(2196)株式会社エスクリ コロナ禍での商品拡充に注目
渋谷 守浩 社長CEO |
株式会社エスクリ(2196) |
|
企業情報
市場 |
東証1部 |
業種 |
サービス業 |
代表取締役社長CEO |
渋谷 守浩 |
所在地 |
東京都港区西新橋2-14-1 興和西新橋ビルB棟 |
決算月 |
3月 |
HP |
株式情報
株価 |
発行済株式数 |
時価総額 |
ROE(実) |
売買単位 |
|
398円 |
13,786,500株 |
5,487百万円 |
6.2% |
100株 |
|
DPS(予) |
配当利回り(予) |
EPS(予) |
PER(予) |
BPS(実) |
PBR(実) |
0.00 |
– |
未定 |
– |
638.52円 |
0.6倍 |
*株価は2/22終値。発行済株式数は21年3月期第3四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。新型コロナウイルス感染拡大の影響により今期予想は未定。
業績推移
決算期 |
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
当期純利益 |
EPS |
DPS |
2017年3月(実) |
29,477 |
1,343 |
1,224 |
713 |
59.89 |
12.00 |
2018年3月(実) |
31,700 |
1,950 |
1,830 |
665 |
55.72 |
12.00 |
2019年3月(実) |
33,302 |
2,191 |
2,123 |
1,078 |
90.01 |
12.00 |
2020年3月(実) |
31,430 |
1,546 |
1,499 |
455 |
38.79 |
16.00 |
2021年3月(予) |
– |
– |
– |
– |
– |
0.00 |
*単位:百万円、円。新型コロナウイルス感染拡大の影響により今期予想は未定。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。(以下、同様)
株式会社エスクリの2021年3月期第3四半期決算概要などをご紹介致します。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.2021年3月期第3四半期決算概要
3.2021年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 2021年3月期第3四半期の売上高は前年同期比67.9%減の79億50百万円。営業損失、経常損失、四半期純損失はそれぞれ48億58百万円、49億85百万円、40億74百万円となった。最初の緊急事態宣言の解除以降、新規受注、施行件数等は徐々に回復傾向にあるものの、予定されていた挙式・披露宴の多くが日程変更となる構図は引き続き変わらず、売上高が大幅に減少。
- 新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響により2021年3月期は赤字となる見込みだが、新型コロナウイルスの感染者数が再び増加傾向となり、2021年1月には緊急事態宣言が再発出された。また、その影響によって今期中に実施予定であったウェディングの施行日程変更も生じている状況であり、業績予想の合理的な算定が困難なため、引き続き未定としている。なお、配当については無配。業績予想の算定が可能となった段階で速やかに公表する。
- 医療従事者への新型コロナウイルスのワクチン接種が国内でもようやく開始された。ただ、現実問題として、実際に大多数の国民がワクチンを接種するにはしばらく時間を要する。その間も同社を巡る事業環境の厳しさは継続することになり、目先の対応としては経営効率化など、コスト削減を一段と進めていく他ない。実際、連結子会社のエスクリマネジメントパートナーズを吸収合併(2021年4月1日予定)することを既に決定して、こうした方向に向けて動き出しており、そうした一連の成果を注視したい。また、前回指摘した通り、同社に限った話ではないとはいえ、一旦延期していた顧客が結局キャンセルしてしまうという動きが実際に散見されている。コロナ禍に対応した商品拡充自体は進んでおり、キャンセルからの需要シフトを如何に実現していくか、手腕が試されよう。
1.会社概要
専門式場、ゲストハウス等多様な業態で全国に展開するウェディングサービス企業。駅ビル・駅近の出店に特徴を持つ。ソフトを重視した独自の事業戦略、同業他社を凌駕する売上・利益の成長が大きな強み・特長。アニメやゲームなどのキャラクターとのコラボ企画による集客にも注力。渋谷社長のリーダーシップの下、事業基盤の強化を進め更なる成長を追求している。
【1-1沿革】
(株)リクルート(現:(株)リクルートホールディングス)でブライダル関連情報誌「ゼクシィ」 創刊の中核メンバーであった岩本博氏(株式会社エスクリ 取締役会長ファウンダー)はブライダル産業に日々接している中で、他社にはないある差別化を図れば大きな成長を実現することができると考え、自らブライダル事業の立上げを決意。2003年6月に同社を設立。
その差別化要因とは「ハードではなくソフト」つまり、人財の力をコアバリューとし、多様なスタッフが能力や専門性を最大限発揮し、高収益のビジネスモデルを構築することであった。
当時はハウスウェディングなど、豪華な施設を売りとするウェディングが主流だったのに対して、ゲストにとっては利便性がより重要と考え、駅近のビル内にチャペルとバンケットを開設。煌びやかなハウスウェディングではなくても、ハードに頼らずソフトの力で、顧客は十分満足していただけると考えた。
この差別化戦略は見事に的中し、「ビルインのモデルといえばエスクリ」との評価も得て、急速に業容は拡大。他社の参入も始まる中、首都圏中心に好立地への出店を加速させるためには資金調達が必要と考え、2010年3月、東証マザーズに上場し、2012年11月には東証1部に市場変更した。
しかし、急激な出店とM&A(1年間で13会場増加)により、人的リソースが不足、既存店を含め営業戦力が希薄化したことで、2016年2月に上場以来初の業績下方修正(売上12%減、営業利益66%減)を発表。加えて、本来は立て直しに注力すべき経営幹部が部下を連れて辞任したことなどで社内は大いに動揺した。
この創業以来の危機に際し、トップとして立て直しに取り組んだのが代表取締役社長CEOである渋谷 守浩(しぶたに もりひろ)氏である。渋谷氏の強力なリーダーシップの下、自社の優位性を磨き上げ、収益向上に努めている。
【1-2 企業理念・ビジョン】
社名「エスクリ」は、は「STAFF CREATE」に由来する。
「時代が変わっても、「人の力」は変わらない。信頼できるスタッフ、信頼できるチームで、顧客の期待を超えていく。」
「人の力をコアバリューとし、多様なスタッフが能力や専門性を最大限に発揮し、お互いに活かし合える企業体をめざしています。能力の高いスタッフが最高のサービスでお客さまに満足させる。「人財の力」で成功を収めていく、人が主役のビジネスをつくっていきます。」
(同社ウェブサイトより)
同社がハードに頼らずソフト、最も重要な経営資源である人財が最大限に活躍できる環境作りに注力するのはこの哲学に起因する。
【1-3市場環境】
(1)市場環境概観
民間調査会社の調べによれば、日本の挙式披露宴・披露パーティー(国内で手配された海外挙式含む)市場は、年率1%弱のペースで市場規模縮小が続いている。
その要因は、主に以下の2点。
①人口減少に伴う婚姻件数の減少
比較的人口の多かった団塊ジュニア世代が40 代後半へと年齢を重ねる一方、平均初婚年齢に相当する1980 年代後半~1990年代生まれの29~30 歳前後の人口は今後減少を辿る。
②結婚関連の物品・サービスに関する支出の抑制傾向
披露宴を行わない「ナシ婚」、両親とごく親しい友人のみを招待する少人数のパーティーなど、多様な価値観の広がりとともに、結婚関連の物品・サービスに関する支出を抑制し、実生活の充実を優先するといった行動が広がっている。
また、既に婚礼施設が供給過多の状態となっている一方で、いまだ一定のけん引力を有する新規施設開業が行われており、来館や受注を獲得するための時間的、人的コストは益々増大していくことが予想されるとしており、経営難に面するブライダル業者も増加しているようだ。ただ、縮小傾向に歯止めがかかることは見込みにくいものの、市場規模は依然として約1.36兆円と大きく、エスクリでは独自の戦略でこの需要を着実に吸い上げて今後も更に成長を実現できると考えている。
◎同業他社
コード |
企業名 |
売上高 |
増収率 |
営業利益 |
営業増益率 |
営業利益率 |
時価総額 |
PER |
PBR |
ROE |
2196 |
エスクリ |
– |
– |
– |
– |
– |
5,032 |
– |
1.2 |
6.2 |
2198 |
アイ・ケイ・ケイ |
– |
– |
– |
– |
– |
19,861 |
– |
1.9 |
11.0 |
2418 |
ツカダ・グローバルホールディング |
– |
– |
– |
– |
– |
13,317 |
– |
0.5 |
7.0 |
2424 |
ブラス |
– |
– |
– |
– |
– |
2,306 |
– |
0.9 |
– |
4331 |
テイクアンドギヴ・ニーズ |
22,000 |
-65.5 |
-12,000 |
– |
– |
6,451 |
– |
0.7 |
4.3 |
4696 |
ワタベウェディング |
18,500 |
– |
-12,000 |
– |
– |
2,774 |
– |
13.6 |
– |
*単位:百万円、倍。時価総額、PBRは2021年2月17日終値ベース。ROEは前期実績。テイクアンドギヴ・ニーズ、ワタベウェディングを除き新型コロナウイルス感染拡大の影響により今期予想は未定。テイクアンドギヴ・ニーズの売上高・営業利益予想はレンジの下限。ワタベウェディングは前期決算期変更で増収率は算出できず。
【1-4 事業内容】
(1)セグメント
ブライダル関連事業と建築不動産関連事業の2セグメントで構成されている。
①ブライダル関連事業
全国34会場の直営施設に加えて提携施設を通じた挙式・披露宴の企画・運営等のブライダルサービス、ホテルスタイルの施設を通じた宿泊サービス、レストランスタイルの施設を通じたレストランサービス、各種パーティーの企画・運営の宴会サービスを提供している。
直営のブライダルでは、「施設スタイルにこだわらない都市型ブライダルオペレーター」として、多様化する顧客のニーズに応えるため、様々なスタイルの直営挙式・披露宴施設の運営を行っている。
顧客である新郎新婦やゲストに対する「施設の貸し切り感」、「オリジナル感」の演出を重視し、挙式・披露宴で提供される衣装、装花、引出物、料理、飲料、演出等を顧客のこだわりに合わせてトータルプロデュースする「オーダーメイド型の婚礼サービス」を提供している。
特に、衣装、装花、演出に関しては社内における内製化を推進しており、外注取引企業ではなく自社の従業員が直接顧客と打ち合わせを行うことにより、顧客の細かなこだわりにも対応し、一層の顧客満足度の向上を目指している。
また、運営施設のうち、バンケット(披露宴会場)が複数ある施設に関しては、それぞれのバンケットに専用のチャペル又はロビースペースを設置することにより、「施設の貸し切り感」の演出を行っている。
ブライダル業界では、「施設の貸し切り感」、「オリジナル感」演出のために一軒家の邸宅風施設であるゲストハウス型施設が多いが、同社は、同様の演出が可能で、かつ出店立地に最適なスタイルでの出店を実施している。
さらに、レストランやホテルの事業者が行うブライダルサービスの一括運営受託も行っている。
(同社ウェブサイトより)
②建築不動産関連事業
グループ会社の株式会社渋谷が、飲食店や小売店を中心とした施設の内外装工事の請負及び設計監理業務、戸建住宅やマンションの建築、コンテナ事業、コンサルティングサービス等を行っている。
【1-5 特徴と強み】
(1)ソフトを重視した独自の事業戦略
ハードには、トレンド・ブームがあり、それは必ず変化すると考える同社では、「ハードによる集客優位性の限界」を長期的成長の阻害要因ととらえ、ソフトパワーを重視している。
優秀なスタッフによる「高いオペレーションスキル」をベースに、「ブライダルパーティー会場運営ビジネス」を展開している。
また、様々な企業とのアライアンスによる差別化等、ハードの形態は異なっても集客を高め、過度な投資を実施しなくても高い顧客満足度を獲得できるオペレーションノウハウの構築を進めている点も、他社には見られない大きな特徴である。
この鍵となるのが、「人財戦略」「出店戦略」「ワンストップサービス戦略」の3事業戦略。
これら3戦略により、業界内で圧倒的な差別化を図り、ブライダル業界における新しいスタンダードおよびハードやスタイルのはやり廃りに左右されない安定的なビジネスモデル確立を目指している。
①人財戦略
社員が働きがいを感じ、進化し続け、組織として最大限に力を発揮することが重要であると考えており、個人の能力開発および自由闊達で風通しのよい組織づくりに取り組んでいる。
人財が継続して働ける職場環境を創造し、なおかつ女性活躍推進企業としてライフステージの変化に伴う働き方の支援や、福利厚生の充実、キャリア形成支援等、様々な施策を推進している。
こうした取り組みが、同社最大の競争優位性であるソフトパワーの醸成に繋がっている。
②出店戦略
約1.36 兆円と言われるブライダル市場において、現在のメインストリームであるゲストハウスウェディングでさえもシェアは約2割程度と言われている。
これまでの経験や検証から「ハードによる集客優位性には限界がある」と考える同社は、特定のスタイルという狭い市場ではなく、全てのドメインで収益の可能性を追求している。
そのために、ホテル・レストラン・ゲストハウス・専門式場と、多様な施設スタイルで事業展開し、変化するマーケットニーズに応えることを軸としている。
同時に、新規出店のみでなく既存店の改修による集客力向上も重視しており、安定・着実な成長実現こそがステークホルダーの期待に応えることであるとも考えている。
③ワンストップサービス戦略
ブライダル業界では、ドレスやヘアメイク、装花などを外部の業者に委託するのが一般的だが、そこには顧客の要望に充分応えることができないという大きなデメリットが生じる。
同社では前述のように、衣装、装花、演出に関しては社内における内製化を推進しており、こうしたワンストップサービス体制を強化し、更なる顧客満足度の向上を図っていく。
(2)同業他社を凌駕する売上・利益の成長
P3の同業他社比較の表の中から、エスクリおよび同社よりも売上規模の大きい3社(ツカダ・グローバルホールディング、テイクアンドギヴ・ニーズ、ワタベウェディング)の売上高及び営業利益の時系列推移を比較したのが下のグラフであるが、売上、利益ともに同社の伸びが一頭地を抜いている。
この成長のベースにあるのが、創業来の理念であり、渋谷社長が強力に推進する「ソフトの力」である。
【1-6 ROE分析】
|
13/3期 |
14/3期 |
15/3期 |
16/3期 |
17/3期 |
18/3期 |
19/3期 |
20/3期 |
ROE (%) |
32.3 |
34.4 |
32.6 |
6.9 |
12.7 |
10.7 |
15.6 |
6.2 |
売上高当期純利益率(%) |
5.72 |
5.69 |
6.20 |
1.37 |
2.42 |
2.10 |
3.24 |
1.45 |
総資産回転率(回) |
1.53 |
1.57 |
1.33 |
1.18 |
1.15 |
1.18 |
1.28 |
1.30 |
レバレッジ(倍) |
3.69 |
3.86 |
3.95 |
4.27 |
4.55 |
4.32 |
3.79 |
3.27 |
【1-7 ESGへの取り組み】
社名の由来にもあるように、人の力をコアバリューとする同社は、働きやすい環境作りに向け、ESGのうち特に「Social(社会)」
について様々な施策を積極的に推進している。
(1)健康経営の推進
以下のような「Escrit健康経営宣言」を掲げている。
Escritは、お客様に最高の幸せの瞬間を届けるため、従業員一人ひとりが、心身共に健康であり、いきいきと仕事に取り組んでいくことが、最も重要だと考えています。
「従業員の安全と健康の確保、快適な職場環境づくりは企業活動の基礎である」という考えの下、Escrit従業員・会社が一体となって、健康で長く働くことのできる環境の整備に向けて、これから一層積極的に取り組んでいくことを宣言します。 代表取締役社長 渋谷守浩 |
①主な取り組み
「健康経営」をEscrit全体で実践していくために、健康管理(定期健康診断の結果分析、ワークライフバランスの実現)、疾病予防(感染症、生活習慣病の予防、女性特有の疾病対策)、メンタルヘルス管理、継続的な運動の促進などに取り組んでいる。
②評価
*「健康経営優良法人2020」認定を取得
2020年3月、健康経営の推進に関する取組みが評価され、経済産業省と日本健康会議より「健康経営優良法人2020(大規模法人部門)」の認定を受けた。
健康経営優良法人認定制度とは、地域の健康課題に即した取組や日本健康会議が進める健康増進の取組をもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度。
*「東京都スポーツ推進企業」「スポーツエールカンパニー」に認定
「東京都スポーツ推進企業」「スポーツエールカンパニー」に認定された。
「東京都スポーツ推進企業認定」は、従業員が行うスポーツ活動の促進や、スポーツ分野におけるアスリート・団体・大会などへの支援を実施している企業を認定するもの。
エスクリでは、従業員スポーツ活動の促進のため、各種スポーツイベント、エスクリ「絆」駅伝の開催や、部活動を行っているほか、採用したトップアスリートに部活動のコーチとして活躍してもらう場を設けるなどの施策を行っている。
その他にもアスリート支援(フェンシング女子エペ日本代表の鈴木穂波選手を雇用)とスポーツ文化への貢献(卓球プロリーグの「T.T彩たま」とパートナー契約締結等)に積極的に取り組んできた。こうした取り組みが「東京都スポーツ推進企業」認定に繋がった。
「スポーツエールカンパニー」制度は、運動不足である「働き盛り世代」のスポーツの実施を促進し、スポーツに対する社会的機運の醸成を図ることを目的として、従業員の健康増進のためにスポーツの実施に向けた積極的な取り組みを行っている企業をスポーツ庁が認定するもので、従業員の健康管理を考え戦略的に取り組んでいる企業の社会的評価の向上を図ることを目的としている。
(2)女性の活躍に向けた各種施策と実績
①主な取り組み
ウェディングプランナー、ドレススタイリスト、フラワーコーディネーターなど、女性が活躍する場面が多い同社では、20年3月末で全社員のうち7割が女性社員。
性別やライフステージに左右されず、誰もが実力によって正当に評価される会社を目指すとの想いから、女性活躍推進を中期経営計画の方針の一つとしている。
この方針に基づき以下のような「女性活躍推進に関する取り組み」を行っている。
取り組み |
概要 |
女性の産前期間の不安解消と体調管理しやすい環境を整備 |
*「スタート面談」の実施 安心して産前期間を過ごせるように体調面や業務面で配慮してほしいことを上司や人事担当者と面談する。
*通院時間の確保 体調管理を行うために、勤務時間中に検診のための通院時間を確保する。(男性の付き添いも可能) |
産前産後制度の拡大と男性の休暇取得促進 |
*産前休業の拡大 取得できる産前休業を法定の産前6週から産前8週に拡大する。
*男性の休暇取得促進 子どもが誕生した日から翌々月末までの間に最大8日間の休暇取得を推奨する。(出産時の立会にも使用可能) |
復職前面談を実施し、円滑な復職を支援 |
*「カムバック面談」の実施 復職後の働き方を具体的にイメージしてもらえるように勤務時間の希望等について、上司や人事担当者と面談する。 |
復職後における子育てと仕事の両立を支援 |
*慣らし保育応援 子どもの慣らし保育期間に関する出勤を免除する。
*短時間勤務・子の看護休暇の拡大、時間外勤務の制限 育児短時間勤務を、子どもが小学校入学までに拡大する。 時間外勤務の制限を、子どもが小学校入学までに拡大する。 子の看護休暇を、子どもが中学校卒業までに拡大する。 |
加えて、女性のみに限らず、全社員に働きやすい環境を提供したいとの考えから、「労働時間の適正化に関する取り組み」「女性相談窓口の設置」「管理職者向けマネジメント研修」「全社員向け研修」「女性社員向けキャリアアップ研修」等にも注力している。
②実績
こうした取り組みの結果、女性活躍は下記のグラフのように目に見える実績となって表れているほか、「支援制度を活用することで育児も仕事も楽しんでいます。将来的には、働く女性社員の目標になれるようになりたいですね。」(同社ウェブサイトより)といった声も寄せられており、従業員満足度は着実に高まっているようだ。
女性管理職比率は2022年度 40%を目標としている。
③評価
*厚生労働大臣より「えるぼし」の認定取得
2018年7月、ブライダル企業として初めて女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)に基づき、女性の活躍推進に関する取り組みが優良な企業として、厚生労働大臣より「えるぼし」の認定をうけた。
「えるぼし」認定は、女性活躍推進法により、女性の活躍推進に関する状況等が優良な企業に対して、厚生労働大臣が認定する制度で、「採用」「継続就業」「労働時間等の働き方」「管理職比率」「多様なキャリアコース」の5つの評価項目がある。
「えるぼし」は、現在約2万社が申請し、約600社が認定されている狭き門だが、上記のような女性活躍推進の取り組みが、基準を超えていることが認められ認定を取得することができた。
*「準なでしこ」認定を取得
2020年3月、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する女性活躍に優れた上場企業として、「準なでしこ銘柄」の認定を受けた。
なでしこ銘柄は、「女性活躍推進」に優れた上場企業を「中長期の企業価値向上」を重視する投資家にとって魅力ある銘柄として紹介することを通じて、企業への投資を促進し、各社の取組を加速化していくことを狙いとし、経済産業省と東京証券取引所が共同で2012年度より選定している。
エスクリの女性活躍推進施策(主に、経営戦略への組み込みや環境やルールの整備、管理職の意識改革等)が評価された結果、「なでしこ銘柄」に準ずる企業(次点企業)として、「準なでしこ」に選定された。
*「くるみん」に認定
2021年2月1日付で厚生労働大臣より「くるみん」に認定されたと公表している。「くるみんマーク」とは、次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画を策定した企業のうち、計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業に対し、「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣によって認定(くるみん認定)される。
前述の通り、同社ではこれまで「えるぼし」の他、「準なでしこ銘柄」といった認定を取得してきたが、子育て支援、育休や復職の支援、子育てと仕事を両立できる施策の導入を継続してきた取組みが改めて認められた格好だ。
(3)全契約社員の正社員化を実施
従業員の長期的なキャリア形成の観点から、2018年8月、契約社員全員の正社員化を決定した。
同社では、ウェディングプランナー、ドレススタイリスト、フラワーコーディネーター等多数の職種において、契約社員が多数活躍しているが、契約社員制度を廃止し、新設した転勤のない正社員制度(地域限定正社員)へと転換する。
現在契約社員として従事している従業員は、社内で重要な役割を担っており、同社では雇用をとりまく環境の変化や、女性の社会進出の状況をふまえ、従業員が安心して長期キャリアの形成に取り組めるようにする。
2.2021年3月期第3四半期決算概要
(1)連結決算概要
|
20/3期3Q |
構成比 |
21/3期3Q |
構成比 |
前年同期比 |
売上高 |
24,746 |
100.0% |
7,950 |
100.0% |
-67.9% |
売上総利益 |
14,373 |
58.0% |
3,396 |
42.7% |
-76.4% |
販管費 |
12,333 |
49.8% |
8,254 |
103.8% |
-33.1% |
営業利益 |
2,040 |
8.2% |
-4,858 |
– |
– |
経常利益 |
1,999 |
8.0% |
-4,985 |
– |
– |
四半期純利益 |
996 |
4.0% |
-4,074 |
– |
– |
*単位: 百万円
挙式・披露宴の多くが日程変更等となり大幅減収、損失計上
売上高は前年同期比67.9%減の79億50百万円。営業損失、経常損失、四半期純損失はそれぞれ48億58百万円、49億85百万円、40億74百万円となった。
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年4月に発令された緊急事態宣言を受け、同期間中においては運営する全施設を臨時休業としたため、予定されていた挙式・披露宴の多くが日程変更となった。また、最初の緊急事態宣言の解除以降、新規受注、施行件数等は徐々に回復傾向にあるものの、予定されていた挙式・披露宴の多くが日程変更となる構図は引き続き変わらず、売上高が大幅に減少。
雇用調整助成金11.1億円を特別利益に計上した一方、休業期間中の人件費、家賃、減価償却費等16億57百万円を新型コロナウイルス感染症による損失として特別損失に計上している。
(2)セグメント別動向
|
20/3期3Q |
構成比 |
21/3期3Q |
構成比 |
前年同期比 |
売上高 |
|
|
|
|
|
ブライダル関連 |
22,496 |
90.9% |
6,294 |
79.1% |
-72.0% |
建築不動産関連 |
2,249 |
9.1% |
1,656 |
20.8% |
-26.3% |
合計 |
24,746 |
100.0% |
7,950 |
100.0% |
-67.9% |
セグメント利益 |
|
|
|
|
|
ブライダル関連 |
2,818 |
12.5% |
-4,181 |
– |
– |
建築不動産関連 |
44 |
1.9% |
-134 |
– |
– |
調整額 |
-822 |
– |
-543 |
– |
– |
合計 |
2,040 |
8.2% |
-4,858 |
– |
– |
*単位:百万円。営業利益の構成比は営業利益率。
(ブライダル関連)
減収、損失計上
緊急事態宣言期間中の休業により、多数の挙式・披露宴が日程変更等となったため大幅な減収。
◎受注状況
緊急事態宣言解除により受注は徐々に増加傾向にあるものの、本格的な回復には時間がかかると見ている。
休業により当期受注は大幅減となっているが、2022年3月期受注残は上期で前期比19.5%増、下期で同1.6%増。
(建築不動産関連)
減収、損失拡大。
竣工予定の工事等による売上高が、当初より少額であったため減収となった。
(3)財務状態とキャッシュ・フロー
◎主要BS
|
20/3月末 |
20/12月末 |
|
20/3月末 |
20/12月末 |
流動資産 |
6,499 |
8,539 |
流動負債 |
8,464 |
12,837 |
現預金 |
4,130 |
5,378 |
仕入債務 |
1,072 |
629 |
売上債権 |
263 |
132 |
短期借入金 |
2,174 |
5,783 |
販売用不動産 |
816 |
870 |
固定負債 |
7,284 |
9,093 |
固定資産 |
16,729 |
17,307 |
長期有利子負債 |
4,111 |
5,925 |
有形固定資産 |
11,118 |
10,236 |
負債合計 |
15,749 |
21,931 |
投資その他の資産 |
5,564 |
6,993 |
純資産 |
7,478 |
3,915 |
資産合計 |
23,228 |
25,846 |
利益剰余金 |
6,499 |
2,332 |
|
|
|
負債純資産合計 |
23,228 |
25,846 |
|
|
|
自己資本比率 |
32.2% |
15.1% |
*単位:百万円
現預金の増加などで資産合計は前期末比26億円増加の258億円。
借入金の増加などで負債合計は同61億円増加し219億円。
純損失計上および新株の発行等により純資産は同35億円減少の39億円。
自己資本比率は前期末より17.1ポイント低下し、15.1%となった。
なお、2020年12月末時点でグループの当座貸越契約及びコミットメントラインの借入未実行残高は50億円となる。また、2021年3月31日を払込期日とする三井住友ファイナンス&リース株式会社に対する第三者割当増資による優先株式発行(計30億円)を予定しており、手元流動性の確保とともに、さらなる資本の増強と財務基盤の強化を図る方針。
(4)トピックス
①エスクリ フォトウェディング「LUMINOUS」と業務提携
ウェディングフォトスタジオを運営するタメニーアートワークス株式会社(以下TAW)のフォトウェディングブランド「LUMINOUS(ルミナス)」と業務提携契約を締結した。
(アライアンスの背景)
新型コロナウイルスの感染リスクを考慮し、非常に多くのカップルが結婚式を延期・中止した。一方で、現在結婚式の代替案として、フォトウェディングを検討される新郎新婦が増えている。TAWのお台場スタジオでも、フォトウェディングを希望される新郎新婦が増え、9月の問い合わせ数は前年比221%となり、フォトウェディングがwithコロナ時代の結婚式スタイルとして注目を集めている。
TAWは結婚式という特別な体験を、写真を通して残すことをコンセプトに、結婚式同様の満足感、高揚感を体験できるフォトウェディング「LUMINOUS」を展開。結婚式場を全国展開するエスクリと「LUMINOUS」を展開する TAWとが、コロナ禍においても、せめて結婚の記念に写真を残したい、結婚式のような写真を撮りたい、体験がしたい、という新郎新婦の期待に応えるべく協議した結果、業務提携が締結された。
(アライアンスの内容)
◎業務提携
本格的なチャペルや華麗な結婚式場でロケーション撮影を行うサービス「LUMINOUS La Maison(ルミナス ラ・メゾン)」の撮影会場に、エスクリのチャペルや会場が加わる。全国でのロケーション撮影の展開を加速し、結婚式を挙げなくても、格式の高い、優雅で特別な空間で、 新郎新婦の想いをカタチに残すことを目指す。
(提携のメリット)
エスクリとしては、平常時からの懸案だった、施設の非稼働時間帯の有効活用が可能となり、売上・利益において、改善効果が期待できる。また、フォトウェディングは結婚式と比べると、新郎新婦の意思決定から実行までのリードタイムが短く、そうした意味でも、直近の非稼働時間の有効活用につながると判断している。その結果、減少し続ける婚礼のマーケットにおいて、新たな収益を得ることが実現できると考えている。
②TKP運営施設「アジュール竹芝」ルクリアモーレで販売スタート
TKPが運営する東京都港区の施設『アジュール竹芝』を2020年10月31日より少人数婚向けサービス「ルクリアモーレ」の商品ラインナップに加え、積極的に販売する。
本施設において、エスクリが手掛けるサービス「ルクリアモーレ」を窓口にして、with コロナ時代のウェディングとして今後ますます需要の高まりが予想される少人数の結婚式、家族のみでの結婚式などを積極的に受注していく。
③エスクリ×TKP 共同ブランド「CIRQ」をリリース
株式会社ティーケーピー(3749、東証マザーズ:以下TKP)との資本業務提携に基づき、共同ブランド「CIRQ」を10月16日にリリースした。
一般的に挙式・披露宴は土日祝日に需要が集中し施設は高稼働で推移しているものの、平日利用の需要が少なく、施設の稼働率が低いという業界全体の課題がある。エスクリでは、平日の施設稼働率を高めるため、2012年に法人宴会専門の部門「パーティハンター」を立ち上げ、「ターミナル駅近会場」「結婚式場ならではの内装空間」を活かし、企業のパーティー、イベント、撮影での会場貸出などを積極的に受注してきた。今回のTKPとの取り組みにより、当社24施設(51バンケット)がTKPの商品ラインナップとして加わり、同社の持つ3万社に及ぶ法人顧客基盤を活用することで、平日の施設稼働率の更なる向上を目指す。
「CIRQ(シルク)」のコンセプトについて
ロゴのコンセプトは、会場イメージに合わせ、上質さを表現するグレーを基本色とし、アクセントカラーとしてエスクリとTKPと両社のコーポレートカラーを採用、様々なご利用シーンを華やかに演出したいという思いを込めた。CIRQ(シルク)は、柔らかな上質な空間をビジネスシーンにご提供します。解放感あるラグジュアリーな雰囲気は、様々なビジネスシーンに花を添え、多くの顧客の絆がいっそう深まる空間を創造する。
④アニクリギフトストアで「SBI ALApromo(アラプロモ)」商品の販売を開始
2020年7月にSBIホールディングス株式会社(8473、東証1部)との資本業務提携を締結。第一弾の取り組みとして、9月1日にエスクリが運営するECサイト「アニクリギフトストア」にて「SBI ALApromo(アラプロモ)」が製造・販売するスキンケア商品・健康食品の販売を開始すると発表。
(アライアンスの背景)
年間約8,000組の結婚式を手掛けているエスクリは、多様化する結婚式のニーズやモチベーションに応え市場の活性化に取り組むととともに、新規事業への参入も進めている。グループ経営を推進する体制を強化し、連結業績の最大化に取り組む。
ALA(アラ)※とは、エイジングケアとして注目を集めている全身の健康と美を支えるのに重要なアミノ酸の一種で細胞のエネルギー工場と呼ばれるミトコンドリアでつくられている成分。食事を通じて摂り入れることも可能であるが、バランスのよい食事を心がけても1日に5mgのALAを摂取するのが難しいのが実情である。ALAを化粧品・サプリメントから取り入れ、年齢とともに衰える体のリズム・活力・美力を内側からパワフルにサポートする。
⑤エスクリ、結婚式専用Live配信サービス「アニクリLive」をスタート
結婚式専用のライブ配信サービス「アニクリLive」を自社開発、12月1日(予定)よりスタートする。エスクリでは”ALL for Thank you”をウェディングコンセプトとし新郎新婦の「ありがとう」の気持ちとゲストの「おめでとう」の気持ちを双方に届ける結婚式を創っている。本サービスではこれから結婚式を予定している新郎新婦が、本来であれば招待したい遠方のゲスト、ご高齢のゲスト他、事情により参列が叶わないゲストへも、結婚式に参列しているような目線で結婚式をご覧いただきたい、という想いから、自社開発のオンライン結婚式準備システム「anicrit(アニクリ)」に、結婚式専用のライブ動画配信サービス『アニクリ Live』の機能を追加、サービスをスタートする。
※anicrit(アニクリ)とは
結婚式準備の作業効率化による新郎新婦の作業負担軽減と、列席者による挙式・パーティーづくりを実現する、新たなウェディングサービスとして2011年9月からエスクリが提供している。新郎新婦は、「アニクリ」を通じて、招待者の出欠確認や席次表の作成など結婚式の準備を進めることができるほか、ゲストからのお祝いメッセージや思い出の写真を集めることによって列席者と交流ができる。
⑥「イチナナ×エスクリ」結婚式のLive配信サービスを開始
ライブ配信アプリ「17LIVE(イチナナ)」を運営する株式会社17 Media Japanと共同で、結婚式のLive動画を配信するサービスを7月より開始。オンラインでプレゼント・祝電・お祝いコメントを贈ることが可能である他、配信後10日間のアーカイブが可能なため、予定が合わないゲストも後日視聴することが可能といったメリットがある。
⑦『GOOD WEDDING AWARD 2020』グランプリ受賞
リクルートブライダル総研が主催する「GOOD WEDDING AWARD 2020(ウェディングプランナーの全国コンテスト)」にて「ラグナヴェールアトリエ」に所属するウェディングプランナー籔田宏美(やぶたひろみ)がグランプリを受賞。
GOOD WEDDING AWARDとは全国のウェディングプランナーから、この一年間で最も心に残り、カップルの想いや要望を素敵な形で実現した!と思う結婚式を応募し、グランプリを決めるコンテスト。プランナーが新郎新婦の想いやその背景を理解し、創造性と構成力をもってプランニングすることで、新郎新婦・ゲストの双方にとって忘れられない“心に残る結婚式”のお手伝いをすることを目的として、2011年から実施している。
3.2021年3月期業績予想
(1)連結業績および配当予想について
新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響により2021年3月期は赤字となる見込みだが、新型コロナウイルスの感染者数が再び増加傾向となり、2021年1月には緊急事態宣言が再発出された。また、その影響によって今期中に実施予定であったウェディングの施行日程変更も生じている状況であり、業績予想の合理的な算定が困難なため、引き続き未定としている。なお、配当については無配。業績予想の算定が可能となった段階で速やかに公表する。
(2)新型コロナウイルス感染拡大防止のための取組
緊急事態宣言の発令およびその延長を受け、同期間中には全施設を臨時休業した。
再開後は、「ESCRIT NEW STANDARD(感染症への取組)」を策定し、各施設にて従業員の体調管理、衛生対策、配席の工夫、換気等を徹底している。
また、リモートによる打合せ、従業員の在宅勤務および自宅研修を実施しているほか、感染予防のための設備工事を推進(ソーシャルディスタンス用パーテーション・空調抗菌フィルターサーモカメラの設置等)している。
4.今後の注目点
医療従事者への新型コロナウイルスのワクチン接種が国内でもようやく開始された。ただ、現実問題として、実際に大多数の国民がワクチンを接種するにはしばらく時間を要する。その間も同社を巡る事業環境の厳しさは継続することになり、目先の対応としては経営効率化など、コスト削減を一段と進めていく他ない。実際、連結子会社のエスクリマネジメントパートナーズを吸収合併(2021年4月1日予定)することを既に決定して、こうした方向に向けて動き出しており、そうした一連の成果を注視したい。また、前回指摘した通り、同社に限った話ではないとはいえ、一旦延期していた顧客が結局キャンセルしてしまうという動きが実際に散見されている。コロナ禍に対応した商品拡充自体は進んでおり、キャンセルからの需要シフトを如何に実現していくか、手腕が試されよう。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態、取締役の構成
組織形態 |
監査役設置会社 |
取締役 |
5名、うち社外2名 |
監査役 |
3名、うち社外3名 |
◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2020年11月13日
<基本的な考え方>
当社は、顧客、株主、取引先、社員、社会というすべてのステークホルダー(利害関係者)から信頼を得ることが企業価値を持続的に向上させていくことにつながると考えております。そのためには、経営の効率性と透明性を確保し、健全性の高い組織を構築することが必要不可欠であり、コーポレート・ガバナンスに対する取り組みが極めて重要であると考えております。
そのため、当社は、社員全員が当社の基本的な価値観や倫理観を共有するために「企業行動規範」を制定し、周知徹底を図っております。
また、当社は、経営の効率性を確保するため、企業の成長による事業の拡大に合わせて組織体制を適宜見直し、各組織部門の効率的な運営および責任体制の確立を図っております。
さらに、経営の透明性を確保するため、監査役会による取締役会の業務執行ならびに法令、定款および当社諸規程の遵守を図るべく内部統制機能を充実させ、迅速かつ適切な情報開示を実現すべく施策を講じております。
今後も企業利益と社会的責任の調和する誠実な企業活動を展開しながら、株主を含めたすべてのステークホルダーの利益に適う経営の実現および企業価値の向上を目指して、コーポレート・ガバナンスの充実を図ってまいります。
<実施しない原則とその理由>
原則 |
開示内容 |
【補充原則4-1-2 中期経営計画】 |
当社は現在、中期経営計画は開示しておりません。単年度では、期初に業績予想を開示しておりますが、本年においては新型コロナウイルス感染症の収束時期が見通せないなか合理的に算定することは困難であると判断し、現段階では開示しておりません。今後、業績予想の算定が可能となった段階で速やかに開示いたします。 |
<各原則に基づく主な開示>
原則 |
開示内容 |
【原則1-4. いわゆる政策保有株式】 |
当社の政策保有株式にかかる基準については次のとおりであります。 (1)政策保有目的による株式については、原則としてこれを保有しない。 (2)今後、持続的な企業の向上に資する案件が出てきた場合には、そのリスクとリターン等に関する十分な議論に加え、保有の目的を明確化させたうえで、取締役会の決議を経て判断をする。 |
【原則1-7 関連当事者間の取引】
|
当社は、原則、当社取締役が利益相反取引を行ってはならない旨を「役員規程」で定めており、また、取締役、監査役に対して関連当事者取引に 該当する取引の有無を把握するため、書面による調査を毎年実施しております。 万が一、関連当事者間の取引があった場合、取締役会の決議事項につき特別の利害関係を有する者は当該決議から除外し、その取引実績につ いては関連法令に基づき適時適切に開示してまいります。 |
原則3-1 情報開示の充実
|
1.会社の目指すところ(経営理念等)や経営戦略、経営計画 企業理念、経営戦略については、当社ホームページに掲載しております。 2.コーポレート・ガバナンス関する基本的な考え方と基本方針 コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方については、本報告書の1.1.「基本的な考え方」をご参照ください。 3.取締役会が経営陣幹部・取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続 本報告書2の1.機関構成・組織運営等にかかる事項【取締役報酬関係】「報酬の額又はその算定方法の決定方針の開示内容」をご参照くださ い。 4.取締役会が経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補の指名を行うに当たっての方針と手続 取締役・監査役候補者については、業績、人格、識見などを総合的に勘案し、主に社外役員で構成する指名報酬委員会で審議した上で、取締役 会で決定しております。 なお、新任の執行役員については、取締役による推薦、現任の執行役員については、これまでの業績評価等を踏まえ、代表取締役が同候補者を 取締役会に推薦し、取締役会において選任しております。万一これらの経営陣幹部が法令・定款などに違反し、当社の企業価値を毀損したと認め られるなど、客観的に解任が相当と判断される場合には、独立社外取締役が出席する取締役会において十分な審議を尽くした上で決定することと なります。 5.取締役会が上記4.を踏まえて経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の指名を行う際の、個々の選任についての説明 社外取締役候補者および社外監査役候補者の選任理由については、当社のホームページに掲載している「株主総会招集ご通知」にて開示してお ります。 |