。自由設計住宅等の受注の好調に加え、兵庫県加古川市の大型分譲住宅用地の一部を素地販売したことが寄与した。

 

受注契約残高の推移

(同社決算短信補足資料より)

 

2021/3期末の受注契約残高は前期末比6.2%増の548億98百万円となり、期末における受注契約残高としては過去最高額となった。期初からの弾力的な売価設定の効果もあり、分譲住宅セグメントにおける自由設計住宅等の受注が伸びたことに加えて、現在販売中の5棟の分譲マンション(前期は2棟)の受注が堅調に推移したこと、更には、土地有効活用セグメントにおける一棟売賃貸アパートの受注が好調であったことが寄与した。

 

(4)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

 

20年3月

21年3月

 

20年3月

21年3月

 現預金

14,757

20,325

 仕入債務

4,199

3,956

 たな卸資産

102,064

79,117

 短期有利子負債

33,792

28,225

流動資産

119,763

101,788

 未払法人税等

1,278

1,206

 有形固定資産

38,717

40,866

 前受金

4,837

4,616

 無形固定資産

716

667

 長期有利子負債

72,024

60,161

 投資その他

3,237

4,271

負債

122,507

106,101

固定資産

42,671

45,805

純資産

39,927

41,492

資産合計

162,435

147,594

有利子負債合計

105,816

88,386

*単位:百万円
*たな卸資産=販売用不動産+仕掛販売用不動産+開発用不動産+未成工事支出金+貯蔵品
*有利子負債=借入金+社債+リース債務

 

2021年3月末の総資産は1,475億94百万円と前期末比148億41百万円減少した。資産サイドは、主に販売用不動産と開発用不動産を中心とするたな卸資産が減少し現預金が増加した。負債・純資産サイドは、主に短期や長期の有利子負債が減少し利益剰余金が増加した。たな卸資産の主な内訳と金額は、販売用不動産156.5億円(前期末248.2億円)、仕掛販売用不動産292.2億円(同152.5億円)、開発用不動産340.2億円(同617.0億円)。有利子負債は174億30百万円の減少。自己資本比率は28.1%と前期末から3.5ポイントの上昇。

 

キャッシュ・フロー

 

20/3期

21/3期

前期比

営業キャッシュ・フロー(A)

-1,650

28,231

29,881

投資キャッシュ・フロー(B)

-6,021

-5,129

891

フリー・キャッシュ・フロー(A+B)

-7,671

23,101

30,773

財務キャッシュ・フロー

10,187

-17,503

-27,690

現金及び現金同等物期末残高

14,557

20,156

5,598

+38.5%

*単位:百万円

 

CFの面では、たな卸資産が減少したことなどにより営業CFが大幅なプラスへ転じた。また、有形固定資産の取得による支出が減少し投資CFのマイナス幅が縮小したことからフリーCFも大幅なプラスへ転じた。一方、短期借入金と長期借入金が減少したことなどにより財務CFもマイナスへ転じた。以上の結果により、現金及び現金同等物期末残高は前期比38.5%増加した。

 

 

4.2022年3月期業績予想

(1)連結業績

 

21/3期 実績

構成比

22/3期 予想

構成比

前期比

売上高

121,541

100.0%

121,400

100.0%

-0.1%

営業利益

3,986

3.3%

5,000

4.1%

+25.4%

経常利益

3,558

2.9%

4,600

3.8%

+29.3%

親会社株主に帰属

する当期純利益

2,358

1.9%

3,100

2.6%

+31.4%

*単位:百万円

 

前期比0.1%の減収、同29.3%の経常増益予想
22/3期の会社計画は、売上高が前期比0.1%減の1,214億円、経常利益が同29.3%増の46億円。
同社が属する不動産業界は、テレワークの普及などにより、住環境の見直しが進んだことや、低金利の後押しにより、昨年夏場より好調な販売が続いている。一方で、先行きの不透明感から住宅取得者の購買意欲の減衰や欧州・北米産の集成材の入手難、価格高騰などの懸念材料も出てきている。
こうした環境下、売上面では、前期に発生した兵庫県加古川市の大型分譲住宅用地の一部を素地販売した売上高がなくなる反動や中古マンションを中心に仕入環境悪化に伴う在庫数量の減少が販売の制約に繋がるリスクを抱えている。しかし、前期の好調な受注契約高を反映して期末時点で過去最高水準まで積み上がった分譲住宅セグメントや土地有効活用セグメントなどの受注契約残高の消化が、売上高の減少をカバーする見込みである。
また、利益面においてもでも前期に発生した素地販売の利益がなくなるものの、前期に計上した在庫評価の見直しの影響がなくなることや収益性の高い自由設計住宅や分譲マンションや個人投資家向け一棟売賃貸アパートなどの引渡しの増加が利益の増加に寄与する見込みである。更に、ストック収益である賃貸及び管理セグメントにおける賃貸物件の安定的な増加もの利益の増加を後押しする。これらにより、売上高営業利益率は、前期の3.3%から4.1%へ0.8ポイント上昇する計画となっている。
配当予想については、前期と同額の1株当たり年27円の予定(上期末14円、期末13円)である。

 

また、同社は、社員の家族のため、顧客・取引先のため、株主のため、地域社会のため、ひいては国家のために当社を経営する」という経営理念のもと、創業以来、事業活動を通じて地域社会への貢献を着実に実践している。現在、世界的に大きな影響を及ぼしている新型コロナウイルス感染症の拡大や国連で採択された「SDGs」(持続可能な開発目標)など、社会課題に対する企業が果たす役割の重要性が増している。ESG(環境・社会・企業統治)及びSDGsと地域密着型経営である同社の事業活動との関連を意識し、社会貢献に取り組むことにより、社会とともに持続的に成長し、信頼される企業グループを目指

 

 

(2)最近のトピックス

【新マンションブランド「ブランニード」の誕生】
同社は、新規マンションブランドとなる都市型邸宅マンション「ブランニード」を立ち上げ、10月より3つのマンションプロジェクトの販売を開始した。「ブランニード」は駅から徒歩5分圏内の好立地が中心となる。都市生活の本質的な価値を見据え、住まわれる方々の暮らしを豊かに彩り、時代を超えて必要とされ続ける邸宅を創造することをコンセプトとしている。
既存のマンションブランドであるシャルマンフジとともに今後の販売拡大が期待される。

 

(同社決算短信補足資料より)

 

【「テレワーク推進賞 優秀賞」を受賞】
同社は、一般社団法人日本テレワーク協会主催(後援:総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、東京商工会議所、公益財団法人日本生産性本部、日本テレワーク学会、フジサンケイ ビジネスアイ)の「第21回テレワーク推進賞」において、優秀賞を受賞した。「テレワーク推進賞」は、一般社団法人日本テレワーク協会が「ICT(情報通信技術)を活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」であるテレワークの一層の普及促進を目的とした取組みの一環として、2000 年度より実施しているもの。今年度は、『コロナを乗り越えて!スマート社会に向けたテレワーク‼』をテーマに審査が行われた。同社は、2018 年に「テレワーク先駆者百選 総務大臣賞」に選定され、今回、コロナ禍において多数の企業がテレワークを実施する中での「テレワーク推進賞 優秀賞」の受賞となった。

 

【スポーツ庁による「スポーツエールカンパニー2021」に認定】
スポーツ庁では、運動不足である「働き盛り世代」のスポーツの実施を促進し、スポーツに対する社会的気運の醸成を図ることを目的として、社員の健康増進のためにスポーツの実施に向けた積極的な取り組みを実施している企業を「スポーツエールカンパニー」として認定する制度を実施しており、同社は2年連続で認定された。同社は、経済産業省と東京証券取引所が共同して選定を行う「健康経営銘柄」においても不動産業種では最多の選定回数となる3回選定されている。すべての社員が健康への意識を高め、心身の健康を維持できるよう枠にとらわれず柔軟性を活かし様々な取り組みを展開しており、普段からの健康的な生活習慣の定着に向け、運動に親しむきっかけ作りを推進している。

 

【大阪府看護協会への寄付】
同社は株式会社南都銀行が引き受け先となる寄付型私募債「<ナント>SDGs私募債」の発行により資金調達を行い、これに伴い公益社団法人大阪府看護協会へ寄付を行なった。
新型コロナウイルス感染症の治療に取り組む医療従事者や医療体制の継続に尽力いただいている関係者の方々に感謝の気持ちを込めて、私募債発行手数料の一部を寄付金として寄贈するものである(私募債の発行額:5億円、寄付総額 1百万円)。
「社員のため、社員の家族のため、顧客・取引先のため、株主のため、地域社会のため、ひいては国家のために当社を経営する」という経営理念のもと、本社所在地である大阪府に対し地域貢献を行う。

 

【2021年オリコン顧客満足度(R)調査において 「建売住宅 ビルダー 近畿 第1位」 「建売住宅 ビルダー 近畿 大阪部門 第1位」をダブル受賞】
同社は、オリコンによる2021年 顧客満足度(R)調査 建売住宅 ビルダー部門において、近畿地区および大阪部門でともに第1位となるダブル受賞をはたした。
オリコンの顧客満足度(R)調査は実際にサービスを利用したユーザーを対象とし、アンケート調査を行うもので(*1)、全部で10項目ある評価(立地、周辺環境、デザイン、住宅設備、長期保証、情報提供、引渡し時の住宅確認、住宅構造・設計、金額の納得感、アフターフォロー)のすべてで第1位を獲得した。同社の第1位受賞は初となるが、「売りっぱなし、建てっぱなしにはしない」という方針で事業展開をしており、今後もお客様の信頼を裏切ることのない、安心と信頼の住まいづくりを提供していくとしている。
*1 株式会社oricon ME Webサイトより

 

 

5.今後の注目点

同社の営業利益において、ストック収益である賃貸及び管理セグメントの利益の占める割合が過去2年間最も多くなっている。賃貸及び管理セグメントの売上高は、15/3期に100億円に達した後、わずか5年後の 20/3期に200億円へ到達するなど規模が急拡大している。ストック収益の高さは武器であり積極的な投資を行うための安全弁になるとともに、業界環境の変化が激しい不動産業界の中で不況抵抗力が強い会社との評価を得られる礎となろう。その一方で、今後賃貸及び管理セグメントの売上高を今以上のペースで成長させるためには、分譲マンションの引渡し増加や土地有効活用事業にリンクした賃貸物件の引渡し増加や自社で保有するサービス付き高齢者向け賃貸住宅の棟数の増加が必要と思われる。賃貸及び管理セグメントの成長性を高めるための、今後の戦略が注目される。
また、業績の先行指標である期末時点の受注契約残高が過去最高水準となっており、今期の売上拡大が期待される。弾力的な売価設定を実施したことにより獲得した収益性の低い物件の引渡しが今後増加することや欧州・北米産の集成材の入手難と価格高騰などの影響は避けられないものの、受注契約残高の水準を勘案すると保守的な予想との印象を持たざるを得ない。今期は中期計画の最終年度となる。生産性の改善やコストコントロールの徹底などの取組強化により、中期業績目標の利益水準にどこまで近づけることができるのか注目される。更に、コロナ禍で圧縮したたな卸資産であるが、今後は次の中期計画の3年間で収益化するための自由設計住宅や分譲マンションプロジェクトの用地取得が本格化するものと予想される。競争力の高い用地を仕入れることができるのかについても注目していきたい。

<参考:コーポレートガバナンスについて>

 

◎組織形態及び取締役、監査役の構成>

組織形態

監査役設置会社

取締役

7名、うち社外2名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2021年6月28日
<実施しない主な原則とその理由>

原則

実施しない理由

【補充原則1-2-4.議決権の電子行使と招集通知の英訳化】

議決権電子行使プラットフォームについては利用可能としております。

招集通知の英訳については、当社では、海外投資家の比率が低く、現時点では不要と考えておりますが、今後、議決権の総数における海外投資家の議決権保有割合が20%以上に上昇した際には、招集通知の英訳を検討して参ります。

なお、IRにおいては、一部英文でのレポートの作成やホームページにて最低限の英訳ページを作成しております。

【補充原則4-10-1.任意の仕組みの活用】

当社は、監査役会設置会社であり、独立社外取締役の員数は取締役会の過半数に達しておりませんが、社外取締役2名及び社外監査役2名を選任しており、公認会計士、税理士又は弁護士としての豊富な経験と深い見識を基に、取締役の指名・報酬に関しても適切な関与・助言をいただけているものと考えております。

したがって、現時点で任意の諮問委員会は不要であると考えておりますが、必要に応じて設置を検討して参ります。

 

<開示している主な原則>

原則

開示内容

【原則1-4.政策保有株式】

当社においては、全ての事業において不動産の取得資金等の借入や不動産の仕入れに関する情報の取得、さらには土地有効活用事業における顧客紹介等、総合的な取引を金融機関と行っており、事業拡大、持続的発展のためには、金融機関との協力関係が不可欠となります。

企業価値を向上させるという中長期的な目標のため、当社の経営理念・経営姿勢をご理解いただき、総合的な取引を行うことを前提とした金融機関の投資株式については経済的合理性を検証の上、保有していく方針としております。なお、個別銘柄ごとに株式数50万株かつ当社株主資本の2%以内を保有の上限とし、継続的に保有先金融機関との取引状況並びに保有先金融機関の財政状態及び経営成績の状況についてモニタリングを実施するとともに、年1回、取締役会にて株価の推移、配当額、取引状況等をもとに保有の合理性を検証しております。政策保有株式に係る議決権の行使につきましては、議案が当社及び投資先企業の企業価値向上に繋がるか、当社の保有目的と適合しているかを基準とし、個別議案を精査したうえで賛否の判断を行います。

【補充原則4-11-3.取締役会全体の実効性についての分析・評価の結果の概要】

毎年、取締役会の実効性評価を匿名のアンケート形式で実施し、その結果を取締役会に報告しております。なお、取締役会の実効性についての分析・評価の結果は以下のとおりです。

・取締役会の開催頻度、各役員の出席状況は適切であり、資料の内容及び分量、各議案に対しての審議も適切に行える運営となっている。

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】

株主との対話はIR室が担当しており、IR担当役員が統括を行っております。

IR室は、日々、経営企画部、総務部、人事法務部、財務部、内部監査室と連携をとっており、必要な情報がIR室に報告される体制となっております。

IR室は、大阪、東京、名古屋、福岡にて個人投資家向け会社説明会、アナリスト・機関投資家向け会社説明会を実施し、その他、決算説明会、当社ホームページによる情報開示、株主通信を個人投資家の方にも分かりやすい内容にするなどにより、当社の経営理念や経営方針に関する理解を深めていただけるよう活動しております。

対話において把握された株主の意見・懸念については、取締役や取締役会にフィードバックしております。

 

<その他>
コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方において、「人財の成長に合わせて事業を拡大するという考えのもと、過去からの営業地域のさらなる深耕を図るとともに、府下最大のマーケットである大阪市内をはじめ大阪府北部地域及び兵庫県南部地域への積極的な地域拡大を図り、収益力の向上及び財務体質の強化を推進することにより、お客様、お取引先様、株主様から常に信頼され、事業を通じて社会のお役に立てる企業となることを目指しております。」と述べている。

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