日成ビルド工業株式会社(1916 東証一部)
長期的成長ポテンシャルと安定性の向上による投資魅力
ベーシックレポート
ジェイ・フェニックスリサーチ(株)
宮下 修、CFA
システム建築をベースにした経営基盤
当社は、1000㎡以下の規模のシステム建築の強みをベースに、①特化・棲み分け戦略、②技術・提案力の総合戦略を推進し、強固な経営基盤を築いてきた。①としては、A:日本唯一のH型軽量鉄骨(間口10-40m)のシステム建築市場でNo.1のポジション構築、B:折り畳み式ユニットハウスなど付加価値を創出する開発力、C:システム建築のノウハウを活かした立体駐車場事業の展開、②としては、A:ニーズ把握・一貫サポート力、B:全国同質な技術力・生産力・施工力、C:全国顧客別に対応した企画提案力、D:全国一貫体制の強化を推進してきた。
2013-2015年度中期経営計画で大幅な領域拡大を実現
2013-2015年度の中期経営計画では、ワンストップソリューションにより持続的かつ長期的な価値創造チェーンを実現することに注力してきた。情報収集力と提案力を一層強化するために、M&A、提携、高収益ストック型ビジネス拡大、海外進出、を積極的に進め、システム建築の経営基盤をベースに大幅に事業領域の拡大を実現した。その結果、2013年3月期から2016年3月期(見通し)で、売上高は254億円から550億円へ、営業利益は18億円から40億円へと二倍以上拡大する見込みである。システム建築事業の国内の市場規模は7,000億円ほどあるが、この戦略により成長余地は大きく拡大され、さらに海外拡大への基盤が構築された。まさに「次元の異なる拡大ステージへ移行中」と形容できる変化を遂げている*。三段跳び「ホップ、ステップ、ジャンプ」に例えれば、これまでの延長線上にない成長を目指す大幅な領域拡大を実現した現中期経営計画は「ホップ」に相当しよう。
2016-2018年度新中期経営計画で収益力競争力強化と安定性向上
当社は新中期経営計画において、更なる飛躍へと挑戦し、持続的な成長の実現に向けた戦略の実行により、2018年度において売上高650億円、営業利益53億円の達成を目指す。東京オリンピック後の景気変動リスクに備えた成長基盤の確立と収益安定性向上のバランスをとる戦略である。新中期経営計画は次なる「ジャンプ」を目指すための「ステップ」に例えられよう。具体的には、①収益力競争力強化ための戦略的投資(優良不動産開発の促進、高収益を生み出す資産ポートフォリオの構築)、②グループシナジー追求、により建設需要の影響を最小限にする安定した経営基盤の確立(ストック型ビジネスにおける売上総利益60億円で販管費を吸収)を進める。長期的成長ポテンシャル向上と安定性向上による理論的資本コストの低下を通じた企業価値向上余地から見て、PER10倍程度の株価には大きなアップサイドがあり、PER15倍550円程度は理論的に妥当と考える。
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