(3254) 株式会社プレサンスコーポレーション 土井 豊氏が代表取締役社長に就任

2020/02/27
 

土井 豊 社長

株式会社プレサンスコーポレーション(3254)

 

 

企業情報

市場 東証1部
業種 不動産業
代表取締役社長 土井 豊
所在地 大阪市中央区城見1-2-27 クリスタルタワー
決算月 3月末日
HP https://www.pressance.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,338円

65,198,961株

87,236百万円

22.1%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

52.00円

3.9%

346.67円

3.9倍

1,493.54円

0.9倍

*株価は2/12終値。発行済株式数、DPS、EPSは20年3月期第3四半期決算短信より。ROE、BPSは19年3月期決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2016年3月(実)

78,990

14,057

13,798

9,194

152.31

15.00

2017年3月(実)

101,083

15,645

15,414

10,526

178.99

21.15

2018年3月(実)

134,059

20,362

19,858

13,757

232.58

29.40

2019年3月(実)

160,580

27,118

26,531

18,296

296.43

40.50

2020年3月(予)

209,219

32,531

31,429

21,520

346.67

52.00

*予想は会社側予想。単位:円、百万円。
*2016年10月1日付で1:4の株式分割を実施。EPS、DPSは遡及して再計算。 
*当期純利益は、親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。

 

 

株式会社プレサンスコーポレーションの2020年3月期第3四半期決算概要などをお伝えします。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年3月期第3四半期決算概要
3.2020年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考1:中期経営計画>
<参考2:コーポレートガバナンスについて>

 

 

今回のポイント

  • 2019年12月16日、代表取締役社長(当時)山岸 忍氏が、学校法人明浄学院の元理事長他の業務上横領に関して、共謀した疑いが強まったとして大阪地検特捜部に逮捕された。同年12月23日には山岸氏から取締役辞任の申し出があり、同社はこれを受理。 同日付で代表取締役副社長 土井 豊氏が代表取締役社長に就任した。 
  • 加えて、ガバナンス上の問題点につき調査・検証し、ガバナンス体制を改革する必要があると判断し、利害関係を有しない外部の専門家から構成される、外部経営改革委員会を設置した。また、同社では、「本件につきまして、お客様、株主、取引先および関係者の皆様にご心配ご迷惑をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます」との声明を発表している。 
  • 20年3月期第3四半期の売上高は前年同期比32.1%増の1,835億円。ワンルームマンション売上が好調に推移し増収。営業利益は同18.3%増の317億円。販管費は同24.4%増の155億円。販売委託手数料、ファミリーマンション広告費、新規事業プレサンスブライト関連費用、企業CM等の広告宣伝費、人員増に伴う人件費など、売上に先行して発生する費用が増加したが増収で吸収した。 
  • 通期業績予想に変更は無い。売上高は前期比30.3%増の2,092億円、営業利益は同20.0%増の325億円の予想。売上、利益ともに10期連続で過去最高を更新する見込み。通期業績予想に対する売上および営業利益の進捗率はそれぞれ87.7%、97.6%。多くの物件の引渡しを予定通り完了させており、計画に対し順調に進捗しているということだ。 
  • また、19年12月31日時点でマンション販売事業およびその他住宅・不動産販売事業において、今期中の売上見通しが既に立っている金額は2,077億円。これは今期売上計画2,007億円を3.5%超過した水準である。 
  • 配当は前期比11.50円/株増の52.00円/株を予定。予想配当性向は15.0%で、増益と配当性向の引上げによる増配を継続する見通し。 
  • 第3四半期までの進捗は引き続き順調だ。前社長の逮捕、代表取締役社長の交代という事態となりその影響が気になるところではあるが、「誠実さこそが、更なる成長の原動力」と考え、全てのステークホルダーからの確かな信頼の獲得を目指す土井新社長の下で、まずは通期予想達成に向けた進捗を注目したい。 

1.会社概要

「不動産に高付加価値を創造する」というビジネスモデルの下、近畿圏、東海・中京圏を中心にファミリー向け及びワンルームマンションを企画・開発・分譲・管理する独立系マンションディベロッパー。分譲マンション供給戸数は近畿圏で10年連続、東海・中京圏で8年連続第1位。全国でも3年連続で第2位にランクインされる。豊富な供給実績と高いシェア、強力な営業力、健全な財務内容、優れた商品力などが大きな強み。

 

【1-1沿革】

1997年10月に不動産販売を行う事を目的とし同社の前身である(株)日経プレステージが設立される。1998年には初の自社ブランドマンションである「プレサンス難波東」を販売。2000年には初の自社開発物件である「プレサンス心斎橋EAST」を販売するなど着実に実績を積み上げ、2002年、商号を現在の「株式会社プレサンスコーポレーション」に変更。
近畿圏から事業エリアを拡大し、2003年には東海エリアで初めての自社開発物件である「プレサンス名古屋城前」の販売を行うなど業容は順調に拡大し、2007年12月に東京証券取引所市場第2部に上場した。
2008年に東京支店を開設し、首都圏での事業展開も開始。着実な事業拡大であったため、同年発生したリーマンショックの影響を大きく受ける事も無く成長を続け、2013年10月、東証1部にステップアップした。

 

【1-2 企業理念】

「一隅を照らす」

 

「一隅を照らす」とは、「一人一人が自身の置かれたその場所で精一杯努力し、他の人々のためにも働くことでまわりを明るく照らす。それがひいては社会全体を明るく照らし、世界の人々の平和や幸福の実現に結びつく。」という比叡山延暦寺(滋賀県)を開創し天台宗を開いた伝教大師・最澄上人の教え。

 

「一隅を照らす」精神で価値ある不動産を

私たちは、マンションづくりのプロフェッショナルとして、お住まいになる方に「より快適で価値のあるマンション」をお届けすることが使命であると考えます。その確固たる精神で、お客様のニーズを的確にとらえ、グループ一丸となって10年20年先を見据えた付加価値の高いマンションをお届けいたします。

「一隅を照らす」が導く「三方良し」の精神

私たちは、マンションづくりに誠心誠意取り組むことで、お客様のライフクオリティ向上に寄与することができ、あらゆるステークホルダーの皆さまと良好な信頼関係を築くことができると信じております。これは売り手良し、買い手良し、世間良しという「三方良し」の精神にも適うものです。

「一隅」を照らすから「社会」を照らすへ

私たちは、良質なマンションを創造し続けることで、地域社会の活性化を実現し、便利で快適に暮らせる街づくりの一翼を担いたいと考えております。それにより、社会の持続的発展に大きく寄与できる存在になることを目指してまいります。

(同社HPより)

 

また、「一人一人が、自身が置かれたその場所で精一杯努力すること」に大きな価値を見出しており、「凡事徹底」という考え方を全社の行動指針としている。

 

【1-3 市場環境など】

◎良好な市場環境

人口減少が進む日本であるが、利便性を求める居住ニーズの高まりから、都市中心部における人口は増加傾向にある。首都圏で不動産価格が高騰しているが、同社のメイン事業領域である近畿圏および東海・中京圏では、依然として一般的な所得層でも十分購入可能な価格帯で推移している。

 

また、こうした外部環境に加え、2018年に他社で発覚した不正融資問題の結果、顧客および金融機関は信頼の置ける不動産業者を選別する傾向にあり、立地や価格、品質といった「商品の優位性」と、ブランド力・知名度、購入後もしっかりとした賃貸管理を提供するアフターフォロー、実績・販売規模といった「企業の信頼性」で強力なアドバンテージを有する同社のワンルームマンション販売は更に加速し、シェアは一段と上昇していると見られる。

 

 

◎供給戸数で高シェア
同社資料(出所:不動産経済研究所)によれば、2019年年間の近畿、東海・中京におけるマンション供給数はそれぞれ18,042戸、4,650戸。同社は両地域でそれぞれ3,825戸、804戸を供給し、近畿圏では10年連続、東海・中京圏では8年連続でシェアNo.1となっている。また全国では供給戸数5,305戸で、3年連続の第2位である。

 

2019年 地域別分譲マンション供給ランキング

 

近畿圏 (シェア21.2%)

   

東海・中京 (シェア 17.3%)

 

順位

企業名

戸数

順位

企業名

戸数

1

プレサンスコーポレーション

3,825

1

プレサンスコーポレーション

804

2

エスリード

2,121

2

日商エステム

598

3

住友不動産

744

3

住友不動産

441

4

近鉄不動産

704

4

三井不動産レジデンシャル

340

5

日商エステム

646

5

野村不動産

275

 

全国 (シェア 7.5%)

 

順位

企業名

戸数

1

住友不動産

5,690

2

プレサンスコーポレーション

5,305

3

野村不動産

3,941

4

三菱地所レジデンス

3,365

5

三井不動産レジデンシャル

2,365

(株式会社不動産経済研究所の資料に基づきプレサンスコーポレーション算出・作成。)

 

 

◎同業他社
主要同業他社と同社を様々な角度から比較してみた。

コード

企業名

売上高

経常利益

総資産

販売用

不動産(A)

仕掛販売用

不動産(B)

有利子負債

1925

大和ハウス工業

4,143,505

359,462

4,334,037

648,291

194,750

775,645

1928

積水ハウス

2,160,316

195,190

2,413,053

972,538

106,934

632,781

3231

野村不動産HD

668,510

69,323

1,759,455

161,224

290,398

914,000

3254

プレサンスコーポレーション

160,580

26,531

301,942

9,603

225,302

178,087

3289

東急不動産HD

901,884

70,744

2,405,249

229,459

331,980

1,289,807

8804

東京建物

273,302

42,036

1,451,584

104,221

101,059

853,374

8830

住友不動産

1,013,229

204,257

5,127,464

390,025

282,594

3,342,786

8877

日本エスリード

57,195

7,237

67,664

3,420

33,259

14,182

8897

タカラレーベン

132,005

9,027

184,893

18,821

49,860

111,656

 

コード

企業名

 

たな卸資産

構成

(A÷B)

自己資本比率

有利子負債

依存度

 

売上高経常利益率

ROE

時価総額

予想

PER

PBR

1925

大和ハウス工業

332.9%

36.8%

17.9%

8.7%

15.5%

2,336,497

9.2

1.5

1928

積水ハウス

909.5%

49.0%

26.2%

9.0%

10.8%

1,678,360

12.0

1.4

3231

野村不動産HD

55.5%

29.9%

51.9%

10.4%

8.9%

545,570

11.3

1.0

3254

プレサンスコーポレーション

4.3%

30.7%

59.0%

16.5%

22.1%

87,236

3.9

0.9

3289

東急不動産HD

69.1%

23.3%

53.6%

7.8%

7.3%

564,347

14.5

1.0

8804

東京建物

103.1%

24.0%

58.8%

15.4%

7.9%

375,129

13.2

1.1

8830

住友不動産

138.0%

23.6%

65.2%

20.2%

11.3%

2,010,034

14.3

1.7

8877

日本エスリード

10.3%

63.1%

21.0%

12.7%

11.0%

29,415

5.8

0.7

8897

タカラレーベン

37.7%

25.6%

60.4%

6.8%

14.3%

60,379

6.8

1.1

*単位:百万円、倍。業績の比較数値は前期実績。時価総額、PER、PBRは2020年2月12日終値ベース。

 

他社と比較すると、売上規模は決して大きくないながらも、完成在庫(販売用不動産)の少なさ、高い収益性および資本効率が目を引く。しかしながら、PERは最も低く、PBRも1倍を割れている。

 

【1-4 事業内容】

事業セグメントは、投資型分譲マンションであるワンルームマンションおよび実需向け居住型分譲マンションであるファミリーマンションの企画・開発・分譲・管理を中心とした「不動産販売事業」と、ワンルームマンションの賃貸管理事業、賃貸事業、建物管理事業などを手掛ける「その他」の2セグメント。

 

◎商品構成
同社が手掛けるマンションの概要は以下の通り。
物件平均価格はワンルームで約1,800万円、ファミリーで約3,700万円となっている。

タイプ

住戸専用面積

間取り

特長

選定基準

ワンルーム

約20~50㎡

1ROOM~1LDK

都心型

主要駅より徒歩5分圏内

利便性に富む立地

(大学、専門学校、企業、商業施設等)

ファミリー

約50~100㎡

1LDK~4LDK

都心および都市周辺型

主要駅より徒歩10分圏内

環境性に富む立地

(小・中学校区、企業、商業施設等)

混在

約20~100㎡

1ROOM~4LDK

都心および都市周辺型

主要駅より徒歩5分圏内

ワンルームタイプに近い基準

 

 

(2019年3月期の販売実績)

タイプ

金額

構成比

戸数

構成比

ワンルームマンション

43,011

26.8%

2,363

36.9%

ファミリーマンション

77,375

48.2%

2,078

32.5%

一棟販売

12,459

7.8%

880

13.8%

ホテル販売

17,625

11.0%

980

15.3%

その他住宅販売

1,509

0.9%

98

1.5%

その他不動産販売

1,429

0.9%

不動産販売附帯事業

1,633

1.0%

不動産販売事業 合計

155,044

96.6%

6,399

100.0%

その他

5,535

3.4%

合計

160,580

100.0%

6,399

100.0%

*単位:百万円
*一棟販売は、マンション一棟またはその一部をマンション販売業者に卸売する形態。
*その他住宅販売は、中古住宅流通事業、戸建分譲事業等、新築マンション以外の住宅の販売。
*その他不動産販売は、商業用店舗、開発用地等の住宅以外の不動産の販売。
*不動産販売附帯事業は、マンションの販売代理手数料、引渡後オプション工事、不動産販売事業に附随して発生する事務手数料等。

 

◎事業エリア
自社ブランドマンションの販売を開始した1998年11月以降2019年3月末までの累計販売戸数は、近畿圏、東海・中京圏中心に全国で707棟、46,652戸となっている。

 

都府県など

棟数

戸数

大阪府

319

21,402

愛知県

169

10,575

京都府

76

3,792

兵庫県

72

5,436

滋賀県

10

1,508

沖縄県

20

1,073

東京都

16

931

広島県

5

410

その他

20

1,525

合計

707

46,652

*1998年11月から2019年3月末までの累計販売状況

 

今後は、近畿圏、東海・中京圏におけるブランド力、市場シェアを更に向上するとともに、首都圏・沖縄ならびに新規エリア「広島」、「博多」への事業展開も進めていく。

 

【1-5 特長と強み】

➀豊富な供給実績と高いシェア
前述の様に、同社は本社所在地の近畿圏のみならず、東海・中京圏において分譲マンション供給実績で連続No.1であることに加え、全国レベルでも第2位にランクイン(2019年)という実力を有している。
高いシェアは、スケールメリットによる建築コストの低減や土地情報の収集力向上などの大きなメリットをもたらしている。

 

②販売力の強さ
「マンション完成までに完売」を営業基本方針とし実践している。ワンルームマンションの販売において、同社では、営業部門全体で1物件を集中的に販売している。同一条件の物件を全員で販売することにより、社内競争が促され、営業員の士気向上に繋がっている。また自社開発の同一ブランドのみを販売していることから、営業スタッフは物件の仕様や特長について細かい点まで熟知しているため、顧客の信頼も高い。加えて、セミナーの開催など様々な手法で、潜在的なユーザーの掘り起こしに力を入れており、需要や市況変化への対応力が高い。
さらに、成長力の源泉は何をおいても人材だ。そのため人材教育には大変力を入れている。同社の強みである販売力の強さは、同社の教育力の現れでもある。
新入社員を一日でも早く戦力化する事が重要だが、そのために新入社員は先輩社員と常に行動を共にし、先輩社員のお客様への電話対応、資料作成、訪問時の会話など、成約に至るあらゆるシーンを繰り返し、繰り返し目で見て、耳で聞き、実践して成果が出る体験を積み重ねる。こうした成功体験の積み重ねによって、新入社員であっても、一人でクロージングできるまで自ずと短期間で成長していく。これらの要因により、早期完売と安定した売上を実現している。

 

③優れた商品力
「立地」、「設備」、「価格」の3点において購入者に対し高い満足度を提供している。
「立地」においては利便性と先進性を重視し、都心部の主要駅からワンルームマンションは徒歩5分圏内、ファミリーマンションは徒歩10分圏内の物件を厳選する。
「設備」においては高級感、快適性、機能性を重視し、浴室換気乾燥機付きユニットバス、ガス温水式床暖房、防音サッシ、遮音フローリングを標準装備として物件に高い付加価値を加えている。
「価格」については、高級感を持たせながらもリーズナブルな販売価格設定によって、高いコストパフォーマンスを実現している。この様な取り組みにより、同社物件は長期にわたる高い資産価値・ブランド価値を有している。

 

(同社資料より)

 

④圧倒的な情報収集力
マンションディベロッパーにとって、業容拡大のための重要なポイントは、良質なマンション用地情報を、仲介業者、金融機関などから他社に先駆けて収集することができるか、である。
リーマンショックで同業他社が多くの完成在庫を抱えて新たな土地の仕入に踏み切れなくなった際、財務状況が良好だった同社は、好機と捉えて積極的な仕入れ活動を展開した。仲介会社等にとっては、不況期でも仕入を積極的に行う同社の存在は極めて重要であった。

 

また、大手ディベロッパーに比べると、意思決定のスピードが迅速である点も仲介会社等にとっては大変魅力的であったため、「取引のメリットが大きい会社」と評価され、「新しい土地情報はまずプレサンスへ」という関係性が構築された。リーマンショックの影響が鎮静化した現在でも、この関係はより強固なものとなっており、同社競争力の高さの一因となっている。

 

意思決定のスピードが迅速である点およびブランド力の向上によって、従来は大手ディベロッパーに持ち込まれていた大型案件も同社に先に持ち込まれるケースも増えているという。

 

⑤安定した収益力
2007年12月に上場した同社はこれまでに、最初に期初予想を発表した2009年3月期以降、2019年3月期まで11回の決算を発表してきた。売上高、経常利益の期初予想と実績の乖離を検証すると、売上高未達は数回あるが、経常利益に関しては未達が1度も無い。
不動産市況に大きく影響されることなく安定・継続して収益を上げることができる点も同社の大きな特長といえよう。

 

 

【1-6 ROE分析】

 

13/3期

14/3期

15/3期

16/3期

17/3期

18/3期

19/3期

ROE(%)

18.5

18.2

18.9

19.4

19.2

20.8

22.1

 売上高当期純利益率(%)

12.64

12.15

11.82

11.64

10.41

10.26

11.39

 総資産回転率(回)

0.74

0.75

0.74

0.70

0.65

0.62

0.59

 レバレッジ(倍)

1.98

2.01

2.17

2.38

2.83

3.25

3.30

 

堅調な需要の下、販売が好調で高水準の売上高当期純利益率を継続していることに加え、レバレッジを効かせた効率的な資金調達により高いROEを実現している。
過去3年間の営業利益、ROE、時価総額の3つの指標で一定の基準を満たしているため、2015年8月に「JPX日経インデックス400」(※1)銘柄に選定された。また、2015年12月には新指数「JPX日経中小型株指数」(※2)銘柄にも指定された。今後も高ROEの維持に注力する考えだ。

 

※1 JPX日経インデックス400
資本の効率的活用や投資者を意識した経営観点など、グローバルな投資基準に求められる諸要件を満たした、「投資者にとって投資魅力の高い会社」400銘柄で構成される株価指数。
※2 JPX日経中小型株指数
時価総額や売買代金で中小型株の範囲を決め、過去3年間のROEと営業利益累計額を使って順位を決定。複数の独立社外取締役がいる・英訳資料を作成している、といった定性条件等も加味して投資魅力の高い会社200銘柄で構成される株価指数。

 

2.2020年3月期第3四半期決算概要

(1)連結業績概要

 

19/3期3Q

構成比

20/3期3Q

構成比

前年同期比

売上高

138,987

100.0%

183,588

100.0%

+32.1%

売上総利益

39,368

28.3%

47,346

25.8%

+20.3%

販管費

12,526

9.0%

15,582

8.5%

+24.4%

営業利益

26,842

19.3%

31,763

17.3%

+18.3%

経常利益

26,447

19.0%

31,274

17.0%

+18.3%

四半期純利益

17,933

12.9%

21,041

11.5%

+17.3%

単位:百万円

 

増収増益
売上高は前年同期比32.1%増の1,835億円。ワンルームマンション売上が好調に推移した。
営業利益は同18.3%増の317億円。販管費は同24.4%増の155億円。販売委託手数料、ファミリーマンション広告費、新規事業プレサンスブライト関連費用、企業CM等の広告宣伝費、人員増に伴う人件費など、売上に先行して発生する費用が増加したが増収で吸収し、2桁の増収増益。

 

(2)セグメント動向

 

19/3期3Q

構成比

20/3期3Q

構成比

前年同期比

売上高

         

 不動産販売事業

134,867

97.0%

178,378

97.2%

+32.3%

 その他

4,120

3.0%

5,209

2.8%

+26.4%

合計

138,987

100.0%

183,588

100.0%

+32.1%

営業利益

         

 不動産販売事業

26,318

19.5%

31,391

17.6%

+19.3%

 その他

1,395

33.9%

1,471

28.2%

+5.4%

 調整額

-871

-1,099

合計

26,842

19.3%

31,763

17.3%

+18.3%

*単位:百万円。営業利益の構成比は売上高営業利益率。

 

◎販売実績

タイプ

戸数

前年同期比

金額

前年同期比

ワンルームマンション

2,568

36.4%

50,679

+48.2%

ファミリーマンション

1,907

3.7%

71,221

+3.3%

一棟販売

1,178

54.0%

22,147

+103.7%

ホテル販売

793

-19.1%

19,292

+9.5%

マンション販売事業合計

6,446

17.9%

163,340

+24.1%

*単位:百万円。一棟販売は、マンション一棟またはその一部をマンション販売業者に卸売する形態。

 

ワンルームマンションはプレサンスTHE神戸(235戸)など。ファミリーマンションもレジェンド琵琶湖(486戸)などにより大幅に増加した前年同期を上回っている。

 

◎ホテル事業
今期は第3四半期末までで6棟の売上を計上した。

(3)財務状態とキャッシュ・フロー

◎主要BS

 

19年3月末

19年12月末

 

19年3月末

19年12月末

流動資産

280,591

288,316

流動負債

82,916

79,499

 現預金

41,990

41,898

 短期有利子負債

54,467

56,429

 販売用不動産

9,603

13,677

固定負債

124,407

113,220

 仕掛販売用不動産

225,302

227,733

 長期有利子負債

123,619

112,372

固定資産

21,350

20,238

負債合計

207,323

192,720

 有形固定資産

15,848

13,794

純資産

94,618

115,834

 無形固定資産

332

283

 株主資本

92,699

114,455

 投資その他の資産

5,170

6,159

負債純資産合計

301,942

308,555

資産合計

301,942

308,555

有利子負債残高

178,086

168,801

*単位:百万円。

 

販売用不動産、仕掛販売用不動産(建築中で受注済み物件も含む)が増加し、資産合計は前期末と比べ、66億円増加の3,085億円となった。有利子負債の減少等で、負債合計は同146億円減少の1,927億円となった。利益剰余金の増加等で純資産は同212億円増加の1,158億円。この結果、自己資本比率は前期末から6.4ポイント上昇し37.1%となった。

 

BS上のたな卸資産(販売用不動産と仕掛販売用不動産の合計)から建築代金等を控除した取得済のマンション事業用土地代金は、ワンルームマンションで614億59百万円(12,367戸)、ファミリーマンションで746億49百万円(7,370戸)、一棟販売で198億40百万円(4,307戸)と、それぞれ今後2年分以上の売上に相当する土地を既に取得済である。

 

◎キャッシュ・フロー

 

19/3期3Q

20/3期3Q

増減

営業CF

-4,575

10,190

+14,765

投資CF

-1,696

-1,724

-28

フリーCF

-6,271

8,466

+14,737

財務CF

13,513

-9,243

-22,756

現金同等物残高

36,580

38,624

+2,044

*単位:百万円

 

利益増に加え、たな卸資産増加額が前年同期を下回ったことなどから営業CFおよびフリーCFはプラスに転じた。
長期借入による収入の減少、短期借入金の純減により、財務CFはマイナスに転じた。キャッシュポジションは上昇した。

 

(4)トピックス

◎代表取締役社長の異動
2019年12月16日、代表取締役社長(当時)山岸 忍氏が、学校法人明浄学院の元理事長他の業務上横領に関して、共謀した疑いが強まったとして大阪地検特捜部に逮捕された。
同年12月23日には山岸氏から取締役辞任の申し出があり、同社はこれを受理。 同日付で代表取締役副社長 土井 豊氏が代表取締役社長に就任した。

 

また、同社が関係した土地売買に絡んで横領が行われ、かつ元社長が横領に関与したとして逮捕された事実を真摯に受け止め、ガバナンス上の問題点につき調査・検証したうえで、ガバナンス体制を改革する必要があると判断し、利害関係を有しない外部の専門家から構成される、外部経営改革委員会を設置した。
同社は、外部経営改革委員会による調査に全面的に協力するとともに、外部経営改革委員会による調査・検証結果及びガバナンス改革に向けた提言について、報告書を受領次第、速やかに開示する考えだ。
同時に、「本件につきまして、お客様、株主、取引先および関係者の皆様にご心配ご迷惑をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます」との声明を発表した。

 

3.2020年3月期業績予想

(1)通期業績予想

 

19/3月期

構成比

20/3月期(予)

構成比

前期比

進捗率

売上高

160,580

100.0%

209,219

100.0%

+30.3%

87.7%

売上総利益

44,201

27.5%

54,278

25.9%

+22.8%

87.2%

販管費

17,082

10.6%

21,746

10.4%

+27.3%

71.7%

営業利益

27,118

16.9%

32,531

15.5%

+20.0%

97.6%

経常利益

26,531

16.5%

31,429

15.0%

+18.5%

99.5%

当期純利益

18,296

11.4%

21,520

10.3%

+17.6%

97.8%

*単位: 百万円。予想は会社側発表。

 

業績予想に変更無し。10%超の増収増益を継続し、10期連続で過去最高を更新。配当は前期比11.50円増加の52.00円
業績予想に変更は無い。売上高は前期比30.3%増の2,092億円、営業利益は同20.0%増の325億円の予想。
売上、利益ともに10期連続で過去最高を更新する見込み。
通期業績予想に対する売上および営業利益の進捗率はそれぞれ87.7%、97.6%。多くの物件の引渡しを予定通り完了させており、計画に対し順調に進捗しているということだ。
配当は前期比11.50円/株増の52.00円/株を予定。予想配当性向は15.0%で、増益と配当性向の引上げによる増配を継続する見通し。

 

◎不動産販売事業

タイプ

19/3期

構成比

20/3期(予)

構成比

前期比

ワンルームマンション

43,011

26.8%

70,901

33.9%

+64.8%

ファミリーマンション

77,375

48.2%

74,757

35.7%

-3.4%

一棟販売

12,459

7.8%

24,715

11.8%

+98.4%

ホテル

17,625

11.0%

18,292

8.7%

+3.8%

その他

10,107

6.3%

20,552

9.8%

+103.3%

合計

160,580

100.0%

209,219

100.0%

+30.3%

*単位:百万円

 

(2)進捗状況

 

区分

 

今期中引渡予定

マンション販売事業

戸数

金額

(A)

今期売上高

予想(B)

予想に対する確保率

(A ÷ B)

ワンルームマンション

3,505

68,152

70,901

96.1%

ファミリーマンション

2,037

75,906

74,757

101.5%

一棟販売

1,378

24,798

24,715

100.3%

ホテル

793

19,292

18,292

105.5%

その他

202

19,599

12,035

162.8%

合計

7,915

207,750

200,702

103.5%

*単位:百万円。その他は、その他住宅・不動産販売。

 

19年12月31日時点でマンション販売事業およびその他住宅・不動産販売事業において、今期中の売上見通しが既に立っている金額は2,077億円。これは今期売上計画2,007億円を3.5%超過した水準である。

 

4.今後の注目点

第3四半期までの進捗は引き続き順調だ。前社長の逮捕、代表取締役社長の交代という事態となりその影響が気になるところではあるが、「誠実さこそが、更なる成長の原動力」と考え、全てのステークホルダーから確かな信頼を獲得することを目指す土井新社長の下で、まずは通期予想達成に向けた進捗を注目したい。

 

<参考1:中期経営計画>

(1)中期経営計画概要

(概要)

業績目標

売上高 2,509億円、営業利益 364億円

経営目標

営業利益:前年比10%以上の成長

配当性向:2023年3月期までに20%へ段階的に引き上げ

配当総額:前年比15%以上の増額

目標達成のための事業戦略として、大阪・神戸・京都・名古屋・首都圏・沖縄の既存主要エリアでは市場シェアの更なる拡大を推進、広島・博多・その他の地方都市など新規進出エリアでは市場ポジションを強化し、市場ニーズにマッチした利便性の高いマンションの供給数・販売数を拡大させる。

 

(売上、利益および商品別推移)

 

 

 

 

◇ 売上、利益ともに中計期間中、2割を超す年平均成長率で拡大する。
◇ 商品別には、ワンルームマンション、ファミリーマンションが順調に増加する。3年間の年平均成長率はワンルームマンション +33.6%、ファミリーマンション +19.0%。

 

(配当)
同社は、「配当原資の拡大(営業利益の前期比10%以上の成長)」と「2023年3月期までに配当性向20%への段階的引き上げ」の掛け算によって前期比15%以上の配当総額の増額を進めている。

 

 

(計画達成に向けて)
用地取得は順調で、中期経営計画2年目の今期も高い売上確保率で推移している。
2007年12月に上場した同社はこれまでに、最初に期初予想を発表した2009年3月期以降、2019年3月期まで11回の決算発表を行ってきたが、極めて高い計画達成率を実績として残している。
計画未達だったのは、売上高に関しては2009年、2010年のリーマンショック時および利益重視で進めた2013年、2014年、営業利益はリーマンショック時のみ、経常利益においては1度もない。

 

 

<参考2:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態、取締役の構成

組織形態 監査等委員会役設置会社
取締役 10名、うち社外3名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2019年6月24日

 

<基本的な考え方>
コーポレートガバナンスとは、株主・顧客・従業員・取引先・地域社会など様々なステークホルダー(利害関係者)との関係における企業経営を律する基本的枠組みと考えており、当社としては次の要素を実践していくことで、その枠組みを形作れると考えております。
そして、これら要素を実践しつつ、株主利益の増大に努めることが最重要の責務と認識しております。

 

(コンプライアンス)
法令遵守という意味で使われており、良好なコンプライアンスの実践は、不祥事等による直接的な損害を回避することの他に、「信頼」「誠実」という企業イメージやブランド価値の向上に結びつき、中長期的な業績向上や企業価値の向上につながるものと認識しております。

 

(リスクマネジメント)
企業の目的達成を妨げる事象や行為等の脅威・リスクに対して、費用対効果を勘案しコントロールしていくことと認識しております。

 

(アカウンタビリティ)
説明責任という意味で使われており、組織において権限者がしたこと、またしなかったことが招いた結果について合理的な説明を行う責務と認識しております。

 

<実施しない主な原則とその理由>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの各原則について、すべてを実施しています。
すべての原則について、2018年6月に改訂されたコードに基づき記載しています。

 

 

<開示している主な原則>

原則

開示内容

【原則1-4 いわゆる政策保有株式】 (1) 当社は、取引先と良好な関係を構築し、事業の円滑な推進を図るため、取引先の株式を保有することがあります。取引先の株式については、取引関係の強化により、当社の企業価値の向上に資すると判断する限り、保有いたしますが、毎年、保有株式ごとに保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか、取引関係の維持強化等の保有目的に沿っているかを基に精査することで保有の適否を検証し、保有意義が乏しい銘柄については、株価等を勘案して売却を検討いたします。

(2) 保有株式に係る議決権は、企業価値の向上につながる意思決定を行っているかということを考慮して、行使することを基本方針としております。

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】 当社は、株主・投資家を重要なステークホルダーとして考えており、持続的な成長と企業価値の向上のため、株主総会等の様々な機会を通し、株主・投資家との間で建設的な対話を行っております。

・ 株主との対話、IR活動については、管理本部担当取締役が統括し、株主との建設的な対話が実現するように努めております。また、株主との円滑な対話のために、経営企画部がIR活動をサポートしております。

・ 株主・投資家との対話の手段としては、証券会社を通じて、株主・機関投資家との個別面談を実施しております。

・ 管理本部担当取締役が、株主・投資家との対話を通じて把握した株主の意見・懸念につきましては、必要に応じて取締役会に報告し、当社の経営に活かしてまいります。

・ 対話に際してのインサイダー情報の管理については、インサイダー取引管理規程に基づいて実施しております。

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