イーブックイニシアティブジャパン(3658 東証マザーズ)

2013/04/05

電子書籍配信事業のパイオニア
前期は好決算。先行投資負担から今期増益率は鈍化局面へ

業種:情報・通信業
アナリスト:松尾十作

◆電子書籍市場は普及期に入り急拡大。同社業績は順調
・独立系の電子書籍配信事業のパイオニア。カテゴリーキラーであるコミッ クの品揃えは業界最大規模で総合書籍No.1 を目指す。
・大手企業の新規参入により、電子書籍事業は活性化。電子書籍を閲覧 するデバイスの普及も追い風となり、本格的な成長期に入る。一方で、競 争激化で自然淘汰と業界再編が予想される。

◆前2013 年1 月期は、会社及び当センター予想を上回る好決算
・前2013 年1 月期実績は、売上高3,044 百万円(前期比39.9%増)、営 業利益445 百万円(同43.9%増)と、会社計画をそれぞれ約3%、約 21%上回った。コミック・一般図書の品揃えの強化、各種施策により増収 効果が固定費の増加をカバーした。
・12 年11 月、1:2 の株式分割を実施。加えて株主優待制度を拡充。無配 継続中ながら、株主還元には前向き。

◆今14 年1 月期は大幅増収を見込むが、営業増益率は小幅に
・今14 年1 月期の会社予想業績は、売上高4,013 百万円(前期比31.8% 増)、営業利益471 百万円(同5.8%増)。無配継続へ。
・品揃えの強化、サービス・利便性の向上、会員数の増加と新デバイスの 普及で主たる事業である電子書籍配信事業が順調に推移し、増収につ ながる見込み。一方で、版権使用料率の上昇や先行投資負担から、営 業増益率は鈍化する見込み。
・同社は、本格的な電子書籍市場の拡大の恩恵を享受すると思われ、経 営基盤の強化のために先行投資が続き、当面年率10%前後の利益成 長にとどまる可能性を考慮し、当センターの中期見通しを変更した。

◆中期的な想定株価は、2,270 円~2,770 円
・現状の株価は、今来期の実質的なPER ではフェアバリューと考えられる。 国内電子書籍市場がさらなる拡大期に入り、同社の中長期的な成長力 や将来のバリュエーションを考慮し、PER を18 倍から22 倍と想定。17 年 1 月期の予想EPS をベースに、中期的な想定株価は2,270 円~2,770 円程度と考えられる。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。