(7839:東証1部) SHOEI 欧米市場、大幅増収 新興国市場の成長にも期待
今回のポイント |
・19/9期1Qは前年同期比10.6%の増収、16.8%の営業増益。日本はタイトな生産状況が影響し11.5%減収となったものの、主力の欧州は堅調な個人消費が支え、依然好調で16.7%増収。販売網の強化を進める北米は同30.2%増収と欧米の売上が大幅に伸びた。アジアでは国によって温度差はあるものの、全体として堅調に推移している。利益面では売上総利益率が前年同期38.9%から39.5%に上昇。販管費増を吸収した。
・通期予想に修正はなく、19/9期は前期比5.8%増収、同7.9%の営業減益を計画する。米国は販売代理店網を2代理制へ強化した効果もあり、欧州とともに販売は堅調に推移する見通し。1Qの受注高は前年同期比21.8%増、1Q末の受注残は同23.5%増と受注は好調に推移している。尚、前提為替は1USドル=110.00円、1ユーロ=125.00円。 ・1Qの通期予想に対する進捗率は売上高で22.9%(前年同期は実績に対して21.9%)、営業利益25.1%(同19.8%)、経常利益24.6%(同20.0%)、親会社株主に帰属する四半期純利益24.5%(同19.5%)と、特に利益面で高進捗。受注残は前期末との比較でも30.5%増に達する。期初に「足元11月までの受注も生産が追い付かないほどに来ている」と説明があったが具体化してきた。直近やや円高に傾いており、不安要素があるとすれば為替ということになりそうだ。好調な販売、受注動向に加えて今後の見通しを鑑みると、生産面で課題を与えられた印象。早期に増産体制を築きたい。 |
会社概要 |
プレミアムヘルメット市場で世界ナンバーワンのヘルメット・メーカー。売上高の約90%を占める二輪乗車用ヘルメットでは、高品質・高付加価値の「プレミアムヘルメット」に特化し、茨城工場(茨城県稲敷市)、岩手工場(岩手県一関市)の国内2工場で生産。国内生産にこだわる事で、高い品質の維持と技術の流出防止を実現している。一方、販売網は日本のみならず、ヨーロッパやアメリカをはじめ世界約70ヵ国超を網羅しており、安全性と機能性、そして造形の美しさが世界各国で高い評価を受け、“SHOEI”ブランドは「プレミアムヘルメット」の代名詞となっている。グループは、同社の他、米国、独(2社)、仏、伊の連結子会社5社。経営方針 3つの世界一を実現
【中長期的安定成長と安定利益の実現に向けた基本方針】 短期的な支払い能力を示す流動比率が600.0%(18/9期末。以下同じ)、長期的な財務の安全性を示す固定比率が21.8%、無借金経営で自己資本比率81.5%。(1)健全な財務内容の堅持(自分の会社は自分で守る)、が着実に実行されている事が貸借対照表からみてとれる。 また、茨城及び岩手の国内2工場で全量を生産する事で(2)Made in Japan(ものづくりの伝承)を実現し、(3)投資の継続(新製品開発、コストダウン、品質向上、より確かな安全)及び海外子会社と一体になって、(4)新市場を含め、世界中のプレミアムヘルメット市場でナンバーワンを目指している。 |
2019年9月期第1四半期決算 |
前年同期比10.6%の増収、同16.8%の営業増益
売上高は前年同期比10.6%増の41億60百万円。主力の欧州が依然好調で16.7%増、販売網の強化を進める北米は同30.2%増と欧米の売上が伸びる中、日本はタイトな生産状況が影響し同11.5%減にとどまった。 営業利益は前年同期比16.8%増の8億63百万円。売上総利益率が前年同期38.9%から39.5%に上昇、販管費増も吸収し、営業利益率は20%台に乗せた。営業外では前年同期為替差益から為替差損に転じ、経常利益は12.5%増の8億50百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は16.1%増の5億85百万円となった。 為替レートは、同社売上換算レートが、1ドル=112.43円(前年同期比0.17円の円高)、1ユーロ=128.20円(同5.03円の円高)、海外子会社換算レート(2018年9月末)が、1ドル=113.57円(同0.84円の円安)、1ユーロ=132.14円(同0.71円の円高)。 同社を取り巻く環境は、欧州においては政府に対する不信任の動きやBrexitの先行きなどで不透明感はあるものの、個人消費は堅調に推移した。米国では米国第一主義の下、保護貿易の傾向へ動きがあり、特に中国との貿易摩擦の対立はあるものの雇用・所得環境の改善等を背景に個人消費の増加に支えられ景気はおおむね順調に推移した。国内においても、米中の動きにより先行きに不透明感はあるものの、堅調な企業業績やインバウンド需要により景気は順調に推移した。アジアでは国によって温度差はあるものの、景気は依然堅調に推移している。 プレミアムヘルメット市場においては、欧州市場は、堅調な個人消費に支えられドイツ、フランス、イタリア等全地域において依然底堅く推移した。北米市場は、二輪新車販売は停滞しており、ヘルメット市場も横ばいで推移した。日本市場は、堅調な個人消費に支えられ251cc以上の二輪新車販売が前年比横ばいで推移しており、ヘルメット市場はシニア層を中心に高級品、複数個所有の傾向が継続している。アジア市場は、中国での中大型二輪車販売は以前程の伸びは鈍化傾向にあり、加えて8月以降ヘルメット規格変更の影響で市場規模は停滞した。他のアジア諸国については同社の期待ほどではないが、順調に拡大しつつある模様。 サンバイザー付システムヘルメットインターコム対応の「NEOTECⅡ」は斬新なデザインとインターコム内臓機能が好評で、空前の大ヒットとなった。 受注も堅調に推移、1Q末受注残は前年同期比23.5%増。 19/9期1Q末の資産の残高は159億29百万円で、前期末比8億26百万円増加した。棚卸資産が増加、現預金が減少した。負債の残高は27億73百万円で、前期末比3億22百万円減少した。 |
2019年9月期業績予想 |
19.9期は前期比5.8%の増収、同7.9%の営業減益を計画
通期予想に修正はなく、19/9期は売上高が前期比5.8%増の181億50百万円、営業利益は同7.9%減の34億40百万円を計画する。以下は期初の段階での主要地域のプレミアムヘルメット市場の見通し。大きな変動はないものと思われる。 欧州市場…二輪新車販売は堅調に推移しており、極端な天候不順がない限り、ヘルメット販売も18/9期同様、堅調に推移すると期待される。 米国市場…二輪新車販売が停滞しており、ヘルメット市場も横ばいで推移すると予想されるが、昨年10月から販売代理店網を2代理店制へ強化しその効果もあり、販売は堅調に推移すると期待される。 アジア市場…中国を除くと全般的に堅調に推移すると期待される。中国については、8月からヘルメット規格が変更された影響で、規格への対応に時間も掛かることから、減少の見込み。 日本市場…ライダーの高齢化の懸念はあるものの、オリンピックに向けて雇用・所得環境の改善が続くなかシニア層を中心に18/9期同様、販売が堅調に推移すると期待される。また、主力新製品を各市場に順次投入する計画であり、シェアの維持拡大が期待される。 また、期初の通期為替レートの前提は、同社換算レート:1US ドル=110.00 円(前期比0.22 円の円安)、1ユーロ=125.00 円(同7.03 円の円高)、海外子会社換算レート(2019 年6月末)は、1US ドル=110.00円(前期比0.54 円の円高)、1ユーロ =125.00 円(同2.91 円の円高)。この前提も変動ないだろう。為替感応度は1USドル1円につき売上高29百万円、当期純利益12百万円、1ユーロ1円につき売上高54百万円、当期純利益23百万円(年間、いずれも円安メリット)。 上期予想は以下の通り (2)19/9期の重要テーマ ②顧客のニーズを徹底分析、エレクトロニクス、ITとの融合を通じ、魅力ある新モデルを投入する。 19/9期投入の新製品 ③ブランド戦略。 ④有望市場での販売強化。 中国国務院による工業製品認証基準の変更 GB811-2000規格の主な特徴 台湾・タイ・マレーシア等、中国以外のアジア内、成長期待分野へ経営資源の優先的配分。 |
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<参考:コーポレート・ガバナンスについて> |
基本的な考え方 当社は、中長期的な安定成長と安定利益、企業価値の向上を経営の重要課題としております。その実現のために、株主やお客様をはじめ、取引先や従業員、各ステークホルダーとの良好な関係を築くとともに、お客様に満足いただける製品を提供することが重要と考えております。この考え方は、当社の経営方針でもある三つの世界一(世界一の品質、世界一のコスト競争力、世界一楽しい会社)並びに「基本方針」にも記載し、社内に周知しております。このような中でコーポレート・ガバナンスの充実に向け、様々な施策を実施してまいります。 <実施しない主な原則とその理由> 【補充原則4-2-1】取締役会の役割・責務(2) 【原則4-11】取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件 【補充原則4-11-1】取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件 <開示している主な原則> 【原則1-7】関連当事者間の取引 【原則2-6】企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮 【原則5-1】株主との建設的な対話に関する方針 |