日本合成化学工業株式会社(4201 東証一部)
欧米で食品包装用途向けを中心にEVOH 樹脂「ソアノール」が好調

2015/12/09

フォローアップレポート
㈱スクアード・リサーチ&コンサルティング
奥山 智子/坂本 貞夫

前期に発生した原料価格の高騰は収束し営業利益率が改善
 2016 年3 月期第2 四半期の売上は527 億円、前年同期比微増での着地となった。但し、前期に不採算事業から撤退しており、売上規模が縮小している点を踏まえると、事業撤退に伴う減収を既存製品で補い、前期を上回る売上を達成したことになる。偏光板向け光学用PVOH フィルム「OPL フィルム」については、期初に発生した定期修繕に伴う在庫不足や試作品製作による生産面の制約があり、販売数量は微増に留まったのに対し、食品包装材などとして利用されるEVOH 樹脂「ソアノール」が欧米を中心に堅調に推移し、前年同期を上回る売上を記録した。また、紫外線硬化樹脂「紫光」も液晶パネル用途で採用されるケースが増えるなど好調が続いている。
前期に発生した、欧州での原料価格(酢酸ビニルモノマー価格)の一時的な高騰も今期に入り収束し、営業利益は、前年同期を約5 億円上回る70 億円を計上、営業利益率も前年通期の10.6%から13.2%にまで改善した。

コア2 製品に続く、営業利益10 億円規模の製品群の育成に注力
 2015 年11 月に次期中期経営計画となる「NICHIGO20」(自2017 年3 月期至2021 年3 月期)を公表した。最終年度となる2021 年3 月期の数値目標としては、売上1,400 億円(2016 年3 月期予想対比+29.6%)、営業利益200 億円(同+42.9%)、営業利益率14.3%を掲げている。①コア事業への継続投資及び、②「OPL フィルム」、「ソアノール」に続く第三の柱構築を基軸として計画達成を目指す。主力製品の1 つ「OPL フィルム」については、需要先となる偏光板市場は拡大 基調が続いており、現在、20μm の薄膜品の早期上市に向け、生産技術確立に注力している。もう1 つの主力製品「ソアノール」は新用途開発による需要増を狙う。第三の柱構築に関しては、営業利益10 億円規模の事業群の育成を目標としており、電子・光学材料用粘着剤「コーポニール」や液体洗剤個包装材向けに水溶性PVOH フィルム「ハイセロン」などの拡販を進めていく。「コーポニール」と「ハイセロン」については新生産ラインが2017 年3 月期第1 四半期に稼働する予定であり、 生産能力拡大に伴う増収増益が期待される。

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