(2183)株式会社リニカル 減収減益も、通期予想据え置き
秦野 和浩 社長 |
株式会社リニカル(2183) |
|
会社情報
市場 |
東証1部 |
業種 |
サービス業 |
代表取締役社長 |
秦野 和浩 |
所在地 |
大阪市淀川区宮原 1-6-1 新大阪ブリックビル |
決算月 |
3月 |
HP |
株式情報
株価 |
発行済株式数(自己株式を控除) |
時価総額 |
ROE(実) |
売買単位 |
|
1,158円 |
22,586,555株 |
26,155百万円 |
10.9% |
100株 |
|
DPS(予) |
配当利回り(予) |
EPS(予) |
PER(予) |
BPS(実) |
PBR(実) |
14.00円 |
1.21% |
43.02円 |
26.9倍 |
224.48円 |
5.2倍 |
*株価は12/17終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
*ROEは19/3月期実績、EPS・DPSは20/3月期予想。
連結業績推移
決算期 |
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
親会社株主帰属利益 |
EPS |
DPS |
2016年3月(実) |
7,666 |
2,012 |
1,985 |
1,330 |
58.40 |
10.00 |
2017年3月(実) |
8,355 |
2,128 |
2,076 |
1,447 |
63.59 |
10.00 |
2018年3月(実) |
9,113 |
1,846 |
1,826 |
1,295 |
57.02 |
11.00 |
2019年3月(実) |
11,313 |
1,212 |
1,253 |
568 |
25.09 |
12.00 |
2020年3月(予) |
11,700 |
1,560 |
1,538 |
971 |
43.02 |
14.00 |
*予想は会社予想。16/3期配当は創立10周年記念1円を含む。
*2016年1月1日を効力発生日として1:2の株式分割を実施。分割後の配当金は1株当たり10円。株式分割を考慮しない場合の1株当たり配当金は20円となる。
リニカルの2020年3月期第2四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.経営戦略
3.2020年3月期第2四半期決算
4.2020年3月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>
今回のポイント
- 20/3期第2四半期は前年同期比4.0%の減収、同35.2%の経常減益。売上面では、円高の進行により海外子会社の売上高が日本円換算で目減りした他、日本で前期から今上期にかけて複数の大型案件が完了し新規案件が開始する狭間となったこと等が影響した。また、利益面では、概ね期初想定通りに推移しているものの、売上高が前年同四半期比で減少したことや米国子会社買収に伴う売主とのクロージング価格調整交渉等のための弁護士報酬の発生が影響した。
- 20/3期の会社計画は、前期比3.4%増収、同22.8%の経常増益の予想から修正なし。売上面では、既存顧客のリピート受注に加え、新規顧客に対する営業活動の推進により、同社グループが得意とするがん領域及びCNS領域を中心に、国際共同試験を含む新規案件の受託を目指す。利益面では、欧米子会社のM&Aに伴うのれん償却が増加するものの、海外子会社の経営基盤の更なる強化と北米事業の規模拡大による国際共同試験の受託を進め、利益率の向上に努める。配当も1株当たり14円の予想と前期比2円増配の予定(前期から1円増配の普通配当13円に19/3期の連結売上高が100億円突破したことを記念した記念配当1円を追加)を据え置き。
- 同社は創業以来、がん、中枢神経系、免疫領域に特化しCRO事業を展開してきた。今後もこの3つの領域に比重を置いて事業を展開することに変わりはないものの、今後治験数の大幅な増加が見込まれる再生医療、皮膚科、眼科の領域へも本格的に進出する計画である。成長が期待される再生医療、皮膚科、眼科の領域においていかに事業を拡大するのか、今後の成長戦略が注目される。
1.会社概要
臨床試験(治験)に関わる業務の一部を代行する事で製薬会社の医薬品開発を支援するCRO(Contract Research Organization)事業を中心に、医薬品のマーケティング業務ならびに製造販売後{以下製販後という}臨床研究・調査の受託などを行う育薬事業を手掛ける。
医薬品は発売前に厚生労働省の承認・認可を受けることが義務づけられており、承認前の薬剤(医薬品候補)を患者に投与して効果や安全性を確かめる必要がある。その臨床試験としての治験を支援する事業がCRO(Contract Research Organization)である。また、医薬品は製販後も調査、臨床研究を行う必要があり、その段階を支援する事業が育薬(Contract Medical Affairs)である。
同社は創業以来、がん・中枢神経系(CNS)など、世界中の人々がその撲滅を願い、新薬開発への強いニーズが存在する疾病領域を中心にCRO事業を展開してきた。これらは非常に難易度が高い領域であり、同社の知識・経験豊富なエキスパートが高度な治験を支えている。また、同社は創薬支援・育薬事業にも力を注ぎ、申請業務支援、承認後のマーケティングや臨床研究、製販後調査支援まで、単なるアウトソーシングを越えてお客様の事業を幅広くコンサルティングする「製薬会社の真のClinical Development Partner(医薬品開発パートナー)」を目指している。更に、国際化・大規模化が進む医薬品開発の流れのなかで、グローバルで大規模なプロジェクトにも同社グループのワンストップで十分な対応を行い、製薬会社とともに新しい時代を開拓していく戦略的ビジネスパートナーとして、顧客の市場競争力の拡充をトータルに支援している。
また、同社は、受託特化型の事業形態により、特定業務への特化(治験の主要業務であるモニタリング業務、品質管理業務、コンサルティング業務)、特定治験段階への特化(フェーズⅡ、フェーズⅢ)、特定顧客への特化(豊富な医療品開発情報を有する大手製薬会社)を通じて、高収益体質を構築している。
【1-1 沿革】
2005年6月、藤沢薬品工業株式会社(現 アステラス製薬株式会社)で免疫抑制剤等の開発に携わってきたメンバー9名によって設立された。大阪発理想の医薬品開発受託(CRO)事業を目的として、設立当初から、CNS領域やがん領域の育成に取り組み、会社設立後まもなく大塚製薬からCNS領域の案件を受注。その後、人材を補強し事業部として受注活動を強化した。また、がん領域も外資系製薬会社等でがん領域の医薬品開発を手掛けた人材等に恵まれ、足元、受注が拡大している。
SMO(治験施設支援機関)事業進出を念頭に、06年1月に同事業を手掛けるアウローラ(株)を子会社化したが、CRO事業への経営資源集中を図るべく07年5月に全保有株式を売却。08年7月に、国内の製薬会社の米国進出支援を目的に米国カリフォルニア州に全額出資子会社LINICAL USA, INC.を設立。同年10月の東証マザーズ上場を経て、13年3月に東証1部に市場変更となった。13年5月に、台湾と韓国に全額出資子会社LINICAL TAIWAN CO.,LTD.とLINICAL KOREA CO.,LTD.を設立。14年4月には、LINICAL KOREA CO.,LTD.と買収した韓国のCROであるP-pro. Korea Co., Ltd.との統合を完了した。14年10月29日には欧州でCRO事業を展開しているNuvisan CDD Holding GmbHの全株式を取得し子会社化するための株式譲渡契約を、Nuvisan Pharma Holding GmbH との間で締結し、12月1日付けで同社の100%子会社となった。更に、グループとしての一体感の醸成と連携強化を図るため、連結子会社となったNuvisan CDD Germany GmbHの名称をLINICAL Europe GmbHに商号変更した。その他、16年3月にLINICAL U.K. LTD.を、同年10月にLINICAL POLAND sp.z.o.o.を、17年9月にLINICAL Czech Republic s.r.oを 設立した。また、2018年4月に米国でAccelovance,Inc.を買収し、Linical Accelovance America,Inc.に社名変更。その他、19年3月にLINICAL Hungary Kft.を設立、19年5月にLINICAL CHINA Co., Ltd.を設立し、国際共同試験の受託体制が更に強化された。
【1-2 業務内容】
同社は、主にCRO事業(臨床開発事業)、製造販売後の臨床試験や臨床研究とマーケティング活動支援を担当する育薬事業、創薬支援事業を展開している。非臨床試験段階から臨床開発、製造販売後の育薬まで一気通貫で対応出来る体制をとることで、効率的な新薬開発による上市までの期間の短縮や製品ライフサイクルの延長を可能とし、製薬会社の真のパートナーとして医薬品の価値最大化に貢献している。更に、同社は、製薬会社のみならずバイオベンチャーに対して、ライセンス等の出口戦略まで多面的に支援している。
(同社決算説明会資料より)
CRO事業(臨床開発事業)
主力のCRO事業においては、事業特化型CROに特徴がある。新薬の迅速な市場投入につながる高品質で高効率な治験の支援を目指して、高い技術と豊富な経験をもつスタッフが担当にあたっている。今後も拡大するグローバルスタディに対応していくため、アジア(韓国、台湾、シンガポール、中国など)と欧州、米国に拠点を開設。薬事から企画、実施計画書の作成、モニタリング、データマネージメント、統計解析、ファーマコビジランスまでワンストップで対応。国際共同試験においては、リニカル本社を窓口に位置づけ、各国に医薬品開発事情に精通した人材を配置。日本語ベースで機動的な国際共同試験が可能な開発環境を整えている。10年から20年近くに及ぶ新薬開発プロジェクトの中でも、3年から7年を要するといわれる治験で特に重要とされる患者を対象とする「第Ⅱ相(フェーズⅡ試験)」「第Ⅲ相(フェーズⅢ試験)」のプロセスに特化し、受託特化型の事業形態にて治験の核となる「モニタリング」を「品質管理」「コンサルティング」とともに提供。信頼性の高いデータの収集を行い、迅速、確実な新薬開発の実現を支援している。更に、豊富な医薬品開発情報を有する大手製薬会社に特化すると共に、担当領域も市場からの開発要請の強いがん領域や中枢神経系領域をはじめ難易度の高い領域に特化することで、顧客である製薬会社のニーズに応えている。
また、同社は、スケジュール管理、治験標準業務手順書・GCP遵守、データ・症例報告書の信頼性などの分野におけるサービスクオリティの高さに強みを持っている。
*国際共同試験
「国際共同試験」とは、新規の医薬品開発に世界規模で取り組み、早期上市を目指すため、臨床試験を複数の国または地域において同時並行的に行うことをいう。
*GCP(Good Clinical Practice)
「GCP」とは治験を実施する際に守るべきルールで、日本で正しく治験を実施できるように厚生労働省により省令(法律を補う規則)として定められているもの。
(同社決算説明会資料より)
育薬事業
臨床研究法が施行され臨床研究を取り巻く環境は大きく変化している中、情報をタイムリーにキャッチアップし、製薬会社のメディカルアフェアーズ部にとって最良のパートナーとなれるよう、臨床研究のモニタリング・研究事務局業務を中心にデータマネジメント・統計解析などを含めたフルサービスの支援を行っている。J-GCPだけでなく、倫理指針、臨床研究法に加えてICH-GCP準拠の臨床試験も対応しており、全てのレギュレーションでのサービスをご提供している。また、当初よりPrimary領域、中枢神経領域でのサービスを提供。現在はがん領域を強化し、半数以上のモニターががん領域の経験者となっている。開発で培ったノウハウをベースに、最新のレギュレーションに対応し、難易度の高い領域でエビデンス創造に貢献する方針。
創薬支援事業
既存の臨床開発事業と育薬事業に続く、第3の事業である創薬支援事業 (Innovative Drug Development Business) を展開中。国内大手製薬会社でライセンス、事業開発、臨床開発、開発薬事、マーケティングといった業務に携わり、開発品の目利きから、導入・導出交渉、臨床開発などで数々の実績と豊富な経験をしている担当者が中心となり、主に①開発品の市場分析、②薬事相談のサポート、③ライセンスのサポートの3種のコンサルティングサービスを提供している。これらの経験を武器に、現在、国内または国外の製薬会社、バイオテクノロジーカンパニーからの業務を開発早期より支援している。今後、更に同社の国際拠点と連携し、グローバルでトータルにサポートできる体制を進める方針。
【1-3 5つの強み】
(1)グローバル規模でワンストップ
同社は日本発の唯一のグローバルCROとして、日本を中心にアジア、欧州、米国の3極でサービスを提供可能であり、同社として20ヶ国程度、パートナーを通じてサービスを提供出来る国を含めると30ヶ国程度においてサービスの提供が可能。また、医薬品開発のプランニングから、モニタリング、データマネジメント、統計解析、メディカル・ライティング、薬事、ファーマコ・ビジランスなどあらゆるサービスにおいて経験豊富なプロフェッショナル・メンバーが顧客ニーズに応え、Local試験はもちろん、マルチナショナル・トライアルまでフルサービス、且つ、ワンストップで提供している。
LINICAL Global 拠点 「日本・アジア+米国+欧州」の3極体制」
(同社決算説明会資料より)
(2)創薬支援から臨床開発、臨床研究まで
同社は顧客の真のパートナーとして薬剤の価値最大化に貢献するべく、創薬段階から臨床開発、製造販売後の育薬まで一気通貫で対応出来る体制をとることにより、効率的な新薬開発とライフサイクルマネジメントの延長を可能とし、上市までの期間の短縮(TTM)と売上の早期最大化(TTP)を図っている。日本においては創薬支援事業で創薬支援を、臨床開発事業(CRO事業)では臨床開発を、臨床研究支援事業では製造販売後の臨床試験や臨床研究をサポートしている。
(同社HPより)
(3)がん・中枢・免疫にフォーカス
医薬品開発のトレンドは、がん、中枢神経系、免疫領域に集中してきている。同社創業メンバーは免疫領域において豊富な経験を持ち、創業当初より難易度の高い免疫領域等を中心にサービスを提供してきた。その後、日本においては2006年に中枢神経領域、2010年にがん領域へと専門性を拡げていき、現在では難易度の高い、がん、中枢神経系、免疫などアンメット・メディカル・ニーズな領域でのサービスを大きな3本柱として事業を展開している。また、海外子会社においても同じく、がん、中枢神経系、免疫系のサービス実績が多く、同社全体で難易度の高いがん、中枢神経系、免疫系を得意領域としている。更に、難易度の高い再生医療領域も今後のサービスの大きな柱にするべく、準備を進めている。
(同社決算説明資料より)
受注残高は、CNS領域(中枢神経系)、がん領域を中心に拡大傾向。受注を順調に消化しつつ新規の受注を獲得。19/3期以降は、LAA社(Linical Accelovance America、以下LAA社という)の連結も寄与している。
受託試験実績(2019年11月1日現在)
(同社決算説明会資料より)
(4)グローバル・コラボレーション
日本発グローバルCROとして、顧客へ世界規模のサービスを提供。高品質(Japan Quality)なサービスをご提供する為に、日本に国際事業開発本部を設置し、日本語、英語、母国語を含めたその他言語(韓国語、台湾語、ドイツ語など)が堪能なマルチリンガル・メンバーを大阪本社および東京支社に多数配置し、海外メンバーと適切なコミュニケーションをとっている。日本の顧客とは日本語でのコミュニケーションも可能。海外メンバーもJapan Qualityについて理解を深めており、All LinicalとしてJapan Qualityを提供している。
日本発の日台韓Asia試験の実施体制の一例として、日本にProject Managerを配置し、日台韓のLeaderを日本に配置するケース、各国拠点にLeaderを配置するケースなど、顧客ニーズに沿ったご提案があげられる。また、日本発の日米試験やEUとAsia、EUと米国との共同試験も多数実績があり、顧客の開発戦略に合わせた世界規模でのご提案が可能。
(5)高品質なサービス
同社は顧客へ高品質なサービスを提供すべく、社員に対して量・質ともに充実した教育を実施。その成果として、一般社団法人日本臨床試験学会によるGCPサポート認定試験にて第1回目から高い合格率を維持しており、当学会より高い合格率と質の高い臨床試験の推進に貢献した証として感謝状を授与された。また、GCP適合性調査の経験が豊富にあり、FDA inspectionの経験もある。いずれも適合・問題無しとの評価を受けており、同社の品質については社外からも高い評価を得ている。なお、海外子会社においても、FDAやKFDA 、ANVISAなどからのinspectionの経験があり、日本同様に高い評価を得ている。また、予め定められた症例登録期間を前倒しして登録満了となった試験は約67%に上っている。同社は、高品質とスピードを両立して最高のサービスを顧客に提供することが最大の使命と強く認識している
2.経営戦略
(1)CRO事業
CRO事業の重点戦略は、グローバル1,000名体制の確立及び、グローバル体制強化による国際共同治験のワンストップ受託の促進。
(同社決算説明会資料より)
(同社決算説明会資料より)
買収によるLAA社の子会社化により、日本を中心とするアジア、欧州、米国の3極体制が強化された。また、グローバル1,000名体制が現実的となり、営業力の強化と質の向上が推進された。
各国の今後の展開
【日本】
Oncology、CNS、Immunologyに加え、再生医療にも特化する他、皮膚科、眼科領域への進出を本格化する。
加えて、日本主導によるLinical Australia、Linical South Africaなどの設立を検討する。
また、中国へ進出(上海に子会社設立完了)し、日本からも人材派遣する。
【米国】
ビジネスの中心と位置づけ育成するとともに、Linical CANADAの設立を検討する他、ラテンアメリカへの進出も検討する。
【欧州】
競争力強化により利益率向上を目指す。その他、Linical Italyの設立を検討、加えて、UKのCRA採用強化、更なる増員と拠点拡大を検討する。また、Linical Accelovance EuropeとLinical Europeの統合を進める。
【韓国】
早急に100名規模まで拡大するとともに、2期連続の黒字化を土台に高収益体質を確立する。
【台湾】
シンガポール子会社を含め新規案件の獲得を図る他、香港、フィリピンへの進出を検討する。
(2)育薬事業
育薬事業の重点戦略は、拡大する企業主導臨床研究関連業務の外注ニーズへ対応。
他社が手掛けるMRの派遣サービスとは一線を画し、同社が主体となって業務を進める受託サービス型の育薬事業を志向している。臨床研究のサポート業務受託が柱。臨床研究のサポート業務受託は、エビデンス創出のための臨床研究において質の確保が課題となっている。同社では、手順書作成などの体制構築サポートやモニタリング、監査などを実施している。13/3期は臨床研究の受託に成功し、セグメント損益が黒字転換し、14/3期以降臨床研究等の新規受注により売上・利益の成長が加速してきた。
臨床研究法施行を追い風に今後も旺盛な引き合いに対応すべく、積極的な採用を継続する予定である。
育薬事業の業績推移
|
11/3期 |
12/3期 |
13/3期 |
14/3期 |
15/3期 |
16/3期 |
17/3期 |
18/3期 |
19/3期 |
売上高 |
97,827 |
138,400 |
169,226 |
288,205 |
364,918 |
553,399 |
806,764 |
908,810 |
954,438 |
営業利益 |
-15,834 |
-21,016 |
19,504 |
68,010 |
111,006 |
208,284 |
293,028 |
288,121 |
313,911 |
*単位:千円
(注)16/3期第1四半期連結会計期間より従来のセグメントの名称を「CSO事業」から「育薬事業」へ変更した。
受託試験実績(2019年11月1日現在)
(同社決算説明会資料より)
(3)創薬支援事業(新規事業の育成)
創薬支援事業の重点戦略は、開発計画立案から薬事当局対応まで幅広いサービスを提供するとともに、創薬ファンドを活用する。
日本の行政当局においては、日本発の革新的な医薬品・医療機器を世界に先駆けて実用化したい、また、韓国・台湾の行政当局においては、国際的な競争力を高め、新たな医薬品を創出していきたいとのニーズを持っている。また、顧客となる製薬会社やバイオテック・ベンチャー・カンパニーにおいては、日本の医薬品市場に参入し、自社製品を流通・販売したいが、日本の市場や薬事に精通していない、十分な開発能力がない、或いは、戦略的パートナー/ライセンシーを必要としているなどの問題点を抱えている。こうした昨今のニーズへの対応を念頭に創薬支援事業を第3の事業へ育成すべく強化している。同社は、臨床開発品だけでなく、より早期段階での支援や大手製薬会社で研究・開発・ライセンスを長年経験したプロフェッショナルが、国内外バイオベンチャーのパートナリングまでの支援を提供することが可能である。また、創薬ファンドへの出資も行う。創薬ファンドからの投資案件の増加は、今後の同社のCRO事業の拡大に繋がるとともに、これまでの経験で同社が培ってきた目利きの力が生かされる。更に、開発計画立案から当局対応までの受託経験が蓄積される。
(同社決算説明会資料より)
創薬支援事業 -3種のコンサルティング-
市場分析 |
・対象疾患の疫学調査 ・市場価値と動向予測 ・現行治療アルゴリズムとガイドライン調査 ・承認薬と開発パイプライン調査 ・目標とする製品性能(TPP)立案 ・公定薬価とピークセールス予測、収益性評価 |
薬事・ 開発戦略 PDMA相談 (MW) |
・開発/薬事戦略の立案と提案 ・PMDA相談のための資料作成、申し込み、会議出席、照会事項対応 ・治験薬概要書、プロトコル、同意文書等の作成 ・治験届けと照会事項対応 ・治験国内管理人業務 ・オーファン薬の登録申請 ・マスターファイルの登録申請 |
戦略的提携/ ライセンス |
・提携候補会社/ライセンシーの調査と分析 ・提携候補会社/ライセンシーとの面談、製品/技術の説明 ・パートナリング目的のカンファレンスへの参加 ・Due Diligenceのサポート ・契約交渉のサポート |
創薬支援事業の契約実績 – (2016年10月~2019年10月)
製品/技術 |
疾患領域 |
契約相手会社 の国籍 |
最も先行する国 での開発段階 |
契約サービス内容 |
||
市場分析 |
薬事・MW |
戦略的提携/ライセンス |
||||
核酸 |
呼吸器疾患 |
A国* |
Phase I |
● |
|
● |
間葉系幹細胞 |
免疫疾患 |
B国 |
Phase II |
● |
● |
● |
モノクローナル抗体 |
感染症 |
C国 |
非臨床 |
● |
|
● |
モノクローナル抗体 |
悪性腫瘍 |
A国* |
非臨床 |
● |
● |
|
イメージジングトレーサー |
神経変性疾患 |
C国* |
Phase I |
|
● |
|
低分子化合物 |
眼疾患 |
A国 |
Phase I |
|
● |
|
治療デジタルアプリ |
心療内科領域 |
A国 |
Phase Ⅲ |
|
● |
|
免疫療法 |
アレルギー疾患 |
D国 |
Phase I/II |
|
● |
|
モノクローナル抗体 |
悪性腫瘍 |
E国 |
Phase Ⅲ |
● |
● |
● |
外用剤 |
神経痛 |
A国 |
非臨床 |
● |
● |
|
外用剤 |
皮膚疾患 |
A国 |
申請準備中 |
|
● |
|
核酸 |
炎症/感染症/眼科 |
A国* |
非臨床 |
|
● |
|
低分子化合物 |
神経痛 |
A国 |
Phase I |
|
● |
|
遺伝子組換え生物学的製剤 |
炎症性神経疾患 |
A国 |
申請準備中 |
|
● |
|
低分子化合物 |
消化器疾患 |
F国 |
Phase III/Ⅲ |
|
● |
|
低分子化合物 |
神経変性疾患 |
G国 |
Phase I/II |
|
● |
● |
*:同社が有限責任組合員として参加しているベンチャーキャピタルファンドが投資あるいは会社を設立
●:サービス提供中 ●:サービス提供終了
(同社決算説明資料より)
3.2020年3月期第2四半期決算
(1)連結業績
|
19/3期 第2四半期 |
構成比 |
20/3期 第2四半期 |
構成比 |
前年同期比 |
売上高 |
5,612 |
100.0% |
5,389 |
100.0% |
-4.0% |
売上総利益 |
2,047 |
36.5% |
1,835 |
34.0% |
-10.4% |
販管費 |
1,401 |
25.0% |
1,264 |
23.5% |
-9.8% |
営業利益 |
646 |
11.5% |
571 |
10.6% |
-11.7% |
経常利益 |
748 |
13.3% |
484 |
9.0% |
-35.2% |
親会社株主に帰属する四半期純利益 |
386 |
6.9% |
230 |
4.3% |
-40.3% |
*単位:百万円
*数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)
前年同期比4.0%の減収、同35.2%の経常減益
売上高は前年同期比4.0%減の53億89百万円、経常利益は同35.2%減の4億84百万円となった。
同社が属するCRO業界とCSO業界は、医薬品開発・販売のアウトソーシング化及び国際共同試験の増加を背景として、市場規模は緩やかに拡大している。また、製薬会社は革新的新薬の創出並びにその生産性や効率性を更に向上させるため、医薬品開発・販売のアウトソーシングを一層加速させるものと予想される。こうした環境下、同社は、日本を中心にアジア、欧州、米国の3極でサービスを提供し、グローバルで医薬品を開発したいという顧客製薬会社のニーズに対応している。
売上高は、日本をはじめ、欧州、韓国、台湾子会社の業績は概ね期初想定通りに推移した。また、米国においては前期からのマネジメント強化、営業力の増強、リストラクチャリングの成果が発現を始め、下期以降のV時回復に向けた足場が固まった他、中国でも同社直轄子会社が事業を開始した。こうした環境下ではあったが、円高の進行により海外子会社の売上高が日本円換算で目減りした他、日本で前期から今期にかけて複数の大型案件が完了し新規案件が開始する狭間となったこと等が影響した。
営業利益は、売上高同様に概ね期初想定通りに推移したものの、米国子会社買収に伴う売主とのクロージング価格調整交渉等のための弁護士報酬が発生したこと等により、前年同期比11.7%減の5億71百万円となった。売上総利益率は34.0%と前年同期比2.5ポイント低下したものの、販管費が同9.8%減少し売上高対販管費率は23.5%と同1.5ポイント低下した。その結果、売上高営業利益率は、10.6%と同0.9ポイント低下した。また、経常利益は、前年同期は円安により外貨預金等に1億16百万円の為替差益が発生したのに対し、今期は円高により外貨預金等に為替差損63百万円等が発生したことなどが影響し、前年同期比35.2%減の4億84百万円となった。その他、特別損失で米国での仲裁対応のための弁護士報酬55百万円が発生したことなどにより、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期比40.3%減の2億30百万円となった。
※同社は、2018年4月16日に実施したLAA社との企業結合において前第2四半期決算では暫定的な会計処理のみ実施。前期末で資産・負債へ取得原価の配分が完了したことから、前第2四半期決算を遡及して修正。今第2四半期との比較分析は、修正された前第2四半期決算との比較。
セグメント別売上高・利益
|
19/3期 第2四半期 |
構成比 |
20/3期 第2四半期 |
構成比 |
前年同期比 |
CRO事業 |
5,116 |
91.2% |
4,948 |
91.8% |
-3.3% |
育薬事業 |
495 |
8.8% |
441 |
8.2% |
-10.9% |
連結売上高 |
5,612 |
100.0% |
5,389 |
100.0% |
-4.0% |
CRO事業 |
1,329 |
88.0% |
1,179 |
87.6% |
-11.3% |
育薬事業 |
182 |
12.0% |
166 |
12.4% |
-8.3% |
調整額 |
-865 |
– |
-775 |
– |
– |
連結営業利益 |
646 |
– |
571 |
– |
-11.7% |
*単位:百万円
CRO事業は、概ね期初想定通りに推移したものの、円高の進行により 海外子会社の売上高が日本円換算で目減りした他、日本で前期から今期にかけて複数の大型案件が完了し、新規案件が開始する狭間となったこと等もあり、売上高が前年同期比3.3%減少した。また、売上高が前年同四半期比で減少したことに伴い、営業利益は同11.3%の減益となった。セグメント利益率は、23.8%と前年同期比2.2ポイント低下した。
育薬事業は、既存案件の終了と新規案件の開始の狭間となったことに加え、前期は大型案件が開始し比較的大きな売上が計上されていたこと等により、売上高が同10.9%減少した。売上高の減少に伴い、人員の稼働率が低下したこと等から、営業利益は同8.3%減少した。セグメント利益率は、37.8%と前年同期比1.1ポイント上昇した。
※同社は、2018年4月16日に実施したLAA社との企業結合において前第2四半期決算では暫定的な会計処理のみ実施。前期末で資産・負債へ取得原価の配分が完了したことから、前第2四半期決算を遡及して修正。今第2四半期との比較分析は、修正された前第2四半期決算との比較。
(2)各国単体の状況
|
2019/3期 第2四半期 |
2020/3期第2四半期 |
||||
売上高 |
経常利益 |
売上高 |
増減率 |
経常利益 |
増減率 |
|
日本 |
3,814 |
1,062 |
3,694 |
-3.1% |
573 |
-46.1% |
米国連結(LAA+LAE+LAC) |
996 |
-383 |
982 |
-1.4% |
-267 |
– |
欧州連結 (LEUのみ) |
945 |
72 |
1,056 |
+11.7 |
123 |
+71.5% |
韓国 |
204 |
17 |
239 |
+17.1% |
62 |
+249.3% |
台湾 |
126 |
29 |
121 |
-4.5% |
25 |
-12.6% |
中国 (Linical Chinaのみ) |
– |
– |
9 |
– |
-2 |
– |
連結調整 |
-476 |
-50 |
-714 |
– |
-30 |
– |
合計 |
5,612 |
748 |
5,389 |
-4.0% |
484 |
-35.2% |
*単位:百万円、%
米国、欧州、韓国、台湾ともに、概ね会社計画並みの業績推移となったものの、円高進行の影響を受けた。
(3)受注残高の推移
|
19/3期 期末 (A) |
20/3期 第2四半期期末 |
19年11月14日現在 (B) |
前期末比 (B-A)/A |
エーザイ |
3,350 |
4,379 |
4,259 |
+27.1% |
中外製薬 |
3,579 |
2,867 |
2,717 |
-24.1% |
小野薬品工業 |
2,476 |
1,781 |
1,661 |
-32.9% |
その他 |
6,876 |
9,386 |
10,655 |
+55.0% |
受注残高合計 |
16,282 |
18,414 |
19,294 |
+18.5% |
*単位:百万円
国別受注残高
※1 Linical Accelovance Americaの欧州子会社及び中国子会社の受注残高は、米国の受注残高に含まれている。
※2 Linical China Co., Ltd.の受注残高は、日本の受注残高に含まれている。
CRO事業は、1年から3年程度の治験実施期間において、症例数や対象疾患に起因する治験の難易度などにより受託総額が決定する。この実施期間についてクライアントと委受託契約を締結し、契約に従い毎月売上が発生する。育薬事業においても、同程度の期間についてクライアントと委受託契約を締結し、契約に従い毎月売上が発生する。受注残高は、既に契約締結済みの受託業務の受注金額の残高である。このため、今後1年から5年程度の期間で発生する売上高を示しており、同社グループの今後の業績予想の根拠となる指標である。
2019年11月14日時点の受注残高は、前期末(2019年3月)に比べ、18.5%増加。これは、既存の委受託契約を順調に消化し受注残高の金額が売上高として計上されたものの、これを上回る受託案件の新規契約があったものである。具体的には、海外バイオベンチャーから同社が日本で治験国内管理人も務める大型治験案件等を新たに受注した他、海外大手製薬会社から複数の日本での治験案件を新たに受注した。また、日本、米国等で複数の製薬会社、バイオベンチャーから受託案件の内諾を受けており、現在契約書締結作業中の案件を加味した実質的な受注残高は200億円を超える水準まで拡大している模様である。アウトソーシング化及び国際共同試験の増加を背景に足下の受注環境は良好であり、営業活動の結果、既存・新規の顧客から受託案件の打診を受けていることから、同社では引き続きCRAの増員など受託体制の強化に努める方針である。
(4)財政状態及びキャッシュ・フロー
財政状態
|
19年3月 |
19年9月 |
|
19年3月 |
19年9月 |
現預金 |
5,055 |
4,988 |
短期有利子負債 |
1,619 |
1,529 |
売上債権 |
1,602 |
1,683 |
未払金・未払費用 |
963 |
956 |
立替金 |
663 |
720 |
未払法人税・消費税等 |
488 |
294 |
流動資産 |
7,723 |
7,845 |
長期有利子負債 |
3,105 |
3,353 |
有形固定資産 |
134 |
657 |
負債 |
8,008 |
8,541 |
無形固定資産 |
4,461 |
4,173 |
純資産 |
5,250 |
5,070 |
投資その他 |
939 |
935 |
負債・純資産合計 |
13,259 |
13,612 |
固定資産 |
5,535 |
5,766 |
有利子負債合計 |
4,725 |
4,883 |
*単位:百万円
*有利子負債=借入金+リース債務
19年9月末の総資産は前期末比3億52百万円増の136億12百万円。資産サイドは売上債権、立替金、有形固定資産等が、負債純資産サイドは、前受金、預り金、リース債務等が主な増加要因。19年9月末ののれんは、39億61百万円と同2億73百万円減少。また、19年9月末の自己資本比率は37.2%と前期末比2.4ポイント低下した。
キャッシュ・フロー
|
18/9期 |
19/9期 |
前年同期比 |
|
営業キャッシュ・フロー |
-421 |
581 |
1,003 |
– |
投資キャッシュ・フロー |
-2,518 |
-99 |
2,418 |
– |
フリー・キャッシュ・フロー |
-2,940 |
481 |
3,422 |
– |
財務キャッシュ・フロー |
3,523 |
-580 |
-4,104 |
– |
現金及び現金同等物の四半期末残高 |
5,718 |
4,988 |
-730 |
-12.8% |
*単位:百万円
CFの面から見ると、前年同期との比較で、賞与引当金の増加や未払金の減少幅の縮小や未払費用の増加や前受金の増加などにより営業CFがプラスへ転じた。また、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出がなくなったことなどにより投資CFのマイナスも縮小し、フリーCFがプラスとなった。一方、短期借入金の減少などにより、財務CFはマイナスへ転じた。
(5)企業結合等関係
(比較情報における取得原価の当初配分額の重要な見直しについて)
2018年4月16日に実施したLAA社との企業結合において、19/3期第2四半期には暫定的な会計処理を行っていたものの、19/3期末に資産・負債への取得原価の配分が完了。この資産・負債への取得原価の配分の完了に伴い、今第2四半期の財務諸表に含まれる比較情報において取得原価の当初配分額に重要な見直しが反映されており、主として無形固定資産である受注残関係資産に16,082千円、顧客関係資産に92,740千円を配分するとともに、未払金を64,164千円認識した結果、暫定的に算定されたのれんの金額は3,356,005千円から62,374千円増加し、3,418,379千円となった。この結果、前第2四半期の損益計算書は、営業利益、経常利益及び税金等調整前四半期純利益がそれぞれ5,313千円減少し、親会社株主に帰属する四半期純利益が3,058千円減少。なお、株式取得後における価格調整が完了しておらず、価格調整の結果によりのれんの金額が変動する場合がある。
4.2020年3月期業績予想
(1)連結業績
|
19/3期 実績 |
構成比 |
20/3期 予想 |
構成比 |
前期比 |
売上高 |
11,313 |
100.0% |
11,700 |
100.0% |
+3.4% |
営業利益 |
1,212 |
10.7% |
1,560 |
13.3% |
+28.6% |
経常利益 |
1,253 |
11.1% |
1,538 |
13.1% |
+22.8% |
親会社に帰属する 当期純利益 |
568 |
5.0% |
971 |
8.3% |
+70.9% |
*単位:百万円
前期比3.4%の増収、同22.8%の経常増益予想。
第2四半期が終わり、20/3期の会社計画は、売上高が前期比3.4%増の117億円、経常利益が同22.8%増の15億38百万円から修正なし。
売上面では、CRO事業において、高い評価を受けている既存顧客のリピート受注に加え、新規顧客に対する営業活動を強力に推進することにより顧客基盤の拡大を図り、これら顧客から同社グループが得意とする業務、かつ、顧客ニーズの高いがん領域及びCNS領域を中心に、国際共同試験を含む新規案件を受託し、売上高の拡大を図る方針。また、育薬事業においては、新薬発売後の企業主導型臨床研究を中心に営業活動を強力に推進することにより顧客基盤の拡大を図り、CRO事業で得たノウハウを活かした専門性の高い領域での新規案件の受託に取り組む。
利益面では、CRO事業において、欧州子会社のM&Aに伴うのれん償却に加えて、2018年4月に同社米国子会社がLAA社を子会社化したことに伴うのれん償却が追加されるものの、海外子会社の経営基盤の更なる強化と北米事業の規模拡大による国際共同試験の受託を進めて、高収益体質を確立することで利益の向上に努める方針。育薬事業は、新規案件の受託による売上高の増加が利益の増加に寄与する見込み。
営業利益は前期比28.6%増の15億60百万円の予想。人員の増加や欧州における子会社の統廃合などの先行投資負担があるものの、前期に実施した構造改革の効果などを織り込み、売上高営業利益率は13.3%と前期比2.6ポイント上昇する計画。その他、営業外損益と特別損益の大きな計上の予定はない。
配当も、1株当たり14円と前期比2円の増配の予定を据え置き。前期から1円増配の普通配当13円に19/3期の連結売上高が100億円を突破したことを記念した記念配当1円を加えた配当となる。
(2)通期の会社予想に対する上期(第2四半期累計期間)の実績の進捗状況
|
20/3期 2四半期 |
20/3期 会社予想 |
進捗率 |
売上高 |
5,389 |
11,700 |
46% |
営業利益 |
571 |
1,560 |
37% |
経常利益 |
484 |
1,538 |
32% |
四半期(当期)純利益 |
230 |
971 |
24% |
*単位:百万円
20/3期第2四半期連結累計期間の業績は、今期会社計画に対して、売上高、各段階利益とも50%を下回っているものの、上期に獲得した受注の寄与と上期に採用したCRAの稼働率が高まることなどにより、同社業績は例年下期の比重が大きくなりやすい。
(3)のれんの残高と残存償却期間(2019/3期末)
|
金 額 |
残存償却期間 |
年間償却額 |
韓国 |
償却終了 |
||
欧州 ※1 |
921 |
14年 |
69 |
米国 ※2 |
3,313 |
15年 |
221 |
*単位:百万円
韓国子会社はのれんの償却が終了し、今期より収益性の大幅な改善が期待される。
※1 のれん以外にPurchase Price Allocation により認識された無形固定資産の2019.3期末残高は89百万円。残存償却期間12年(年間償却費8百万)。
※2 のれん以外にPurchase Price Allocation により認識された無形固定資産の2019.3期末残高は96百万円。 そのうち11百万円は残存償却期間2年(年間償却費5百万)、 85百万円は残存償却期間8年(年間償却費10百万)。
※3 株式取得後における価格調整が完了しておらず、 2019/3期末時点ではのれんの金額は暫定的に算定された金額。
5.今後の注目点
同社の受注好調が加速している。今期に入り、海外バイオベンチャーから同社が日本で治験国内管理人も務める大型治験案件等を新たに受注した他、海外大手製薬会社から複数の日本での治験案件を新たに受注した。加えて、日本、米国等で複数の製薬会社、バイオベンチャーから受託案件の内諾を受けており、契約書締結作業中の案件を加味した実質的な受注残高は200億円を超える水準まで拡大している模様である。同社が近年強化してきた日本、中国を含むアジア、米国、欧州の3極によるグローバル受託体制整備の成果と言えよう。今期獲得した大型受注は、今下期よりも来期以降の業績拡大に寄与する。同社グループのみでの大規模な国際共同試験の受託は、1件当たりの受注単価の大幅な増加を意味し、同社の成長加速の原動力になるものと予想される。同社の今後の業績拡大の先行指標となるであろう、今下期の受注動向が注目される。特に、大型の国際共同試験験を継続的に受注できるのか期待を込めて注目したい。
また、同社は創業以来、がん、中枢神経系、免疫領域に特化しCRO事業を展開してきた。今後もこの3つの領域に比重を置いて事業を展開することに変わりはないものの、今後治験数の大幅な増加が見込まれる再生医療、皮膚科、眼科の領域へも本格的に進出する計画である。成長が期待される医療、皮膚科、眼科の領域においていかに事業を拡大していくのか、今後の取組策が注目される。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎組織形態および取締役・監査役の構成>
組織形態 |
監査役会設置会社 |
取締役 |
11名、うち社外2名 |
監査役 |
3名、全員社外監査役 |
◎コーポレートガバナンス報告書
コーポレート・ガバナンス・コード適用以降のコーポレート・ガバナンス報告書直近の提出日、2019年7月2日。
<基本的な考え方>
当社は、その有している医薬品開発の技術をもって国内大手製薬会社のパートナーとして医薬品開発に貢献し、医薬品の分野から社会全体の期待に応えてまいります。さらに、企業価値を高めていくためには、健全性と透明性が確保された迅速な意思決定を可能にする体制の整備が必要であると考えております。 この考えに基づき、最重要課題であるコンプライアンスの徹底を含む内部統制の強化を図っております。
<コーポレート・ガバナンス・コード各原則の実施について>
実施をしないコードのおもな原則と理由
原則 |
実施しない理由 |
【原則4-7 独立社外取締役の役割・責務】 |
当社は、経営陣等から独立した立場に立って実効的な経営の監督を確保するとともに、その豊富な経験および知見にしたがい助言を得ることで中長期的な企業価値の向上を確保するという観点から、医薬品業界に精通し、深い知識・経験を有する社外取締役を2名選任いたしました。今後、社外取締役の役割・責務を存分に果たせる体制を構築してまいります。 |
【補充原則4-8-2 独立社外取締役の有効な活】 |
当社は、独立社外取締役の経営陣との連絡・調整や監査役または監査役会との連携に係る体制を整備してまいります。 |
【原則4-9 独立社外取締役の独立性判断基準及び資質】 |
当社は、一般株主と利益相反が生ずるおそれがない客観的な独立性判断基準等の開示に関して慎重に検討をしてまいります。 |
【補充原則4-10-1 任意の仕組みの活用】 |
当社は、独立社外取締役は現在2名であり、各取締役、経営陣との連絡・調整、監査役との連携体制は構築されており、取締役会において指名・報酬等についても、十分な議論が行われております。任意の指名・報酬委員会の設置は今後、必要に応じて検討してまいります。 |
<開示している主な原則>
原則 |
開示内容 |
【原則1-4 政策保有株式】 |
当社は、 株価変動というリスクの回避のため、また資本効率の向上のためという2つの理由から、協業・提携のための株式保有等の必要がある場合を除き、上場株式を保有しません。 |
【補充原則4-11③ 取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件】 |
当社は、当社取締役会において取締役会の実効性に関し分析・評価を行った結果、下記の通り実効的に運営されている旨結論を得ました。なお、昨事業年度の取締役会は定例、臨時含め計13回開催され、経営戦略、投資等の様々な経営課題、業務執行に関し活発な議論がなされました。 1)取締役会規程に則り重要案件を漏れなく議案として選定し、取締役会を毎月開催することにより、適時・適切に審議している。 2)取締役会の審議に先立ち、経営会議等の経営会議体にて、問題点・課題、リスクおよびその対策を明確にさせ、議論の実効性を高めている。 3)取締役会で円滑かつ活発な議論を行い、十分な検討を行うため、取締役会資料を事前に配付している。 4)全取締役に加え、全社外監査役(独立役員)と、オブザーバーとして顧問弁護士、全執行役員、経営企画室部長が毎月の取締役会に原則毎回参加し積極的に意見を述べることで、議論の客観性を高めている。 5)経営状況について各種会議体を通じ定期的な報告を受け、適切なリスク管理および業務執行の監視を実施している。 6)取締役会の経営監督機能を更に高めるために、豊富な経営経験を有する社外取締役を有することが重要と考え、前期より社外取締役を2名とし、社外監査役3名とあわせ計5名の独立役員が毎月の取締役会に原則毎回参加し積極的に意見を述べることで、議論の客観性を高めている。 |
【補充原則4-14② 取締役・監査役のトレーニング】 |
当社では、取締役・監査役自らが積極的に学ぶことに加え、職務の遂行に必要と考えられるテーマ(コンプライアンス、株主総会の動向等)に関する研修会を実施しています。その他業務執行状況を理解するためのオフィス視察、会議見学、インタビューの実施等の機会を設けております。また、第三者機関が開催する職務遂行に有用な研修会の情報も提供しております。 |
【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】 |
当社では、企業と株主(潜在株主としての機関投資家や個人投資家を含む)の共通目的である企業価値の持続的成長を目指し、信頼関係を構築するために、業績、経営戦略、資本政策、リスク、コーポレートガバナンス体制などについて以下の方法により継続的・建設的で透明・公正な対話を実施しております。 株主との対話は専務取締役CFOが統括を行い、面談の目的と効果、株主属性を勘案し、代表取締役社長、専務取締役CFOを中心とした経営幹部により対話者と対話方法を検討のうえ実施しています。IRは財務部ならびに経営企画室が中心となり社内関連部署から必要情報を収集し、分かり易い資料作成や説明により株主との対話を充実させています。 定時株主総会、決算説明会(年2回)、個人投資家向け説明会(年2回)、四半期決算開示毎の国内外機関投資家・アナリストとの会議、ホームページでのIR情報開示、個人投資家様からの電話・メール等による問い合わせへの個別対応などを通じて対話の機会を持ち、質問や要望、説明会での参加者情報やアンケート結果などをIR活動へ反映しています。 株主との対話を通じて把握した株主の関心や懸念は専務取締役CFOに集約し、経営分析や情報開示の在り方などの検討に活かしています。 IR活動や株主との対話においては、社内規程の定めるところに従い、適切にインサイダー情報を管理しております。なお、当社では決算情報に関する対話を控える沈黙期間を四半期決算期日の翌日から決算短信発表日までを沈黙期間としております。 |